感想『アイカツスターズ!』番外編 - 物語と高め合う “歌” の魅力と 「MUSIC of DREAM!!!」という規格外の衝撃

アイカツスターズ!』に、ちょっと信じられないくらいハマっている。  

そのことは、弊ブログないしTwitterをご存知の方にとってはもう言わずもがなだと思うけれど、このハマりようには他でもない自分自身が一番驚いているところ。というのも、この作品の「刺さり方」や、視聴・グッズ収集へのモチベーションが、明らかに他の作品を逸している=ウルトラマン機動戦士ガンダム00蒼穹のファフナー結城友奈は勇者である戦姫絶唱シンフォギア……といった、自分の中での「特別枠」に匹敵するそれなのだ。

 

 

そのことを確信したのが、冒頭の小春からの電話からほぼ30分ずっと泣き通しだった第49話『一番星になれ!』視聴後に、迷うことなくサントラを買ってしまったこの瞬間。一切の迷いも斟酌もなく「欲しい」の一心で容赦なくお金をぶん投げられる作品は、つまるところ「そういうこと」なんですよね……。

 

さて、問題はそんな「ただでさえ大好きな作品」から「自分の ”癖” に正面からぶっ刺さって貫通してしまうような楽曲」が爆誕したらどうなってしまうのか、という話。本来なら前回の記事に書くつもりだったけれど、文字数の都合で割愛した「 "MUSIC of DREAM!!!” 事変」について、持てる力を尽くして言語化しておきたい。


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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube

 

《目次》

 

アイカツスターズ!』歴代楽曲プレイバック

 

「問題の歌」に入る前に、少し『アイカツスターズ!』の楽曲について話しておきたい。というのも、自分がここまで『アイカツスターズ!』にハマったのは「楽曲の魅力」によるところが非常に大きいからだ。

 

kogalent.hatenablog.com

 

こちらの記事もある通り、自分はそもそも「アイドル文化」に非常に疎いオタクなのだけれど、その理由の一つが「好みに刺さる歌にあまり出会えてこなかった」こと。 

自分は非常に好みが偏っている人間で、音楽も聴くのはきまって「重い」or「熱い」or「暗い」楽曲ばかり。そのため、明るく軽快・ポップなものが多い「世間で大ヒットするタイプのアイドルソング」にピンと来ることが極めて少なく、いつの間にか自分の中に「アイドルの歌は、自分にはあまり合わない」という偏見が出来上がってしまっていった。  

(勿論例外はあり、AKB48office48所属メンバーから選抜された音楽ユニット「DiVA」が歌う『ウルトラマンサーガ』主題歌「Lost the way」やアニメ『ゾンビランドサガ リベンジ』のOP主題歌「大河よ共に泣いてくれ」などは特にお気に入り)

 

アイカツスターズ!』を見る際に最も危惧していたのも、100話という話数よりもむしろその点。 

アイドルアニメというからには、当然その中心には歌がある。そんな歌が悉く好みに合わなかったら、自分は果たして完走までモチベーションを保っていられるのか……と心配でならなかったし、だからこそ「あの歌」に出会った時の衝撃たるや凄まじいものだった。

 

スタートライン! 〜ひめ ver.〜

スタートライン! 〜ひめ ver.〜

  • るか from AIKATSU☆STARS!
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アイカツスターズ!』を代表する名曲にして最初のOP主題歌である『スタートライン!』。 

詳しくは上記の記事に譲るけれど、自分はこの歌の「熱さ」と「切なさ」が同居したドラマチックさにすっかり一目惚れ(一聴惚れ?)してしまって、続く第2話でこの歌が「OP主題歌」だと判明したことで、すっかりこの作品に対する「信頼」が完成してしまった。「この歌が主題歌ということは、概ねこれが『アイカツスターズ!』という作品の方向性=この先も、この『スタートライン!』のようなクリティカルヒット案件に出会えるだろう」と。

 

程なくして、自分は期待通り『アイカツスターズ!』を通してたくさんの「クリティカルヒット案件」と出会うことができた……のだけれども、いつの間にか、そんな「歌のタイプ」をそこまで気にしなくなっている自分に気が付いた。 

その理由として考えられるのは、楽曲や歌唱のクオリティの高さは勿論 (視聴後しばらくは『アイカツスターズ!』が歌唱担当システムを採用していることに気付かず、なんで皆こんなに歌が上手いんだ……!? と驚いていたりした。鈍すぎィ!) として、やはり最も大きいのは「作中で披露される歌こそが、ドラマにおける “回答” 」になっているという作劇だろう。 

それ自体はアイドルが題材の作品においては決して珍しくないのだろうけれど、こと『アイカツスターズ!』においては、その「ドラマの面白さ」も「歌と物語のシンクロニシティ」も頭一つ抜けたものばかり。結果「普段の自分ではあまりヒットしないであろう」歌も、本作を通して出会うと大好きになってしまう=「『アイカツスターズ!』の楽曲になると自分のストライクゾーンが広がる」という現象が発生。これまでよりずっと幅広い楽曲が「クリティカルヒット」することになったのである。

 

アイカツ☆ステップ!

