れんとのオタ活アーカイブ

ウルトラシリーズとアニメが中心の長文感想ブログ。アイカツスターズ!実質全話感想も執筆中!

カテゴリー別記事一覧

〈カテゴリ一覧〉

 

ウルトラシリーズ


ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA


ウルトラマントリガー』第1~2話 感想

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ウルトラマントリガー』第15話 推し語り(Higher Fighter)

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ウルトラマントリガー』 総括

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ウルトラマントリガー エピソードZ』感想 (ネタバレ無し)

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ウルトラマントリガー』全話感想+『エピソードZ』感想

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ウルトラマンデッカー〉


ウルトラマンデッカー』初報感想

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ウルトラマンデッカー』第7~8話 感想

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ウルトラマンデッカー』第21話 感想

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ウルトラマンデッカー』総括

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ウルトラマンデッカー 最終章 旅立ちの彼方へ…』感想

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ウルトラマンブレーザー


ウルトラマンブレーザー』初報感想

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ウルトラマンブレーザー』第1話 感想

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ウルトラマンブレーザー』第15話 感想

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ウルトラマンブレーザー』総括

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ウルトラマンアーク〉

 

ウルトラマンアーク』初報感想

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ウルトラマンアーク』第1話 感想

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〈ウルトラギャラクシーファイト


『運命の衝突』Episode 1 感想

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『運命の衝突』Episode 2~4 感想

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『運命の衝突』 Episode 3 推し語り(Ultra Spiral)

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『運命の衝突』Episode5~6 感想

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『運命の衝突』Episode7~8 感想

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『運命の衝突』Episode 9~10 (終) 感想

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『運命の衝突』全話感想(後半ネタバレなし)

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ウルトラシリーズ (昭和) 〉


”第2話”で振り返る『帰ってきたウルトラマン

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追悼・団時朗

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ウルトラシリーズ (平成) 〉


ウルトラマンコスモス』総括

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ウルトラシリーズ (ニュージェネ / 令和) 〉


ウルトラマンタイガ』総括

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ウルトラマンZ』の “隠れた名台詞” について

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ウルトラマンZ』第19話 感想

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『シン・ウルトラマン』感想

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ウルトラマングロス』感想

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ウルトラマン列伝』~「ウルトラマンクロニクルD」総括

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ウルトラマン ニュージェネレーション スターズ』総括

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ウルトラマンZ』~『レグロス』BGMセレクション

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Ultraman: Rising』+『ULTRAMAN (SEASON 1~FINAL) 』感想

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ウルトラシリーズ (舞台) 〉


『ウルトラ6兄弟 THE LIVE ウルトラセブン編 Vol.1』感想

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ウルトラマン NEW GENERATION THE LIVE スターズ編 STAGE1』感想

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ウルトラマン NEW GENERATION THE LIVE デッカー編 STAGE5 』感想

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『NEW GENERATION THE LIVE ウルトラマンブレーザー編 ~…未来へ~ 』感想

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ウルトラシリーズ (イベント) 〉


ウルトラマンダイナ スーパーGUTSスペシャルナイト』イベントレポート

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『ツブコン2023』イベントレポート

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ウルトラシリーズ (その他) 〉


スマートフォン向けゲーム『ウルトラ怪獣 バトルブリーダーズ』総括

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ウルトラシリーズ「推し歌」10選

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ウルトラソフビ塗装レポート

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仮面ライダーシリーズ


平成ライダーの“名挿入歌”勝手にベスト10(6位~10位)

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平成ライダーの“名挿入歌”勝手にベスト10(1位~5位)

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PS2専用ゲーム『仮面ライダー 正義の系譜』総括

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『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』感想

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仮面ライダーBLACK SUN』感想

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『シン・仮面ライダー』感想

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ゴジラシリーズ 

 

『 “ゴジラVS” シリーズ』総括

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ゴジラ ミレニアムシリーズ』総括

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ゴジラ×コング 新たなる帝国』感想

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その他 (特撮) 

 

【検証】桃谷ジロウ=アレルヤ・ハプティズム

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五星戦隊ダイレンジャー』第47話 推し語り(素面名乗り)

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〈2024年上半期〉映画感想まとめ

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グリッドマンシリーズ


『劇場総集編 SSSS.DYNAZENON』感想

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小説『SSSS.DYNAZENON CHRONICLE』感想

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グリッドマン ユニバース』 感想

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蒼穹のファフナー


未視聴者向け『蒼穹のファフナー』プレゼン

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蒼穹のファフナー THE BEYOND』第10~12話(終)感想

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蒼穹のファフナー FINAL Fes『angela LIVE -蒼穹作戦-』感想

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蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』感想(ネタバレなし)

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その他 (ロボットアニメ) 


【検証】桃谷ジロウ=アレルヤ・ハプティズム

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トップをねらえ!』感想

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トップをねらえ2!』感想

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『劇場版 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』感想

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機動新世紀ガンダムX』感想

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戦姫絶唱シンフォギア


未視聴者向け『戦姫絶唱シンフォギア』プレゼン

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戦姫絶唱シンフォギア (第1期) 』総括

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戦姫絶唱シンフォギアG』総括

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戦姫絶唱シンフォギアGX』総括

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戦姫絶唱シンフォギアAXZ』総括

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戦姫絶唱シンフォギアXV』 総括

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アイカツスターズ!


第1~13話 感想

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第14~30話+劇場版 感想

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第31~50話 感想 早乙女あこ編

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第31~50話 感想 香澄真昼編

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第31~50話 感想 桜庭ローラ&白銀リリィ編

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第31~50話 感想 虹野ゆめ編

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第51~63話 感想

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第64~77話 感想

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楽曲+「MUSIC of DREAM!!!」感想

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第78~85話 感想

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第74・84話 感想

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第86話 感想

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第87~89話 感想

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第90~93話 感想

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第91・94話 感想

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第95・96話 感想

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第97話 感想

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第98話 感想

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第99話 感想

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ダンガンロンパ


ダンガンロンパ』感想

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スーパーダンガンロンパ2』感想

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ダンガンロンパ3』感想

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進撃の巨人

 

アニメ『進撃の巨人』Season1~3 感想

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アニメ『進撃の巨人』第67話 感想

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アニメ『進撃の巨人』The Final Season 感想

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その他 (アニメ) 


『アイの歌声を聴かせて』感想

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Free!』シリーズ+『the Final Stroke 後編』総括

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映画『金の国 水の国』感想

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致命的な勘違いをしていた男 VS『THE FIRST SLAM DUNK

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『星合の空』総括

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映画『プリキュアオールスターズF』感想

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映画『BLUE GIANT』感想

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映画『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』感想

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プリティーリズム・レインボーライブ』総括

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〈2024年上半期〉映画感想まとめ

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『数分間のエールを』感想?

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漫画


読切漫画『友達の話』感想

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漫画『くちべた食堂』プレゼン

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ドラマ・映画(実写)

 

映画『JUNK HEAD』感想

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『鎌倉殿の13人』最終回 感想

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わ~ん!『RRR』の感想が書けないよ~!!

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〈2024年上半期〉映画感想まとめ

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ノンフィクション・実録系

 

れんとの転職活動レポート【前編】

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れんとの転職活動レポート【中編】

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れんとの転職活動レポート【後編】

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インタビュー企画『あなたとトクサツ。』参加報告

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高校生の僕と「ガンダムスクール (仮称) 」- 「なりチャ」文化の記憶

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東京ディズニーランド」レポート

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「大洗旅行 / ガルパン聖地巡礼」レポート

kogalent.hatenablog.com

 

回顧 - 教科書で触れた「純文学」

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クウガ』の聖地 - 喫茶ポレポレ(珈琲ハウス るぽ)レポート

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『数分間のエールを』を受けての回顧録

 

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ウルトラソフビ塗装レポート

kogalent.hatenablog.com

 

その他


ご挨拶

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500アクセス記念

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ブログを続けてみて良かったこと3選(開設1周年)

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2021年振り返り

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“書こうとしたけど書けなかった記事” 3選(開設2周年)

kogalent.hatenablog.com

 

2022年振り返り

kogalent.hatenablog.com

 

歴代記事 “文字数” ランキングトップ10(開設3周年+100記事記念)

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2023年振り返り

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〈感想〉超絶感動傑作煌めきアニメ『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』が面白すぎた。

数年前、プリティーシリーズのプの字も知らなかった自分は、正直『KING OF PRISM』を十分に楽しむことができなかった。 

プリズムジャンプとは何なのか。なんで尻からハチミツが出るのか。なんで自分で召喚した列車で旅立つのか。なんで赤い糸で縛られて絶頂するのか。全部イメージ映像だろう、と思いきや実害が出たり再生したりするのでいよいよ目の前で起こっている現象が分からなくなってしまい、結果、残ったのは『KING OF PRISM』もとい、プリズムジャンプへのふわっとした苦手意識。 

……ところが、それから数年。自分は紆余曲折あって『プリティーリズム・レインボーライブ』にハマり散らかしていた。

 

kogalent.hatenablog.com

 

重く生々しく、だからこそ胸打たれる『どしゃぶりHAPPY!』を地でいくストーリー。トリオ編やデュオ編に顕著な楽曲演出のアツさ。そして「プリズムライブ」と共に進化していくプリズムショーの魅力……。「よくわからない」を塗り潰していく圧倒的な面白さのおかげで、自分の中からはいつの間にかプリズムジャンプへの苦手意識が消え去っていたし、第45話『薔薇の革命』で速水ヒロ、そして『pride』に惚れ込んでしまった以上、もうこれっぽっちも迷いはなかった。見るしかねェ、もう一度『KING OF PRISM』を……!!!

 

 

という訳で、下記は『レインボーライブ』を経て『KING OF PRISM by Pretty Rhythm』『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』に再会した結果、見事その後続のTVアニメ『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』という沼に叩き落とされてしまった初見感想のまとめになります。今この瞬間、Shiny Seven Starsに日本で一番熱くなっているのは……俺だッ!!!!

 

f:id:kogalent:20240715174321j:image

引用:「KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-」劇場編集版<本予告>2019年3月2日(土)より全4章連続公開決定!- YouTube

 

《目次》

 

前談 -『KING OF PRISM by Pretty Rhythm』『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』について

 

本題に入る前に『KING OF PRISM by Pretty Rhythm』『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』の二作についても少し触れておきたい。

 

 

鑑賞直後、こんなどうしようもない感想をぶん投げている自分だけれど、KING OF PRISM劇場二作は「思ったよりも遥かに真面目な映画だった」とも思う。 

コウジたちOver The Rainbowから輝きを受け取った新主人公・一条シンと、そんなシンの無垢な輝きを受けて輝きを取り戻すエーデルローズの新メンバーたち。コウジから今度こそ「自立」を果たし、プリズムスタァとして / 王の器として大きな成長を遂げるヒロ。レインボーライブ同様『pride』をストーリーのキーに据え、最後の最後でその新バージョン『pride -KING OF PRISM』を披露する構成……。他にも、『CRAZY GONNA CRAZY』などの既存楽曲が思わぬ形で登場したり、なるたち『レインボーライブ』組のその後が描かれたりと、細やかなファンサービスや「これが見たかった」というシーンが盛り沢山で、続編兼スピンオフ作品として100点満点の内容だったと思う。 

ならどうしてその上でこんな↑感想が出てくるのか……と聞かれれば、そんなんプリズムショーが狂い散らかしてたからに決まってるじゃないですか!!!!!! 

・コウジの尻から出てくるハチミツ 

・ヒロ顔負けのイキ顔を披露するシン 

・あんだったりわかなだったりするカヅキ先輩の固有結界 (そういうところだぞ!!!) 

