感想『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突 Episode7~8』 鮮烈なる初陣! レグロスと “補正のないウルトラマンゼノン” が見せた眩い輝き

2021年9月25日に行われた生配信イベント「ウルトラマン コネクション LIVE YouTube ウルチャン出張スペシャル feat. S.H.Figuarts」において、新ウルトラ戦士「ウルトラマングロス」の情報が初解禁となった。
 

 
2020年配信の『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』に続く新作『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』の看板として発表された真紅のウルトラマンが、そのウルトラマンレオを思わせる風貌や両腕の意味深な紋章(?)などで界隈に大きな反響を呼んでいた。 

それから『運命の衝突』の第2弾PV、次いでウルトラマングロスのキャラクターPVなど段階的な情報解禁を経て、2022年6月17日、遂に『運命の衝突』Episode8が配信。初解禁から約9ヶ月という色々と心配になるほどの長い期間を経て、ようやくウルトラマングロスが華々しいデビューを飾ったのである。
 
『運命の衝突』が最終回を迎え、単独作品『ウルトラマングロス』も発表、今まさに勢いに乗っているウルトラマングロス。今回の記事では、彼のデビューを中心に『運命の衝突』Episode7~8を振り返ってみたい。


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ウルトラマンスコットたち「ウルトラフォース」の活躍、ウルトラマンゼロの新たな覚醒、ネクサス/ノアの登場と凄まじい情報量が話題となっていた『運命の衝突』惑星バベル編に次いで始まったのがこのEpisode 7~8。「ユリアン王女救出作戦編」とでも呼ぶべきこの2編は、何よりもその主役陣の絵面が強烈だった。
 


 
ユリアン王女を救出すべく、ザ・キングダムに乗り込むメンバーは 

ギャラクシーレスキューフォースの精鋭、アンドロメロス。 

そのアンドロメロスに抜擢されたウルトラセブン21、ウルトラマンゼノン。 

突入・帰還ルートを確保すべく参戦するアストラ、ウルトラマンヒカリ。 

そんな2人と縁を持ち、アストラに推薦されたというウルトラマンビクトリー。 

そして、宇宙正義デラシオンから派遣されたウルトラマンジャスティス……と、なんとそのメンバーは、メロスを除く全員が各作品の看板を飾らない「2番手」つまり、ファンからは「サブトラマン」と呼ばれている面々。謂わばこのメンバーは「サブトラマンアベンジャーズ」とでも呼ぶべきとんでもない顔ぶれだったのである。 

(セブン21は警邏・調査活動専門の特殊組織「宇宙保安庁」の所属であったり、ヒカリは科学技術局代表としてソラとの連携を取る必要があったりと、各々の選抜に納得のいく理由が用意されているのが見事!)

 
更に、救助対象であるユリアン王女もまた『ウルトラマン80』におけるもう一人のウルトラマン=つまりはサブトラマンと呼べなくもないポジションにあること。要するに、この『運命の衝突』Episode 7~8には、現状参戦が可能なサブトラマンが一堂に会していると言える。 

ウルトラマンブルやタイタス、フーマがいないのは、諸般の事情以上に、彼らが製作陣から「主人公」として見なされているからだと思うと熱いものが込み上げてくる。惜しむらくは、シチュエーション上参戦が難しいウルトラマンアグルや、スーツがおそらく現存しないエレク、ロト、アンドロウルフらの登場が叶わなかったことだろうか……。

 

そんなシチュエーションの凄まじさはもはや語るまでもないだろうけれど、彼らの中でも個人的にとりわけ注目してしまうのがウルトラマンゼノンだ。
 


 
ユリアン王女レスキュー隊の特徴は、ヒカリとビクトリーを除き何かと出番に恵まれないこと。 

その点が特に顕著なのがジャスティス、セブン21、ゼノンの3人だが、『劇場版 ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET』でこそゲスト止まりだったものの、次作『劇場版ウルトラマンコスモス VS ウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE』において主役として大活躍したジャスティス、『ウルトラマンネオス(OV)』12話中3話に渡って巨大戦を展開したセブン21に比べると、群を抜いて不遇なのがウルトラマンゼノン。 