アイカツ☆ステップ!

  • せな・りえ from AIKATSU☆STARS!
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まさに自分が危惧していた「アイドルソングらしいアイドルソング」なのにいたく気に入ってしまい、「何かがおかしい」と感じる最初のきっかけになったアイカツ☆ステップ』。  

(今改めてこの歌を聴くと、「グリッター」などのキーワードが散りばめてあるだけでなく、決して明朗なだけではないメロディや歌詞など非常に『アイカツスターズ!』の主題歌然ともしていて、だからこそ刺さったんだろうなと思う)

 

Summer Tears Diary

Summer Tears Diary

  • みほ・かな from AIKATSU☆STARS!
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第14話『真昼の決闘!』第15話『月と太陽』の物語で涙ぐんだところに夜空と真昼のデュエットで放り込まれたことで涙腺が爆発した『Summer Tears Diary』。 

一見切ないラブソングながら、その実どう聞いても「夜空と真昼の歌」になっているという作詞・作劇の妙で「『アイカツスターズ!』は歌の使い方も凄い」ということを最初に痛感させられた印象深い一曲。

 

Dreaming bird

Dreaming bird

  • ななせ from AIKATSU☆STARS!
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他の楽曲とは一線を画するハードな曲調をパワフルに唄い上げる『Dreaming bird』。 

ゆめたちとリリィの間にある大きな実力差を、物語に先んじて視聴者に「理解らせる」という重い役割を完璧にこなしていた(自分も見事に理解らされてしまった)こともあって、1年目の中でも特に印象深い一曲。淑やかで上品なリリィがこの歌を唄うというギャップも含めてカッコよすぎる……!

 

1,2,Sing for You!

1,2,Sing for You!

  • せな・りえ・みき・かな from AIKATSU☆STARS!
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「ローラがメインの主題歌」という時点で衝撃的だった『1, 2, Sing for You!』。 

爽やかで疾走感のあるメロディで元から好きな歌だったのだけれど、特筆すべきは何といってもローラの物語に寄り添ったその歌詞。中盤からの持ち歌だったこの歌が、その実1年目における彼女の歩みをそのまま歌にしたものだった (順番が逆かもしれないけれど) ……ということに気付かされた第48話『わたしだけの歌』の衝撃たるや凄まじいもので、「歌詞と物語と歌が噛み合うことで生み出す破壊力」をこれでもかと思い知らせてくれた。

 

スタージェット!

スタージェット!

  • せな・りえ・みき・かな from AIKATSU☆STARS!
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明るく快活な楽曲ながら、その歌詞はまさしく「真に迫った」ものになっていて……というギャップが特徴的な『スタージェット』。 

初披露時はゆめの問題が未解決 (『スタージェット!』は第34話『おしゃれガールレッスン』からのOP主題歌) ということもあって最初は戸惑いが先立ってしまったけれど、第36話『虹の向こうへ』で劇中初披露となった際のカタルシスや、この歌が「ひめの『スタートライン!』に対する、虹野ゆめの歌」なのだと気付いてからはすっかり大好きになってしまった。名フレーズしかない歌詞の中でも、「全てに意味があるのさ みんな不揃いだから 魅力的なんだね STAR JET☆彡」は特に染みる一節。

 

アニマルカーニバル

アニマルカーニバル

  • かな・みき from AIKATSU☆STARS!
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アイカツ☆ステップ』同様、可愛らしくポップな「アイドルソングらしいアイドルソング」である『アニマルカーニバル』。 

これも普段の自分には刺さらないタイプの歌だった……のだけれど、第45話『あこ、まっしぐら!』で初披露されたこの歌には「自分のファン=子どもたちへの純粋な感謝と愛情」と、その想いを歌に乗せるに至ったあこの成長が満遍なく詰め込まれていて、「聞いていてワクワクするような軽快な歌ながら、ライブシーンが涙なしには見られない」という稀有な体験をすることができた。2年目のあこが動物番組の看板MCを担当することの文脈……ッ!!

 

episode Solo

episode Solo

  • るか・ななせ・かな・みほ from AIKATSU☆STARS!
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もはや語るまい、な名曲『episode Solo』。 

1話のED主題歌として流れた際の「 (良い意味で) このアニメ、思ってたんと違うぞ……!?」というインパクトが印象的で、2年目でも「第25代S4」の象徴として使われ続けるというスタッフからの愛や、その格調高さとは裏腹の「孤独を恐れない 女の子がいる おんなじ勇気を持ってる 仲間がいる」という等身大の歌詞など、『アイカツスターズ!』を通してその味わいが深まっていくのが魅力的。

 

STARDOM!

STARDOM!

