感想『アイカツスターズ! 87~89話』 5人の輝きと “二階堂ゆずの真実” に魂が震える、笑いと涙の「スターズ!」流年末年始

日本のオタク、虎賀れんとは言いました。「女児アニメに心を折られたならば、その救済もまた女児アニメでしか得られない」と。 

そう、アイカツスターズ!』に心を折られたならば、その救いもまた『アイカツスターズ!』にしか有り得ない。

 

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第86話『涙の数だけ』という「事案」を叩き込まれた自分は、数分ほど頭を抱えて、深呼吸して、それはそれとしてそっとU-NEXTの再生ボタンを押した。第87話のサブタイトルは『ありがとう♪メリクリ!』。どう考えても日常回なこのエピソードに救いを貰わなければ、到底穏やかな睡眠を得られる気がしなかったからだ。 

ところが、その選択が間違いだった。まさかクリスマス回であんな爆弾が叩き込まれ、更にお正月でもとんだ危険物が投げ込まれ、致死量のゆずリリも飲まされ、その果てに「二階堂ゆずの真実」という劇薬で溺れることになるだなんて、その時はこれっぽっちも思っていなかったのである。  

以下は、そんな劇薬で吹き飛んだ情緒をかき集めた15000字。明らかに最終章開幕の予感しかしない第90話に備えて、第87話~第89話で描かれたトピックの数々を振り返っていきたい。

 

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(第85話以前の感想は、こちらの記事か『アイカツスターズ!』タグからどうぞ!)

 

《目次》

 

 

第87話『ありがとう♪ メリクリ!』ー 視聴者へのクリスマスプレゼント

 

自分が今回見たのは、第87話『ありがとう♪ メリクリ!』から、第89話『星々のダイアリー』までの計3話。クリスマス回、正月回、総集編……という、まさに年末年始特有のイベント期間だ。 

たった3話ながらトピックが山盛りだったこの期間。中でも衝撃的だったのは、やはり第87話『ありがとう♪ メリクリ!』における5人ステージだろう。

 

 

1年前のクリスマス回=第37話『トキメキ!クリスマス』といえば、直前の第36話『虹の向こうへ』で「不思議な力」を克服したゆめが、S4のクリスマスライブに行かずに自らクリスマスイベントをプロヂュースする……という、まさに彼女の成長を物語る印象的なエピソード。 

その1年後となる『ありがとう♪ メリクリ!』では、昨年の立役者であるゆめたちに市長直々のオファーが入り、ヴィーナスアークの面々も加わっての賑やかかつ「中々拝めない組み合わせ」でのアイカツが行われることになった。  

(ローラとアリア、あことレイ、真昼ときらら、というイレギュラーな組み合わせが続く中、ゆめのパートナーだけは変わらず小春であることに ”火” を感じてにっこりしてしまう。いいぞもっとやれ!!!!)

 

……しかし、問題はそのクライマックス。昨年同様にイベントのフィナーレ=クリスマスライブが始まろうとした瞬間、ゆめから文字通りの「爆弾発言」が飛び出した。

 

「よぉ~っし、皆揃ったよね。気合い入れて行こう!」
「「「うん!」」」
「皆頑張ってね、応援してるよ!」
「小春ちゃんも一緒に歌うんだよ?」
「えっ? で、でも、去年のクリスマスステージをした4人へのオファーだったし……」
「もし小春ちゃんが日本にいたら、絶対5人でステージしてたもん!」
「そうね!」
「ええ」
「当然ですわ」
「みんな……!」
「一緒にやろうよ、小春ちゃん!」
「……!うんっ!」

-「アイカツスターズ!」 第87話『ありがとう♪メリクリ!』より

 

小春のステージが解禁されたことで、第80話からはOP映像が変更。初めて見る「5人ステージ」に情緒が木っ端微塵にされてしまったけれど、これは本編でも見れるってことでいいんですよね……ッ!?

引用:感想『アイカツスターズ! 78~85話』 “パーフェクト” とは何か。回り出す歯車と、闇を切り払う「騎咲レイの誓い」 - れんとのオタ活アーカイブ

 
ま、まさか……「やってくれる」のか……!?

 

「じゃあ行くよ……!聖なる夜にっ!」
「「「「「届け、私たちの歌!!」」」」」

-「アイカツスターズ!」 第87話『ありがとう♪メリクリ!』より

 


 
や、やったアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!  