 

そんなウルトラマンゼノンのこれまでの活躍は下記の通り。 

・『ウルトラマンマックス(2005)』第13話ゼットンに苦戦するマックスを助けに登場。ゼットン相手に奮戦した後、マックスに新武器マックスギャラクシーを与える) 

・『ウルトラマンマックス(2005)』第39話(光の国へ帰還するマックスに付き添う ※出番は数秒) 

・『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(2009)』(ほぼ顔出しゲスト/モブ) 

・『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国(2010)』(ほぼ顔出しゲスト/モブ) 

・『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀(2020)』Episode 3 (ゴーデスマガオロチ戦の助っ人として。マックス・リブットと共闘 ※マックスとのタッグはなんとここが初披露
 
 
以上。 

つまり、このゼノンというウルトラマンがまともに戦ったのは初登場のゼットン戦、そして15年ぶりの本格復活となったゴーデスマガオロチ戦のみ。彼はただでさえ出番が異様に少ない上、何かしらの補正が働く場面でしか戦ったことがないという稀有すぎる存在で、その不遇さたるや、サブトラマンどころの騒ぎではなかったのである。 

こうして振り返ってみると、今回の『運命の衝突』の貴重さが改めて身に染みるというもの。 

それは、遂に与えられた「補正」なしにゼノンが戦う初の機会であり、更に撮影するのは最強の文脈オタクタッグである坂本監督&足木淳一郎氏。ゼノンがどのようにそのベールを脱ぐのか、『運命の衝突』PVの時点から否が応にも期待が高まっていた。

 

 

かくして始まったEpisode 7 では、開幕早々にユリアン王女レスキュー作戦が始動。そのプランがアンドロメロスによって語られる。

 

「異次元ゲートは一瞬しか開かない。それを、ゼノンがギャラクシーソードで押し広げる」

 

何て!?!? 

戦いが始まるどころかゼノンが出てきてさえいないのに、そのたった一言でひっくり返ってしまった。 

強力な武装マックスギャラクシーをマックスに届けこそすれ、自身で使ったことは一度もなかったゼノン。それ以降『マックス』作中で戦わなかったことや、受け渡し方が半ばアクシデントの様であることから「運び屋」だの「マックスにマックスギャラクシーを取られた」だの「平成のゾフィーだのと散々いじられてきたことへの、公式からの15年越しのアンサーがこの一言。 

つまるところ、ゼノンはマックス同様にマックスギャラクシーを扱えるし、最強技のギャラクシーソードだって使いこなせる。むしろ、ゼノンがマックスギャラクシーをマックスに与えたこと、「ギャラクシーソードを使う」ためにゼノンが呼ばれたことから察するに、ゼノンこそがマックスギャラクシー真の使い手という見方さえできるだろう。

 


……と、メロスのたった一言で無限に可能性が広がり名誉が回復していくウルトラマンゼノンだが、彼自身の見せ場はまだまだここから。 

ユリアン王女レスキュー隊はデラシオンより派遣されたウルトラマンジャスティスと惑星バベルで合流すると (ここでセブン21が「ジャスティス! 久しぶりだな」と声をかけるが、そんな台詞が罷り通る世界観に脳がクラクラする……) 、ソラの開発した異次元探索システムとギャラクシーソードを組み合わせることでザ・キングダムへ通じるワームホールを生成・潜入。遂に到達したザ・キングダムにて、メロスは改めてプランを説明する。

 

「ここからは、チームに分かれてユリアン王女を探す」

 