  • せな・りえ・みき・かな from AIKATSU☆STARS!
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「S4」に辿り着いたゆめが見渡す過去と現在、未来を謳う歌『STARDOM!』。 

歌詞は間違いなくゆめたちのものなのに、そのドラマチックで、切なさとパワフルさが同居した曲調は『スタートライン!』を踏襲するもので、まさにS4となったゆめと『アイカツスターズ!』2年目の開幕に相応しい一曲。歌そのものは勿論、「1年目の内容なくして生まれなかった歌」という、自分にとって理想的な「続編の主題歌」であることや、OP映像の素敵さも相まって作中指折りに好きな楽曲だ。

 

Bon Bon Voyage!

Bon Bon Voyage!

  • りさ/みほ from AIKATSU☆STARS!
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鮮烈な展開が続く2年目にあって、心弾むような楽しげな楽曲というセレクトが意外だった『Bon Bon Voyage! 』。 

癖になるメロディのサビや「どこまで行けるかなんて どこまで行ってみたいか次第でしょ」という『アイカツスターズ!』の核心を突く歌詞など魅力満載の歌だけれど、驚きだったのはこの歌が「ヴィーナスアークのテーマソング」のようであること。  

一見するとストイックでリアリスト、アイカツに情熱を注ぐ真意が見えずにいたエルザだけれど、その目的=エルザにとってのアイカツは「心弾む、未知への航海」なのだろうか。だとすれば、彼女の見え方も「アイドル海賊」という異名の意味するところも180度変わってきそうだが、果たして……?

 

Miracle Force Magic 〜ローラ Ver.〜

Miracle Force Magic 〜ローラ Ver.〜

  • りえ from AIKATSU☆STARS!
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フレッシュでひたむきなロックナンバーだった『1, 2, Sing for You!』に対し、より大人びた、それでいて変わらないエネルギッシュさを持つ『Miracle Force Magic』。 

開放感のあるメロディが「様々なコンプレックスから解き放たれたローラの心境」そのものを謳うようで聞くだけで幸せになれるのだけれど、この歌はそこに加えて「スパイスコードの先代ミューズ=ツバサから継承した歌」という唯一無二の背景を持っているのがたまらないポイント。

(ひめの歌に対して「自分の歌」を生み出したゆめ、という両者とこの点も対照的なのが面白い……!)

 

Message of a Rainbow

Message of a Rainbow

  • せな・ななせ from AIKATSU☆STARS!
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明るく快活、どこか『アイカツ☆ステップ』を思わせるメロディながら、「世界を照らす」だけでなく「包み込み、癒やす」ような暖かさも持ち合わせた、成長したゆめそのものとも言える楽曲『Message for Rainbow』。 

これまでの楽曲とは異なる、独特の(どこか癖になる)テンポ感は、さながらその自由さで多様性を謳うゆめのブランド=「レインボーベリーパルフェ」そのもののようでもあり、第73話『虹のドレス』とのシンクロニシティもあって一度聴いたら忘れられない歌になっていた。『アイカツスターズ!』の「明るいのに泣ける」歌の多さよ……。

 

 

……と、このように、もはや自分の「好みのタイプ」であるかどうかを超越してどれもこれも大好きになってしまった『アイカツスターズ!』の楽曲群。しかし、本作は更にそのBGM=音楽クリエイティブチーム「onetrap」が手掛ける劇伴もまた、一度聞いたら忘れられない名曲揃いだった。

 

 

本作を代表する楽曲であり、所謂「変身BGM」。2年目ではより重厚にパワーアップしたアレンジ版が用いられて大盛り上がりしてしまった『SHINING ROAD』。

 

第15話における真昼と夜空、第73話におけるゆめと小春……と、和解シーンで使われる印象が強い、問答無用の泣かせ曲こと『月と太陽』。

 

所謂「勝利BGM」であり、文字通り「迷いを振り切った」ゆめたちの笑顔や奮闘を度々彩っていた『迷わぬ心』。

 

『スタートライン!』のアレンジというだけでも破壊力抜群なのに、「劇場版におけるゆめとローラの仲直り」「第49話における、ゆめ、ローラ、ひめの最後のやり取り」など、シリーズのターニングポイントをより感動的に演出してくれた『スタートライン! ~Next Stage Ver.~』……。

 

これらの歌や劇伴など、『アイカツスターズ!』の音楽面はどこもかしこも魅力的で粒ぞろい。そんなただでさえ魅力的な楽曲群に、同じく魅力的なシナリオが加わって更なる相乗効果を生み出す……。この「音楽と物語が高め合って生み出すカタルシスは、まさに本作の真骨頂と言って差し支えないだろう。 

(自分が第49話の後にサントラを即購入してしまったのも、前述の「第49話における、ゆめ、ローラ、ひめの最後のやり取りのバックに流れる『スタートライン! ~Next Stage Ver.~』が素晴らしすぎたから」というのが大きい)

 

 

『MUSIC of DREAM!!!』の衝撃

 

こうして『アイカツスターズ!』の楽曲に惚れ込み、「次はどんな楽曲に出会えるだろう」というワクワクが本作を視聴する大きなモチベーションとなっている自分に、先輩ファン諸兄が口々に囁く言葉があった。

 