5人がフィッティングルームに立っているところで既に「オ、オアア……」と声にならない呻きが漏れていたし、バンクに入った瞬間は太もも辺りをドラミングしながら凄まじい雄叫びを上げていた。完ッッ全に不審者だった。  

「身体は離れていても、心はずっと5人一緒だった」ことを示す掛け合いからの、待ちに待った5人同時変身……!! それだけでも『仮面ライダー555』第40話や『仮面ライダー剣』第45話を思い出してしまうような凄まじい盛り上がりだったのに、決めポーズはなんと5人勢揃いのスペシャル版! この作品を追いかけてきて本ッッッッ当に良かった……!!!! 

そこから流れ出す歌は、勿論昨年同様の『We wish you a merry Christmas AIKATSU☆STARS! Ver.』……に、小春の歌唱担当・松岡ななせ氏が加わった『We wish you a merry Christmas AIKATSU☆STARS! 2017 Ver.』!!「待ってた!ずっと待ってた!」というコーラスに「ず“っ“と“待“っ“て“た“!!!!!!!」と叫び散らかしたことはこの際勘弁して欲しい。ずっと待ってたんだもの……!!  

(後追いの自分でさえこんなことになってしまうのに、これをリアルタイムで浴びたファンたちは無事で済んだの……!?)

 

4人と並び、お揃いのスクールドレスで歌う小春の姿にひとしきり感じ入った頃に歌はフィニッシュ。5人ステージの余韻に浸っていると、そこでゆめが一言……と、このやり取りで、5人ステージで決壊したはずの涙腺がまたも盛大に爆破されてしまった。

 

「不思議だね……」
「えっ?」
「皆さんに感謝の気持ちを伝えようと思ったイベントなのに、逆にありがとうって言われてる」
「想いって、伝染するのかしら」
「きっとそうだね……」
「そうだ! 私、大切なこと忘れてた! ……みんな、いつも一緒にいてくれてありがとう。みんながいるから前に進めるし、輝けるんだ! ホントにありがとう!」
「お礼を言いたいのは私の方だよ!みんなのおかげで、素敵なクリスマスになったよ。どうもありがとう」
「改めて言うの、照れるけど……私だって、ありがとうの気持ちでいっぱい」
「いつもありがとう。私も、みんなの存在がとても大事よ」
「私だって、同じこと思ってますわ……。えっと、その……ありがとう、って……」
「「「「んっ?」」」」
「ありがとう、ですわっ!!」

-「アイカツスターズ!」 第87話『ありがとう♪メリクリ!』より

 

主人公たちが「ありがとう」の言葉を交わす……という、シチュエーションだけ見れば決して珍しくないハズのこのシーンが、どうしてこんなにも胸に来るのだろう。 

「この5人が揃っていなければ、誰一人としてここまで辿り着けなかった」ことへの感慨深さか。 

アイカツスターズ!』の主人公が「この5人」だと改めて示してくれたことへの感謝か。 

どれだけ成長しても、変わることのない彼女たちの原点 / 絆への安堵か……。 

いや、きっとこればかりはそんな小難しいことでも込み入ったことでもないと思う。様々な困難にぶつかり、何度も涙してきた彼女たちが、誰一人欠けることなくこの場に揃い、心から「幸せ」であること。かけがえのない存在として、深い愛情で繋がり合っていること。その嬉しさと「そんな景色を、もう数えるほどしか見ることができない」ことの悲しさとで胸がいっぱいになってしまうから、自分はこのやり取りにどうしようもなく泣かされてしまうのだと思う。

 

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あことかなたの「メリークリスマス」

 

こうして、凄まじいサプライズを見せてくれた『ありがとう♪メリクリ!』。クリスマス回に救いを求めていた自分はものの見事に救われてしまったのだけれど、本エピソードではもう一つ、それはそれは凄まじい「救済」があった。久々にして超特大の「かなあこ」事案だ。

 

 

M4の一人=吉良かなた。第17話『本気のスイッチ!』以降、彼は第32話『進め!ゆずこしょう!』や第45話『あこ、まっしぐら!』、第61話『好き!って気持ち』などで度々あこと関わっては、その度に「素直じゃない」フォローによって、彼女のアイカツやすばるへの恋路を陰ながら支え続けていた。 

明言こそされていないけれど、おそらくかなたがあこを気にかけた最初のきっかけは「素直になれず、不器用なあこが(かつての、あるいは今の)自分とそっくりだった」こと。第17話『本気のスイッチ!』でのアドバイスは、彼からすればちょっとした「お節介」に過ぎなかったのだろう。 

