“クウガ” の聖地『珈琲ハウス るぽ』に4時間半並んだ話

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\ファーーーーーーーーーー……………… (例のSE)

 

東京都 某区 中央線内
07:06 a.m. (くらい)

 

『珈琲るぽ 閉店』 

そう書かれたX (旧Twitter) の投稿を見た時は正直ピンと来なかったけれど、添付画像を見るや否や思わず変な声が漏れてしまった。 

「 “ポレポレ”、閉まるの……!?」 

そう、東京都清瀬市で営業中の喫茶店『珈琲ハウス るぽ』とは、2000年放送の特撮ドラマ『仮面ライダークウガ』において、雄介たちの憩いの場である『喫茶 ポレポレ』のロケ地となった喫茶店。つまり、平成初頭生まれで『クウガ』に人生を作って貰ったオタクにとっては聖地中の聖地なのである。 

そんな聖地が閉店するとなれば、当然「行く」以外の選択肢など有り得ないッ! そう息巻いて人生初の自発的な聖地巡礼を誓ったこの時の自分は、しかし何一つとして理解できていなかった。『クウガ』という作品の人気の程も、その聖地が東京にあることの恐ろしさも。そして、聖地巡礼というものに必要な「覚悟」の程も……!


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《目次》

 

仮面ライダークウガ!

仮面ライダークウガ!

 

経緯

 

件の店=『珈琲ハウス るぽ』とは、東京都の中でも埼玉県に近いエリア、清瀬市の中清戸にある喫茶店。この店の最大の特徴と言えば、清瀬市在住の友人も「見た目がオシャレだから知ってた」と言う程のその外観だ。 

あまりにオシャレなためか『クウガ』以外の作品でもロケ地として重宝されており、店も賑わっていた事から「高齢による店主の引退が閉店の理由では」と噂されている『るぽ』さん。となると、集まるのは『クウガ』のファンだけとは限らない。さて、一体いつ行ったものか……とプランを決めあぐねていると、嬉しさ半分・「いかん!!!!!」半分の事態が起きてしまった。

 

 

 

クウガ』スタッフ・キャストの方々が次々にこのことに言及、そして訪問。「ポレポレ、愛されていたんだなぁ……」としみじみしてしまったし、今でも『クウガ』を大切にしてくださっている方々に頭を下げながら、それはそれとして「いかん!!!!!」と顔が真っ青になった。これ、これ混雑待ったなしだって!!

 

 

雨の平日午後1時でこの有り様。こうなるとやはり自分も平日に……と思ったのだけれど、予定が合わずに泣く泣く断念。検討の結果、最速で行けるチャンスは3/16 (土) 早朝となり、当日は出勤日よりも早い時間で起床。スカスカのバスと電車を乗り継ぎ、現地=東京都清瀬市中清戸へと降り立った。

 

 

到着

 

東京都 清瀬市 中清戸
07:08 a.m.

 

乗り換えが上手くいき、予定よりも少し早く最寄りのバス停へ到着。どこもかしこも人気がなく、これは杞憂だったか……? と肩を撫で下ろしつつ歩くこと数分。人気のない住宅街を道路沿いに進んでいると、突如視界の中に人混みが現れた。

 

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ぽ、ポレポレだァ……!!!! 

本当ならここで脇目も振らず並ぶべきだったのだけれど、生粋のクウガ世代としてはどうしても撮らなければならない場所がある。


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そう、ポレポレといえばやはりこの裏側! 雄介が窓から入るシーンは勿論、駐車場としてもよく使われていた場所だ。来店者は皆並んでいるため、この辺りを撮っている人や従業員の方はおらず撮影し放題。早朝に来て良かった……!

 

 

東京都 清瀬市 中清戸
07:13 a.m.