(現状でこうなのだとしたら)『MUSIC of DREAM!!!』を聴いたらどうなってしまうんだ……」

 

『MUSIC of DREAM!!!』。予てから目にはしていた名前で、おそらく最後のOP主題歌なのだろうな……と思ってはいたのだけれど、誰も彼もが揃ってこの名前を「事案」として挙げる様には、どこか末恐ろしいものを感じてしまった。 

様々な好みを持つ皆の意見がここまで揃っているということは、それほどまでに「突出した何か」をこの楽曲が持っているということ。ただでさえ魅力的な楽曲が揃う『アイカツスターズ!』において、そこまで突出するとは一体どういうことなのか。この上がりに上がったハードルを『MUSIC of DREAM!!!』は本当に超えてくれるのか、諸先輩方より「アイドル」と縁遠いオタクである自分にも『MUSIC of DREAM!!!』は本当に刺さるのか――。 

正直ハードルを上げ過ぎて期待よりも不安が勝る状況下、「『アイカツスターズ!』の歴代OP・ED映像を総復習する」ことで更にハードルを爆上げしつつ (!?) 『MUSIC of DREAM!!!』の初披露回=第76話『妖精アイドル 双葉アリア』を鑑賞。そして――

 

 

完敗しました。  

自分の純粋な「好み」だけの話をするなら、『アイカツスターズ!』においてこの『MUSIC of DREAM!!!』は問答無用のナンバーワン。それほどまでに、この歌は自分の好みドストライクで、同時に確かな「別格」……もとい、もはや「別ジャンル」の歌に片足を突っ込んでいるようにさえ思う。


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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube

 

まずは何よりこのイントロ。開幕0.01秒、イントロが始まったその瞬間に自分の「敗北」と、なぜ『MUSIC of DREAM!!!』が別格とされるのかを直感的に悟ってしまって、思わず「アッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」と叫んでしまった。  

その原因は、件のイントロに感じるそこはかとない「違和感」。というのも、この短いメロディの中には「これまでにないシリアスなトーン」……あけすけに言ってしまうと、もっと別ジャンルの=「命のやり取りをするタイプの作品」の息吹が紛れ込んでいるように思えてならないのだ。


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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube

 

更に、このシーンで描かれているのは「朝焼け」。主に「星」がモチーフとして使われており、ゆめ自身の夢も「一番星」だった『アイカツスターズ!』における朝焼けとは、星が消え、新たな世界へと変わる瞬間=まさしく「新時代の幕開け」を予感させるもの。そこに立つゆめたち5人の姿には、ローラの敗北や、海外へ旅立ったままの小春……といった「思い残し」もなく、今度こそ「皆でハッピーエンドを迎える」ことへの期待が高まってくる。 

……のだけれど、実はこの朝焼けとその色合いはそもそも『1, 2, Sing for You!』の冒頭とそっくりだったりする。


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引用 (上) :TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube
引用 (下) :TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「1, 2, Sing for You!」ノンクレジット映像 - YouTube

 

微妙に色合いが違うので「偶然の一致」と言われたらそれまでなのだけれど、それにしてはこの『MUSIC of DREAM!!!』、全てが「偶然の一致」と言い張るには無理があるくらい多くの「過去のOP映像」のセルフオマージュらしきものが盛り込まれている。最後のOPなのでふんだんにオマージュを詰め込んだ、というのも十二分に考えられるのではないだろうか。 

例えば、このタイトルインでの5人の並び方。

 

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引用 (上) :TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube
引用 (下) :TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「スタージェット!」ノンクレジット映像 - YouTube

 

(決して珍しくはない構図なので) こればかりは流石に偶然の一致かもしれないけれど、それにしても『スタージェット!』時は「小春が不在」かつ「佇まいもバラバラだった」4人が、今こうして小春を加えた5人で綺麗に並んでいる光景は、それだけで胸に染み入るものがある……反面、その美しさが彼女たちの「ゴール」を物語っているようにも見えてしまう。開幕から「もうアイカツスターズ!が2クールも残っていない」という現実を突き付けるのはやめてくれェ!!


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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube

あぁ…大好きも大嫌いも
全部ほんとの私なんだ

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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube

 

イントロで盛大に盛り上げつつ、ここでひとまず閑話休題。この辺りのメロディはこれまで同様に穏やかで「日常」感溢れるもの。このエルザ様お美しすぎじゃありません…………? 

「大好きも大嫌いも 全部ほんとの私なんだ」という歌詞は一見意味深なようだけれど、これはゆめ自身が何かを好く、嫌うという話ではなく「自分の好きなところも嫌いなところも、全部自分自身」ということを指しているのではないだろうか。

( “虹色のアイドル” ゆめのソロバートにこの上なく相応しい歌詞……!)


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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube

スタートラインを飛び越えた
あの日から今も同じ夢を見ている

 

ここ、ここなんですよ……!!!!  

「スタートラインを飛び越えた」で画面に映る「あの頃の」ゆめ。こんなん叫ばずにおれます!?!?!? 

