恋とはなんぞや。
人間なら誰もが一度は考えるであろうこの命題の厄介さは、そこに「明確な答え」が存在しないことだろう。
人によって定義が様々で、だからこそ絶対も正解もない。できることがあるとすれば、それは「自分自身でその思いと相手に向き合い、誠実に真摯に答えを出していくしかない」こと。
それはとても難しいことだけれど、だからといって、その思いを曖昧なまま一人抱えていくには人間は弱すぎる。恋心を抱えているのなら、どうにかしてその想いを吐き出してしまいたいのが人情というものだ。
そこで (大変こそばゆい話ではあるのだけれど) 不肖平成生まれ30才手前独身男性の「恋心」というものを、この秘密基地ことブログで思いのまま吐き出しておきたい。
寝ても覚めても頭から離れず、思い出すだけでドキドキする。そんな私の恋する相手は、その名を――
「 ”五星戦隊ダイレンジャー” 第47話『すっゲェ~真実』の14:40~15:22」と言いました。
『五星戦隊ダイレンジャー』は、1993年放送の「スーパー戦隊シリーズ」第17作。中国拳法をモチーフに、ごく普通の若者でありながら戦士として選ばれた5人+1人の青春と戦いを描く特撮ドラマだ。
本作はスーパー戦隊シリーズの中でも特にギャップの強い作風が特徴で、メインとなる6人それぞれが主人公として、各々全く異なるテイストのドラマを展開していく……のだが、問題の第47話は、6人それぞれの物語に決着が付いたことで幕を開ける「最終章」の肝となるエピソード。
太古から続くダイレンジャー/ダイ族とゴーマ族との戦いに対し、宇宙の意思 (抑止力?) が生み出した超巨大な怪物=大神龍。
その圧倒的な脅威から地球を守る為、元ゴーマ参謀長にしてダイレンジャーたちの指導者=道士・嘉挧 (演.中康治) はゴーマと取引を行う。それは「ゴーマ族の地球侵攻を止める代わりに、ダイレンジャーを解散する」というものだった。
リュウレンジャー=天火星亮 (演.和田圭市) たちからオーラチェンジャーを奪いゴーマに帰還した嘉挧は、ゴーマを平和な世界に変えるべく、ゴーマ最強幹部=シャダム中佐 (演.西凛太朗)との決戦に挑む――。
そんな嘉挧の真意を知ることなく、父親代わりだった彼の裏切りとチーム解散のショックで途方に暮れるダイレンジャーたち。そんな彼らの前に、ジン (演.広瀬匠) をはじめとする「これまで出会ってきた宿敵/仲間たち」の幻が現れる。
「情けないぞ亮! 嘉挧がいなければ、何もできないのかッ!?」
「何ぃっ!?」
「忘れたのか! 拳士は私情を乗り越え、平常心で臨んでこそ真実が見えてくる。嘉挧がいたからお前がいたのではない。嘉挧がいて、そしてお前もいた!」
「嘉挧がいて……そして、俺もいた……?」(中略)
「そうか……!分かった、分かったぞジン! 嘉挧がいようといまいと、俺の……いや、俺たちダイレンジャーのやるべきことはたった一つ! ゴーマを倒すことだァァーーーッ!!」
道士を信じたい思いや、戦いを捨てて日常に戻ることへの葛藤に囚われていた亮たちは、彼らの言葉を受けて「嘉挧がいようといまいと、変身できようとできまいと、自分たちがダイレンジャーであることに変わりはない」ことを悟る。
克己した彼らが嘉挧の残した謎の塔に集うと、そこにゴーマ幹部=ザイドス少佐 (演.田村円) が現れ、「嘉挧がゴーマを変革するためにシャダムに挑もうとしている」こと、そして、彼が残した塔が「嘉挧がシャダムとの戦いに備えて作った秘策」であることを告げる。
時に優しく、時に厳しく自分たちダイレンジャーたちを率いてきた道士・嘉挧。彼は裏切ったのではなく、自らの命を懸け、自分たちに代わって全てを守ろうとしていた――。真実を知った5人は、嘉挧の塔を壊そうとするザイドスの前に立ちはだかる。
「そうだったのか……!」
「何がなんでも、この塔は俺たちが守ってみせるッ!!」
「そうです!」
「行くぜ皆ァァァッ!!」
「「「「おう!!」」」」
はいココから!!!!!!!!!
♪テ↑テ→テ↓テ↑テッ↓デェェェン!!!↑↑
\ギュッ!! ガッ――/
\シュバッ!!/
「リュウレンジャー!」
♪デッデケデッデケデッデケデッデケ
「天火星!」
\バッ!!/
「亮ッ!!」
♪テレテレテーレ‼️ ♪テーレテレテレレッテッ!!!!
\バッ!!/
「シシレンジャー!」
\ブワッ!!!/
\ギュッ!!……タタッ!!/
「天幻星――」
\…ギュワッ!!/
「大五ッ!!」
♪テレテレテーレ‼️ ♪テーレテレテレレッテッ!!!!
\バッ!……ギュッ!! /
\シュバッ!!/
「テンマレンジャー!」
\ギュワッ!!!/
「天重星ッ!」
「将児!!」
♪デーデレデデッ‼️♪デーレデデ↑デデ↓デーン‼️↑
♪デーデレデデッ‼️
\バッ!!/♪デッデデレデデデェェーーーーン‼️↑
「キリンレンジャー!」
♪テレ〰️〰️~〰️〰️ンッ ♪テテッ!