「それぞれの戦い」というシチュエーションはバトルものの鉄板で、ウルトラシリーズでも幾度となく描かれてきたもの。しかし、今回は「ザ・キングダム (=敵の居城) に」「勝利ではなく救出を目的にして」「潜入するミッション」と、従来のそれとは毛色が大きく異なっており、非常に新鮮な視聴感・緊張感で見ることができるシチュエーションだ。 

サブトラマンアベンジャーズという「普段と違う面子」だからこそ、いっそその絵面もイレギュラーにしてしまおう……というこの大胆なチャレンジは、実際にその斬新なビジュアルやこれまでにない展開が『運命の衝突』というバトル続きの作品において丁度良いスパイスになっているだけでなく、(巨大ヒーローという性質上) 絵面が縛られがちなウルトラシリーズの可能性を大きく広げる、密かながら大きな貢献になっているのではないだろうか。 

(シンプルに坂本監督の好み、ないし『ウルトラ銀河伝説』のリベンジという線もあるけれど……)

 

 

かくして始まったユリアン王女救出作戦。彼らチームの組み合わせは「セブン21&メロス」というウルトラ空白期組、「ヒカリ&ビクトリー」というファイトビクトリー組、「ジャスティス&ゼノン」の平成中期組……と、相変わらず「文脈」を感じさせてくれる粋な編成。アストラだけ丹徳行動をとることについては、物語上の都合というのもあるだろうけれど、「ウルトラ兄弟としての実力に信を置かれている」と考えるとこれまた熱いものがある。 

だが何より熱いのは、そこから幕を開ける各チーム決死の戦い。Episode 5においてリブットとティターンがネクサスのメタフィールド内に囚われた際もそうだったけれど、「孤立無援の戦い」というのはやはり別格の緊張感があり、どこからともなく救援が湧いて出てくる『ギャラクシーファイト』においては殊更に際立つシチュエーションだ。

 


 
セブン21とメロスの前に立ちはだかったのはアブソリュートティターン (奇しくも、3人ともスラッガー型の武器を使う騎士タイプの戦士たちだ) 。ウルトラフォースの3人相手に互角の戦いを展開するという実力者のティターン相手に、宇宙保安庁所属のエリート、そして元アンドロ警備隊隊長という肩書きにそぐわぬ実力を見せ付けるかのように、互角以上の戦いを展開してみせる。
 
更に、ベリアル&トレギアと激突するヒカリ&ビクトリーも同様に善戦。特にヒカリは、アブソリュ―ティアンの技術で強化され「タイガ」時かそれ以上の戦闘力を持っていると目されるトレギアを圧倒するという活躍ぶりを見せてくれる。 

その実力差には、「歴戦の勇士としての豊富な経験値」や、復活したアーブギアの助力もあるのだろうけど、それ以上に両者の決定的な格差となっているのは、戦いに臨むその心の在り方だろう。

 

ウルトラマントレギア (M-14)

ウルトラマントレギア (M-14)

 

「人間たちがウルトラの心を取り戻してくれたように、今度は私がお前のウルトラの心を取り戻す!」

 

メビウス』ファンが卒倒しかねない熱い台詞と共に降臨するハンターナイトツルギ。復讐の鎧から勇者の鎧へと転じたアーブギアだが、今この場においては、過去の罪や自分の弱さを受け入れた証。謂わば「贖罪の鎧」と呼べるもの。そんなツルギが、心の闇に飲み込まれているトレギアに劣るはずはないのだ。


そして、問題のジャスティス&ゼノンは……というと、なんとアブソリュートタルタロスと激突。

 

「久しぶりだな、宇宙正義のウルトラマン。慈愛の戦士とやらはどうした? 貴様一人じゃ、レジェンドにはなれんだろう」

 

と煽るタルタロスに対し、ジャスティスはクラッシャーモードに変身、そしてゼノンも彼に合わせてマックスギャラクシーを装着! 