しかし、このシーンの真の恐ろしさは「過去のゆめが『スタートライン!』のOP映像ラストのゆめと全く同じかもしれない」ということ。早速比較してみると……。


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引用 (上) :TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube
引用 (下) :TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「スタートライン!」ノンクレジット映像 - YouTube

 

“同じ” じゃん!!!!!!!!  

「どれだけ成長しても、一番星を夢見るあの気持ちは変わらない」というのは、ゆめは勿論真昼と夜空などメインキャラの多くに当てはまるキラーフレーズ。その歌詞を背に、『スタートライン!』のゆめと現在のゆめが重なり合う……。ここまでの「来る」演出に加えて歌詞と映像が完璧以上にシンクロしているOP映像、誇張も世辞も抜きで初めて見たかもしれない……!  

更に、このシーンの「現在のゆめと重なる過去のゆめ」はどことなく『スタージェット!』冒頭のようでもある。


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引用 (上) :TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube
引用 (下) :TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「スタージェット!」ノンクレジット映像 - YouTube

 

一致してる……気がする……! 

『スタートライン!』ほど自明ではないけれど、『アイカツスターズ!』はそういう演出を平気な顔で放り込んでくる作品なので、どうにも単なる気のせいとは思えない……し、事実はともかく『スタートライン!』と『スタージェット!』のゆめが今のゆめと重なり合う演出だとしたら、尚のこと良すぎません!?!?!?!?  

(余談だけど、このすれ違う画に『烈車戦隊トッキュウジャー』第32話『決意』を思い出してしまうのは自分ではない、はず……!)


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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube

 

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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube

傾きだす太陽に
追いつきたくて走るよ  

太陽が傾いているのを追っているのではなくて、走り出している自分自身がもう「新しい太陽」だからこそ太陽が傾いているんじゃないか、と思わされる一節。「スタートラインを越えるその瞬間が一番大切で、それさえできたなら、もう運命は動き始めている」というこの底抜けにポジティブなメッセージをここまでドラマチックに言ってのけるのも『アイカツスターズ!』の魅力だろう。


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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube

心にしまいきれない想いがある  

ひめが「見上げられる」のではなく「見上げる」立場、かつ歌詞が「心にしまいきれない想いがある」なのが示唆的なパート。


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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「スタージェット!」ノンクレジット映像 - YouTube

 

スタージェット!』では同じアングルながら俯いているひめの画があったけれど 当時に比べて今は「ゆめの “不思議な力” の一件が解決した」「そのゆめが、自身の友人兼ライバルとなった」「S4が交代した」「アリアという、ブランドを託せる相手を得た」という状況。彼女の晴れ晴れとした表情は、それら様々なプレッシャーからの解放と、旅を経て答えを見付けたことによるもの=彼女がステージに舞い戻る布石のように思えるし、(本人が自ら望んでいたとはいえ) 過酷なアイカツに励んでいたひめが、最後までアイカツに愛を持ち続けてくれる (であろう) ことが本当に嬉しい……!


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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube

あこがれに震える 

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引用:TVアニメ『アイカツスターズ!』OPテーマ「MUSIC of DREAM!!!」ノンクレジット映像 - YouTube

-音- が生まれる  

これまで和やかだった曲調が、エルザの「太陽のドレス」(初御披露目がOP映像、というのがあまりにラスボスすぎる……!) と共に一気に転調する緊張感……! 「穏やかな日常と、ヒリつくような / 命懸けもかくやという勝負のドラマの両立」によるギャップこそが『アイカツスターズ!』の魅力だけれど、この転調はまさにそんな作風を歌で表したものだろう。  

サビ前を明朗な堀越せな氏 (ゆめ) のソロパートとし、星咲花那氏 (真昼) と未来みき氏 (あこ) を挟み、「心にしまいきれない」「想いがある」「あこがれに震える」という3フレーズをクールな歌声の藤城リエ氏 (ローラ) に引き継ぐことでテイストをガラリと変え、右肩上がりに高めたボルテージを「-音- が生まれる」斉唱+ゆめのレインボーエトワールコーデで一気に爆発させてサビに引き継ぐ、ここのワクワク感が大ッッ好き……!!

 

まだ見ぬ私のことを 信じてくれるひと
あなたに届けたい 音楽を奏でよう  

そしてこの、このサビッ……!!!!!!!!  

熱くて綺麗でドラマチックで、切なくてシリアスでハードで重厚で、全部ひっくるめて「カッコ良すぎ」ませんか!?!?!?!? 好き!!!!!!!!!!  

けれど、そんな「アイドルソング」のギリギリを攻めるような曲調も、今尚シリーズの異端児と呼ばれ「アイカツ!シリーズで人がしぬとしたらアイカツスターズ!しかない」と物騒極まりないことを言われる『アイカツスターズ!』ならではと考えると感慨深いものがあるし、最後の最後だからこそ全てを振り切って「らしさ」を詰め込んで生まれたのがこの歌なのかもしれない。自分はそんな『アイカツスターズ!』だからこそハマったのだろうし、であればこの歌がクリティカルヒットするのも当然と言えば当然なのだろうと思う。

 

差し出された手のひらに  

サビが二度繰り返されて、ただでさえ熱いサビが更にボルテージを上げる歌、大好きなんですよ……! 