しかし、そこからもかなたとあこの縁は続き、いつの間にか「かなた自身からあこのライブを見に行く」ような場面も見られるように。かなたは中々感情を表に出さないので実際のところは分からないけれど、彼はあこのことを気に掛けるうちに、自分自身がその成長と輝きに魅かれるようになったのかもしれない。  

(第61話では、あこの「あなたに女心なんて分からない」という言葉にほんの僅かだが動揺した素振りを見せている。少なくともこの時点ではあこに対し特別な感情を抱いていたのだろう)
 
けれど、当のあこはあくまですばる一筋。彼女にとって、かなたとはあくまで「口うるさいお節介焼き」だ。あこは (似た者同士だからか) かなたの行動が「善意から来るもの」だということを本能的に感じ取っているのか、彼を本気で拒絶することもなく、友人のような関係性にこそなっている……ものの、その関係はあくまで進展の見込めない「友人」止まりが続いていた。 

その盲目的なまでの一途さもあこの魅力で、そんなあこだからこそかなたも惹かれたのだろう……と思うと、あこがかなたに振り向かないのもやむを得ないかもしれない。とはいえ、かなたの「見返りを求めない優しさ」=あこの為に、その恋路さえ支えてみせる「無償の愛」はガツンと胸を打つものがある。彼に報われてほしい、あこと一緒に幸せになってほしい……と、そう願わない方が無理な話だろう。

 

また、もう一つ「あことかなたが結ばれてほしい」と願ってしまう大きな理由がある。「あこがすばるに振り向いて貰えないことがほぼ確定的」であることだ。

 

どんなにあこがすばるから賞賛されても、どんなに友人として交流する機会を得たとしても、悲しいことにあこの想いが成就するビジョンは一向に見えてこない。 

さっぱりした性格のすばるは、自分に理想を見すぎているあこからの想いには応えあぐねてしまうだろうし、そもそも当のすばるは明らかにゆめに惹かれているし、そのまま2人がパートナー関係になったらあこの理想はご破算だ。 

とはいえ、仮にすばるがゆめに振られた上であこと付き合うようなことがあったとしても、生真面目で優しいあこはゆめへの想いを引きずってしまうすばるの姿に「自分ではすばるを幸せにできない」という現実を悟って自ら身を引いてしまいそうでさえある。結果、少なくとも自分には、あこの理想は現時点で完璧に「詰んでいる」ようにしか見えないのだ。 

引用:感想『アイカツスターズ! 31~50話 (1年目最終回) 』早乙女あこ編 - アイドルとして、ファンとして。あこの掴んだ “譲れないもの” - れんとのオタ活アーカイブ

 

上記のように、どうにも「詰み」状態に思えてしょうがないあこの恋路。そのまますばるに突撃して涙する前に、どうかすぐ側にいる理解者に気付いてほしい……けれど、それをあこが望んでいるのか!? という葛藤もあり、2人の背中を押す「自然な “きっかけ” 」が生まれないものか――と祈るまま、気が付けばもう作品は終盤も終盤。あこにはきららという素敵なパートナーもできたし、このままあことかなたの物語が進展なしで終了する可能性も十分あるな……と覚悟を決めていた、そんな矢先に「事件」は起こった。

 

「M4が解散。ありえませんわ、そんな……すばるきゅんはどうなるんですの? そして、あの人は……っ! なんですの、今のは? 私はすばるきゅんだけなのに、どうしてあの人のことを……」
「何ブツブツ言ってんの? さっき盗み聞きしてただろ、悪い子だな」
「そ、そっちこそ! 勝手に解散するなんて酷いですわ!」
「んっ?」
「どうして何も言ってくれなかったんですの!? 解散したら、もう……あなたとは、会えなくなるんですの……?」
「え? ……ごめん。M4は解散しないよ」
「え? でも、離れ離れって……」
「解散じゃなくてソロデビュー。すばるとのぞむはアジアへ進出、あさひは俳優業に専念。俺はキャスターに挑戦する」
「ソロデビュー……ってことは!」
「俺に会いたい時は、いつでも」
「なぁ……っ! んん~~~っ! ふにゃあぁ~~ッ!! よくも騙しましたわね!」
「別に、俺は嘘をついた覚えはないけど?」
「とにかく! 前言撤回ですわ、吉良かなた! 二度と私の前に現れないでっ! さようなら!」
「……メリークリスマス、早乙女あこ!」
「……メリークリスマス」