・なるだったりべるだったりするヒロの固有結界 (お前もかよ!!!!) 

・ちゃんといと一筋なコウジの固有結界 (えらいぞコウジ!) (いやそもそもこの乙女ゲー空間はなんなんだよ!!!!!!!!!!!)   

・様子のおかしいプリズムバトル (鋼鉄のシックスパック) (「自爆する気か!?」) 

・法月仁さえも屈伏させる王様プレッシャー 

・アレクサンダー爆撃で物理的に崩壊するスタジアム (なんでだよ!!)

・カヅキのプリズムショーで再生するスタジアム (なんでなんだよ!!!!!!!!!!)   

軽く思い出すだけでもこの数と内容である、こんなドラッグをプリズムショーのプの字も知らん状態でブチ込まれたらそりゃあ狂うか困惑するかの二択だろうし、当時は困惑一色だった自分も今回はこの異常空間のトリップ感を (ゲラゲラ笑いながら) 楽しむことができたし、劇場の大スクリーンでこれを叩き付けられたらいよいよ終わりだと思う。怖いよこのコンテンツ!!

 

pride -KING OF PRISM ver.-

pride -KING OF PRISM ver.-

  • provided courtesy of iTunes

 

『Shiny Seven Stars』- キャラクターの第一印象と初期エピソード

 

そんなこんなで、午前中を使って『by Pretty Rhythm』と『PRIDE the HERO』をイッキ見。昼食休憩を挟んで見始めたのが、今回の本題=遂にOver The Rainbowから本格的な主人公交代となる『Shiny Seven Stars』。この作品は文字通りの完全初見なのだけれど、視聴前の時点でモチベーションはかなり高かった。なぜって、それはもう「ようやくユキノジョウたちのことが分かるから」に尽きる。

 

Shiny Seven Stars!

Shiny Seven Stars!

  • 一条シン・太刀花ユキノジョウ・香賀美タイガ・十王院カケル・鷹梁ミナト・西園寺レオ・涼野ユウ(cv.寺島惇太斉藤壮馬、畠中 祐、八代 拓、五十嵐 雅、永塚拓馬内田雄馬)
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

SePTENTRIONのメンバーのうち、自分の中でビビっときたのは何といっても太刀花ユキノジョウ。だって、ほら……エロすぎるじゃん!!!!!!!!!

 

 

自分はポニーテールという髪型や、彼のような美人・美少女系の男性キャラクターが大層「癖」なので、太刀花ユキノジョウは第一印象でド癖だった。しかも担当声優は『刀剣乱舞』の鯰尾藤四郎や鶴丸国永で散々可愛い男の子やセクシーな男性を見せてくれた斉藤壮馬氏。こんなん好きになるなって方が無理だって!!!!! 

しかもこのユキノジョウ、いやユキ様、何が凄いって何をしてても可愛いし美しい。スラッとしていて綺麗だけれど、よく見ると節々に男性らしさを感じさせるスタイル、手を膝に添えて座るなどのフェミニンで可愛らしい所作、キレ長だけど優しさを感じさせる目、凛としており中性的な声……。それらが悉く癖にぶっ刺さってしまって、もはやポニーテールであるかどうか関係なく画面に映ると目が持っていかれてしまったし、7話での女装なんてもう全てがR-18だった。何もかもが!!!!!!!!!!エロい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

一方、そんな第一印象で5000億点かつ画面に映る度に得点を増していくユキ様に対して、自分の中で対抗馬だったのが香賀美タイガ。 

悪ぶってるけどその実ひたむきかつ天然なワンコ系で、くしゃっとなった顔や照れ顔がメチャメチャ「美」というだけであまりにも可愛いし凄まじくポイントが高いのだけれど、その担当声優はなんと畠中祐同じく天然ワンコ系キャラクターのウルトラマンゼットは勿論、自分にとっては『遊戯王ZEXAL』でも馴染み深い方だ。 

というのも、同作では畠中氏が主人公・九十九遊馬を演じているのだけれど、なんと彼のライバル=神代凌牙を演じるのは増田俊樹氏。そう、タイガとカヅキは別時空において宿命のライバルであり、そういう意味でも (?) 二人から目を離すことができなかった。 

(ちなみに、大和アレクサンダーを演じた武内駿輔氏は『遊戯王VRAINS』で主人公のライバル=リボルバーを演じており、タイガとアレクサンダーがプリズムラッシュで戦った際の「コーナーを制した方が先行」というルールは『遊戯王5D's』のライディングデュエルと全く同じだったりもする。どこまでが偶然なのこれ!?)

 

 

して、ようやくそんなユキノジョウやタイガの過去が明かされるとあって大いに期待していた『Shiny Seven Stars』だけれど、早々にお出しされた彼らの単独エピソードは単なる「掘り下げ」に留まらない見所が満載だった。

 

 

大人びていた雰囲気に隠されていた「自らの宿命から逃げ続けている」という弱さが露呈するも、受け継ぐのは血ではなく魂であると、宿命は従うのではなく乗りこなすものだということを「DNAと歌舞伎をモチーフにしたプリズムジャンプ」で示してみせた、第2話『太刀花ユキノジョウ いざ、参る!』。

 

 

タイガの様々な表情や可愛さは勿論「レインボーライブとのミッシングリンク」という続編 / スピンオフものの旨味もぎっしり詰まっており、ラストシーンの「cherry-picking daysをBGMに登場するあん&わかな」に絶叫させられた第3話『香賀美タイガ 祭りなら!俺の中にある!』……。 

この二編は、キャラクターの見せ方やストーリーの秀逸さは勿論、それらが「プリズムショーに昇華される」という構造もバッチリ決まっていて、その満足感はさながらレインボーライブの一番美味しい時期のよう。個人的には「プリズムジャンプがあまりオモシロ方面に寄っていない」のも嬉しく (オモシロプリズムジャンプは大好きなのだけれど、アツいシーンや泣けるシーンでお出しされると感情が迷子になってしまうので……) 、この時点で『Shiny Seven Stars』への好感度はうなぎ登りだった。

 

 

個別エピソードで株を上げていくキャラクターたち

 

こうして、ユキ様にタイガといった「第一印象から好きだったキャラクター」たちが更にその株を上げていった序盤だけれど、自分が本作にドハマりした要因と言えるのは、そんな彼ら以外=「第一印象ではピンと来なかったキャラクターたち」のエピソードのクオリティが軒並み凄まじく、彼らのことも大好きにさせられてしまったから。

 

 

第4話『十王院カケル 愛と共に翔ける』は、サブタイトル画面のデザインや「ビジネスは武器を使わない戦争だ」という台詞の通り、さながら池井戸潤作品のような雰囲気の経済ドラマエピソード。アイドルアニメで経済ドラマを……??? 

一見コメディ的な要素も多く、古代の石板が出てきたり天然ガスが噴出したりするシーンには実際笑ってしまったけれど、社内での政治闘争やマダガスカルでのやり取りは非常に本格的。これらがカケルの「天才的な御曹司」というキャラクターに説得力を持たせているという秀逸な脚本が光る一編だったけれど、その真骨頂はやはりラストシーン。社内の闘争や政治で「愛なんてものは存在しない」と絶望したカケルこそが、実はその愛で恩人・児玉専務を救っていた――と最後に明かされる構成の美しさは、まさに作中屈指のものと言えるだろう。

 

 

「致命的な機械オンチで料理センス皆無」という古式ゆかしい最強の萌え要素 (死語) をユキ様に付与してくれた第6話『鷹梁ミナト 心は大っきな太平洋』は、港町の牧歌的な雰囲気に反して哀愁も感じさせるエピソード。 

ミナトに託される「特別な才能がなくても、憧れた星に届かなくても、そのひたむきな歩みは、誰かにとっての “一番星” になっている」という暖かく力強い答えには、自分の大好きな『アイカツスターズ!』にも通ずるものを感じて胸が一杯になってしまったし、「灯台」を軸に、言葉少なに / 文学的に描かれるミナト・翼の関係や、オモシロであるが故に「吹っ切れた」ことを感じさせてくれるミナトのプリズムジャンプ、そして、第4話同様脚本の巧さに唸らされるハートフルな〆なども大きな見所だ。

 

 

ダンガンロンパ』の不二咲千尋が好きな自分の癖センサーに引っ掛かっていたものの、あまりにも可愛いことが逆に不安を煽ってもいたレオ。そんな不安が的中したのが第7話『西園寺レオ 心の花を咲かせましょう♡』。 

可愛いものに囲まれ、可愛いものを愛し、自分自身も可愛らしく育った結果、男子からも女子からも疎まれ、遠ざけられてしまった……というレオの生々しい過去には「間違いなく現実に起こっている出来事」としての説得力があり、それ故に「彼がどんな結論を出すのか」が不安でもあった。事実、彼がジェンダーレスな格好で出てきた時はどんよりとしたものが胸に込み上げてきたのだけれど、その直後、彼がその姿を変え「 “可愛い” への愛を貫く」と宣言する姿には、視界の靄が切り払われるかのような痛快さがあったし、何より、そんなレオの姿がどうしようもなくカッコよかった。自らの在り方でファンに勇気を届けるその姿は、優しく眩しい太陽のようであるし、自分の中で敢えて「本作中一番株を上げた」キャラクターを選ぶなら、間違いなく彼だと断言したい。

 

 

他にも、「たとえ紛い物・作り物の存在だったとしても、その存在が与える希望は紛れもないホンモノである」というメッセージを「口パク問題」と併せて描くことで、ジョージどころか現実までひっくるめた「アイドル」という概念そのものを肯定してみせた第5話『THE シャッフル ジョージの唄』や、プリズムスタァとして大切なものを見失っていたアレクの克己とピュアな想いが涙を誘う第9話『大和アレクサンダー THE CHARISMA OF STREET』……など、本作のエピソードはいずれも負けず劣らずの傑作揃い。 

それらが各キャラクターの株を上げてくれたおかげで、自分は彼らみんなのことが大好きになっていったし、そう思える作品は簡単には出会えないもの。一話一話を噛み締めて「自分、Shiny Seven Stars、好きだ……」と浸りながら、未だ謎に包まれたルヰとシンの不穏さに身構えていった。

 

 

過去作要素の使い方と、衝撃のプリズムライブ

 

キャラクターの魅力とストーリーの完成度、それらがプリズムショーで昇華されるクライマックス、どこを取ってもハイレベルな『Shiny Seven Stars』だけれど、そのアツさを更に盛り上げてくれたのが『レインボーライブ』要素の扱いだ。

 

cherry-picking days

cherry-picking days

  • 福原あん/森園わかな(CV.芹澤 優・内田真礼)
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

前述の通り、カヅキ、あん、わかなの過去が (一瞬) 描かれた他、ラストではあんとわかなが『cherry-picking days』をBGMに登場した第3話ことを皮切りに、本作では折に触れて『レインボーライブ』要素が顔を出すのだけれど、そのどれもが思わず声を上げてしまうほどに巧いものだった。

 

ハート イロ トリドリ〜ム

ハート イロ トリドリ〜ム

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第4話、カケルがプリズムショーに興味を持ったきっかけになったのは、なんと『レインボーライブ』主人公=なるのマイソング『ハート♡イロ♡トリドリ~ム』! 同話の「愛」というキーワードにしっかり沿った説得力のある選曲だし、レインボーライブにのめり込む最初のきっかけが第13話『心をつなぐ虹のかけ橋』だった自分にとっては、思い出深い『ハート♡イロ♡トリドリ~ム』がこうして「レジェンド」のような扱いで登場することがとても感慨深かった。 

(第6話で「コウジが歌うハート♡イロ♡トリドリ~ム」が登場するのも嬉しいファンサービスだった……!)

