致命的な勘違いをしていた男 VS『THE FIRST SLAM DUNK』

ぼく「小学生時代はミニバスケットボール部に所属してて、『SLAM DUNK』は当時チームメイトで回し読みして全巻読破済。最終的な背番号は7番で、『SLAM DUNK』の好きな台詞は “ドリブルこそがチビの生きる道なんだよ!” 。ポジションはガードかフォワードだったなぁ」

 

友人A.B.C.D「「「「今すぐに『THE FIRST SLAM DUNK』を観ろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」

 

ぼく「はい……」


そんなこんなでようやく『THE FIRST SLAM DUNK』を観た (激遅) 。実に約15年ぶりの『SLAM DUNK』との再会だ。 

本作は既に公開から半年。そんな本作の魅力についてはもう自分がわざわざ語るまでもないだろうけれど、やっぱりそれでも叫びたい。おッッッッッッッッッッッッッッッもしろかったァ~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

SLAM DUNK』既読とはいえそれはもう15年以上も前の話。いろんなことを忘れているし、ネタバレをほぼ封殺していた甲斐もあって「どこまでが本編で、どこまでが新規シーンなのか分からないけれど、各キャラクターの最低限必要な情報だけはバッチリ分かっている」という、ある意味一番美味しい状況で本作に臨むことができた。 

一応元バスケ (厳密にはミニバスケットボール) 部なだけあってルールやバスケの雰囲気は把握済み。プレーの一つ一つに「おおっ」と声を上げそうになってしまって、気分は完璧に試合観戦。所々で挟まれる各部員の回想シーン (どれもこれも記憶にない) に胸の辺りをグッッッッと掴みつつ、固唾を呑んで試合の行方を見守っていく。 

最初から最後まで「一つの試合」を描き、その間に回想シーンを挟んでいく――という斬新な構成は、前半こそ梯子を外されるような感覚に少し首を傾げてしまったけれど、後半になるとかえって回想シーンが息継ぎになっていったような気も……いや訂正。徐々に厚みを増していき、海で号泣するリョータの回想は試合にも負けない本作のクライマックスになっていたし、それはそれとしてあの桜木の回想 (ここだけCGじゃなく従来の手法のアニメじゃなかった!?) には涙腺が大爆発した。TVアニメ版見てないのに!!

 

 

「クライマックス」とはいうけれど、そもそもこの山王戦そのものが徹頭徹尾クライマックスの連続とでも呼ぶべき代物だった。 

桜木がリバウンドを取る、三井がスリーポイントシュートを決める、流川がディフェンスを抜く、という、それら一つ一つのプレーだけでも「オアァァァァ!!!!!」と盛り上がるのに、そこに「この音が、何度でもオレを蘇らせる……!」みたいなキラーフレーズがしょっちゅう投げ込まれるものだから、それはもう否が応でも発狂せざるを得ない。特に、件の「ドリブルこそがチビの生きる道なんだよ!」があんな最高の「見せ場」で使われ、しかも同時に『第ゼロ感』が流れ出した瞬間には耐えられず号泣。つい数時間前に『トップをねらえ!』第5話で大泣きした人間の中に、まだこんな水分が残っていたことが驚きだった。

 

……しかし、そんな怒濤の展開の中、遂に例の瞬間が訪れる。桜木の命運を分けてしまった「アレ」だ。

 

 

当時小学生だった自分には衝撃が強すぎた「最終決戦の大一番で桜木が背中を負傷する」という残酷な展開。「選手生命を失うかもしれない」という事態の重さは、当時よりもずっと刺さるものがあったし、だからこそ「オレは今なんだよ!!」が痛切に響く。他の観客と一緒に自分も鼻を啜っていたし、木暮たちと一緒に自分も (心の中で) 目一杯叫ぶ。自分はいつの間にか、観客ではなく湘北ベンチの一員になっていたらしい。 

しかし、だ。原作漫画通りに桜木が負傷したということは、「その後の展開も原作漫画通りになるかもしれない」ということでもある。そうであるなら、これだけ足掻き食らい付いても湘北は負けてしまう。いや、でも、この『THE FIRST SLAM DUNK』は当時とは違うルートを行ってくれるかもしれない。今度こそは、あの時の1点差を覆して勝ってくれるかもしれない――! 

そんな、文字通りの「勝つか負けるか分からない」状況になってからは、尚のこと心臓が張り裂けそうだった。リョータたちのボルテージを反映するかのように映像の質感も変わっていき、文字通りのデッドヒートが繰り広げられる。そして、もはや息もできない「残り1分」の終局、最後のパスが流川から桜木へ――!

 

ここだ。ここで入らなかった「あの時」を覆して、桜木……!

 

思わず手を合わせて、祈って、数秒。


すぱっ、とボールがネットを潜る音。

 

目を見開いて、それが「ネットにかすっただけ」でないことを確かめた。

 

入った。桜木の最後のシュートが、長い長い時を越えて、今度は入った――!!

 

かつて一点差で負けた試合に、一点差で勝つ。 

原作と異なる展開となったことには是非が分かれるかもしれないけれど、そんなことはこの際どうでもよかった。湘北の勝利が自分のことのように嬉しかったし、彼らのハグが、そして遂に「受け入れ、進む」ことができた宮城家の姿が嬉しくて、『第ゼロ感』のエンディングがたまらなくカッコよくて、目元を腫らしたまま、自分は最高の気分で映画館を後にした。  

最高の映画だった、ありがとう『THE FIRST SLAM DUNK』!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道のぼく「そういえば、原作との違いって他にはどのくらいあったんだろう。まとめてあるブログとかあるかな。……お、あった。あれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湘北、原作でも勝ってた!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!?!?!?!」