『劇場版ウルトラマンギンガS 決戦! ウルトラ10勇士!!』においても、他のウルトラマンたちのタイプチェンジに合わせてマックスがマックスギャラクシーを装着する場面があり、実質的にマックスギャラクシーを装着した姿はマックスの強化形態のようなもの。つまり、このゼノンは15年越しに爆誕したウルトラマンゼノンの強化形態ということに……!!!!(???)

 

そんなジャスティス・ゼノンタッグの実力はというと、即席コンビでありながら、強敵タルタロスを相手に一歩も引かず大健闘。撤退時も、息の合ったダグリューム光線とギャラクシーカノンの同時発射 (とんでもない字面だ……) によって難なくタルタロスを撒いてみせるなど、短いシーンではあったが「ゼノンの実力がマックス同等かそれ以上のものである」と公的に示された、非常に歴史的な戦いと言えるだろう。ありがとう、ウルトラマンゼノン……!! 

(歴史的といえば、さらりと描かれた「ゼノニウムカノンでアブソリュート一般兵を倒すゼノン」は、彼がシリーズで初めて敵を単独撃破したという、これはこれで歴史的なシーンだったりする)

 


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そんな仲間たちの奮戦の中、遂にユリアンを発見するアストラ。セキュリティガバガバ過ぎませんかね……。 

しかし、そうして誰かが辿り着くことを折り込み済みで、むしろ待ち焦がれていたのがアブソリュートディアボロ。獲物がかかったことで不要となったユリアンディアボロが拳を振り上げた――その時、遂にウルトラマングロスが覚醒、ディアボロを連撃で弾き飛ばすと、高らかに名乗りを上げる。

 

「誰がコスモ幻獣拳の宗主だって? ――俺だ、俺がコスモ幻獣拳宗主、ウルトラマングロスだ!」

 

 

遂に登場、ウルトラマングロス! 

冒頭にも書いた通り、情報の初解禁からこの初登場までかかった期間は約9ヶ月。ウルトラマンデッカーの解禁が3月31日、放送開始が7月9日であるのに対し、かかった時間はおよそ3倍。レグロスのソフビ人形やウルトラアクションフィギュアが売れたのかが心配でたまらないけれど、このレグロスの初登場はそんな不安を忘れさせてくれるカタルシスに満ちていた。 

他のウルトラマンとは異なる登場カットイン、『エメリウムスラッガーのテーマ』を思わせる勇壮で重厚なBGM『ウルトラマングロスのテーマ (仮) 』、そして何よりこれまでのどのウルトラマンとも異なるその戦闘スタイル!
 
「拳法使い」のウルトラマンであれば、これまでにも宇宙拳法使いのレオ兄弟、その弟子のゼロ、更にはその2人とセブンの力を併せ持つウルトラマンゼット アルファエッジなどの前例があるが、彼らの戦闘スタイルが空手など日本武術的なモチーフであったのに対し、レグロスの用いる拳法「コスモ幻獣拳」は、鋭く打ち込む掌打のような独特のアクションや「気」の概念を思わせる必殺技、レグロスが継承したのが「赤龍白虎拳」であることなどからして、太極拳のような中国武術がモチーフであると思われる。 

そのような武術的モチーフが色濃く表れた立ち振る舞いの他、閃光裂破弾のような光弾(気弾?)技よりも格闘の方がディアボロにダメージを与えている節があったり、その口調の中に熱さだけでなく武闘家としての誇りや精神が見え隠れしていたりと、これまでの武闘派ウルトラマンの中でも特に「達人」としての風格を持つレグロス。アクションや僅かな台詞だけでここまでキャラクターを立たせてしまうのは、近年のグレート・パワード・リブットよろしく、流石の坂本監督・足木脚本といったところだろう。

 

ULTRA GALAXY FIGHT Original Soundtrack

ULTRA GALAXY FIGHT Original Soundtrack

Amazon

(こちらのサントラにレグロスのテーマが入っていないのは何故なのか、エメリウムスラッガーやライトニングアタッカーのテーマがいつになってもリリースされないのは何故なのか……)