 

Vanity colon

Vanity colon

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更に第7話では、かつて塞ぎ込んでいたレオの背中を押したプリズムショーとしておとはの『Vanity colon 』が登場! 

レオの両親におとはの父親と似たメルヘンを感じる……というのはかねがね感じていたけれど、それ以上に、おとはといえば「言いたいことを言えない」自分の殻を破り「自分らしさを貫く強い少女」へと進化した『レインボーライブ』でも随一の成長株。レオの物語に寄り添う歌としてこれ以上に相応しい歌もないだろうし、第4話共々、そのストーリーに合ったプリズムショーを引用してくれる本作の采配には『レインボーライブ』のオタクとして頭が上がらない……!

 

 

他にも、カケルがステージで引き連れていた動物たちやサイリウムチェンジ、レオのプリズムチェンジや姉たちなど、本作には自分の知らない作品のものも含め、非常に多くの過去作要素が散りばめられていた様子。しかし、その中でも頭一つ抜きん出てた演出を見せてくれたのが、第8話『涼野ユウ アイアム ゼウス☆彡』だろう。

 

 

『レインボーライブ』からレギュラーに昇格したという出自から既に美味しいキャラクターであるユウ。クロス譲りの「ゼウス」という自称や、憧れのべるに振り向いて貰うために打倒ヒロを目指す、という目標など、一つ一つのプロフィールやその生意気ぶりが可愛くてしょうがないユウだけど、第8話ではそんな彼の中にあったもう一つの思い=「同い年の仲間がほしい」という願いが発覚。ハッピーレインとペルローズに憧れ続けていたユウくん、なんていじらしいのよ……!! 

そんな彼が、合宿と迷子を通して仲間たちとの絆に気付き (かつて姉がそうしたように) 七人に「SePTENTRION」という名前を見出だす。『レインボーライブ』を見てきたこともあってこの一連やユウくんの号泣ぶりにはそれだけで感極まってしまったのだけれど、問題はその後。

 

Shiny Stellar

Shiny Stellar

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所変わって、舞台はPRISM.1。『Shiny Stellar』を歌うユウのプリズムショーの最中、『レインボーライブ』で親の顔より見た演出と共にギターが飛来し、なんとプリズムライブがスタート。プリズムライブ!?!?!?!?!?!?!?!?!? 

そう、プリズムチェンジやサイリウムチェンジが行われた時点で十分にその可能性はあった。過去作品の印象的な要素を引っ張ってくるなら、一番関わりの深いレインボーライブから持ってこない道理はないし、持ってくるとしたらそれは「ユウがプリズムライブを行う」以外にあり得ないのだ。 

しかし、ユウのプリズムライブは単なる「再現」には留まらず、なんと「ギター」「ドラム」「キーボード」というハッピーレインのプリズムライブを融合したもの。まさにハッピーレインの継承者であり「全知全能」の面目躍如……! 

各メンバー個別エピソードのラストでこれを持ってくるシリーズ構成の巧さにはただただひれ伏して拝み倒すしかなかった。ありがとう、『Shiny Seven Stars』!!

 

 

シンとルヰについて

 

ここまでオタクの早口 (意訳) で好きなポイントを話してきたけれど、悔しいことに、自分はこれらと同じ熱量で主人公=一条シン、そして彼の運命の相手=如月ルヰについて語ることができない。というのも、この二人について考えるには、提示されている情報があまりにも少なく、自分の理解力も全く追い付いていないからだ。 

(同じ理由で、冒頭に貼り付けた『レインボーライブ』の記事においても、ジュネとりんねについてはほとんど触れていない)

 

おそらく設定はガチガチに練り込まれているのだろうし、細部は分からなくても、シンとルヰ、シャインとりんねを巡って何が起こっていたのか、という大枠は漠然と理解することができた……気がする。けれど、それを文章にするには自分の頭が足りていない。 

けれど、そんな自分でもはっきり言えるのは、本作の主人公=一条シンを取り巻く魅せ方の巧さ。自分だけでなく多くの方が『by Pretty Rhythm』の時点で立てたであろう「ルヰ=プリズムの使者」という予想それ自体が「シンもまたプリズムの使者」という本命から目を逸らす為のフェイントだったということをはじめ、シンがシャインであることが、「主人公は感情移入をして貰うため “等身大の人物” でなければならない」「しかし、主人公は主人公として特別優れた力を持つ必要がある」というジレンマを解消する手段になっていたり、シンの中にラスボスが潜んでいたという真相そのものの衝撃だったり、第11話のサブタイトルやシンのステージにおけるホラー的な演出であったり……。 

これらの一連は言語化できる範囲でも魅力的な点が多く、フィーリングで語っていいなら、総じて「よく分からんけれど非常に好み」だった。この辺りは、モチーフであろうエヴァンゲリオン同様ガチガチに考察や設定を詰めていかないと分からない領域なのかもしれないし、これから徐々に情報を仕入れて、少しずつ慎重に理解を深めていきたい。けれど、最後に一言だけ言わせてほしい。 

エヴァをやりたいのは一向に構わんのだけど!!!!「謎が多すぎる上にモチーフが多層的なせいで理解が難しい」あの感じまでエヴァにしなくても良かったんじゃないですかね……!?!?!?!?

 

 

おわりに

 

右肩上がりでテンションが上がっていき、よく分からない点もあれど「面白すぎ!!!!」というテンションのままで駆け抜けることができた本作。おかげで本作は『レインボーライブ』に匹敵するほど好きになれたように思うし、是非この先も本作を噛み締めていきたいところ。 

……などと言っていたら、そんな自分にうってつけの映画が間もなく公開されるのだという。

 

 

「未来につながるROAD SHOW」というそこはかとなく不穏さのあるキャッチフレーズを引っ提げた再編集映画 (?) 『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』! 

一体どんな内容になるのか、新参者の自分にとっては謎の多い作品だけれども、少しでも未来につなげるためにも是非劇場へ足を運んでみたい。オタク! ペイメント!! レディー……スパーキング!!!!!!

 

人生初のソフビ塗装マン、理想のネオガイガレード作成に挑む

物価高騰が著しい昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。ウルトラシリーズオタクの自分は、ソフビ人形の価格高騰に恐れおののきながら毎日を過ごしています。

 

 

ウルトラシリーズのヒーロー・怪獣を模したソフトビニール製フィギュア、通称「ソフビ」。2013年にシリーズが一新されて価格が税抜500円になったものの、2016年に600円、2022年に700円と値上がりしていき、2024年にはとうとう一部のソフビが800円になった。なんて世知辛い世の中だ……。 

とはいえ、自分のような独り身で生活にある程度余裕がある成人オタクにとってそのぐらいの価格変動は些細なもの。問題はむしろ、人件費高騰の影響から価格の上昇と反比例して年々ソフビの塗装が減り続けていることだ。自分がその塗装減少で痛い目を見たのは2022年春、自分がシリーズで溺愛し、ゲームのアンケートで実装希望を送り続けた怪獣がソフビとして発売された時のこと。

 

 

ウルトラマンダイナ』最終章で登場した最後のスフィア合成獣・ネオガイガレード。この怪獣は以前食玩でフィギュアが発売されているのだけれど、ソフビとして店頭に並ぶのは史上初。放送から25年経って実現した奇跡である。……なので、贅沢なんて言っちゃいけない。言っちゃいけないのだけれど、それでも思ってしまった。「誰……?」と。


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発売されたソフビに付属していたタグがこちら。ネオガイガレードは宇宙で出現したため正確な色合いは分からないものの、緑っぽいグレー成形でほぼ塗装されていないネオガイガレードのソフビは、自分の大好きなネオガイガレードとは正直別人 (?) だったのだ。


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ので、自分で塗った。

 

これは、図画工作で絵の具の評点だけ永遠に最低評価だった色塗りド下手マンが「人生初のソフビ塗装」を完遂するまでの、激闘の記録であるッ……!!

 

《目次》

 

ことのはじまり ~ 事前準備

 

ソフビの色塗りをしないか、と誘ってくれたのは、兼ねてから仲良くさせて頂いているフォロワーのB氏。B氏は玩具をオシャレに飾ったり、時にはグッズを自分で作ってしまったりする凄い方で、僅か一歳差ながら雲の上にいるように思えてならない好人物。そんな氏から誘いを受けたのは光栄も光栄だったのだけれど、正直迷っている自分もいた。自分は学生時代から色塗りが大の苦手で手先も不器用、平面でさえ無理なのに、ソフビのような立体物を塗ることができるだなんてとても思えなかったのだ。  

けれど、そんな自分に待ったをかけたのが、件のネオガイガレードのソフビだった。この千載一遇の機会を逃したら、おそらく一生自分はあのコレジャナイガレードと一緒に暮らすことになる。そんなん嫌や!! という恐怖心がトラウマを吹っ飛ばし、2023年11月19日、同じく友人のフォロワーS氏を誘って都内のレンタルスペース=秋葉原工作室へと乗り込んだ。

 

 

現在も営業中の秋葉原工作室。簡単に言えば「様々な塗料と工具が原則無料(※エアブラシで使うものなど、一部の塗料のみ有料)で使えるリーズナブルな工作用レンタルスペース」であり、ソフビの塗装に使えるガンダムマーカーもここに多数取り揃えられている。とはいえ、どのガンダムマーカーも揃っているとは限らないので、最低限の「間違いなく使うであろうもの」は予め買い揃えておくのが吉だろう。 

そんな訳で、予約時間前に三人で秋葉原ヨドバシカメラに突撃。スミ入れ用のガンダムマーカーと、ガンダムマーカーの「シャインシルバー」、スミ入れだけで映えそうな怪獣としてデスフェイサー、グリーザ (第三形態) のソフビを購入した。ネオガイガレードは購入済みのものを二体持参済みだ。


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初めての塗装:デスフェイサー&ネオガイガレード

 

そんなこんなで、13時頃に秋葉原工作室へ。いきなりネオガイガレードの塗装をしても上手くいかないことは目に見えていたので、簡単な塗装としてB氏に勧めて貰った「スミ入れ」をやってみることに。

 

 

スミ入れ (墨入れ) とは、水っぽい黒インクを塗装物に塗り込み「モールドに黒い色が入った状態で表面を拭き取る」作業のこと。そうすると、黒が拭き取られた表面と違ってモールド内には黒インクが残るため、陰影がついてメリハリのある仕上がりになる、という訳だ。その結果がこちら。


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え、ええやん……!!  

表面を拭き取る、ということが前提なので、モールドからはみ出ないように塗らなきゃ、という気構えは無用。割とガシガシ塗ってこの仕上がりなので、ここで一気に塗装に対するハードルが下がってくれた。 

となればもう練習は不要。グリーザは後回しとして、遂にネオガイガレードを塗装する時が来た……!