BNP公式様からYouTubeにアップされている『MUSIC of DREAM!!!』のサビ以降は、諸先輩方曰く「自分がまだ見てはいけない」らしいと聞いているのでキャプチャは貼り付けられないのだけれど、このサビ (2周目) の画が全部、全部良い……!! 

まずはひめ、アリア、ゆめ。この3人については、アリアの本格参戦エピソード=第76話『妖精アイドル 双葉アリア♪』において、ゆめが「アリアがひめからブランドを受け継いだ」ことに対し、どこか呆然としている (困惑している?) 様子だったこともあって、その先行きが少し心配だったのだけれど、ここでひめとゆめがアリアを挟んで幸せそうに笑っている姿で一安心。そういえば、アリアも「不思議な力(物理)」を持っているので、この3人は「不思議な力」トリオでもあるんですね……!(両端が重すぎるゥ!!)

 

雲ひとつない空に  

ここのゆずリリが、2人並んで「大規模な」「野外ステージに」「お揃いのドレス」で立っているのが、もう、ね……!! 

しかも (自分も先輩に教えられて初めて気付いたのだけれども) 、彼女たちのドレスはお互いのイメージカラーが差し色になっている=リリィのルアンマーチングコーデにはゴールドが、ゆずのオレンジマーチングコーデには黄緑色のアクセントがあるというこだわりぶり。スタージェット!』や『STARDOM!』でも2人で映っているなど公式に愛されていた2人だけれど、ここに来て「2人でステージに立つ」ことを前提としたコーデをゆずとリリィが纏い、観客に手を振っている……というのは、(これも単なる偶然かもしれないけれど)どうしても「お別れ」感が強くて胸が詰まってしまう。  

聞くところによると『アイカツオンパレード!』というアイカツシリーズのクロスオーバー作品があるらしいけれど、ゆめは間違いなく出るとして他の面々がどこまで出てくれるか分からない=彼女たちとは本当に「これでお別れ」になってしまう可能性が高い。そろそろ覚悟を決めておかなければならないのかも……嫌だ……。

 

ひたむきな強さで  

で、気になるのがここのカット。 

このサビでは「ゆめ×アリア×ひめ」「ゆず×リリィ」「真昼×夜空」、次に控える「ローラ×ツバサ×あこ」と四ツ星側メインメンバーが勢揃いするけれど、唯一小春だけがこの中におらず、その上で真昼の右には不自然な空きスペースがある。ひょっとして、ここから小春と真昼、夜空の間で何か大きなドラマがあり、その上でOP変更→ここに小春が加わるのではないだろうか。  

第71話『さよなら、小春ちゃん!?』で彼女が語った夢の中には、彼女が「ゆめのプレミアムレアドレスを作る」ことだけでなく「自らも、そんなゆめの隣に立つ」ことも含まれていた。
美組のアイドルとして、当初の目標だった夜空、そして美組のライバルでもあった真昼と彼女にもう一つドラマが生まれる可能性は十分にあるし、その上でこの夜空と真昼の間に小春が加わるようなことがあれば涙せずにはいられない。報われに報われたローラのくだりを踏まえると、『虹のドレス』で報われた小春が更に報われる可能性は十分に考えられるが、果たして……?

 

輝きをわたそう

勇気よ星になれ  

見れそうで実は (おそらく) 第67話『夏だ!プールだ!宝探しだゾ!』ラストの一枚絵でしか見ることのできなかった (それも真昼、夜空に挟まれてのものだったので、文字通りのスリーショットは初……!?)「ローラ×ツバサ×あこ」の3人組! 

S4の地位にしか興味がなかったあこ、そもそもツバサとの接点がなかったローラ……という3者の並びは、ある意味では最もドラマチックに本作の「積み重ね」や、組という縛りがなくなったことで様々な関係性がクローズアップされていった2年目の醍醐味が表れていると言えるかもしれない。  

しかも、この3人 (というかローラ) に自撮りでメッセージを送っているのは他でもない真昼&夜空。さらっと真昼×ローラを拾っている製作陣の抜け目なさには頭が上がらない……ッ!

 

あぁ…やりきれない日もあるさ
頑張ることは楽しいけど  

2番は、1番とは打って変わって堀越せな氏 (ゆめ)・藤城リエ氏 (ローラ)・未来みき氏 (あこ)・星咲花那氏 (真昼) の4人が均等に振り分けられており、やっぱり1番の特殊なパート分けは狙って作られたものみたいだな、と嘆息しつつ、注目すべきはその歌詞。「やりきれない日もあるさ」で始まって「頑張ることは楽しい”けど”」に続く歌が主題歌の女児アニメ、何!?(それが『アイカツスターズ!』だよ!!!!)