「天知星!」
\バッ!!/
「和!!」♪テ〰️レ〰️レレレレ〰️ン
\ギュワッ!!/
♪テッテレテレデッ!! \バッ!!/
「ホウオウレンジャー!」
♪テ〰️レ〰️レレレレ〰️ン
「天風星・」\バッ!!/
「リン!」
♪テ〰️レ〰️レレレレ〰️‼️
\ギュッ!!/
「天に輝く!」
\シュバッ!!/
「5つ星!!」
♪デデン!!デデン!!!!
♪テレテレテーレ‼️
「「「「「五星戦隊!」」」」」
♪テーレテレテレレッテン‼️
♪デェェェーーーーーン……
「「「「「ダイレンジャー!!」」」」」
♪――デレデン!!!!!!!
あ〰️~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!カァァァッコいぃぃぃぃ〰️~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
(上記の画像は、全て2023年2月9日~2月16日に『東映特撮YouTube Official』チャンネルにて配信された『五星戦隊ダイレンジャー 第47話[公式] 』から引用しております)
自分が見始めた頃には既にスーパー戦隊シリーズの恒例となっていた「クライマックスの華」こと素面名乗り。『ダイレンジャー』のこの名乗りシーンは、シリーズで初めてそれを行った、謂わば原点にあたるのだとか。その熱さたるや、まさに「原点にして頂点」の言葉に相応しいもの……!
前提として、そもそもダイレンジャーの名乗りはそれそのものが抜群にカッコ良い。
『忍者戦隊カクレンジャー』や『仮面ライダーBLACK』などでも知られる作曲家・川村栄二氏の手掛ける名乗りBGM『問答無用!』の魅力 (ヒロイックさ全振りの熱いメロディに、ピンポイントで入るギターが “90年代の良さ” 全開で、聞くだけでなんだか泣けてくる……!!) は勿論、戦隊史上最高難易度と名高い複雑かつスタイリッシュな5人のアクション……! この2つにBGMと完璧にシンクロしたSE+口上が加わることで、ダイレンジャーの名乗りは「単なる “名乗り” を越えた一つの芸術」になっていると言っても過言ではない。ライブで聴く歌が、音楽×歌唱×ライブパフォーマンスの三位一体で単なる「歌」を越えた一つの芸術に収斂するようなあの感覚が、『ダイレンジャー』の名乗りにおいては頭一つ抜けているように思えてならないのだ。
だからこそ、第47話の次回予告で「ダイレンジャーの素面名乗りが見れる」と分かった時のワクワク感たるや凄まじいものだったけれど、この素面名乗りに惚れ込んでしまったのは、何も「ダイレンジャーの名乗り自体が特別だから」という一点だけではない。
これまで道士・嘉挧に導かれてきた亮たちダイレンジャーが、今度は自分達の意思で、しかも「嘉挧の為に戦う」という想いで立ち上がること。
変身できない状況でこの名乗りを行うこと=「素面名乗り」それそのものに「変身できようとできまいと、ダイレンジャーとして戦う」という亮らの決意が漲っていること。
プロのスーツアクターだからこそできるような超高難易度の名乗りを、亮役・和田圭市氏らキャスト陣が完璧に再現していることへの感動 (俳優としての成長は勿論、『ダイレンジャー』への愛なくしてできないこと……!) 。
……と、これら全てのカタルシスが一挙に爆発するのが件の素面名乗り。ただでさえ熱いダイレンジャーの名乗り×素面名乗りという組み合わせに、これだけの「熱さ」が加わるのだから、それはもうシリーズトップクラスの名場面にならない方がおかしいというもの。
その後、名乗った彼らが「このエピソードでは最後まで変身せず、素面のままザイドスとの戦いに臨む」という衝撃的なシチュエーション (このため、第47話は「誰もダイレンジャーに変身しない」という、スーパー戦隊シリーズの長い歴史においてさえ他に例があるかどうか怪しい稀有な展開となっていた) も含めて、この素面名乗りの一連はそれだけでも『五星戦隊ダイレンジャー』が人気作品であることに頷けてしまうような、まさに文字通りの「原点にして頂点」と言えるものなのではないだろうか。
学生時代に一回、社会人になってから一回、合計二回「ずっと昔の作品を見ることに何の意味があるのか」という旨の質問を受けたことがある。その質問に対する答えの一つが「コレ」なのだろう。
確かに、何十年も前の作品ともなればどうしたって画は古い。洗練されていない部分だってあるかもしれない。けれど、その代わりそこには「当時にしかなかったもの」「当時だからこそあったもの」が満ちている。
ひたむきで熱いシナリオ、誠実で夢に溢れたエンターテインメント、臨場感のある泥臭い質感、今では描けない痛烈なテーマやハードなドラマ……それらと、その作品にしかない個性が見せる眩しい化学反応に魅せられているからこそ、自分は何作も「自分が生まれた頃」ないしそれ以上前の作品群を巡っているし、自分を魅了しているのは決して「ノスタルジー」や「思い出による補正」だけではない。『ダイレンジャー』初見でここまで心を掴まれた私自身が、その何よりの証拠になるはずだ。
つまり、結局のところ何が言いたいのかというと……。
『五星戦隊ダイレンジャー』ほかスーパー戦隊シリーズは、U-NEXTなど各種映像サブスクサービスで配信している他、全国のレンタルショップで取扱中!!!!みんなで見よう、スーパー戦隊シリーズ!!!!!!!!