-「アイカツスターズ!」 第87話『ありがと♪メリクリ!』より

 

・あこがすばるに振られてからかなたに行くと、かなたがすばるの「代わり」のようになってしまう→すばるに振られるより早く、あこ自身にかなたへの気持ちが芽生える  

・あこがかなたのことを好きになってしまうと、あこが「一途」でなくなってしまう→誰よりもあこ自身がそのことを自覚して葛藤する  

・2人には結ばれてほしいけど、このやいのやいの言い合う関係から急に変わるのは不自然→あこは無意識に「吉良かなた」の名前を呼んでしまい、かなたは想いを込めて「早乙女あこ」の名前を呼ぶ  

・あこの様子を受けて、理屈ではなく気持ちで出てきたであろう、かなたの「ごめん」 

・初めて交わしたお互いの「素直な気持ち」「メリークリスマス」

 


ありがとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!アイカツスターズ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!

 

 

第88話『お正月だゾ☆全員集合!』ー 涙のファンサと崩壊する倫理

 

こうして、小春たちの「5人同時変身」+「5人ステージ」と「特大かなあこ」によってオタクの情緒を焼け野原に変えてしまった第87話。そのせいで自分はしばし気付かなかったのだけれど、同話での5人ステージは、おそらく「ゆめ、ローラ、小春、真昼、あこが揃って行う(少なくとも作中の描写上では)初のアイカツ」。それはおそらく、5人並んでの変身シーン+ステージを際立たせる為に敢えて封印してきたからなのだろうと思うし、この瞬間を大切にしてくれた製作陣には本当に頭が上がらない。 

けれど、いざ解禁したのなら「もっと見たい!!!!!」と欲張ってしまうのがファンの性。そして、そんな気持ちにすぐさま応えてくれたのが第88話『お正月だゾ☆全員集合!』だった。



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冒頭で「新年挨拶」を務めるゆめ、ローラ、真昼、あこ、そして小春。なんだか当たり前のように受け止めてしまったけれど、この挨拶は作中の「TV番組」。四ツ星のニューホープ組であり、昨年も挨拶を務めていたゆめ、ローラ、真昼、あこがいるのは当然としても、そこに小春がいる……というのは、彼女自身の人気だけでなく「もしかして "5人での人気" が高まってる……!?」と勘繰ってしまう。  

ローラたちの掛け合いからすると、彼女たちはどうやら「この5人でたくさんの録画をこなした」様子。これまでは「5人でのアイカツ」が描かれることはなかったので、もしかすると前回のクリスマスステージをきっかけに「“5人組”としての人気」が高まっているのかもしれないし、5人でいる時が一番キラキラしている彼女たちを見ればそれも納得というもの。 

けれど、そんな5人の輝きは「本作が間もなく終わってしまう」ことの象徴でもある。楽しそうな5人の姿、5人の成長への感慨深さ、彼女たちが今ここで並べていることの幸せ、そして「もうすぐ彼女たちとはお別れ」という寂しさ。それらいろんな感情が高まりすぎて、クリスマスステージ同様に「新春アイドルかくし芸カーニバル」のシーンでいつも涙してしまうのは自分だけだろうか。

 

Bon Bon Voyage!

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新年の生放送出演を一手に引き受けて倒れてしまったゆず。彼女の代打にゆめ、ローラ、小春、真昼、あこの5人が駆け付けると、『Bon Bon Voyage!』をバックに、彼女たちのスペシャル番組『新春アイドルかくし芸カーニバル』が幕を開ける。 

神妙な表情で、プロ顔負けの瓦回し (!?) に挑む真昼。けん玉に苦戦しつつ、しっかりと美しい技を決めてみせるあこ。例のコスチュームでダイナミックな書き初めを披露するローラ。第2話『ふたりはライバル!』で失敗した手品を今度は見事成功させる小春、コマを回そうとしたら頭に乗っかってしまうゆめ……。どれもこれもが、彼女たちの「変わっているけど、変わっていない」素敵な成長ぶりを感じさせるもので、「爽やかでどこか切なくもあるサビを背に、笑顔で揺れる5人」という絵面もあって、まるで走馬灯か卒業式かのよう。  

「いつまでも見ていたい」日常は、それがいつまでも見れるものではないからこそ美しい。そのことを痛感してしまうからこそ、自分はこのシーンで涙せずにはいられないのかもしれない。

 

……などとしみじみ浸っていたけれど、直後、そんな自分の「寂しい」が甘々も爆甘であることを思い知らされてしまった。「彼女たちとの別れ」に誰より苦しんでいるのは他ならぬ『アイカツスターズ!』製作陣自身であり、そんな彼らが「オレたちの方がもっと寂しいんだよ!!!!!!」とお出ししてきた代物は、なんかもう一周回って心配になってくる世紀末のような絵面の数々だった。

 

小学生のゆめ&真昼(何!?) 