 

こうして振り返ると非常にビビッドで、まさに華々しく思えるレグロスの本格デビュー。初見時こそそのカッコよさに震えてしまったものの、何度か見返してみると「思ったより地味だな……?」とも思えてしまうのも確か。 

というのも、このレグロスの初登場は演出こそ魅力的なものの、「9ヶ月という待ち時間」「本作の看板キャラ」「前作ラストからずっと匂わせていた」という文脈や、「ディアボロを倒さずにそのまま撤退に合流する」という展開を加味すると、どうにもこうにもインパクトが足りていないのだ。

 


この点は『運命の衝突』のような非TV作品でデビューを飾った他のウルトラマンと比較すると非常に分かりやすい。 

例えば『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』でデビューしたウルトラマンゼロ。彼のデビューは「看板キャラだが終盤まで出番がない」「テクターギア・ゼロを介してとことん匂わせる」と非常にレグロスと近いものがあるが、彼のインパクトはレグロスに比べると圧倒的。そして、おそらくその理由は何もかもがド派手だったこと。 

「セブンの息子」という衝撃のプロフィールや、ダイナやゾフィーさえ及ばないベリアルをあっさり倒すというそのデビューは、「ウルトラ戦士たちの絶体絶命の危機に、満を持して駆け付ける」というカタルシス抜群の初陣と相まって話題性抜群。ファンからは大きな賛否両論があったものの、むしろ、それをきっかけに高い認知を得たことが、今のゼロ人気の一端を担っていることは間違いないだろう。 

(とはいえ、これらはある種炎上商法に近い側面もあり、現在のゼロ人気は、その後の作品でゼロのキャラクター造形が洗練されていったことや宮野真守氏の好演、他のウルトラマンたちとのパワーバランスの補完が行われたことなど、その後の製作サイドの尽力によるところも大きい。そのため、このようなリスキーな売り出し方が正しいかどうかには一考の余地がある)

 

 

また、レグロス同様に『ギャラクシーファイト』でメジャーデビューとなったのがウルトラマンリブット。彼の初陣はペギラを倒す+ニュージェネレーションヒーローズの戦いを支援する……と、決して派手なものではなかったが、彼の場合は作品の看板ではなく「サプライズ枠」としての登場であるため、その華々しい活躍が見れるだけで十二分の話題性があった。 

それらと比較すると、レグロスは「作品の看板として大々的にアピールした割にはそこまで活躍しない」「プロフィールが謎ばかりで、話題性に欠ける」といった状態。なるほど、これは地味と言われても仕方ないかもしれない……。


しかし、今回は確かにレグロスのデビュー作であるものの、ある意味では「顔見せ編 (導入編) 」という風にも見て取れる。 

『ウルトラ銀河伝説』における主人公が、ゼロ一人ではなくレイとメビウスも含めていたように、『運命の衝突』もまた、決してレグロスだけが主人公の作品ではない。『ウルトラマンゼロ』というキャラクターの真価が発揮され始めたのがその後の『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』や『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』などであったように、グロスというウルトラマンの真価が発揮されるのもきっとこれからなのだ。

 

 

思えば、「坂本作品、かつ非TV作品でデビュー」「レオ兄弟と深い関わりを持つウルトラマン」「拳法使い」と、何かとゼロと近い出自を持ったウルトラマングロス。彼は話題性ではゼロに大きく出遅れてしまったけれど、レグロスにはゼロにはない「独自の世界観」という大きな武器がある。 

それが吉と出るか凶と出るかは全くの未知数だけれど、「M78ワールドという安定した土台をベースにして行われる新たなるチャレンジ」というのは、まさしく今の「安定した商売を行いつつチャレンジングな企画を打ち、その世界を広げていく」円谷プロダクションそのもののようでもある。彼が新たなる「ウルトラ」の顔、願わくば「令和のウルトラマンゼロ」になってくれるその日を心から願いたい。