ご査収ください、この名言! 『ウルトラマンZ』の “隠れた名台詞” について語りたい

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突然ですが皆さん、ウルトラマンZの“名台詞” は?」と聞かれたら何を思い浮かべますか?


「ご唱和ください、我の名を! ウルトラマンゼェェェェット!!」「闇を飲み込め、黄金の嵐!」といった決め台詞。 

「参りましたなぁ、地球の言葉はウルトラ難しいぜ……」「え、ちょ、ちょっ……頭が……頭が低っ」などの迷言。 

「見えるものだけ信じるな」「ちゃんと背負いたいんだ。命を奪う責任を」 といった名言……など、『ウルトラマンZ』には印象的な台詞が非常に多い。 

そしてこれらの台詞は『Z』の作品人気もあって折に触れて話題に上がる……のだけれど、筆者の推し台詞が話題に上がる場面にはついぞ一度も出くわしたことがない。ウルトラ悲しい。

 

しかし、そこでただ凹んでいても意味がない。ここで立ち上がり、自分から盛大に話題に上げるのがオタクの心得というもの……! 

今回は、そんな「中々話題に上がらない『ウルトラマンZ』のとある推し台詞」について、その登場エピソードの振り返りも兼ねてプレゼンする記事になります。ウルトラ気合い入れていくぞォ!!



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「おかげさまで分かったよ、ハルキの悩み」
「……オッス」
「1つになってるのに、分からないこともあるもんです」
「ははっ……。うん」
「難しい問題です。だから――俺も考えるよ、一緒に。ウルトラマンにとっても、大事なことだと思うんです」

ウルトラマンZ』
第13話「メダルいただきます!」より
監督:内田直之
脚本:池田遼

 


ウルトラマンZ』第13話「メダルいただきます!」は、2016年放送の『ウルトラマンオーブ』以降恒例となっている「13話の総集編」であり、実際に「ハルキとカネゴンがこれまでのゼットの戦いを振り返る」ことがその主な内容となっている。   

その「総集編枠」という立ち位置に加え、第12話『叫ぶ命』と第14話『四次元狂騒曲』という重要回に挟まれてしまったためかあまり話題に挙がらない本エピソード。しかし、この『メダルいただきます!』の真髄は、一件ただの総集編のようでいて、その実第11話「守るべきもの」から続くハルキの葛藤に一つの回答を示すという重要な役割を担っていること。そして、その鍵となるのが前述したゼットの台詞なのである。 

そんな本作のあらすじは以下の通り。

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卵を守るレッドキングとの戦いがきっかけとなり、ウルトラマンゼットとして戦うナツカワ ハルキ (平野宏周) は、「人々の命を守るために、怪獣の命を奪う」ことの是非に悩み、怪獣と戦うことができなくなってしまっていた。 

同時に、彼と一体化するウルトラマンゼット (CV.畠中祐) もまた、ハルキの異変に「ウルトラもやもやする」と頭を悩ませていた。

 

そんな中、ハルキはストレイジ基地内に迷い込んでいた怪獣、コイン怪獣カネゴン (CV.福圓美里) と遭遇。お腹が空いていたカネゴンは、なんとハルキの持つウルトラメダルをコインと間違えて飲み込んでしまう。 

ウルトラメダルを取り出そうと試行錯誤しながら、図らずもカネゴンと共にゼットの戦いを振り返っていき、彼と打ち解けていく。ハルキだったが、彼はその中で、自分の抱えている悩みと改めてぶつかり、遂にその心情を吐露する。 

自分はヨウコのように戦う覚悟ができていない。自分のすべきことは分かっていても、その為に怪獣という命を犠牲にすることを割り切れない――。 

ゼットがその言葉に黙り込んでしまう中、カネゴンが悩むハルキに優しく語りかける。

 

「メダルは、優しいハルキのことを信じているよ」

 