 

きれいな夢に疲れたなら
思い切り声をあげて泣いてみようよ  

ここで星咲花那氏 (真昼) から藤城リエ氏 (ローラ) へバトンタッチ。『アイカツスターズ!』主題歌は「1番に比べ、2番の歌詞が非常にシビアで切実」な傾向があるけれど、この『MUSIC of DREAM!!!』も例に漏れず歌詞が痛切。「この歌詞そのままの台詞を、1年目のローラに言い聞かせているアンナ」という場面が、さも本当にあったかのように目に浮かぶのは自分だけではないはず……!

 

間違いを知らなければ 本当なんて見えない  

歌詞と内容の親和性と言えば、このパートを未来みき氏 (あこ) が歌っていることも見逃せない。 

皆それぞれに挫折や苦難を味わってきたゆめたちだけれど、こと「間違い」と言えばやはりあこだろう。2年目の今となっては忘れてしまいそうになるけど、1年目のあこは「アイドル」を「手段」として見ており、ファンの気持ちという一番大切なものを見落とし続けていた。そんな「間違い」を知ったからこそ、自分の「本当」に目指すものを見付けられたのが早乙女あこであり、このたった1フレーズに詰まったあこの成長に改めて感慨深くなってしまう。

 

弱さを隠す理性は捨ててしまえ
感情に揺らめく 
-歌- がはじまる  

続いて堀越せな氏 (ゆめ) にバトンタッチ。 

思えば、1番はサビ前の一番イイ所を主人公=ゆめではなくローラが歌っていた訳で、これも中々レアなケースなのでは……と思うのだけれど、アイドルコンテンツ界隈ではその辺りどうなのだろうか。 

少なくともここでは「ローラもまた主人公」として扱われていることが嬉しいし、歌詞や歌の構造に合わせて各ボーカルが的確に力・持ち味を発揮できるようにという作り手のこだわりを感じるところ。 

それはこのパートも例外ではなく、堀越せな氏=ゆめだからこそ「弱さを隠す理性は捨ててしまえ」という歌詞が際立っているように思う。誰より純粋に、理屈ではなく心でアイカツに励んできたゆめだからこそ、この言葉をここまで堂々と叫ぶことができるのだろう。

 

未来を走る背中に いつかの約束に
胸を張れるように 私らしくいよう  

「夢を叶えた未来の自分にも、夢を叶えると誓った過去の自分にも胸を張れる在り方を」という『アイカツスターズ!』を飛び越えて見ているこちらの胸を鋭く抉るフレーズ。あらゆる展開やフレーズが「刺さる」のが『アイカツスターズ!』の歌だけれど、この一文はとりわけ刺さるものがある。文字通り、未来や過去の自分に胸を張れる生き方をしたいと思う……というのは勿論だけれど、それ以上に「らしくない生き方」をして一番後悔するのは他でもない自分自身なのだ。

 

追いかけてくる光を 導くひとになれ
新たな幕開けは すぐそばに来ている
信じた 道をゆけ  

『STARDOM!』よろしく、ゆめたちが「導く」側となったこと、そしてその先の未来を示唆するようで、美しいからこそ儚さも感じるフレーズ。「アイドルは永遠でないからこそ美しい」というのは分かっているけれど、ここまで彼女たちを追い続けてきた身としては、その成長の喜び以上に「寂しさ」があるんですよ……! 

一方、「新たな幕開けはすぐそばに来ている」も「信じた道をゆけ」も、きっと「導く」側と「追いかける」側の両方に言えること。 

思えば『アイカツスターズ!』は「夢を叶えたその先」を描く作品でもある。夢を叶えたら次の夢がある。夢を手渡され、夢を叶え、夢を手渡し、また夢を手渡される。夢と共に生きていくのが人生なのだろうし、シビア・過酷なドラマであるにも関わらず「自分もそう在りたい」と思わせてくれるその眩しさと優しさは、まさしくこの作品の「唯一無二」なのではないだろうか。

 

いつか完璧へと たどり着いたとき
同じ仲間と 同じ景色を
見れたら 最高だよね そうでしょう!?
暗い空を 飾り付けるような Starlight  

「勝負」を根底に描いてきたことで、その美しさだけでなく残酷さも描いてきた『アイカツスターズ!』。その主題歌が、ここに来て「 ”一番” はひとりぼっちじゃない」と言ってくれることに大きな意味を感じてしまう。 

現状「並び立つ者がいない ”完璧” =パーフェクト」であり、夜空がそれをして「孤独」と評したエルザ。2年目はやはり、そんなエルザをゆめたちが解き放つ=歌詞通りの「いつか完璧へと たどり着いたとき同じ仲間と 同じ景色を見れたら 最高だよね」と彼女に伝える物語になっていくのかもしれないし、ゆめたちが彼女を超えたとしても「エルザに代わって孤独な一番星になる」という訳でないことが裏付けられたようで、思わず安堵してしまった。

 