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ここで問題になるのが「ネオガイガレードに何色を塗るのか」ということ。ネオガイガレードは鉱石のような身体の怪獣で、スフィアの融合や光の反射によって輝いているような色合いになっている。だったら、と選んだのがガンダムマーカーのシャインシルバーで、試しに塗ってみるとこのようになった。


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ちょ、ちょっと違うな……。各部に墨入れペンで黒を加えたものの、いくら何でも銀色すぎた。どうにか修正を試みたかったものの、この辺りで時間が来てしまったのでお開き。いつかネオガイガレードをちゃんと仕上げよう、と誓いつつ、秋葉原工作室を後にした。

 

 

7ヵ月後~事前準備 (2回目)

 

リベンジの機会が訪れたのは、つい先日=2024年6月29日のこと。今度は大学時代の友人からお誘いを頂き、5人という大所帯で秋葉原工作室へ乗り込むことになった。 

この日も前回と同じヨドバシカメラで事前準備をしたのだけれど、購入したのはガンダムマーカーの「ヘビーガンメタリック」と「シャインシルバー」、そしてソフビのウルトラマンゼット デルタライズクローだ。

 

 

今回の主目的は、前回上手く塗れなかったネオガイガレードのリベンジ。新しく買い直したソフビを、今度こそそれっぽい色で塗ってあげなければならなかった。 

では、一体何色が「それっぽい」のだろうか。黒でもなくグレーでもなく、かといって銀は明るすぎる。ならばその中間=ガンメタリックなのでは、と思い、ガンダムマーカーの色見本をネットで検索、行き着いたのが前述の「ヘビーガンメタリック」。このガンメタカラーをベースに、スフィアの融合部分などを前回と同じシャインシルバーで塗っていき、発光部や目は自宅にあった金色のマッキーで塗る……と、頭の中で少しずつイメージを組み立てていった。なんで自宅に金色のマッキーがあるんだ……? (困惑) 

これでマーカーは揃ったものの、今回もネオガイガレードに取りかかる前の練習は必要。せっかく三つもマーカーがあるのだから、これで塗れそうなキャラクターはいないものか……と考え、ヨトバシカメラ店頭でふと閃いたのがデルタライズクロー。ヘビーガンメタリックとゴールドがあれば、未だ発売していないデスシウムライズクローのソフビをゲットできるんじゃあないのか……ッ!?

 

 

塗装チャレンジ (2回目):デスシウムライズクロー&ネオガイガレード

 

そんなこんなで事前準備を終え、友人たちと秋葉原工作室へ突撃。早速デルタライズクローをガンメタで塗り始めた……のだけれど、思いの外色が明るい (やや渋い銀色、という程度) という問題が発生。このままでは、デスシウムライズクローではなく単に色落ちしたデルタライズクローになってしまう……! 

という訳で、塗装やプラモ製作の熟練者である後輩くんに泣きついたところ、秋葉原工作室にあるマーカーからあるものを探し当ててくれた。その名も、ガンダムマーカーの「リアルタッチグレー」!

 

 

本来は「ぼかしペン」という上塗り塗料と合わせて使うことで影や汚し塗装に使うというこちらのマーカーだが、それはすなわち、鉱石のような肌を持ち、宇宙の闇でダイナと戦ったネオガイガレードにピッタリの色合いということ。 

いくつかあるリアルタッチグレーを試し塗りしてみた結果、リアルタッチグレー2というカラーリングがベストマッチ。デルタライズクローとネオガイガレードに塗ってみると……!!


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か、完成…………!!!!! 

結果として、最初にガンメタカラーで塗りたくったのは大正解だった。ガンメタの上からグレーを重ね塗りしたことで、デスシウムライズクローはウルトラマン特有の光沢感、ネオガイガレードは鉱石らしい色艶がそれぞれ上手いこと再現されたのだ。デスシウムライズクローは些か塗りが汚くなってしまったけれど、それを押して余りあるカッコ良い逸品に仕上がった……! 

そして何よりネオガイガレード。怪獣はウルトラマンと違って雑に塗ってもそれっぽくなるのでデスシウムライズクローのような違和感もなく、ゴールドとシャインシルバーも良い仕事をしてくれた。これ、これですよ俺が欲しかったネオガイガレードは!! 誘ってくれたフォロワーのB氏と大学の友人、リアルタッチグレーを渡してくれた後輩くん、そして同行してくれた友人たちに秋葉原工作室様、本当にありがとうございます……!!

 

 

撮影会 ~ウチの子を見てくれ~

 

背面などまだ塗れていない部分もあるものの、これでひとまずネオガイガレードの塗装は完成。となればやることは一つ、撮影会だ!!!!!!


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近くのショップを探し回り、通算四体目となるネオガイガレードを購入。比べてみるとこれがま~~~楽しい。理想のネオガイガレードが手元にある喜びと、それを自分で作れたというかつてない達成感……!! ク、クセになりそ~~~!!!!!  

そして、理想のネオガイガレードが手に入ったとなれば、やはり「彼」と並べない訳にはいかないだろう。


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そう、宿敵・ウルトラマンダイナ!  

HGのウルトラマンダイナ辺りがサイズ的にはちょうど良いものの、手元にないのでアルティメットルミナスのウルトラマンダイナ (フラッシュタイプ) で代用。サイズ的に上手く撮るのは難しかったけれど、それでも楽しくて楽しくてしょうがなかった……! やって良かったよソフビ塗装!!

 

君だけを守りたい

君だけを守りたい

  • 中島文明
  • アニメ
  • ¥153

 

おわりに

 

こうして、人生初のソフビ塗装も一段落。けれど、ネオガイガレードの背面がまだ塗れていないし、せっかく買ったグリーザ (第三形態) はノータッチだし、他にも塗ってみたい怪獣は山ほど出てくる。ゾルギガロガイザとか。

 

 

他にも、悲しいかな今のウルトラ怪獣シリーズには「塗装で損をしている」怪獣が盛り沢山だ。ファイブキングとか、スフィアネオメガスとか……。 

が、この記事の通り、自分のような塗装ド素人でも案外どうにかなってしまうもの。自分のように「推し怪獣が発売されているけど塗装が少なくて寂しい」という方は、是非ソフビ塗装にチャレンジしてみてはいかがだろうか。

感想『ウルトラマンアーク』第1話 - 堅実・周到な構成と「辻本イズム」満載の初戦は僅かな不安を覆せるか

2024年7月6日、ウルトラシリーズ最新作=『ウルトラマンアーク』が産声を上げた。 

ウルトラシリーズの1話は興奮と不安と「一般に受けるかどうか」という厄介オタク特有の懸念とで一杯になって正常な判断ができないのが毎年の常なのだけれど、今回も例によってガタガタと震える指でスマホの画面を叩いている。 

懐かしく、素朴で、斬新で、アツく、少し不安で、それでいてある種の「周到さ」を感じた『ウルトラマンアーク』初回。その魅力や注目ポイントを、本編の内容と併せて早々に振り返ってみたい。

 

 

※本記事内の画像は全て『ウルトラマンアーク』第1話「未来へ駆ける円弧(アーク)」-公式配信- から引用しております。

 

《目次》

 

「田口流」を感じさせる構成とOPの衝撃

 

ウルトラマンアーク』冒頭では、開幕から本作のファクターと目される謎の怪獣・ディゲロスとウルトラマンアークが出現、アークが3ヶ月前に出現し、今も戦っている=「ユウマは本編開始時点で既にアークと一体化している」ことが明かされる。 

ウルトラマンZ』で田口清隆監督が仰られていたように、今時の子どもはYouTubeの「開幕3分」で面白くなければ作品を見ず、他の動画に移動してしまうのだという。2020年でそうなのだから、2024年現在は一層その向きが顕著になっているのかもしれない。このことを踏まえて作られていたのが、田口監督がパイロット監督を務めた『Z』と昨年の『ウルトラマンブレーザー』であり、事実、両作品はアバンタイトルの時点で「面白いぞ」「何か違うぞ」と目を引き付けるものがあった。何が言いたいかというと、ディゲロスが出現、広大 (に見える) ミニチュア街を蹂躙し、その被害から人々を守るアークが大胆な繋ぎで現れる――という『アーク』初回アバン、メチャクチャ偉いよ!!!!!!  

前述のように、30分尺の子ども向け番組はYouTube全盛の令和では逆風を受ける立場。そんな中で冒頭からアークとディゲロス、迫力のあるミニチュアカットを出してくれたアバンはまさに時代に適した形と言えるし、自分のようなシリーズファンのオタクにとってもハッとさせられるものがあった。このアバンだけで、本作の作り手の「分かってる」感が伝わってきたし、そこからあのOPに繋がるのだからそれはもうテンションMAXにならざるを得なかった。なんですかあのOP!?!?!?

 

 

accessが手掛けるOP主題歌『arc jump'n to the sky』。その明るくドラマチックな楽曲は『直前スペシャル』などで既に披露されており、実際に映像付きで見たらさぞ興奮するだろうな、とは思っていた。が、サビ前に「その回のダイジェストが入る」という粋な演出でテンションが上がった後、サビの映像でそれどころではなくなった。


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シャゴン!


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リオド! あっこれってまさか……


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ネズドロン!これブレーザー方式だ!!!!ヤッターーーー!!!!!!


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あっ直前スペシャルで見たヤツだ!!!!


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えっ誰!?!?!?!?!?


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カネゴン!?!?!?!?!?


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どなた!?!?!?!?!?

えっギラドラスの親戚か何か!?!?!?!?!?


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かっっっこよ!!!!!!!! 誰ですか!?!?!?!?!?


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お前その出方はどう見ても3話で退場するヤツじゃないだろ!!!!!!!!!

 

この一連でのテンションの上がり方がそれはも~~~う凄まじかった。『ブレーザー』と違い事前に新怪獣の一斉公開がなかったので「誰!?!?!?!?!?」という驚きと喜びがあったし、脳汁を噴き出しながら「誰!?!?!?!?!?」とテレビの前で本当に叫んでいた。  

唯一カネゴンだけは既存怪獣だけれど、ウルトラマンシリーズへの出演は総集編も兼ねていた『Z』第13話だけなので、本格的な登場となるとこれがなんと初! 『アーク』の作風にも合いそうだし楽しみ……! !それと、arc jump'n to the skyといえばやはり「ここ」ですよね。


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ここ!!!!ここ大好き~~~~~ッッッ!!!!!!

 


堅実さと不安と、それを覆す初戦

 

そんなOPを経て始まる本編は、良くも悪くも「堅実」な印象。モノゲロスの角、怪獣防災科学調査所 SKIPと地球防衛軍の関係といったキーワードを押さえつつ、石堂シュウの目線を通してユウマたちの紹介を行う……という話運びは非常にスマートで、従来なら1話と2話で行うイントロダクションを「ユウマがアークと一体化済」という設定を活かして1話に収めた見事な初回だったと言えるだろう。 

ここで敢えてアークとユウマの件に触れなかったのは、ルティオンと父親の関係も含め「今後の軸になっていくんだろうな」と思わせてくれるし、モノゲロスの角から今後の種蒔きも感じられていた。うんうん、とても良いぞ……!!  

一方、そんな「堅実で巧い」構成であり、ユウマとアークの一体化のようなイベントをカットしたためか、些か薄味に感じてしまったのも否めないところ。シュウとコーヒーのくだりがやや冗長に感じられた (お茶を持って震えるユピーは可愛かった。というか電話を持ったり箒で掃除をしたり、なぜか妙に古風なユピーが可愛い……!) ことも含め、アバン~OPの熱量が徐々に不安に変わっていってしまった。 

しかし、そんな不安を覆し、最後の最後で大爆発を見せてくれたのが今回の大見せ場=ウルトラマンアークの初戦だった。


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とても好みでカッコいいぐんぐんカットから登場したウルトラマンアーク。ぐんぐんカットからシームレスに繋がる画にはどうやって撮ったんだ!? と『ウルトラマンオーブ』最終回よろしく驚かされてしまったけれど、更に驚かされたのはそこからの初戦。スマホのカメラ越し」という体で画面右上にタイマーが表示されるばかりか、なんとこの初戦は最初から最後までノーカット。大きな話題を呼んでいた『ブレーザー』第14話に匹敵するものをなんと初回から……しかも、これまでは田口・坂本ペアに対する「二番手」的なポジションに収まっていた印象のある辻本貴則監督が見せてくれたのである。辻本監督を応援し続けてきたニュージェネオタクとして、こんな嬉しいことはないんですよ……!!  

