物価高騰が著しい昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。ウルトラシリーズオタクの自分は、ソフビ人形の価格高騰に恐れおののきながら毎日を過ごしています。
「ウルトラヒーローシリーズ EX ルティオン」と「ウルトラ怪獣シリーズ 216 シャゴン」も本日7/6(土)発売!https://t.co/s2iVWskdBy#ウルトラマン #ウルトラマンアーク #ソフビ pic.twitter.com/N8bH8P2EZ3
— ウルトラマンおもちゃウェブ公式 (@bandai_ultratoy) 2024年7月6日
ウルトラシリーズのヒーロー・怪獣を模したソフトビニール製フィギュア、通称「ソフビ」。2013年にシリーズが一新されて価格が税抜500円になったものの、2016年に600円、2022年に700円と値上がりしていき、2024年にはとうとう一部のソフビが800円になった。なんて世知辛い世の中だ……。
とはいえ、自分のような独り身で生活にある程度余裕がある成人オタクにとってそのぐらいの価格変動は些細なもの。問題はむしろ、人件費高騰の影響から価格の上昇と反比例して年々ソフビの塗装が減り続けていることだ。自分がその塗装減少で痛い目を見たのは2022年春、自分がシリーズで溺愛し、ゲームのアンケートで実装希望を送り続けた怪獣がソフビとして発売された時のこと。
『ウルトラマンダイナ』最終章で登場した最後のスフィア合成獣・ネオガイガレード。この怪獣は以前食玩でフィギュアが発売されているのだけれど、ソフビとして店頭に並ぶのは史上初。放送から25年経って実現した奇跡である。……なので、贅沢なんて言っちゃいけない。言っちゃいけないのだけれど、それでも思ってしまった。「誰……?」と。
発売されたソフビに付属していたタグがこちら。ネオガイガレードは宇宙で出現したため正確な色合いは分からないものの、緑っぽいグレー成形でほぼ塗装されていないネオガイガレードのソフビは、自分の大好きなネオガイガレードとは正直別人 (?) だったのだ。
ので、自分で塗った。
これは、図画工作で絵の具の評点だけ永遠に最低評価だった色塗りド下手マンが「人生初のソフビ塗装」を完遂するまでの、激闘の記録であるッ……!!
《目次》
- ことのはじまり ~ 事前準備
- 初めての塗装:デスフェイサー&ネオガイガレード
- 7ヵ月後~事前準備 (2回目)
- 塗装チャレンジ (2回目):デスシウムライズクロー&ネオガイガレード
- 撮影会 ~ウチの子を見てくれ~
- おわりに
ことのはじまり ~ 事前準備
ソフビの色塗りをしないか、と誘ってくれたのは、兼ねてから仲良くさせて頂いているフォロワーのB氏。B氏は玩具をオシャレに飾ったり、時にはグッズを自分で作ってしまったりする凄い方で、僅か一歳差ながら雲の上にいるように思えてならない好人物。そんな氏から誘いを受けたのは光栄も光栄だったのだけれど、正直迷っている自分もいた。自分は学生時代から色塗りが大の苦手で手先も不器用、平面でさえ無理なのに、ソフビのような立体物を塗ることができるだなんてとても思えなかったのだ。
けれど、そんな自分に待ったをかけたのが、件のネオガイガレードのソフビだった。この千載一遇の機会を逃したら、おそらく一生自分はあのコレジャナイガレードと一緒に暮らすことになる。そんなん嫌や!! という恐怖心がトラウマを吹っ飛ばし、2023年11月19日、同じく友人のフォロワーS氏を誘って都内のレンタルスペース=秋葉原工作室へと乗り込んだ。
GIGO秋葉原1号館さん @GiGO_Akihabara1 の7階にて現在秋葉原工作室のお客様の作品と瀬川さんのジオラマが展示されております!