その言葉に背中を押されたハルキは、無事に最後のメダルの回収に成功。カネゴンと感謝の言葉を伝え合うと、その背中を優しく見送るのだった。


第11話『守るべきもの』において、町に現れたレッドキングを倒したウルトラマンゼット=ハルキ。しかし、そのレッドキングには雌のつがい、そして子ども=未だ孵らぬ卵があり、ハルキは自らが倒したレッドキングに、かつて人々を――家族を守るために命を落とした父親の面影を見てしまう。

守るべきもの

 

そして、続く第12話『叫ぶ命』において、グルジオライデンに挑むハルキとゼット。しかし、追い詰めたグルジオライデンが涙す涙を見てしまったことでハルキは戦意喪失、ウルトラフュージョンが解除されてしまう。 

グルジオライデンをヨウコ (松田リマ) の駆るキングジョー ストレイジカスタムが仕留めた一方で、何もできなかったハルキ。彼にできるのは、世界の残酷さに、運命の重さに、己自身の無力に向けて慟哭することだけだった――。

叫ぶ命

叫ぶ命

  • 平野宏周
Amazon

 

……そんな、作中でも重要かつ非常にシビアな2編を受けて迎えたエピソードが第13話『メダルいただきます!』。その主役は、前述の通りなんとコイン怪獣カネゴン。更にその声を担当するのが人気声優の福圓美里氏というからまた驚きだ。   

 

スマイルプリキュア!』の主人公、星空みゆき=キュアハッピー役などで知られる福圓氏は、同役以外にも『ガールズ&パンツァー』の大物生徒会長=角谷杏、『DARKER THAN BLACK』シリーズの無口なヒロイン=銀などを演じて人気を獲得、幅広い役柄を難なく演じることに定評のある実力派声優だ。 

しかし、今回のカネゴンはなんと「やんちゃでおバカなダミ声の少年」というまさかまさかの役どころ。普段の美声をかなぐり捨てた福圓氏の演技は、汚い福圓美里(?)として一部界隈で大きな話題を集めていた。 

(でもこの方向性の福圓氏、他局で直近一年くらい聞き続けていた気がするッチュン!!!!!)


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本エピソードは、ストレイジ基地で一人当直にあたっていたハルキが物音を聞きつけ、倉庫内で件のカネゴンと出くわす場面から幕を開ける。 

温厚で平和的なカネゴンだが、餓死寸前のところまで追い込まれていたからか、ハルキのウルトラメダルを自分の主食=硬貨と勘違いし、ケースを無理やり奪うとそのまま中身を飲み込んでしまう。そのウルトラメダルをどうにかこうにか奪還するぞ! というのが本エピソードの内容だ。前回とのギャップさん!?!?  

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ストレイジが誇る肉体派であるハルキだが、怪獣に飲み込まれたメダルを取り出すとあっては難しく、次々と作戦を実行するも華麗に撃沈。しかし、カネゴンからの質問に答える形でハルキがゼットとの出会い、そしてアルファエッジについて語って聞かせると――カネゴンのくしゃみと同時に、ゼロ、セブン、レオのウルトラメダルが射出! 

どうやらウルトラメダルがハルキの話に反応しているようで、ハルキはメダル奪還のために各形態のゼットについて語って聞かせることになる。……っていや待てこれ本当に前2話と話繋がってる!?!?!?!?!?