まだ見ぬ私のことを 信じてくれるひと
あなたに届けたい 音楽を奏でよう
差し出された手のひらに 雲ひとつない空に
ひたむきな強さで 輝きをわたそう  

1番の部分では触れられなかったけれど「こんなにも美しい歌詞があるのか」と衝撃を受けてしまったのがこのパート。  

思えば、『スタートライン!』では「光を手渡すように 繋いでいこう」という歌詞だったのに対し、ここでは「輝きをわたそう」になっている。無垢な少女を「雲ひとつない空」と形容する美しい言葉選びにも嘆息してしまうけれど、それ以上にゆめが「輝きをわたす」=次代へと光を渡して未来へ進んでいくフェーズを迎えることが、特にこのCメロ部ではゆめの真に迫るソロパートでこれでもかと強調されていて情緒がぐちゃぐちゃにされてしまう。

 

勇気よ 星になれ
La La La La La (La La La La) 
鳴りひびけ…Music!!!
La La La La La (La La La La) 
星のツバサで
La La La La La (La La La La) 
舞い上がれ…Music!!!
La La La La La (La La La La)  

けれど、そんな決断を下し、未来へ進んでいくゆめたちはあくまで「笑顔」なのだと、この最終パートがハッキリと示してくれる。 

歌だけでなく映像も熱い『MUSIC of DREAM!!!』だけれど、一番刺さってしまったのはやはりこのラストシーン。超作画で描かれる5人の屈託のない笑顔、からの「せーので! アイ、カーーツ!」で〆……! まるで最終回のラストシーンのような画に「最後のOP」らしさが詰まってしまっているのは言わずもがな、それぞれの艱難辛苦を乗り越えた5人が、それでも「最後にはこうして手を繋いで笑い合える」という示唆のようで、その嬉しさとこの上なく幸せそうな彼女たちの姿、ドラマチックなメロディと美しいコーラスとが合わさって何度見ても涙腺に響いてしまう。  

涙を誘うのは、小春が幹部になったことで服装のバランスも整い (これまではローラ一人だけ幹部服なことが、こちらの心持ちとしても、並んだ際のバランスとしても諸々均整を欠いていたように思う) 、この5人がいよいよ「5人で1つ」「在るべき形」のように描かれていること。そのことを何よりドラマチックに示すのが「5人で作る星」。 

元々はS4の決めポーズ (?) だったのが、5人だとそのものズバリ「星」になる……!これを最初に見た時は、その仕掛けそのものの衝撃もさることながら『アイカツスターズ!』は、本当にこの5人ありきの物語だったんだ……! と感じて嬉しくなった。これまでの全てのOP、ドラマを背負った上で「この上なく美しい /相応しい」ラストシーンだと思えるし、なんだろう、もう……

 

ありがとう、『MUSIC of DREAM!!!』!!!!!!!!!!!!

 

 

待ち受ける『MUSIC of DREAM!!!』の "真価"

 

ありったけの文字数で「好き!!!!!!!!!!」を言葉にしたつもりだけれど、それでもまだどうも文字に起こしきれていない感があるくらいにはドストライクの超絶大ヒット事案、『アイカツスターズ!』の面白さも相まって「これまで聴いてきた歌というデカすぎる枠」の中でも極めて上位に食い込むであろう『MUSIC of DREAM!!!』。 

しかし、今すぐに言葉に出しきる必要はないのかも……とも思う。なぜなら、この歌にはまだ「劇中での初披露」が控えているからだ。

 

 

これまで述べてきた通り、『1, 2, Sing for You!』や『スタージェット!』など、本作の楽曲群はいずれも物語との相乗効果によって圧倒的なカタルシスを作り上げていた。 

『MUSIC of DREAM!!!』は、最後のOP主題歌であることや、名前がそのものズバリ「ゆめの音楽」と読めることから、劇中で「ゆめのソロ曲」として披露されることがほぼ確定済み。そして「OP主題歌であったものが、作中の大一番で “持ち歌” として初披露される」カタルシスの凄まじさは、既に第36話『虹の向こうへ』が実証済み……。つまり、ただでさえ壮絶な『MUSIC of DREAM!!!』はその真の力 / 真価を未だ見せていないのである。怖。

 

そして「作中で『MUSIC of DREAM!!!』が流れる」ということは、当然「この歌が唄われるようなシチュエーション」がこの先で待っている、ということでもある。 

これまでとは異なる方向性の歌『MUSIC of DREAM!!!』が一体どのように披露されるのか、『虹のドレス』で大成を迎えた感もあるゆめにまだ「先」があるのか……。 

第78話以降、頻繁にシリーズベスト級エピソードが顔を出すという噂の『アイカツスターズ!』2年目後半を心して楽しみつつ、そろそろ本当に「終わり」への心構えを進めておきたい。

 

 

「おぉ~っ、綺麗な人だね!」
「誰かに似てない?」
「えっと……」
「「ああっ、分かった!」」
「次回、アイカツスターズ!『ようこそ パーフェクトマザー!』掴め、アイドル一番星!」

-「アイカツスターズ!」 第77話『花言葉にのせて♪』より