— 秋葉原工作室 (@akihabarakousak) 2024年7月5日
自分のプラモデルを持っていくと、ジオラマで写真が撮れるサービスもありますので是非行ってみて下さいね pic.twitter.com/xvDRCNdRej
現在も営業中の秋葉原工作室。簡単に言えば「様々な塗料と工具が原則無料(※エアブラシで使うものなど、一部の塗料のみ有料)で使えるリーズナブルな工作用レンタルスペース」であり、ソフビの塗装に使えるガンダムマーカーもここに多数取り揃えられている。とはいえ、どのガンダムマーカーも揃っているとは限らないので、最低限の「間違いなく使うであろうもの」は予め買い揃えておくのが吉だろう。
そんな訳で、予約時間前に三人で秋葉原のヨドバシカメラに突撃。スミ入れ用のガンダムマーカーと、ガンダムマーカーの「シャインシルバー」、スミ入れだけで映えそうな怪獣としてデスフェイサー、グリーザ (第三形態) のソフビを購入した。ネオガイガレードは購入済みのものを二体持参済みだ。
初めての塗装:デスフェイサー&ネオガイガレード
そんなこんなで、13時頃に秋葉原工作室へ。いきなりネオガイガレードの塗装をしても上手くいかないことは目に見えていたので、簡単な塗装としてB氏に勧めて貰った「スミ入れ」をやってみることに。
スミ入れ (墨入れ) とは、水っぽい黒インクを塗装物に塗り込み「モールドに黒い色が入った状態で表面を拭き取る」作業のこと。そうすると、黒が拭き取られた表面と違ってモールド内には黒インクが残るため、陰影がついてメリハリのある仕上がりになる、という訳だ。その結果がこちら。
え、ええやん……!!
表面を拭き取る、ということが前提なので、モールドからはみ出ないように塗らなきゃ、という気構えは無用。割とガシガシ塗ってこの仕上がりなので、ここで一気に塗装に対するハードルが下がってくれた。
となればもう練習は不要。グリーザは後回しとして、遂にネオガイガレードを塗装する時が来た……!
ここで問題になるのが「ネオガイガレードに何色を塗るのか」ということ。ネオガイガレードは鉱石のような身体の怪獣で、スフィアの融合や光の反射によって輝いているような色合いになっている。だったら、と選んだのがガンダムマーカーのシャインシルバーで、試しに塗ってみるとこのようになった。
ちょ、ちょっと違うな……。各部に墨入れペンで黒を加えたものの、いくら何でも銀色すぎた。どうにか修正を試みたかったものの、この辺りで時間が来てしまったのでお開き。いつかネオガイガレードをちゃんと仕上げよう、と誓いつつ、秋葉原工作室を後にした。
7ヵ月後~事前準備 (2回目)
リベンジの機会が訪れたのは、つい先日=2024年6月29日のこと。今度は大学時代の友人からお誘いを頂き、5人という大所帯で秋葉原工作室へ乗り込むことになった。
この日も前回と同じヨドバシカメラで事前準備をしたのだけれど、購入したのはガンダムマーカーの「ヘビーガンメタリック」と「シャインシルバー」、そしてソフビのウルトラマンゼット デルタライズクローだ。
今回の主目的は、前回上手く塗れなかったネオガイガレードのリベンジ。新しく買い直したソフビを、今度こそそれっぽい色で塗ってあげなければならなかった。
では、一体何色が「それっぽい」のだろうか。黒でもなくグレーでもなく、かといって銀は明るすぎる。ならばその中間=ガンメタリックなのでは、と思い、ガンダムマーカーの色見本をネットで検索、行き着いたのが前述の「ヘビーガンメタリック」。このガンメタカラーをベースに、スフィアの融合部分などを前回と同じシャインシルバーで塗っていき、発光部や目は自宅にあった金色のマッキーで塗る……と、頭の中で少しずつイメージを組み立てていった。なんで自宅に金色のマッキーがあるんだ……? (困惑)
これでマーカーは揃ったものの、今回もネオガイガレードに取りかかる前の練習は必要。せっかく三つもマーカーがあるのだから、これで塗れそうなキャラクターはいないものか……と考え、ヨトバシカメラ店頭でふと閃いたのがデルタライズクロー。ヘビーガンメタリックとゴールドがあれば、未だ発売していないデスシウムライズクローのソフビをゲットできるんじゃあないのか……ッ!?