 

 

そんなカネゴンとハルキのやり取りはそれだけで1話持たせられるくらいには面白く、一見すると『メダルいただきます!』は2人を軸にした「ほのぼの日常+総集編」枠のような雰囲気を醸し出している。しかし、その平穏はストレイジの面々が登場することで一気に崩壊する。 

まず登場したのはヘビクラ隊長 (青柳尊哉) 、だったのだが……。


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(カネゴンのくしゃみを聞いて) なんか凄いデかいくしゃみ聞こえたけど、アレお前か?」
「ックション!ハァックショォォン!! ……なんだろ、まだ花粉飛んでるのかな」
「そうか、お大事にな」
「ッス」
「あとくしゃみする時は手で押さえろ」
「オッス…… (謝罪) 」
「あと」
「ッス?」
「なんだコイツ!!」
「……バレました?」
「気付くわ! ……何なのコイツ?」
「エッ…………寝袋っス!これがめ~っちゃ寝心地良いんスよぉ~!」
「そうか。当直が寝るなァ!!」
「オォォォーーッス!!メインルームで待機しまァァす!!」
\ズリ……ズリ……カネゴンが引き擦られていく音)
「……いいな、アレ」

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キレが良い……良すぎない?  

かねがね (ボケとツッコミとしての) 相性の良さを見せ付けていたハルキとヘビクラだが、本格的に漫才をやるとここまで面白くなるのか。なるんですね……(拍手)

 

かくして、ヘビクラから逃げ仰せたハルキとカネゴン。落ち着いたところでベータスマッシュについての話をしていると、次に現れたのは今回最も出会ってはいけない相手であろうユカ (黒木ひかり)

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(ユカのポニーテール姿が見れるのはこの回だけ!)   

カネゴンが見付かろうものなら間違いなく解剖される……! と、自ら囮 (=ユカの話し相手) を買って出るハルキだったが、その結果、「ヒトと同じXX染色体を持っているため、グルジオライデンは雌」という『ウルトラマンR/B』を視聴済みだと頭を抱えて吐きそうになる事実をユカがウキウキで語る傍らで、CV.福圓美里カネゴンが放屁しながらダンスするというインフルエンザの時に見る夢みたいなカオスが爆誕してしまった。あーもうめちゃくちゃだよ。  

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既にして「13話の総集編」枠に収まらないカオスっぷりを見せ付けている『メダルいただきます!』。ここで残る最後の一人=ヨウコが帰ってきて更なる混沌をぶち込んでくる……のかと思いきや、カネゴンのある言葉がその場の空気を大きく揺さぶる。


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ユカが立ち去ると、その場で「ウルトラマンごっこ」を始めるカネゴン。彼の「ボクもウルトラマンになって、怪獣をどんどんやっつけたい! 凄く面白そう~!」という言葉に、ハルキは思わず言葉を詰まらせる。

「そんな単純なことじゃないよ!」

ハルキは、カネゴンに言い聞かせる形で、胸の内に秘めていた悩みを口にする。 

自分たちストレイジが怪獣と戦うのは、怪獣の被害に遭って悲しむ人たちを守りたいから。しかし、怪獣にも “家族を守る” などの「暴れてしまう理由」があり、その命を無闇に奪いたくはない。ストレイジの隊員として、一人の人間として、人々を守って死んだ父の息子として、自分は一体どうするべきなのか。どんな思いで、何と戦うべきなのか――。 

ハルキという人間は勿論、『ウルトラマンZ』という作品、ひいてはウルトラシリーズを貫くこの問題。これまで散々カオスだ何だと言ってきた『メダルいただきます!』だが、本話はその実、この問題に一つの回答 (≠正解) を打ち出した非常に興味深いエピソードでもある。


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自らの悩みを吐き出すと、「先輩(ヨウコ)は覚悟決めて戦ってる。俺は情けないっス!」と、やり場のない感情をぶつけるかのように腕立て伏せを始めるハルキ。 

彼の悩みを知り、返す言葉を持たずに口ごもってしまうゼットだったが、その傍ら、ハルキに優しい声をかけたのはなんとカネゴンだった。

「あのね……。メダルは、ハルキのことを信頼してるみたいだよ?」
「……?」
「お腹の中から伝わってくるんだ。“メダルが戻りたがってる” って。こんなボクを心配してくれた、優しいハルキのところに」
「ウルトラメダルが、俺を……?」