他にも、作品のキーワードである想像力を「バリアを割って武器にする」というキャッチーな画で見せてくれたり、久々となるオープンセットの大爆発だったり (でもこれ、前後の繋ぎからすると “オープンセット風に見せている” だけ……!?) 、サプライズ登場のアークアイソードでウーズをカッコ良く一閃、見事な「辻本斬り・辻本残心」を見せてくれたりと、今回の初戦はアイデア満載・迫力満点で本当に素晴らしいものだった。辻本監督、やっぱり「田口監督と坂本監督を継ぐもの」ですよ……!!!!!


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今後への期待と不安

 

そんなこんなで、不安もあったけれどそれ以上の「アゲ」を見せてくれたウルトラマンアーク初回。2話からは早速ゲストの少年が登場するようで、『帰ってきたウルトラマン』風のアイキャッチと併せて隠す気のない昭和第二期臭に帰りマンオタクとしてはニッコニコなのだけれど、『アーク』にはまだ不安もある。石堂シュウのコーヒー周りは一旦置いておくとして、ウルトラシリーズ……というか子ども向け番組の避けられない課題である「玩具の売れ行き」だ。

 

 

今回から、アークのアーマー体を初めとするシャゴンを初めとする一部の怪獣ソフビが税抜800円での販売となり、アークアライザーやアークアイソード、そしてアークキューブなど、DX玩具もブレーザーブレスやガッツハイパーキーを思わせる高価格帯商品が並ぶことになった。『デッカー』が前作『トリガー』に対し低価格帯玩具や販売時期のズラしでアプローチを変えていたことを踏まえると、『アーク』の強気の姿勢には不安がないと言えばウソになる。 

また、今回からおそらくインナースペースが完全廃止、キューブを装填したりアークアライザーを回すのはアーク自身の役割となり、その所作や演出が個人的には「ニュージェネやブレーザーを経た、ウルトラマン×玩具の到達点」と呼べそうな素晴らしいものだったので大いに期待したい……のだけれど、そのことが玩具セールスにどう響くかは未知数。ブレーザーが好調だった反動が来なければいいけれど、果たして……。 

ともあれ、『アーク』はまだまだ始まったばかり。世間の反応を気にしてばかりいてもしょうがないし、自分のような社会人のオタクにできるのは稼いだ金を作品に投資することだけだ。……ので、早速アークアライザーとルティオンを買いに出かけてきます。走れ!オタク!!これから半年よろしく、ウルトラマンアーク!!!!

ブログを続けてきた自分と、小説が書けない自分と、『数分間のエールを』

『数分間のエールを』を観て、泣いて、感動して、それらとは別の何か複雑な気持ちに突き動かされて、今こうしてスマホの画面を叩いている。 

先に言っておくと、『数分間のエールを』超傑作でした。独特な質感のCGアニメには困惑もあったけれど、「前半の演出をポップにすることで、後半で観客がこのCGに違和感を覚えないようにする」という手腕、そうしてまでこのCGで作ることに意味があったと思わせてくれるライブやMV製作シーン、そしてラストのMV。正直、期待を遥かに上回る素晴らしい映画でした、ありがとうございます……!! 

じゃあ、「複雑な気持ち」っていうのは何なのか。それは決してネガティブな感情ではなく文字通りの意味。自分は、どういう訳かこの映画に対して三つのスタンスで向き合わされていた。 

一つは、映画を楽しむ観客としての自分。一つは、ブログを四年間書き続けてきた自分。そしてもう一つは、生まれてこの方まともな長編小説を一度も書いたことがない、とても臆病な自分だ。

 

 

《目次》

 

ブログを四年間書き続けてきた自分と『数エール』

 

感想をブログに書くようになって、あと二ヶ月でちょうど四年になる。 

そもそも、自分がブログを書きたいと思ったのは『ウルトラマンタイガ』という作品がきっかけだった。

 

 

簡単に言うと「とても期待していたのに、自分の好きな作品にはならなかった」のがこの作品。そのことが悔しくて、あーでもないこーでもないとTwitterで毎日のように駄々をこねていて、友人と話して、それでもモヤモヤが晴れなくて、ふと「ここまでTwitterに文章を投げられるならブログが書けるんじゃないか」と思った。 

当時、自分は追っているブロガーが数人おり、身内でも数人がブログを始めていた。ちょうど世間がパンデミックの真っ只中ということもあり、2020年春という時期は、自分の目にはまさに「ブログブーム」として映っていたのだ。 

そんなこんなで書き始めたがまあ上手くいかない。そもそもその時期は職場の正規職員登用試験を控えた勉強期間だったのでそうまとまった時間が割けるはずもなく、上手く書けないまま時間だけが過ぎていき――2020年秋、当時プレイしていた『ダンガンロンパ』の感想記事を投下、予想外の形で本ブログ『れんとのオタ活アーカイブ』が始まった。

 

kogalent.hatenablog.com

 

『タイガ』記事がうまく書けずにいたモヤモヤもあってか、『ダンガンロンパ』の記事はするすると書き上がり、すぐ後には続編『スーパーダンガンロンパ2』の記事も書き上がった。初めての記事ということもあって不安で一杯だったけれど、おかげさまで好意的なコメントを多く頂き、転職活動を挟んで本格的なブログ運営が始まった。その頃は、ただただ「自分の衝動を発散したい」「せっかくだから、それを形にしておきたい」というのがブログ運営のモチベーションであり、それらに頂ける好意的なコメントは、それまでの自分にはなかった「自信」を与えてくれもした。

 

kogalent.hatenablog.com

 

2021年。転職真っ只中にもかかわらず「テスト期間中って部屋の片付けが捗るよね」効果によって『タイガ』の記事を仕上げたところ、これがこれまでよりもずっと多くの方に読んで頂けた。これをきっかけに、2021年~2022年は「ブログがバズる」ことを経験した年になった。 

ウルトラマントリガー』『Free!』の記事はTwitterで大いに拡散して頂き、『シン・ウルトラマン』の記事ははてなブログのランキングに入り、『蒼穹のファフナー』や『仮面ライダーBLACK SUN』はGoogle検索のトップ表示を勝ち取り、長らく多くの方に読んで頂くことになった。自分に「文才がある」と思い込んだ時期だった。 

そんなことはない、と思い知ったのが、2023年後半から今にかけて。そう、今も自分は「文才がない」という自己意識と取っ組み合いながら、この文章を書いている。

 

kogalent.hatenablog.com

 

2023年の後半から、ブログが「バズる」ことはピタリと無くなった。主な原因ははてなブログの仕様変更にあったのだけれど、それは原因の一つでしかない。読まれる人は読まれているし、バズっている人はそもそもTwitter上でバズっている。 

答えは明白。「自分に文才がある」と思い込んでいたことがそもそもの間違いであり、自分がバズっていたのは、コンテンツ側の力を借りていたに過ぎなかった。自分は、この四年弱で「この人の書く文章が読みたい」と世間に思わせられるだけの力を身に付けることができなかったのだ。 

誰かに読んで貰えるだけで嬉しい。人に読まれたいから書いている訳じゃない。その思いは今も一貫しているけれど、それでも、一度味わった果実は甘すぎた。ブログを書くモチベーションが減ったことは否めなかったし、折悪く、自分の書いた記事や抱いた感想が「的外れ」だと突き付けられる事案が重なったり、痛烈なアンチコメントを頂いたりもした。「自分には文才があるかも」と自惚れていた自分自身への恥ずかしさや、一人暮らしの忙しさも相まって「もうブログはそんなに書かない方がいいかもな」と、正直筆を折りかけていた。 

……のに、自分はブログを書くのを止めなかった。それどころか、月によってはそれまで以上のハイペースで書いていることさえある。 

その理由は三つ。一つは、自分に文才がないと自覚したからこそ、そんな自分の文章を今でも読んでくれる方の優しさと大切さが胸に染みて、自信とモチベーションを取り戻させてくれたこと。 

一つは、執筆スピードの向上もあって「感想を作品として残す」ことの楽しさが癖になっていたこと。 

そしてもう一つは、記事を書くことに大きなやりがい=「自分の手で、大好きな作品の魅力を言語化し、誰かに伝える」という楽しさを感じるようになっていたから。 

その始まりとして思い出深いのは、自分が初めて「バズり」を経験した『ウルトラマントリガー』の記事だ。

 

kogalent.hatenablog.com

 

放送当時、自分はこの『トリガー』という作品に振り回され、胸の中では毎週のように「好き」と「嫌い」が混沌と渦巻いていた。しかし、最終回において主人公の最後の姿=トリガートゥルースが誕生した瞬間、号泣しながら自分が『トリガー』に惚れ込んだことを自覚した。 

一方、SNS上は『トリガー』への批判コメントで溢れかえっていて、自分はまさに四面楚歌の状況。正直、自分の中にも『トリガー』への不満は大きかったし、普段ならそこで日和って口を噤んだかもしれない。けれど、そこで自分の恋心は『タイガ』以上に熱く燃え上がった。世間の苛立ちを全部受け止めて、その上でこの恋心を叩き付けてやると、さながら宣戦布告のように38000字の長文を書き上げ、発信した。その結果、Twitter内外でそれまでで最も読まれることになり、その中で「トリガーの楽しみ方が分かった」「良い面もあったんだな」といったコメントや、自分と同じ「トリガーが好きだけど、そのことを声高に言えないので嬉しかった」という感謝の言葉に出会うことができた。ここで自分は初めて知ったのだ。「感想記事は、自分が大好きな作品や、自分と同じファンに対するエールになる」と。今も自分が読まれない記事を書き続けられるのは、そんなモチベーションと、自分を支えてくださる読者の方々のおかげなのだ――と、そんなことを思いながら今日も記事をアップしたばかりだったので、『数分間のエールを』を観ながら、ブログを四年間書き続けていた自分は気が気でなかった。 

自分が作るもので作品の良いところを引き出したい、という彼方の信念。挫折してからが「ものづくり」という作品のテーマ……。自分のブログ運営は、彼方や夕のそれとは比べることさえ烏滸がましい単なる趣味であり、二人やトノが経験した挫折に比べれば自分の悩みはカス以下のもの。けれども、スクリーンの中で繰り広げられる物語にはどうしても自分自身を重ねてしまったし、『未明』MVの主人公や夕が最後に見せてくれた笑顔には、ブログを四年間書き続けてきたことを肯定して貰えたような、肩を叩いて貰えたような、「お前のやってることは間違ってないぞ」と言って貰えたような感覚があって、自分は『未明』のMVラストで盛大に涙してしまった。 

自分がこの先もこの趣味を続けていいんだと思えて、本当に嬉しかった。「ブログを書き続けてきた自分」は、そんな喜びと大きなモチベーションをこの映画から受け取ることができたのだ。

 


まともな長編小説を一度も書いたことがない自分と『数エール』

 

一方、そんな『数エール』を観ながら「恥ずかしい」と思う自分もいた。それは、生まれてこの方、まともな長編小説を一度も書いたことがない自分だ。 

自分が創作を始めたのは小学生の頃、友人の描いたギャグ漫画がきっかけだった。 

その友人に続くようにギャグ漫画を描き、みんなで漫画を描くことが流行り、中学生になってからは真面目な漫画を描き出した。この辺りで自分の絵について本格的に考え始め、その結果「自分は絵ではなく物語を書きたいんだ」と感じ、文章の道に舵を切った。演劇部で脚本を書き、隣にいた友人に惨敗し、その友人の勧めで小説を読み始めた。それまで苦手だった小説に、そこでどっぷりハマることになった。 

けれど、程なくして自分は小説ではない新しい道に出会うことになった。『クトゥルフ神話TRPG』である。

 

 

