わ~ん!『RRR』の感想が書けないよ~!!

れん太くん「助けて虎賀えも~ん!!」 

虎賀えもん「どうしたんだいれん太くん」 

れん太くん「『RRR』が面白かったから感想をブログに書きたいんだけれど、面白すぎて逆に記事としてまとめられないんだよ~!!」 

虎賀えもん「そういう時はね、まず思ってることを吐き出してみるといいよ」 

れん太くん「え?」 

虎賀えもん「どういう感想を持ったのか、実際に口に出してみるんだ。そうすれば、心の中がすっきりして、まとめ方のヒントが見えてくるはずだよ!」 

れん太くん「そうなんだ! じゃあ早速やってみるよ!」

 

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引用:https://twitter.com/RRR_twinmovie/status/1565127300324003841?t=tiN4xab89tiUUe1-gTdklQ&s=19

 

 

れん太くん「RRRは字幕版が上映している頃から凄く話題になっていたし気になってたけれど、目が悪くて字幕上映だと観れないからレンタル・配信待ちかなと思っていたんだ。そしたらある日急に吹替版の上映が決まったからびっくりしちゃって。吹替担当の声優も主演が2人ともウルトラマン、しかもよりによって今観ているアイカツスターズ!で大活躍の田所あずささんもキャスティングされてるとあって、そうなればもう尚更見に行くしかないぞと。仕事帰りに観に行ったんですけど、気になるのはやっぱり3時間っていう上映時間ですよね。自分はアベンジャーズ エンドゲームくらいしか3時間の映画を観たことがないので、上映中に手洗いに行きたくならないか心配で。と思ったら、周りの人たちがホットドッグにポップコーンにとガッツリ食べてるから逆に安心させられちゃいましたね。残る懸念は、初めてのインド映画が自分に合うかどうか、だったんですけど、アバンタイトルでその不安はバッチリ払拭されちゃって。『RRR』の意味はずっと気になってて、最初にRが出てきて “お、タイトルインかな?” って思ったら “STORY”が生えてきた時は思わず笑いそうになっちゃって。そこからFIRE、WATERと続いて、アバンタイトルだということを忘れかけた辺りであのダイナミックレスキューシーンですよ。ここで手を繋いでからの『RRR』には痺れちゃって……! その後のビーム、ラーマが友情を深めていくシーンはダイジェスト的ではあるんだけれど、レスキューシーンで2人の “魂のカタチ” が近いことが示されてるから、ここがダイジェスト的でも2人の友情に説得力があって。こういう “省くべきところを省く” 思い切りとセンスの良さがあるから、『RRR』はこの情報量ながら3時間でまとまってるんだなって今になって思わされます。そうそう、『RRR』は “一から十まで全部面白い” なんて言われてるし、流石に言い過ぎだと思ったけど、自分も同じことを感じました。というのも、冒頭のラーマ、ビームのくだりと、前述のレスキューがそれぞれベクトルの違う凄まじいアクションシーンになっていて目が離せなかった……というのは勿論、その後のラーマ、ビーム、ジェニーの日常が、普通なら “溜め” 、ものによっては退屈なシーンになりかねないものを、本作はテンポの良さや “2人の身バレ” へのスリリングさから、ずーっと面白いシーンになってるんですよね。ラーマがモンタージュをビームに見せようとするとか、そういう “来るのか!?” というシーンが差し込まれる時のドキドキは、まるでホラー映画を観てるかのような気分だったなって。でも、この前半パート最大の見所はやっぱりナートゥですよ。これまでずっと漂っていた “差別ムード” に熨斗をつけて叩き返すかのようなラーマの粋な登場にお盆ドラム! ここだけで盛り上がってしまったのに、そこから “ご存知か? ナートゥを” の台詞が出てきた時は心の中で叫んじゃいましたね。ただ、いざお出しされたナートゥは本当に想像以上でした。耳に残るメロディやキレッキレのダンス、ナートゥそのものがクセになるイカした躍りなのは知っていたんですけれど、2人のナートゥにつられて皆が笑顔で踊り出したり、ジェイクまで踊り始めたと思ったらダンスバトルになって。とうとうラーマVSビームにもなって……。2人や、その周囲の誰もが心の底から本気で楽しく踊る姿は、2人に待っている悲しい運命とか、作品の背景にある差別問題とか、そういったものに訴えかけるメッセージのようで、凄く幸せだけどただハッピーなだけのシーンじゃない、とても印象的で素敵なシーンになっていたなと。だからこそ、ここがある種の “ピーク” になってしまうのが皮肉で、ビームがジェニーに誘われたことがきっかけで全てが破滅に向かっていき、遂にはラーマがビームの正体を知ってしまう……。このシチュエーションが本当に最悪 (最高) ですよね。ラーマがビームに命の危機を救われる中で正体を察してしまう+ビームは “死ぬかもしれないから、せめて親友には本当のことを話しておきたかった” という、弱さの吐露 / 友情の証として話す+その状況下で、ラーマは口も身体も満足に動かせない……と、こちらの上がりに上がったハードルを軽々と越えてくるフルセット。どんな人間ならこんな絶望を地獄の釜で半年煮詰めたような代物が出来上がるんだと絶句。けれど、その後、ビームがマッリに繋がる鍵を手に入れたその瞬間に (皮肉にも、ビーム自身の必死の治療の甲斐あって) ラーマが復活、ビームの希望の前に立ち塞がってしまう……という、それを更に上回る絶望シチュエーションが放り込まれてきて、この時点でもうこの映画に頭を下げてました。ここまで凄い映画だと思わなかったです……って。ビームが大量の動物を放つシーンは “冒頭のシーン、こういうことだったのか……!