2022年8月2日。池袋サンシャインシティにて好評開催中の『ウルトラヒーローズEXPO 2022 サマーフェスティバル』における特別イベントとして、『ウルトラマンダイナ 25周年記念スーパーGUTSスペシャルナイト』が開催された。
『ウルトラマンダイナ』25周年でスーパーGUTSの7人集結 “アスカ・シン”つるの剛士、トーク開始0秒で涙(写真 全7枚)https://t.co/6XkTFattuL
— ORICON NEWS(オリコンニュース) (@oricon) 2022年8月2日
#つるの剛士 #ウルトラマン #ウルトラマンダイナ #ダイナ @takeshi_tsuruno @ultraman_series @tsuburayaprod
イベントは当然撮影禁止。加えて約2時間に渡る濃密なものだったため、詳細なレポートは他の方にお任せするとして……。
ここでは、どうしても触れなければならない、この場でお礼を言わなければならない “ある瞬間” を中心に、備忘録としてその記憶を書き留めておきたい。
※以下、『ウルトラマンダイナ 25周年記念スーパーGUTSスペシャルナイト』のネタバレが含まれます。見逃し配信 (2022年9月3日(土)10:00 ~ 2022年9月25日(日) 23:59 / 詳細は下記ホームページへ) をご覧になる方は特にご注意ください!※
引用:「ウルトラマンダイナ25周年記念 スーパーGUTSスペシャルナイト」開催!- ウルトラヒーローズEXPO 2022 サマーフェスティバル 公式ホームページ
https://www.ultra-expo.com/summer/2022/news/3715/
◇開幕
10秒で泣いた。
大袈裟だと侮るなかれ、なにせ、開幕早々に流れ出したのは『君だけを守りたい~アスカの歌~』の荘厳なイントロ。そして光の中から現れる我らがアスカ・シン=つるの剛士氏。
そう、本イベントは「つるの氏による生『君だけを守りたい~アスカの歌~』」というとんでもない演出で幕を開けたのである。
『ダイナ』の続編『ウルトラマンサーガ』のキーであり、「ウルトラマンダイナの帰還」を象徴する熱い一曲。それをつるの氏本人が生で歌う。これ以上に相応しい幕開けがあるだろうか――と、そこに現れるのはモルヴァイアとレギュラン星人 (おそらく既存のアトラクション用スーツ) !
『アスカの歌』2番をバックに、つるの氏もといアスカはダイナに変身! ストロングタイプの怪力、ミラクルタイプのウルトラサイキック、そしてフラッシュタイプのソルジェント光線でトドメを指すと変身を解除。最後のサビを歌いきり、イベントは華々しくスタート……!
#ウルサマ 2022🌊🏄
— ウルトラヒーローズEXPO (@m78expo) 2022年8月2日
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「#ウルトラマンダイナ 25周年記念
スーパーGUTSスペシャルナイト」
このあと18:45〜生配信⚡️
ご来場が難しいダイナファンの皆さん、
25周年の記念すべき一夜を
オンラインでぜひお楽しみください✨
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◇集結、スーパーGUTS
かくして始まったスペシャルナイト。言わずもがなだけど、このイベントが「スペシャル」であるのは、何といってもスーパーGUTSの面々が「当時以来、イベントとしては初めて」一堂に会すること。
アスカ=つるの氏に加えて、ヒビキ隊長=木之元亮氏。コウダ副隊長=布川敏和氏。カリヤ隊員=加瀬信行 (当時の芸名は加瀬尊朗) 氏。
そして現在は芸能界を引退されているリョウ隊員=斉藤りさ氏に、2017年のイベントではオンラインやビデオレターでの参加となったナカジマ隊員=丈 (当時の芸名は小野寺丈) 氏、そしてマイ隊員役=山田まりや氏。一人一人の登壇に会場は大盛り上がりで、いずれも鳴り止まない程の拍手喝采ぶり。最後に登壇したつるの氏が、6人の後ろ姿に登場早々涙するという一幕もあり、イベントは終始和やかに、文字通りの「同窓会」といった雰囲気で進行していった。
イベントのメインは、彼らスーパーGUTSメンバーを迎えてのトークショー。事前にヒアリングを行った上で、というアナウンスがあったが、それにしても「作品愛がなければこのトークは出てこないだろう」といったものばかりで見所満載だった。