悪ガキ口調のわんぱく小僧ローラ(何!?!?) 

委員長あこ(わかる~) 

頭から花が咲くアリア(わかる~) 

髪を下ろしたダウナー女子きらら(何!?!?!?)

如月弦太朗 不良学生レイ(何!?!?!?!!?!) 

ポニテメガネ女教師リリィ(何!?!?!?!!?!?!?) 

セ ク シ ー 保 健 教 師 七 倉 小 春( お し ま い )

 

 

気が!!!!!!!狂う!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

いやもう、何でしょうねこのパート。面白過ぎて大興奮だったけど、それと同じくらい製作陣が心配になってしまった。こんなに「癖」出して各所から怒られない!?!?  

元から子犬めいているゆめに小学生の恰好……というのは異様に似合ってしまっているので良いとして(良くないが!?)、問題はその隣にいる真昼。第75話『香澄家の休日』などでお馴染みなように、真昼の魅力と言えばその「真っ直ぐでしっかり者」な一面と、年相応の幼さのギャップ。そんな真昼に「こういう格好」をさせるたァ……この作品、自分が「ハリネズミ事案」で死屍累々の焦土を作り出したことへの自覚がないのかなァ……!?!?

 

 

そんな2人に続いて現れたのは、鼻に絆創膏、前後反対にかぶった帽子と、いかにもな「わんぱく小僧」コスチュームフルセットのローラ。 

確かに、ローラには「ゆめの旦那」だの「イケメン」だの「実質主人公」だの何だの言ってきたけれど、それとこれとは話が別、シンプルに可愛いのは勿論だけど、このローラは「男だと思っていたら成長して物凄い美人になり女性だったことが発覚する幼なじみ」概念を纏っている。やめろォ!!!!死人が出るぞォ!!!!!!

 

とか何とか言っている間もなく、次々と休みなく現れる刺客たち。 

委員長早乙女あこと、頭から花を生やす電波っ娘アリアは 本編とさほど違いがないので 耐えられたけど、ダウナー系女子花園きららはダメだった。無理すぎる。髪を下ろした姿が可愛すぎるし、きららが体調不良になるのを「あこが保健室に連れていく」というシチュエーションも「最高」が過ぎる。花園きららァ!!!!!!早乙女あこにどんどん依存していけェ!!!!!!!

 

更に、そこからタガが外れたかのように現れる不良学生騎咲レイ。「不良学生騎咲レイ」!?!?!!?!?  

小学生なのに学ランリーゼント、「実に興味深いぜ」というなんかもう味わい深すぎる口癖……。明らかにスタッフの「癖」が出ていてニヤニヤしてしまうけれど、それらはこの際どうでもいい。おい製作陣!!!!!!!とうとう我慢できずレイに「男装」をさせたなッッッ!?!?!?!?!?!?!?!?

 

ポニテメガネ女教師リリィも「スタッフに上田麗奈のオタクがいる!!!!!」と一瞬で悟ってしまうくらいには「魂」が乗っていたけれど、それさえも霞む勢いで全部持っていく「セクシー保健教師七倉小春」ですよ。「 (自主規制) 」!!!!!!!!!!!!!!!!! 

第25話『ブロードウェイ☆ドリーム』で小春にはこの手のポテンシャルがあるとほのめかされていたけれど、それにしたって「保健教師」はあまりにピンポイントの絶対的な「正解」が過ぎる。性格的にこういう路線と縁がなさそうに見えて、その実「紫髪の儚げタレ目眼鏡っ娘」な小春は実際誰よりも「狂わせ」のポテンシャルを持ってるんだよなァ……!!!!! 保健室で偶然出会ってしまったファム=七倉=ファタール=小春先生に情緒と性癖を狂わされるイベントのない青春なんて何の価値もないわ!!!!!!!!!!!!!!(津田健次郎) 

 

落ち着こう

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もう一つの「幼なじみのふたり」

 