“ という伏線回収もあって画も盛り上がりも凄まじかったけれど、ビームとラーマが水と火を手に向かい合うシーンはそれ以上で、そこからはずっと息ができなかった。最後に交わされてしまった握手が、冒頭と打って代わって “断絶” の象徴になってしまっているのはなんて皮肉だと、内心頭を抱えてしまったのは自分だけじゃないはず……。そこでいきなり挟まれる “INTERRRVAL” には笑っちゃったけれど、続いて始まるラーマの過去は、あまりにも真に迫っていて何度息を呑んでしまったことか。まるで長編ドラマのシーズン2開幕編のようだったなと。この中盤は終始ハードな展開が続いて、特にムチ打ちのシーンは文字通り “観てられなかった” けれど、だからこそビーマが歌で民衆を立ち上がらせたり、ラーマの決意にも説得力があった。『RRR』は視聴者の感情コントロールが本当に巧みな作品だけれど、このパートで “奇跡” を使わなかったのは本当に素晴らしかったと思う。それに、ここでラーマがビームとマッリの再会を実現させる為に命を懸けるシーンは感動的だったけれど、そのまま彼は捕まってしまって……。ラーマをただ改心させるのではなくて、彼の行いは如何なる理由があっても非道ではあっただけに、こうしてきちんと “御祓” を挟むのことにとても好感が持てた。観ている分には重苦しかったけれども。そこからはもう、シーズン1.2を挟んで半年後に公開される劇場完結編、という装いだったね。その “劇場版” ぶりを引き立てていたのは何といってもビームとシータの邂逅! ここでこの2人が会うだけでも盛り上がってしまったのに、ビームが彼女のネックレスを見た瞬間はこちらまで声を上げそうになってしまったし、この邂逅を合図にテンポ良くラーマ救出まで進んでいくのが良かった。最初の方でも言ったけれど、この映画は本当に描写に無駄がなくて、こういうシーンで余計なものは挟まない。この潔さが観ていてストレスフリーだからこそ、ハードな描写が多くてもエンタメ性が損なわれないんだろうと思う。けれど、何よりエンタメなのはここからだ。ラーマをビームが探り当て、ここで今度こそ “お互いの素性を知った上での” 真の友情の握手、からの肩車! 世界最強の肩車はもはやミーム化しているので流石に知っていたけれど、驚いたのは、自分自身この肩車を何のつっかかりもなく “熱いもの” と認識していること。そして、この肩車が不思議なことにとても “戦闘において理にかなっている” ものだったことだ。ビームが脚を負傷したラーマの脚となり、ラーマはビームに移動を任せることで、2丁拳銃で好きに暴れられる。これまでスナイパーだったラーマがここでワイルドに暴れ回るのは、彼の心が解放された証のようでもあってこれまた観ていて気持ち良い! 塔に登るシーンなどは “肩車ってここまでできるんだ!”と驚かされてしまったし、インパクト抜群の名シーン。ミームになるのも納得の凄まじいシーンだったなと。だけど、ここで終わらないのが『RRR』の凄いところだ。追手を迎撃するために、火を加えた弓矢で迎え撃つラーマ、そして水中から現れるビーム! 近代武装を原始的な力で圧倒し、後光まで差したりする様はまるで “神話” だ。自分が “ビーム=ビーマ” だったと気付いたのは、このシーンの歌詞だったよ。このシーンがアクションとしては一番イキイキしていて、ラーマは撃った矢をその足で回収して次の獲物を撃つ、という離れ業を見せてくれるし、ビームはビームでバイクを振り回してしまう。アレ一体どう撮ったんだろう……!? このシーンはそれこそ三度目の最終回のようだったし、相手がインド総督という規模の大きな敵である以上、ここで終わる……という可能性も考えていた。だから、そこから2人がバイクと馬に跨がった時は “や、やってくれるのか……!!” と手に汗を握らずにはいられなかった。でも気になるのは、いかにビームとラーマといえど相手はインド総督の総本山、圧倒的な戦力差をどう覆すのか……と思っていたら、バイクを火炎爆弾に変えて投げ込む、という超脳筋戦法を始めて笑ってしまったし、それがTNTに引火して盛大に連鎖爆発を始めた時は内心拍手喝采の大爆笑だった。ストーリーのターニングポイントでは “奇跡” を廃して現実的に、転じてこういう “盛り上がりどころ” では細かいことを投げ捨ててあくまで熱く楽しく痛快に! ……本当に、力の入れ方が絶妙な作品だった。その極致が、最後の最後で総督に引導を渡すシーン。これまで派手に豪快に、多種多様な画を叩き付けてくれた『RRR』も、このラストシーンは極めて静謐に、けれど熱い思いが込められていた。“装填――” の言葉をラーマが口にして、ビームが引き金を引く。この瞬間、間違いなく2人が “2人で1人” になっていたこと、フィナーレを “銃弾” で引くこと。本当に、どこまでも “粋” で痛快な作品だった。その上で、ラーマの帰郷やマッリと母の再会など、エンディングに限らず “見たいものを全部見せてくれた” スーパーよくばり映画である『RRR』は、(有識者からの情報提供で初めて知ったのだけれど) 監督なども交えて皆で楽しく踊る最高のエンドロールで幕を閉じる。非常に重いテーマを残酷に、真正面から描きつつも、そこに確かな祈りを込めつつ、あくまで痛快娯楽作品としてパッケージし、最後は胸一杯の幸せで満たしてくれる。『RRR』は、紛うことなき “自分が観てきた中でもトップクラスのド級傑作エンタメ” だった。ありがとう、本当に素晴らしい映画だった、『RRR』!

 

 

……あースッキリした! ありがとう虎賀えもん! じゃあね!」バァン! (ドアを閉める音) /

 

 

 

 

 

虎賀えもん「 ( ´・ω・) 」

 

 

 

  終
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