ゲームマスターがシナリオを読み、プレイヤーが行動し、ゲームマスターが展開を提示する、謂わば「ゲームという舞台で行う即興演劇」とでも呼ぶべきTRPG。そこに高いストーリー性と自由度、ホラーが組み合わさったクトゥルフ神話TROGに自分はドハマりしてしまい、大学時代はそれとアニメ鑑賞、ウルトラマンのイベントに没頭。そのまま社会人となり、転職を繰り返した後、クトゥルフ神話TRPGのシナリオ本を友人たちと合同で製作。ゲームマーケットで販売し、この辺りで自分の軸がブログに移り変わって今に至る。そして気が付けば、今の今までまともな長編小説を書いたことがない自分がそこにいた。 

書いたことがあるとすれば、高校生時代にケータイ小説サイトでアップしていた、ガンダムSEEDガンダム00の二次創作と、ここではとても言えない地獄のような小説。大学時代所属していた漫画研究会で寄稿した何編かと、TRPG絡みや趣味で書いたいくつかの短編ぐらいのもの。 

TRPGやブログに時間を割いていた、というのは言い訳だ。自分は、自分に才能がないのを思い知るのが怖かった。長編小説を書き上げて、それがつまらなくて「自分はこんなものしか書けないんだ」と思い知ることが怖かった。だから、十年前から書いている『ウルトラマンX』の二次創作も完成していない。自分の作る文章の稚拙さを、ストーリーのつまらなさを直視したくなかった。書かなければ意味がない、最初から面白いものを書ける人間なんて滅多にいないというのに。  

けれど、2022昨末にそんな自分を動かす作品との出会いがあり、自分はもう一度小説を書き始めた。『アイカツスターズ!』という作品と出会って、自分も夢を追いかけてみようと思ったのだ。小説を書いて、いつか長編小説を書いて、賞に出してみようと、その一歩として、自分は今まさにこの作品の二次創作を書いている。そして、案の定自分の力不足を突き付けられ、折れそうな心を必死に繋ぎ止めている。そんな最中の『数エール』だった。 

挫折してからがものづくりだというテーマに、励まされた。夢が折れても諦められず、その結果、彼方に出会えた夕の奇跡に夢を見れた。それと同時に、「自分はまだ、挫折するほどの頑張りもできていない」と思えた。『未明』MVのような「覚悟の炎」は自分には宿っていない。あの炎は、本気で頑張って、本気で挫折して、それでも立ち上がった者にしか宿らない。挫折は、終わりではなく始まりなのだ。

 

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引用:https://x.com/VSTORAGE/status/1809165574909645148?t=APt0MuIZ7smSt-pJdrvQDg&s=19

 

だから、まずは自分も頑張りたい、挫折するくらい頑張ってみたい、と思った。 

ブログを書いてきた自分は励まして貰った。小説を書きたい自分は背中を叩かれ / 手を差し伸べて貰った。自分は、このたった一時間の作品から、あまりにも多くのエールを貰ってしまったように思う。 

これからも自分はブログを書き続けていくと思うけれど、そこに「小説を書く」ことを並行させられるかは、明日からの自分次第だ。 

いつかこの『数分間のエール』にもう一度触れた時、その時もただ励まされるばかりの自分ではいたくない。「俺も頑張ってるよ」と画面の向こうに笑顔を向けられる、そんな自分になっていられるように、この記事を明日の自分へのエールとして残しておく。

〈2024年上半期〉映画感想まとめ - 特撮映画ラッシュを迎え撃つ、想定外の “ダークホース” たち

X (旧:Twitter) のタグ「#202○年上半期映画ベスト10」を毎年のように挙げている人を見て、「半年でベスト10を選ぶくらい映画館に行くだなんて凄いなぁ」などと思っていたあの日から数年、自分がこのタグを使う側になるだなんて、当時は夢にも思っていなかった。 

けれども、たくさんの作品に触れた結果「それぞれの作品に感想記事を残せない」という新たな問題が発生。折角胸に響くものがあったのに、その気持ちを残しておけないのはあまりに勿体無い……! 

そこで、今回はそんな「記事を書けなかった作品たち」への感想をまとめて掲載。「#2024年上半期映画ベスト10」タグにあやかりつつ、映画館以外で見たものも含めた各作品の感想を一挙に書き残しておきたい。

 

《目次》

 

Vシネクスト『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』(1/14鑑賞)

 

 

先行上映会にて鑑賞。観ていて「おぉ!!」と「……おぉ……?」が交互に襲ってきた結果、最終評価がマイナスに傾いてしまった作品。最初は、周囲の熱烈なファンに比べて『555』熱や井上敏樹氏への解像度が低いからかな、と思ったりもしたけれど、それを踏まえてもどうにも許容できない点が多かったように思う。 

本作最大のトピックと言える「真理のオルフェノク化」については、同窓会にしない覚悟の表れとして個人的には賛の立場。ただ、妙に安っぽい殺意の演出や、最後の「オルフェノクになっちゃいなよ」発言は看過できなかったし、後者は未だに飲み込めていない不満点だ。 

終盤で旧型ファイズが登場する展開については、よく「スーツが劣化している」点が挙げられるけれど、目が悪いこともあってか自分はさほど気にならず、むしろ「旧型ファイズネクストカイザとミューズを圧倒する (真理のサポートありきなところもあるけど、グランインパクトの火力をはじめパワーバランスが大味になっているのは否めないところ。二人がまとめて倒されるシーンが打ち切り漫画、というかソードマスターヤマトのようだったのも困惑ポイント) 」方が気になったところ。他にも合わないな……と感じた点は諸々あるのだけれど、何より腑に落ちなかったのは草加の扱い。 

「それを言い出したら何でもアリじゃねぇか!」となってしまう「なぜか生きている→スマートブレインのアンドロイドでした!」 も大概だけれど、それよりも問題なのはティザービジュアルにある「俺は生きる――カイザとして」という台詞が影も形もなかったこと。自分は「キメる時はキメる」時の草加が大好きなのでネクストカイザ誕生には大いに期待していたし、予告のいかにも裏切りそうな草加は全てミスリードなんじゃないかとまで本気で思っていた……ので、上記の台詞がないばかりか、予告通りに裏切った挙句ミューズと在庫一掃セールのように倒される様には正直ショックが大きかった。こんなネタキャラみたいな扱いを本編でやってほしくなかったよ! 

勿論、「もしも北崎が最後までデルタだったら」という誰もが思い描いていたであろうifを具現化してくれた北崎ミューズや、扱いはともかくカッコ良かったネクスファイズ アクセルフォーム、主題歌『Identiφ‘s』など好きなところも多かった。だからこそ惜しい、惜しい作品だったよ……。

 

 

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(1/26鑑賞)

 

 

感想記事はこちら↓

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ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』(2/23鑑賞)

 

 

『トリガー』『デッカー』と続いた「TSUBURAYA IMAGINATION配信作品を映画でもやります」ではなく、『タイガ』以来となる純粋な劇場版。待っ↑ていたよ!!  

が、それと「自分の好みに合う作品だったかどうか」は当然別の話。今回の劇場版は「テレビ版の延長のようなテイストの話をクソデカミニチュアでやります」という方向性だったのだけれど、「劇場版X越え」や「ウルトラを知らない人さえも引き付けるような盛り上がり」を期待していた身としては、どうしても肩透かしに感じてしまったなと……。贅沢言うな、と言われたら返す言葉もないのだけれど『ファースト・ウェイブ』を輩出した作品の劇場版だもの、そりゃあハードルは上がるでしょうよ……! 

「全怪獣バージョン」のOPやアースガロンの活躍、冒頭のタガヌラー戦や「親子」という本編でやや消化不良だったテーマの回収など見所も多かったのでラストは持ち直してきたけれど、よりによってオチが第二子誕生だったので「ようやくジュンくんとの信頼が確立されてきたのに何してんのよ!!」と、最終的にネガティブな印象で締められてしまったのも痛いポイント。折角平和が訪れたのだから、これまでの分までジュンくんに愛情を注いであげようよ……と思うのは自分に子どもがいないからなのだろうか。教えて全国のパパさん!!

 

 

『劇場版 ポールプリンセス‼』(3/9鑑賞)

 

 

シンソフィア繋がりの『プリティーリズム・レインボーライブ』10周年記念展とセットで見に行くことになった作品。当初は「評判は良いけどポールダンスって何となく近寄り難い文化だよな……」と二の足を踏んでいたのだけれど、いざ見てみたらこれが凄かったのなんのって。  

ポールを軸に、縦横無尽に広がるダンスやパズルのように絡み合う人体、そして何より「ポール周りの空間を空や水中に見立てる」ことで表現の幅が大きく広がる様にはフェチズム云々以上のドデカい衝撃を受けたし、ポールダンスに対して偏見しか持っていない自分が恥ずかしくてしょうがなかった。いやまあそれはそれとしてメチャメチャエロかったんですけど。 

一方、本作はポールダンス以外にも魅力的な要素が満載。ノア様の『剣爛業火』やリリア&スバルの『Burning Heart』をはじめとした楽曲群は個人的な癖に刺さるものばかりだったし、隠れたMVPと呼べるのがそのストーリー。 

前日譚の先行配信という展開に頼りすぎず、最低限のステップで各キャラクターとその関係性をしっかり描き、コンプレックスとその克己を深掘りしていく……。このようなスマートかつツボを押さえた構成のおかげで、本作のストーリーは (歌・ダンスの尺も考えると) 実質30分尺とは思えないほど濃密で盛り上がるものになっている。これらの完成された土台があるからこそ、本作はイロモノではなく革命児として広く受け入れられたのだろうし、今後の展開にも大いに期待したいところ……!

 


『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(3/23鑑賞)

 

 

スリル、しんどさ、熱さ、あらゆる魅力が自分に「いい感じに刺さる」想定外のダークホース。劇伴担当がよりによって川井憲次氏だなんて観るまで知らなかったよ!! 

自分が本作を観に行った理由は色々あるけれど、その一つは「クトゥルフ神話TRPGが好きなら刺さる」という評判を数多く見かけたこと。いざ見てみると「闇を抱えた村を探索し、情報を集めていき、シナリオを進めつつもギリギリのところで破滅を掻い潜っていく」というストーリーラインは確かにクトゥルフ神話TRPG……というより「山奥の村が舞台のホラーゲームというパブリックイメージ」の秀逸なアニメ化、とでも呼ぶべきもの。子どもが観る可能性も想定してなのか抑えめなスプラッター描写も個人的にありがたく、この時点で大層好みの映画だったのだけれど、想定外だったのはそのストーリーを更に際立たせてくれた主人公=水木の魅力。 

彼のおかげで鬼太郎ミリしらの自分でも物語に没頭できた、というのは勿論、ポイントは水木が善性を持ちつつもあくまで中庸の一般人であったこと。だからこそ、本作は妖怪が裏にあると分かっていても最後まで展開が読めなかったし、終盤からは彼の身を切るような葛藤と克己に打ちのめされっぱなしで、とりわけエンドロールは演出の素晴らしさもあって思わず号泣。まさか自分が鬼太郎に泣かされる日が来ようとは……。

 


Vシネクスト『キングオージャーVSドンブラザーズ』×『キングオージャーVSキョウリュウジャー』(4/27鑑賞)

 

 

非常~~~~に評価に困る作品、というのが本音。まず『VSドンブラザーズ』は尺の短さに目を瞑れば自分は概ね賛寄り。最も懸念していた「ドンブラメンバーがちゃんとキャラを保てているか」「あのトンチキだけど筋の通ったノリを再現できているか」という点については許容できる違和感で済んでいたし、猿原とジェラミーの絡みやソノイとタロウの再会など、見たかったものもしっかり楽しめた印象。が、それを台無しにしていくレベルでキツかったのが「子ども向け作品」を巡って激論を交わすはるか・ソノザ・リタ・ヒメノのくだり。ここまで「脚本家の顔が見える」シーンを自分は他に知らないよ……。 