 

して、一通り写真を撮って満足したところでいざ待機列へ。 

前に並んでいる人数はおおよそ3~40人ほど。そして開店時間は朝8時。この様子なら、もしかすると開店早々に入れてしまうかもな……と思い、気分を上げる為にU-NEXTを起動、第49話『雄介』など、ポレポレが印象的に登場する場面をつまみ食いしたり、お気に入りのエピソードとして第8話『射手』(第6話『青龍』と迷った結果) を観始めるも、このテンションで見る内容ではないな……と中断、開店時間になったこともあり、スマホを閉じて列の気配を伺い始めた。さてさて、一体いつ頃入れるかな、とある種の余裕さえ感じながら。

 

 

試練

 

東京都 清瀬市 中清戸
08:05 a.m.

 

開店と同時に列が進み始め、程なくしてストップ。その先も進む気配がないので、どうやら第一陣の入店が終わったらしい。 

入ったのは恐らく10人程度。「だいたい9時頃には入れそうかな」などという甘っちょろい目処を立てつつ、バッテリーが少ないスマホに代わって取り出したのはノートとペン。こういう時に記事のプロットや下書きを書くことで時間を潰せるのはブロガー (仮) の専売特許、仮面ライダークウガの聖地で『プリティーリズム・レインボーライブ』のことをノートに書き続ける異常成人男性と化しつつ、来る「その時」を待ち続けた。

 

 

東京都 清瀬市 中清戸
10:38 a.m.

 


書き終えてしまったが………………? 

待機すること3時間半。元々途中まで書き上がっていたとはいえ、まさか20,000字クラスの記事の下書きが完成するレベルの時間がかかるとは正直思っていなかった。見くびっていた。

 

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列の現在地はこちら。残る人数はおおよそ10人ほどであり、つまりこの3時間半で入店できたお客さんはおおよそ30人弱。数字だけ見ると多くはないけれど、この店はあくまで喫茶店。ラーメン屋や定食屋とは訳が違うし、東京郊外の喫茶店でこの回り方はむしろハイペースと言えるだろう。決して多くないであろう従業員の皆様の奮闘や、先に入られたお客さん方の退店マナーに感謝するのが第一なのだ。 

となると、残り10人の入店にどれほどかかるのは未知数。かといって、他の記事の下書きを書くには足腰も集中力も限界。この時の自分にできるのは、もう「ウォークマンに入れてある『クウガ』楽曲を無心で聴く」ことくらいだった。これを聴き終える頃には入店できていますように……!

 

 

東京都 清瀬市 中清戸
11:26 a.m.

 

クウガ』楽曲もとっくに聴き終え、全てが限界に達し、入口を写真に収めることしかできなくなっていた午前11時半、遂に「その時」が訪れた。

 

「1名様、ご案内しまーす」

 

シャアアアァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

颯爽たるシャア

颯爽たるシャア

  • provided courtesy of iTunes

 

待機することおよそ4時間半、コミックマーケット以上の長い長い待機を終えて、筆者、 入 店 (立木文彦) ……!!!!!!!


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実食

 

自分が案内されたのは2階席。残念ながらお馴染みのカウンター席は拝めなかったものの、喫茶るぽは1階~2階が吹き抜けになっている為、自分の席からも1階のテーブル席を見下ろすことができた。その光景も、空間の雰囲気もまさしくポレポレのそれで、なんだかとても感慨深くなってしまった。もっと早く来ていなかった自分を呪わずにはいられない。 

……と思いきや、有識者に頂いたコメントから「ポレポレの内部はるぽじゃない」ことが発覚。窓側の席や店内の雰囲気に「ポレポレ」を感じたのは完全なる思い込みだったようで、これはもう『クウガ』ファン失格――なだけでなく、「内部は内部で『ご注文はうさぎですか?』に登場するラビットハウスのモデル」ということにも気付けなかったので、クウガに加えて青山ブルーマウンテンのファンも失格である。各方面の方々、大変申し訳ございませんでしたッ……!!

 

 

東京都 清瀬市 中清戸
11:29 a.m.