で。  

そんな第88話『お正月だゾ☆全員集合!』における本題とは、おそらく本編最後の「ゆずリリ」……というだけに留まらない、約1年前のエピソード=第42話『幼なじみのふたり』の「別側面」を描く物語だった。

 

 

「ゆずと一回限りのダンスユニットを組む」というプロデューサーの提案を受けるも、アクロバティック極まるゆずの前に次々脱落していく舞組エースたち。 

そんな中、最後の希望として白羽の矢が立ったのはゆずのパートナーことリリィ。「自分はゆずという太陽を曇らせてしまう」と一度は断るリリィだが、ゆめたちの言葉やゆずとの約束を受け、遂にステージに立つのだった――と、リリィが「ゆずに迷惑をかけ続けている」というコンプレックスと決別するストーリーだった『幼なじみのふたり』。その中でも、とりわけリリィにとって大きな意味を持っていたのがこの台詞だ。

 

「本当にありがとう、ゆず。あなたは子どもの頃から、私の太陽でした」
「んっ? それ逆だぞ?」
「えっ」
「小っちゃい頃から、色白で美人さんのリリエンヌは、ず~っとゆずの太陽だったから!」

-「アイカツスターズ!」 第42話『幼なじみのふたり』より

 

リリィは、このような「褒め言葉」をこれまでもたくさん貰ってきたのだろうけれど、きっとその多くは慰めや励ましも含まれたもの。 

対して、ゆずの言葉にはそのような「忖度」がない。いつも素直な気持ちを口にする、そんなゆずの言葉だからこそリリィをコンプレックスから解き放つことができたのだろうし、ゆずがリリィの手を引き、リリィがゆずに合わせての『アニマルカーニバル』は2人の「対等さ」を象徴するもの。それは、ゆめたち「主人公組」からは一歩引いた立ち位置のリリィだからこそ描けた「個性」の物語のエンディングに相応しいものだったように思えた。  

……だからこそ、自分は前述のゆずの台詞に「もう一つの意味」があることに気付かなかった。『幼なじみのふたり』は、この段階ではまだ「未完成」のエピソードだったのである。

 

 

「楽しいのが一番!」を口癖に、舞組不動のトップスターとして君臨する二階堂ゆず。一見すると非常に動物的で、時に「何も考えていない」ようにさえ見える彼女は、しかし作中度々「切れ者」らしい一面を発揮。このギャップこそが二階堂ゆず最大の魅力……なのだけれど、そんなゆずの「本心」は果たしてどこにあるのだろうか。  

大前提として、彼女がその言葉通り「深く考えて行動していない」というのは有り得ない。 

第5話『マイ ドレスメイク!』では、「ドレスの役割」に悩むゆめを見て「ゆめが自分のフィッティングを見に来る」ように誘導。答えを見付けた彼女の背中を嬉しそうに見守り、ミキからの「そんなに面倒見良かったでしたっけ」というツッコミに「全然分かんないゾ☆」ととぼける一幕があった。後にも先にも、最も分かりやすく「ゆずの真意」が見えたのはこのシーンかもしれない。  

他にも印象的なのは第31話『はばたけ、SKYーGIRL!』と第32話『進め!ゆずこしょう!』において、「小春との離別から立ち直れないゆめ」と「ゆめを励まそうと秋フェスに誘うも上手くいかないあこ」の2人を引き合わせるくだり。ゆず自身は「SKYーGIRLに負けたくないから2人を誘った」としか語らないが、その直前に「ゆめを誘うも断られるあこ」を目撃していたり、キラキラインを通してゆめに「待っているファンがいる」ことを伝えたりと、その目的が2人のサポートにあったことは明らか(打倒SKYーGIRLのため、というのも少なからず本音だったのだろうとは思う)。表面上は「あこと話をさせるため」だったすばるとの電話のくだりも、恐らくは彼こそがゆめを元気付けるのにピッタリの人物だと感じての「仕込み」だったのだろう。

 

 

このように「何も考えていない」風を装いながらも、周囲を気遣い深謀遠慮を欠かさないゆず。しかし、それはそれとして「本当に何も考えず本能で動いている」らしい場面も多く、一体どちらが本当のゆずなのか、二階堂ゆずとは一体どのような人物なのか、視聴しながらどうにもスッキリする落としどころが見付からない状態が続いていた。 

そんな状態で迎えたのが、問題の第88話『お正月だゾ☆全員集合!』。その中盤における回想シーンは、二階堂ゆずという少女の正体を「想像以上に悲痛な形で」示す代物になっていた。