◇「各々の好きな/お気に入りのシーンは?」
最初のテーマはオーソドックスなところから。
つるの氏が「第13話『怪獣工場』におけるカリヤからの切れ味鋭いツッコミ」という場面を挙げて会場を湧かせるなど流石のタレント力を発揮した他、印象的だったのは丈氏がお気に入りとして「第51話『最終章Ⅲ 明日へ……』において、父親への想いをアスカに語るシーン」を挙げた一幕。
「ガレージでメンテナンスに集中するナカジマ隊員」の姿がスクリーンに映るや否や拍手喝采、という会場の一体感にも胸が熱くなったけれど、それ以上に、丈氏の口から語られたエピソード=このシーンは、脚本を担当された長谷川圭一氏が「当時、丈氏の父親が闘病の果てに亡くなられた」ことなどを踏まえて作られた場面だった……という裏話には、キャストもしみじみと聞き入っている様子だった。
(しんみりさせちゃったね、と謝る丈氏の姿が、まさにそのシーンでのナカジマ隊員の様子と重なってしまう)
◇今だからこそ言える裏話や、謝りたいこと
ただでさえスーパーGUTSと言えばつるの氏と山田まりや氏の一件があるだけに、この話題が出てきた時には思わず驚いてしまった(つるの氏と山田まりや氏もそのことを危惧しているような素振りを見せていた)けれど、ここで衝撃の裏話を吐露したのがカリヤ隊員=加瀨氏。
問題のシーンは、今をときめくハネジロー/モンスアーガーの初登場回である第11話『幻の遊星』。メラニー遊星の花に興味深々のリョウを見て
「花を摘んだりするのが、こんなに似合わない女もいるもんだなぁと思って……」
と最悪の失言をかまして殴られるという一幕。リョウとカリヤのキャラを決定付けた珍シーンだが、なんとこのカリヤの台詞は、本来は「照れ隠し」のニュアンスだったものが、加瀨氏の提案と原田昌樹監督の意向で今のような「大真面目に言う」シーンに変わったのだという。なんというファインプレー……!!
◇特別ゲスト登場
様々なテーマで盛り上がり続けるスーパーGUTSの面々。木之元氏曰くの「キャスト陣はダイナの現場が大好きで、みんないつも一緒だった」というエピソードを裏付けるような仲良しぶりにこちらがほっこりしていると、なんとここでスペシャルゲストの登場。「スーパーGUTSの全員集合日だから」との前振りで登場したのは、なんとスーパーGUTS最後の1人、ハネジロー!
いつもの「パムー」という鳴き声と共に活き活きと動き、可愛らしい姿を見せてくれたハネジロー。そんなハネジローからスーパーGUTSに質問が。
「スーパーGUTSの作戦で、一番大変だったのは?」
一番大変だった「作戦」……?????
答えられそうで答え辛いこの質問に回答したのはヒビキ隊長=木之元氏で、その回答は「『劇場版 ウルトラマンティガ & ウルトラマンダイナ』におけるデスフェイサー戦」! 「俺たちにはまだこれがあるだろ!」と自らの足を叩くというシーン再現で大いに会場を湧かせてくれた。
ハネジローの出番は残念ながらこれきりだったけれど、ハネジローのシャツを着ていたつるの氏が終始「ハネちゃん」と呼び続けていたことに、アスカらしさとハネジローへの深い愛を感じてしみじみと感慨に耽ってしまったり……。
(ちなみに、つるの氏は撮影当時猫を飼っていたとのことなのだけれど、その猫はハネジローそっくりだったのだという。どんな猫だったんだろうか……?)
◇衝撃の “再演” そして……
問題はここからだった。
ハネジローに続き、なんと更なるスペシャルゲストが控えているという告知にどよめく会場。
満を持して登壇したのは『ダイナ』メイン監督を務められた小中和哉氏、そして当時助監督を務め、後に『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』の監督や書籍『ウルトラマンダイナ 25年目の証言録』の執筆も手掛けられた八木毅氏!
そんなレジェンドのお二人を迎えて始まったのは、なんと第51話『明日へ……』ラスト、旅立ったアスカを見送るシーンの再現! しかも、朗読劇ではなく、小中監督と八木監督による(簡易的な)ディレクション付きでの「再演」というのだから絶句してしまった。
あのシーンが目の前で見れるという事実が信じられずこの時点で動機が凄まじかったし、そのせいでさらっと捌けていくつるの氏のことを考えている余裕がなかった。そう、このシーン、名シーンではあるけれどアスカの出番がないのである。主役ゥ!?