一方、今回の目玉と言えばやはりキョウリュウジャーの再集結。竜星涼氏演じる桐生ダイゴに加えてウッチーと弥生ら『キングオージャー』に (実質) 不参加だった三人が中心となってキングオージャーのミッシングリンクを埋めていく様は見ていて痛快だったし、最終決戦ではトリンたちスピリットレンジャーまで参戦、トリニティストレイザーを披露するなどファンサービスも抜群。……なのだけれど、こちらはこちらでウッチーがひたすら下げられてばかりだったり、ラストシーンが流石に悪趣味だったりとやはり一長一短。総じて「思ったよりは良かった」し、フル尺版が見たいと素直に思える作品だったものの、どうしても惜しさの残る作品になってしまったように思う。

 

 

ゴジラxコング 新たなる帝国』(5/1鑑賞)

 

 

感想記事はこちら↓

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『トラペジウム』(5/24鑑賞)

 

 

信頼のおける身内間でさえ賛否が真っ二つに割れていたため、これは自分自身の目で確かめなければ……と体調不良の身体を押して見に行った作品。結果、体調の悪化と引き換えにメンタルは大復活を遂げたのだけれど、その要因は三割が亀井美嘉のポニテ(凄まじい高得点、90/100点)、七割が東ゆうという人間を軸にしたそのストーリーだ。 

そう、まず第一に東ゆうが面白かった。凄まじい情熱を原動力に、周囲の人々を自分の夢の踏み台として扱っていく彼女が堂々と「主人公」として駆ける様は非常に新鮮で、そのパワフルさや不自然なほどトントン拍子で進む物語にはどこか奇妙な痛快さがあった。彼女の計画が成功していけばいくほど、その積み木がいつ崩れるのかがどんどん楽しみになってしまう……という、「業を重ねていくキャラクターがどこで破滅するのかを見守る」という不謹慎でスリリングな楽しさがあったのだ。これもしかしてアイドル版の『白い巨塔』だったりする???   

一方、前半が不自然だからこそ、中盤の破滅や後半の救済が際立つのも本作の魅力。丁寧に軋轢を積み重ねていった上で東西南北が崩壊する一連は、実録ベースのリアリティは勿論、台詞・作画に漲ったゆうの狂気もあって凄まじい説得力があったし、そんな彼女のエゴイスティックな在り方を「過ち」と断じた上で「彼女は確かに間違っていたけれど、それでもその歩みがみんなの世界を拓いた」「気付かないところで、誰かが誰かの憧れになっている」というささやかな希望を描いた後半には、そんな中盤の説得力がしっかりと引き継がれていたように思う。  

確かに、ゆうの受ける罰が甘かったり、実録ベースにしてはオチがフィクションすぎたりと「恣意的な不自然さ」の一言では捌ききれない歪さを諸々抱えているのは事実だけれど、自分はそれ以上にこの作品の持つ独自の旨味や輝きに魅せられてしまった側の人間。あまりの賛否両論ぶりで近寄り難い作品になってしまった印象はあるけれど、この作品に対する「好き」をなるべく積極的に発信していきたいところだ。

 

 

岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(5/27鑑賞)

 

 

こちらは劇場で観たものではなく再放送での初見なのだけれど、見終えた時の「これは劇場で見たかった」と「テレビで見るくらいがちょうどいいかも」がごっちゃになった気持ちが忘れられない作品だ。 

というのも、本作のカギになるのは「黒」という色。自宅のテレビ画面で見るとどうしてもこの黒が (光の反射などのせいで) しっかり写らず、肝心なところで没入感を削がれてしまうことが多々あった。もしかすると、本作が実写岸辺露伴シリーズの映画化として抜擢されたのはそのことも一因だったりするのだろうか。勿論、一番の理由であろうルーヴル美術館ロケの迫力・説得力には凄まじいものがあったし、そこに馴染んでしまう高橋一生露伴、流石の存在感……! 

が、前述の通り「テレビで見るくらいがちょうどいいかも」と感じてしまったのもまた事実。というのも、本作は (上質な作品、という前提の上で) 良くも悪くも「いつもの実写岸辺露伴」であり、畳み掛けるようなクライマックスだとか、劇場の音響を堪能できる壮大なシーンだとかがある訳ではない。……ので、映画だと身構えて臨んだ結果、些か肩透かしに感じてしまったのは否めないし、映画って難しいな……と思うなどした一作。

 


Vシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー20th  ファイヤーボール・ブースター』(6/12鑑賞)

 

予告の情報量がなさすぎることが逆に話題を呼んだり呼ばなかったりしていた『デカレンジャー』20周年記念作品にして、清々しいくらい「いつものデカレンジャー」な本作。ただ、それだけなら自分は上半期ベスト10にこの名前を挙げることはなかったと思う。 

というのも、本作の黒幕であり、可愛らしい姿に擬態していたジウジッソ星人のマープルは「担当声優が福山潤」かつ「元ネタがウルトラシリーズ屈指の陰湿かつ残虐な宇宙人 (ゼラン星人と、その使役怪獣であるプルーマ) と、ウルトラシリーズで度々風刺性の強い作品を撮られる監督 (実相寺昭雄氏) 」といういっそ笑えてしまうほどの真っ黒ぶり。が、そんなマープルの正体が明かされるのはあくまで終盤であり、「マープルが黒であることが自明」であることが前提のシナリオにはなっている訳ではない。 

そんなバレバレぶりに、良くも悪くも「普段通り」なテイストが加わった結果、本作は物語としてどうしてもパンチが弱い――ように見える。が、そんな分かりやすい黒幕=プルーマの存在はなんと見せ玉。本作のミソと言えるのはマープルとの駆け引きではなく、そんな「いつものデカレンジャー」の中に潜んでいる密かな違和感であり、その違和感の発生源とは「年齢を踏まえて、後輩の育成に本腰を入れていこうとするバン」の振る舞いだった。  

刑事モノとしてのストーリーライン。各メンバーの特徴を活かしたテンポ良く痛快な捜査。登場する様々な異星人。シンプルなようで必ず一捻りがある謎解き……。本作はこれらの「デカレンジャーらしさ」を高い精度で再現しているが、それ故に「バンが火の玉として燃え上がっていない」という欠落が際立っている。その違和感が爆発するのは終盤、「ホージーの説得でバンが覚醒、自分自身でプレミアデカレッドに変身し、ディーソードベガと無茶苦茶な戦法でマープルを圧倒する」というクライマックスであり、この一連は、デカレンジャーを再現しつつその本質を問い直す「20thの真骨頂」と呼んで差し支えないだろう。20周年作品として高い完成度を誇っていた『アバレンジャー20th』同様、東映のアニバーサリー系作品にネガティブな印象を持っている方にこそ見て欲しい良編だ。

 

 

Ultraman: Rising』(6/14鑑賞)

 

感想記事はこちら↓

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『劇場版 ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』(6/15鑑賞)

 

 

フォロワー諸氏がオールタイムベスト級に挙げていることを受けて『ウマ娘』ミリしらで突撃した本作だけれど、史実がベースになっていることが信じられないほどドラマチックなストーリー、レースシーンの凄まじい作画、挿入歌をはじめとする演出のアツさと、あらゆる面で隙がない感嘆ものの一作。ラストのアイドルパートに困惑したり、ポッケVSフジ姐さんという激アツシチュエーションにドスケベ勝負服フジ姐さんのせいで集中しきれず悔しかったり……と色々あるにはあったけれど、そんな些細なことがどうでも良くなる程に楽しい鑑賞体験だった。これウマ娘履修済みだったら本当に「終わってた」んじゃなかろうか。いや、むしろこの作品で終わってみたかった……!!

ところで、そんな本作で自分に刺さったのは、アグネスタキオンでもフジ姐さんでもなく (彼女たちもメチャメチャ良かった……!!) ダンツちゃんことダンツフレーム


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引用:https://x.com/uma_musu_movie/status/1794292335272214806?t=jiHx7yRVt7crfPT2L3h-0w&s=19

 

確かに初めて見た時はポニテセンサーにビビッときたものの、彼女の髪型はポニテというよりハーフアップ。その認識を持ってからはさほど気にかかっていなかったのだけれど、中盤、ふと「彼女はポッケたち他のエース同期に比べて一歩退いた立ち位置にいる自分をどう思っているのだろう」と気になって、そこから例の覚醒シーンを見せ付けられて完全にやられてしまった。   

一歩退いた立ち位置にいると誰より自覚していて、自信がなくて、悔しくて、努力して、追い付けなくて、それでも諦めることだけは決してない。朗らかで可愛らしいからこそ際立つ泥臭い情熱と芯の強さは応援せずにはいられない眩しさを放っていたし、だからこそ、そんな彼女がポッケとの一騎打ちで全てをかなぐり捨てて爆走、ポッケ同様次のステージに到達する姿や「私だって!!」という叫びには、アツさと感動と応援と緊張と祈りと、様々な気持ちが押し寄せてきてぐちゃぐちゃに泣かされてしまった。  

ラストシーン、引退せずに復帰したアグネスタキオンたちと胸を張って並び立ってくれていて本当に嬉しかったし、今後もどうにかこうにか彼女の軌跡を他のコンテンツからも摂取してみたい。……できればスマホゲーム以外で……!!

 

 

『カラオケ行こ!』(6/16鑑賞)

 

 

公開当時、フォロワーが「綾野剛がエロい」「なぜ自分は綾野剛と付き合っていないのか」とうわごとのように呟き続けていたものの、それ以外の情報が全く入ってこなかったので「エロい綾野剛とカラオケでイチャつく話なんだろうな……」と思っていた本作、まさか本当にその通りの内容だとは思わなかったよ!!  

そう、この映画……特にその前半は大半が「エロい綾野剛とカラオケに行く」シーンで占められている。色気がある、というか常に「湿っている」という独特のエロスを纏いながら、凄まじい勢いで『紅』を熱唱する綾野剛の面白さだけで元が取れたような気がしたのだけれど、そのような「前半で笑っていたくだり」が一つのテーマに収斂していく後半が本作の真骨頂。巻き戻しのできないビデオテープ。声変わりで失われる音域。ヤクザという存在や町のスナック。そして人の命。それらの不可逆性が露にする「繋がりの儚さ・愛しさ」を、主人公=聡実の『紅』が歌い上げるというクライマックスは、見事だとか巧いだとか、そんな一言では到底片付けられない程に圧倒的で美しいものだった。

……のに、そんな『紅』を死んだと思われた狂児が当たり前のように聞いていて「あれっ!?!?!?」となってしまうのが本作の油断できないところ。あの瞬間の困惑や「不可逆」を真っ向から覆してくれるラストの多幸感、間の取り方が絶妙な会話劇に、一貫してキレが凄まじいギャグシーンなど、終始振り回され続けるジェットコースターのような楽しさあっての本作であり、エンタメとしての完成度はまさに破格の一言。次回作があるなら是非映画館へ足を運びたいけれど、果たして……?