 

「凄~い! リリィちゃん上手!」
「ホントだ、上手~!」
「……」
「白銀さんは本当に上手ですねぇ」
「いえ……。ただ、描くのは楽しいです」

-「アイカツスターズ!」 第88話『お正月だゾ☆全員集合!』より
 
ゆめたちの分まで生放送に出演した無理が祟り、過労で気絶してしまったゆず。彼女が夢に見たのは、過去に経験した「お絵描きの授業」での出来事。精緻なリリィのスケッチと自身の「らくがき」を見比べてしまい、その手を止めてしまう……という仄暗い記憶。 

ゆずが一切言葉を発さないにも関わらず胸を深々と抉ってくるこのシーンは、しかし、これまで胸の内を明かさなかった彼女についての大きな手がかりでもある。このシーンを踏まえつつ、日頃の彼女の振る舞いも併せて考えてみると、ゆずは「直感的、動物的な天才」であった反面、その優れた洞察力と感受性によって「自分が “普通じゃない” こと」を人並み以上に自覚してしまっていたのではないだろうか。  

 

「自分が “普通じゃない” こと」を自覚しながらも、「普通」でない道を歩き続けるしかなかった。そのことについて、ゆず自身は一体何を感じてきたのだろう。 

これまでなら「ゆず様はそんなこと気にもしないだろう」と思えたのだけれど、問題の回想シーンでゆずが浮かべていた表情からは、困惑とも失望とも動揺とも取れない、とても繊細で静かな「痛み」のような色が見て取れた。その「痛み」の正体が直接語られることはなかったけれど、そのことに対するゆずの「本音」が垣間見えるやり取りが、同じく第88話の回想シーンで描かれていた。

 

「流石ですね、ゆず……。1年生だけでなく、先輩方も感心されていました」
「そう? 楽しいのが一番! だぞ」
「ゆずは凄いですね」
「んっ?」
「まるで太陽のよう……。眩しすぎて、たまに見れなくなります」
「……ゆずは、自分ができることをやってるだけだよ」
「えっ」
「リリエンヌにだって、リリエンヌにしかできないこと、あるんじゃない?」
「そうでしょうか……」
「そうだよ。リリエンヌにあげたあの本、ピッタリだと思ったぞ!」

-「アイカツスターズ!」 第88話『お正月だゾ☆全員集合!』より
 
注目すべきは、ゆずの「……ゆずは、自分ができることをやってるだけだよ」という台詞。リリィの言葉を受けての一瞬の間。そして、普段のイメージとは異なる静かな口調と優しい声色。一見すると「ゆずらしくない」雰囲気の台詞だけれど、それはどことなく前述の「ゆめを見守るゆず」の優しく穏やかな表情とリンクするものでもある。  

もしかすると、このゆずこそが彼女の「素顔」なのかも……と思いきや、ゆずは第50話『最強のLIVE☆』での第25代S4最後の会話のような場面でも「~だぞ」口調であることから、それが彼女にとって完全なペルソナという訳でもない様子。これらを総合して考えるに、「幼い頃から自身の “異質さ” に気付いた結果、自ずと道化を演じるようになり、それがいつしか自身の人格になってしまった」……というのが、二階堂ゆずという少女の正体なのかもしれない。

 

これに関連して、前述の台詞でもう一つ「違和感」を覚えたのが「先輩方も感心されていました」というリリィに、ゆずが「そう? 楽しいのが一番! だぞ」と返すくだり。 

一見すると違和感がないものの、よく考えると対応関係を為していないこのやり取りは、しかし下記のように言葉を補うと意味が通るように思えてくる。

 

「流石ですね、ゆず……。1年生だけでなく、先輩方も感心されていました」
「そう? “でも、誰からどう評価されるかなんて関係ないよ。” 楽しいのが一番! だぞ」

 

前述のように、幼少期のゆずはリリィと自身の絵を見比べるなどして、自身のパーソナリティを「周りに比べて劣っている」ものだと意識してしまった節がある。そんなことが分かってしまうような聡い少女が「楽しいのが一番」という言葉を文字通りの意味 ”だけ” で使うとはどうにも思えない。 

ならば、この言葉は一体何なのか……というと、それはきっと「周囲から求められる在り方」に合わせられない自分を納得させるための、ある種の自己暗示。「自分は他と違う / 間違っている」という意識から逃れ、ありのままの自分を肯定する為に口にしたものが、(~だぞ、の人格同様に) そのまま口癖になってしまったものなのではないだろうか。