程なくして、スクリーンで流れ出す『明日へ……』ラストシーン。消えたダイナ=アスカを見つめる当時のスーパーGUTSと全く同じように並んだ6人が、それぞれの言葉を、当時と全く変わらぬ感情を乗せて口にする。
「星が、帰ってきたのか……」
「それじゃどうして、どうしてアスカは帰ってこないんですか!」
「俺たちは、アスカの命を引き換えに」
「アスカが死ぬものか……!」
「でも!」
「アスカは帰ってくる。いつか必ず」
「……リョウ」
「アスカがそう約束したから……。アスカは今も飛んでるわ、前へ向かって」
スクリーンで流れ出す、アスカとカズマの再会と旅立ち。当時そのままのBGMと共に、再演は続く。
「あれは…」
「星。ウルトラの星」
「ウルトラの星、かぁ」
「俺たちも行こうじゃねぇか。アスカに追い付けるようにな!」
「隊長……」
「……ラジャー!」
「「「ラジャー!!」」」
「夢を信じられる限り、光はそこにある」
木之元氏の、当時と変わらぬ熱い魂の言葉で、スクリーンはブラックアウト。会場は熱い拍手と感動の涙で包まれた。
小中監督の口から本イベントで改めて明言された他、脚本を担当された長谷川圭一氏も度々語っているように、『ダイナ』のラストシーンは、決して「アスカの死」を描いたものではなく、アスカが新しいステージへ旅立った「記念すべき/ポジティブな」シーンとして撮ったものであり、ネガティブな印象を視聴者に与えてしまったのは誤算だったのだという。
その証左として、2009年の『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では『ダイナ』で闇に消えたアスカ本人が再登場を果たし、2012年の『ウルトラマンサーガ』では、そのアスカからリョウたちスーパーGUTSの面々へ「皆が追い付く日を待っている」というメッセージが贈られるという、およそ考え得る限り最高の『ダイナ』アフターストーリーが描かれていた。
前へ進み続ける「人間の可能性」を描いたのが『ウルトラマンダイナ』という作品であり、その魂=ネオフロンティアスピリッツを誰より熱く体現したからこそ、ダイナ=アスカ・シンは人類の次なるステージへと旅立っていった。アスカが帰ってくるのを待つのではなく、人類が「アスカに追い付く」こと。それこそが、最も『ダイナ』らしく、最も胸に響くアスカとスーパーGUTS の再会であり、だからこそ、アスカは「帰ってきてはいけない」のである。
けれども、だとしても。
「帰ってくるアスカ」を望まなかったファンなんて、どこにもいないはず。
ブラックアウトする会場。ざわつきの中で再び光が灯ると、そこにはなんと「スーパーGUTSの隊員服姿の」つるの氏、そしてダイナ3タイプの姿が……!
そう。このイベントは次元も設定もストーリーも、何もかもが関係ない同窓会。つまり、この会場こそが唯一「アスカがスーパーGUTSの元に “帰ってくる”ことができる場所」だったのである。
台詞があった訳ではないし、これはあくまで盛大なファンサービス。それでも、アスカがみんなの元へ帰ってくるという何度夢に見たか知れない瞬間を見せてくれて、本当に、本当にありがとうございました……!
その後、メディア向けフォトセッションを経てイベントは終了。キャスト各々の最後の挨拶や、つるの氏による現在NHK主催で行われている「ウルトラマン大投票」への言及などもあり、最後まで楽しく賑やかに、ダイナ25周年を祝う特別な夜は幕を閉じていった。
ウルトラマンダイナ、放送開始から25周年。
— つるの剛士 (@takeshi_tsuruno) 2022年8月2日
本日、スーパーGUTS全員集合。
25年間ダイナを応援してくれている皆さんの前でメンバー一同揃ってお会いできる嬉しさ… 続#ウルトラマンダイナ #スーパーGUTS#ウルサマ 2022 #TDG25th @tsuburayaprod pic.twitter.com/58V5BUpRuL
◇25周年
「アスカが、全員揃ったスーパーGUTSの元に “帰ってくる”」……あくまでイベントだからこそ実現したその光景を目に焼き付けられたこと。当時そのままのスーパーGUTSのやり取りを拝めたこと、つるの氏による『君だけを守りたい~アスカの歌~』を生で聴けたこと。一つ一つが一生ものの、これまでのウルトラシリーズのイベントでも指折りと言える最高のイベントだった『ウルトラマンダイナ 25周年記念スーパーGUTSスペシャルナイト』。
けれども、何より嬉しかったのはこのイベントが無事に開催されたことそのものだ。
「7人+監督2人の計9人が、誰一人欠けることなく会場にに集えた」ことは、現在の時勢を考えればもはや奇跡的なことと言えるだろうし、芸能界を引退した斉藤りさ氏の参加などを踏まえれば、その「奇跡」ぶりにはどこまでも拍車がかかるだろう。
それらを実現したのは、キャストの皆様曰く「ファンのダイナ愛」とのことだけれど、『ダイナ』がそれだけ愛される作品になったのは、何より『ダイナ』を作り出してくださったスタッフ・キャスト皆々様の深い愛情のおかげだろう。そんな、作り手側の「ダイナ愛」を目の前で感じられたこと、それこそが、本イベントにおける一番の収穫だった。
そんな『ダイナ』という素敵な作品に育てて貰った自分たちにできることは、ウルトラシリーズの応援……は勿論だけれど、それ以上に、自分の夢や「大人としてできること」にしっかり向き合っていくこと。『ダイナ』から学んだネオフロンティアスピリッツを胸に、辛い時に「諦め」でも「逃げ」でもなく“あの言葉” を口にできるような、そんな大人を目指すことだと思う。
「本当の戦いは、ここからだぜ!」