 

状況が状況だけにあまり長居する訳にはいかなかったけれど、それはそれとして筆者の腹はこの4時間半で大いに減っていた。ポレポレと言えば、なカレーは残念ながらメニューになかったため、久しく食べていなかったオムライスのセットを注文。(このタイミングで注文するのは迷いもあったけれど、後悔したくなかったので) デザートにワッフルも頼み、ドリンクは勿論コーヒーだ。 

30分ほどの待機時間 (どれだけ店が混んでいたのかが察せられるだろうか) を経て、遂に運ばれてきたオムライスセット。一言で言うなら、デカかった。サラダが。

 

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当然ながら、その味わいは美味の一言。卵の焼き加減が絶妙で、比較的甘口に調整されたオムライスはコーヒーとの相性が抜群。もしかすると、「コーヒーに合う」ことを前提に調整を繰り返された逸品なのかもしれない。 

一方、注目してほしいのは右下のデカ・サラダ。見た目だけでもオムライスにひけを取らないサイズ感なのに、この皿、なんと底がかなり深い。付け合わせのギリギリを攻める「志」を感じて、腹を空かせきった成人男性としては感無量……! 

そして、やはり肝心なのはコーヒーだ。自分はコーヒーをしっかり嗜んだことがないので、この香りがオリエンタルと言えるのかどうかは分からなかった……けれど、明確に「凄い」と感じたのはその飲みやすさ。アメリカンだったからかもしれないけれど、一度も砂糖を入れずに飲みきれたのは、このコーヒーが生まれて初めてだった。 

香りと味わいは深みのあるコーヒーなのに、所謂「渋み」がなく、「苦み」も限りなく少ない。わざわざ砂糖で相殺する必要がないのだ。営業先で飲まされ続けたブラックコーヒーのトラウマにさようなら、はじめまして、美味しいブラックコーヒー……!! 

(半分はブラック、半分はミルクだけ入れて味変を楽しみつつ完飲。美味しかった……!)

 

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机にもポップが置かれており、店の看板メニューらしいワッフル。ヨーグルトやフルーツなど無数のバリエーションがある中で、自分はマロンキャラメルを選択。これがま~~~大正解で、栗が数個そのまま入った贅沢仕様に、品の良い甘さのキャラメルとクリームが相性抜群! 

特筆すべきはワッフルのもちもち具合で、どれくらいもちもちだったかと言うと「柔らかさと弾力のせいで、ナイフで切れない」ほど。やむを得ず「ナイフで押さえてフォークで切り離す」という食べ方をしてしまったけれど、ホントはもうちょっと綺麗に食べたかったところ。こんなに綺麗な見た目なんだもの……!

 

青空になる

青空になる

  • provided courtesy of iTunes

 

帰路

 

約1時間の滞在を経て退店すると、時刻は既に12時半。外は気持ち良いくらいの快晴で、こんな日にポレポレに来れて良かった~! と感動しきりだったけれど、帰路を進みながらゾッとしたのは「その時点での待機列」の長さ。自分が並んだ時は多くて40人ほどしかいなかったのに、この時の待機列はその10倍、あるいはそれ以上の凄まじい長さ。後ろの人、絶対今日中に入れないって……!! 

という訳で、もし『喫茶るぽ』に行きたい! という方がいらっしゃったなら、チャンスはおそらく「平日の日中」か「土・祝日の早朝」。自分のように凄まじい待機時間を強いられる可能性は大いにあるので、折り畳み式で周りの邪魔にならないサイズのイスや、飲み物・軽い食事、本のような時間を潰せるものを準備しておくと良いだろう。手洗いや防寒・花粉対策も必須項目だ。 

茶店にそこまで身構えていくのはおかしいと思われるかもしれないけれど、あのポレポレに入れる感動や、絶品の料理……特にコーヒーとワッフルの美味しさはそれだけの価値があるもの。閉店まであと僅かなこともありハードルは高いけれど、『クウガ』ファンは勿論、地元住まいで足を運べていなかった人なども、これを機に『るぽ』さんへ足を運んでみてはいかがだろうか。