 

 

『ダンジョンズ&ドラゴンズ / アウトローたちの誇り』(6/22鑑賞)

 

 

こちらも公開当時同じフォロワーが周囲に猛プッシュしていたものの、公開当時は見ることができず『カラオケ行こ!』同様にNetflixでの後追い鑑賞となったもの。なぜ当時見に行かなかったのかと言われれば、理由は「目が悪すぎて字幕が読めない=吹替版しか見れないところ、早々に吹替版の上映が終わってしまっていた」ことと、所謂王道ファンタジーゲームに馴染みがないので、観たところで自分には刺さらないだろう……と思っていたこと。しかし、いざ観てみるとそんな予想は真っ向から覆されてしまった。 

というのも、この作品の原作であるTRPGダンジョンズ&ドラゴンズ』は全てのRPGの元祖とも呼べる存在。そのため、本作に登場する要素は「王道ファンタジーゲーム」に馴染みがある人もそうでない人も、誰もがどこかで何となく知っている「ゲームあるある」……謂わば、ゲームそのもののパブリックイメージとして、今も様々な作品に息づいているものばかりなのだ。  

だからこそ、ファンタジーRPGに詳しくない自分でも本作の要素=前半のアイテムが後半で活きるという仕込みや、魔法や鏡による性質の異なるワープ、地下に広がる巨大ダンジョン、一時的に仲間になってくれる強力な助っ人……といった「ゲームあるある」を存分に楽しむことができたし、それらを彩る脚本も切れ味抜群の秀逸なもの (質問ゾンビや立ち去れないパラディンのようなギャグは勿論、個々のリアルな葛藤や「石板を誰に使うのか」というストーリーラインの魅せ方も見事……!) 。結果、本作は誇張抜きで「最初から最後までずっと面白い映画」になっていたように思うし、自分のように「刺さらなそう」と敬遠している人にこそ観てほしい万人向けの娯楽大作と言えるだろう。続編、みんなで観ような……!!

 

 

『ルックバック』(6/28鑑賞)

 

 

感想記事はこちら↓

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まとめ

 

つらつらと時系列順に感想をまとめてみたけれど、これらに順位を付けるなら下記の通り。

 

 

映画館で観ていなかった作品はランキングから外したけれど、もし入れるなら『カラオケ行こ!』がUltraman: Risingの前後、『ダンジョンズ&ドラゴンズ / アウトローたちの誇り』が『トラペジウム』と『ルックバック』の間だろうか。どれもこれも面白かったので非常に順位に悩んでしまったし、たった半年でこんなにもたくさんの面白い映画と出会える今の映画界は本当に元気なんだな……と、映画をそれほど観ていないながらもしみじみしてしまう。ので、そんな映画界への応援も兼ねて、今日も映画館へ出向いて華金を満喫することにしたい。『数分間のエールを』行ってきま~~~す!!!!

『ルックバック』が刺さらなかった理由を自分に問い詰めてみた。

※以下、劇場アニメ『ルックバック』のネタバレが含まれます、ご注意ください※


ぼく (理性) 「『ルックバック』前情報なしで観れて良かった。“描き続ける” っていうキャッチフレーズが胸に染みるよ、京本が藤野を追いかけているようで、その実ずっと後ろを見ていたのは藤野の方だった。“背中を見る” からタイトルの意味が180°変わって、京本の想いに応える為に描き続ける道を選ぶ藤野の背中には、こちらもそれこそ背中を叩かれるような思いだったよ」 

ぼく (感情) 「そうね……」 

理性「どしたん」 

感情「いや……別に……」 

理性「……え、何? 『ルックバック』、面白くなかった……?」 

感情「刺さってはいないかな……」 

理性「え?」 

感情「だってほら、全然泣けてないし……」 

理性「は? お前曲がりなりにも創作やってる人間でしょ、アレから何も受け取れないとかカスでしょ、人間辞めたら?」 

感情「いや待てって!! 今までだってあったろ、凄く良い作品だったと頭では理解してるのになぜか刺さらないヤツ!!」 

理性「そんなん別に……」 

感情「『すずめの戸締まり』!『アイアンマン』!!『仮面ラ……」 

理性「その辺にしとけバカ野郎!!!!!!!!!!!!」 

感情「……僕だってモヤモヤしてるのよ、好きじゃないから刺さらなかった、なら分かりやすいけど、好きなのに刺さらなかった、ってモヤモヤするじゃん?」 

理性「せやな……。じゃあやりますか、““自己分析”” ……!」 

感情「カスみたいな言い方やめろ」


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引用:劇場アニメ「ルックバック」本予告【6月28日 (金) 全国公開】- YouTube

理性「ルックバック、いつか読もう読もうと思ってたけど読まなかったよな、なんでだっけ」 

感情「絶賛とこき下ろしの賛否両論が凄すぎて気が退けたしハードルがガン上がりした」 

理性「それだ」 

感情「だから映画化の話を聞いて嬉しかったよね、これで逃げ道無くせるねって」 

理性「言い方。まあ、時間を置いたせいでハードルは物凄いことになったけど、実際安心感みたいなものはあったよな」 

感情「『チェンソーマン』のアニメの評判が芳しくないことは聞いてたけど、なんとなく、そのことを踏まえてるんじゃないか……みたいな文言がチラホラとね。いや、チェンソーマンにノータッチだからこの辺はあんまり触れられないけど」 

理性「で、まあ始まってビックリしたよな、学級新聞」 

感情「うん、僕も載せてたもんね、学級新聞に4コマ」 

理性「うんうん」 

感情「でんじゃらすじーさんのパクりみたいなヤツ」 

理性「やめろォ!!!!!!!!!」 

感情「そのせいもあって藤野に凄く感情移入しちゃったけど、すぐに剥ぎ取られたよね、感情移入」 

理性「えっ」 

感情「僕が全然やれなかったヤツだもんね、“本を買って必死に努力する” ってヤツ」 

理性「やめろォ!!!!!!!!!」 

感情「本気で悔しがって、その結果何かに出会えるのは “本気で何かを頑張ったことのあるヤツだけ” って見せ付けられちゃったよね」 

理性「あのちょっとマジでメンヘラやめてもらっていいスかね」 

感情「ところで京本ちゃん可愛かったよね」 

理性「京本くんか京本ちゃんか都会に出るシーンまで分からんかったよな」 

感情「でも」 

理性「どっちでも」 

「「可愛いのでオッケーです」」 

理性「そういうことじゃなくて」 

感情「あの陰キャとしての作り込み凄かったよね」 

理性「デザインとか喋り方とか、“ホンモノ” 感が凄かった。でも嫌なところが全然ないあのバランス、巧かったな」 

感情「バランスって言ったら藤野もだよ、愛嬌って言えるギリギリのラインを攻めてた」 

理性「作画のリアルさもあってある意味ドラマみたいだったな、こないだのスラムダンクを思い出したけど、アレはCGなんかな」 

感情「……じゃない? 最初はその辺考えちゃってたけど、途中から全然気にならなくなったよね」 

理性「最初は構えに構えて戦うつもりで臨んだけど、二人がタッグ組んだところで “思いの外陽性の話かも” って思って、いい意味で肩の力が抜けたな」 

感情「本当に微笑ましかったよね、京本が手を離す辺りまで」 

理性「でもお前、あの辺でちょっと喜んでたろ」 

感情「ウッ」 

理性「書店での光と影とか、木を挟んで向かい合うシーンとか見ながら “キタキタ” とか思ってたろ!!」 

感情「アイカツスターズ!とか2期からのFree!とか蒼穹のファフナーとか好きなんだからしょうがないだろ!!!!!」 

理性「わかる」 

感情「意外だったのはそこからだったよね、藤野が単独で漫画家として成功しちゃってさ。失敗ルートだと思ったよ、自分は本当に漫画を描きたかったのか、自分が本当に欲しかったのは、漫画家としての成功じゃなくて京本とのあの日々だったんじゃないかって」 

理性「こういうこと考えながら映画見ちゃう癖ホントやめたい」 

感情「だからさ」 

理性「うん」 

感情「キツかったよね……」 

理性「正直死ぬとは思わなかった」 

感情「二人に凄く入れ込んじゃってたし、二人の仲睦まじいシーンが本当に良かったからさ、二人に仲直りしてほしかったんだよね……」 

理性「 (慟哭) 」 

感情「ショックすぎたっていうか信じられなかったよね、こういう時って涙出ないの」 

理性「それにここからが本番みたいな所あるもんな、ここから何を見せてくれるのか、ここにこの作品の真価が問われる気がしたんだ」 

感情「で、どうだった?」 

理性「……」 

感情「ん?」 

理性「ちと付いていけなかった……」 

感情「わかる」 

理性「もし藤野が京本を連れ出さなかったら、っていうイフがあそこから始まるのはビックリしたし、興味深かった。ああ、この世界でも二人は出会うんだなって、藤野は漫画を辞めちゃってたけど、京本はそれでも彼女の背中を見て強くなるんだなって。感動したよな」 

感情「……」 

理性「ん?」 

感情「ここかもしれん」 

理性「え?」 

感情「だって、藤野が漫画を辞めてたルートってハッピーエンドじゃない? 確かに藤野は漫画を辞めてしまっていたけれど、二人は知り合いになれたし、これから仲良くなれる未来はあるでしょ」 

理性「でも、漫画っていう接点を無くした二人があんな風に仲良くなれるか? 電話番号を交換しただけじゃその後の関係には繋がらないだろ」 

感情「じゃあ、京本が死んでも二人が漫画で繋がった方が良かったっていうん?」 

理性「そうは言ってないけど……」 

感情「その二者択一じゃない? 二人はお互いに無関係なまま生きて、それぞれの夢を追う。二人は素敵な絆を結んで、藤野は京本の想いと共に漫画を描き続けるけど、京本は死んでしまう。自分は前者の方が良かったと思うし、藤野の “漫画なんて描かなければ” という言葉への反証を自分の中に作れなかった。だからその後もノレなかった。感動ではなく、藤野の背中が戻らない後悔を背負って進む呪われた背中に見えたんだ。それでも進み続けるしかない、というある種の諦観や悲哀こそが本懐だったのかもしれないけど、それにしては演出がエモーションに寄っていた気がする」 

理性「……いかにも感動、で締められるのにそう思ってたら、そりゃあ気持ちの置き所に困るよな」 

感情「だから、この作品の主張も結果的に汲み取れなかったんだ。何かを見落としているか、何かを理解できていないのかもしれないし、それを人間的な欠陥と言われたらそれまでだけど」 

理性「ストップ!!!メンヘラ出てる!!!!」 

感情「でもスッキリしたよ、自分がなんで泣けなかったのか分かった」 

理性「個人的には京本の4コマの出現に戸惑ったのもあった」 

感情「あれ、本当に描かれたものなのかどうかはボカされてたように見えたけど、仮に白紙だったとしたら、藤野は何に心を動かされたんだろうってなっちゃうよね」 

理性「そうなんだよな、作品としての主張に戸惑ってたら、作品の構造や藤野の心情を追いかけるのに必死になってた。その辺もっと柔軟に飲み込めたら良かったんだけど、頭が固い人間はこういう時に損なんだ」 

感情「意外と刺さらなかった理由はハッキリしたね」 

理性「漫画で読んだら違ったのかな、藤野が遂に振り返るシーン、その目の前に例のサインが出てくるシーン、あの辺りの感動は実際漫画の方が大きいだろうな、漫画っていう媒体の強みだよ」 

感情「当たり前の話かもしれないけれど、漫画として出されたものはまず漫画として読むのが一番ってことなんだろうね。そういう学びを得られたのは間違いないし、作画や演出にキャラクター、どれも本当に良かったよ。だからこそ悔しいな」 

理性「でも、そういう要素要素の魅力だけの作品だったら “刺さらなかった” で終わるだけだろうよ。そうならなかったし、こうして長々と自問自答してるのは、それ自体がこの作品に何か特別なものが満ちている証拠なんじゃないかな」  

感情「読まなきゃね、原作」

 

※同日深夜 追記 

この作品が生まれた背景を原作読者の友人から伺い (ありがとうございます……!)  、遅ればせながらこの作品の構造や描写の意図するものが掴めてきたように思います。いつか、原作漫画を通してこの作品に今一度向き合います。