 

 

第88話終盤、リリ子先生……もといリリィは、ドラマの見せ場として超巨大跳び箱を用意し、これに挑むも敢えなく玉砕。「これを越えなければ、ゆずの代わりを果たせない」と歯噛みするリリィだったが、そこに駆け付けたのは静養していたはずのゆずその人だった。 

颯爽と現れ、華麗に跳び箱を越えてみせる彼女に、リリィは悔しさを滲ませつつも笑顔を浮かべる。

 

「やっぱり、ゆずは眩しすぎます……。私は教師失格ですね」
「そんなことありません。リリ子先生は、ぼくと違って国語が得意じゃないですか。お互い足りない部分を補い合って、生徒のみんなを指導していけばいいんですよ」
「……! そうですね、誰にだって得意なものと苦手なものがある……。それを補い合うことが、大事なのかもしれませんね」

-「アイカツスターズ!」 第88話『お正月だゾ☆全員集合!』より

 

第42話では、リリィのことを「色白の美人さん」で「自分にとっての太陽」だと語っていたゆずだが、本当に「見た目」だけがその理由だったのだろうか。 

前述の通り、おそらく「周囲からの期待」に応えられない自分にコンプレックスを持っていたであろうゆず。そんな彼女から見て、大きなハンデを持ちながらも「周囲からの期待」に応え続けている尊敬すべき人物でありながら、「普通じゃない」自分を友人として慕ってくれるリリィは、ゆずの孤独を癒やし、その道行きを暖かく照らしてくれる、文字通りの「太陽」だったのだろうと思う。 

ゆずが「ゆず男」としてリリィに告げた上記の台詞は、きっと役を被っている状態だからこそ真っ直ぐに言えたゆずの本心。ゆずがリリィとの日々から貰った「足りない部分があっても、誰かと補い合って生きていけばいい」という希望をリリィに手渡す、彼女なりの「恩返し」だったのかもしれない。

 

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ダイアリーの向こう側へ

 

本来なら「総集編枠」であろうクリスマス回とお正月回がどちらも前述のようなトンデモだった『アイカツスターズ!』。そのため、総集編の役割は第89話『星々のダイアリー』が担うこととなった。  

(『星のダイアローグ』に見えて二度見したのは自分だけじゃないはず……)

 

 

四ツ星学園とヴィーナスアークの面々がこれまでの物語を振り返る本エピソード。中でも印象的だったのは、これまでで最もご機嫌なエルザ (怖すぎる) と、語り部のように四ツ星学園の物語を振り返るアリア、そして「彼女」の帰還だろう。

 

「ドレスを制する者が、アイカツを制す……。これが、世界を巡った私の答え」

-「アイカツスターズ!」 第89話『星々のダイアリー』より

 

 

えっ………………『 本 気 (マジ) 』で………………!?  

確かに『MUSIC of DREAM!!!』のOP映像で何かやらかしますよ、みたいな雰囲気を匂わせていたひめだけれど、ぬるっと戻ってきてぬるっとアイカツに戻っていて、アイカツ!ランキングに参加したという話も出ないものだから、てっきり何もないのかと思っていた……ら、「これ」である。本当に……本当に人の心を弄ぶのが巧いなァ『アイカツスターズ!』……!!!!!!  

(そういうところが大好きだよ!!!!!!)

 

こうしてほぼ確定となったひめの参戦によって、一気に先の展開が読めなくなってきた本作。 

太陽のドレスを手にして絶好調のエルザをひめが倒し、エルザが全てを喪う。ひめが10個目の星のツバサを手にする。ついでになんやかんやであこも星のツバサを手にする (願望) (きららと星のツバサを分け合う展開とかありませんかね……!?) 。1年目以来の「ひめVSゆめ」が最終決戦になる。ローラがエルザにリベンジする……等々いろんな可能性が考えられるけれど、泣いても笑っても『アイカツスターズ!』は残すところたった10話。白鳥ひめの凱旋に震えつつ、残るエピソードを見届けていきたい。

 

 

「嘘っ、ヴィーナスアーク解散!?」
「きっと、エルザにも何か考えがあるんだよ……!」
「エルザ様の気持ち、取り戻さなくちゃ!」
「次回、アイカツスターズ!『ヴィーナス クライシス!』掴め、アイドル一番星!」

-「アイカツスターズ!」 第89話『星々のダイアリー』より