塗装チャレンジ (2回目):デスシウムライズクロー&ネオガイガレード
そんなこんなで事前準備を終え、友人たちと秋葉原工作室へ突撃。早速デルタライズクローをガンメタで塗り始めた……のだけれど、思いの外色が明るい (やや渋い銀色、という程度) という問題が発生。このままでは、デスシウムライズクローではなく単に色落ちしたデルタライズクローになってしまう……!
という訳で、塗装やプラモ製作の熟練者である後輩くんに泣きついたところ、秋葉原工作室にあるマーカーからあるものを探し当ててくれた。その名も、ガンダムマーカーの「リアルタッチグレー」!
本来は「ぼかしペン」という上塗り塗料と合わせて使うことで影や汚し塗装に使うというこちらのマーカーだが、それはすなわち、鉱石のような肌を持ち、宇宙の闇でダイナと戦ったネオガイガレードにピッタリの色合いということ。
いくつかあるリアルタッチグレーを試し塗りしてみた結果、リアルタッチグレー2というカラーリングがベストマッチ。デルタライズクローとネオガイガレードに塗ってみると……!!
か、完成…………!!!!!
結果として、最初にガンメタカラーで塗りたくったのは大正解だった。ガンメタの上からグレーを重ね塗りしたことで、デスシウムライズクローはウルトラマン特有の光沢感、ネオガイガレードは鉱石らしい色艶がそれぞれ上手いこと再現されたのだ。デスシウムライズクローは些か塗りが汚くなってしまったけれど、それを押して余りあるカッコ良い逸品に仕上がった……!
そして何よりネオガイガレード。怪獣はウルトラマンと違って雑に塗ってもそれっぽくなるのでデスシウムライズクローのような違和感もなく、ゴールドとシャインシルバーも良い仕事をしてくれた。これ、これですよ俺が欲しかったネオガイガレードは!! 誘ってくれたフォロワーのB氏と大学の友人、リアルタッチグレーを渡してくれた後輩くん、そして同行してくれた友人たちに秋葉原工作室様、本当にありがとうございます……!!
本日の身内の友人や先輩との工作会の様子です pic.twitter.com/DxCXwi9WRX
— メカヘッド (@mazrgz) 2024年6月29日
撮影会 ~ウチの子を見てくれ~
背面などまだ塗れていない部分もあるものの、これでひとまずネオガイガレードの塗装は完成。となればやることは一つ、撮影会だ!!!!!!
近くのショップを探し回り、通算四体目となるネオガイガレードを購入。比べてみるとこれがま~~~楽しい。理想のネオガイガレードが手元にある喜びと、それを自分で作れたというかつてない達成感……!! ク、クセになりそ~~~!!!!!
そして、理想のネオガイガレードが手に入ったとなれば、やはり「彼」と並べない訳にはいかないだろう。
そう、宿敵・ウルトラマンダイナ!
HGのウルトラマンダイナ辺りがサイズ的にはちょうど良いものの、手元にないのでアルティメットルミナスのウルトラマンダイナ (フラッシュタイプ) で代用。サイズ的に上手く撮るのは難しかったけれど、それでも楽しくて楽しくてしょうがなかった……! やって良かったよソフビ塗装!!
おわりに
こうして、人生初のソフビ塗装も一段落。けれど、ネオガイガレードの背面がまだ塗れていないし、せっかく買ったグリーザ (第三形態) はノータッチだし、他にも塗ってみたい怪獣は山ほど出てくる。ゾルギガロガイザとか。
他にも、悲しいかな今のウルトラ怪獣シリーズには「塗装で損をしている」怪獣が盛り沢山だ。ファイブキングとか、スフィアネオメガスとか……。
が、この記事の通り、自分のような塗装ド素人でも案外どうにかなってしまうもの。自分のように「推し怪獣が発売されているけど塗装が少なくて寂しい」という方は、是非ソフビ塗装にチャレンジしてみてはいかがだろうか。