第13話時点では「ウルトラマンの力を宿したアイテム」としか描写されていなかったが、ここで(僅かではあるだろうけれど)ウルトラマンの意思」を宿していることが明かされるウルトラメダル。 

後の第19話『最後の勇者』において、超獣の出現にウルトラマンエースメダルが反応しただけでなく、エース本人を呼ぶためのシグナルになったことや『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』において、ウルトラマンタロウが力の一端をギンガに届けた際に会話を交わしていたことなどから察するに、ウルトラマンがアイテムに込める「力」には、少なからず、彼らウルトラマンの生き写しのような側面があるのかもしれない。 

そして、そんなウルトラメダルがハルキのことを信頼し、その手に戻りたがっているのだと、カネゴンは語る。  

未だ迷いの中にあり、自分なりの答えを出せていないハルキ。そんな自分をハルキは「情けない」と評していたが、ウルトラメダルに宿るウルトラマンたちの思いは、そんな「答えを出せていない」ハルキを信用した。いや、そんなハルキだからこそ、彼らはその力を預けてくれているのかもしれない。 

ハルキが向き合っている「命を守るために命を奪う」ことへの葛藤は、ハルキ以前にも数多くのウルトラマンたちが直面してきた問題であり、それぞれの時代において、ウルトラマンや共に戦う人間たちはそれぞれの答えを胸に戦ってきた。出した答えはバラバラでも、彼らが同じ問題に悩み、苦しんできたことは同じ。ウルトラマンたちにとっては、ハルキが出す答えも当然大切だろうけれども、それ以前に、この問題に悩み、苦しみ、それでも目を背けまいとする、その強く優しい心こそが何より信じられるものなのだろう。 

 

たとえ「答え」を出せていなくても、覚悟に至れていなくても、大切なことから目を背けずに向き合おうとすること。その思いそのものが、時に「答え」と同じかそれ以上に大切な意味を持つ――。 

このことは、悩んでいる当事者=ハルキにとっての「答え」とはならないだろう。事実、彼が自分自身の答えに辿り着くのは次回の第14話『四次元狂騒曲』。 

だからこそ、これは「ナツカワ ハルキ」の答えではなくウルトラマンZ』という作品が示す一つの回答。「答え」を出せない困難というものは世の中に数多くあるけれど、それでも、大切なのは目を背けずに考えること。逃げることなく向き合うことなのだと。

それは『Z』という作品から我々視聴者へのメッセージであり、同時に「ハルキが抱えた困難に、視聴者は (当事者ではないが故に) 答えを出すことができないかもしれないが、だとしても/だからこそ、この難しい問題を一緒に考えてほしい」というメッセージでもあるのだろうと、そう思えてならない。


ウルトラメダルたちが、これまで力を貸してくれた仲間たちが自分を信じてくれている。そのことに背中を押され、ハルキはメダル回収を再開。カネゴンにガンマフューチャーのエピソードを語って聞かせることで、最後のメダル=ティガ、ダイナ、ガイアメダルを無事に回収する。 

かくしてメダルは揃い、カネゴンもハルキの貯金という尊い犠牲を経て復活。カネゴンはハルキへの感謝と共にストレイジ基地を去っていき、彼が巻き起こした珍騒動は無事に終わりを告げた――。 

 

そんな折、沈黙していたゼットがようやくその口を開く。  

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「おかげさまで分かったよ、ハルキの悩み」
「……オッス」
「一つになってるのに、分からないこともあるもんです」
「ははっ……。うん」
「難しい問題です。だから――俺も考えるよ、一緒に。ウルトラマンにとっても、大事なことだと思うんです」

ウルトラ戦士としてまだ若く、ハルキを教え、導くようなことができないゼット。彼が選んだのは、ハルキと同じ目線で同じ問題に向き合うこと。 

3分の1人前同士であるだけでなく、共に宇宙警備隊とストレイジ=平和を守るために戦う組織の一員であったりと、種族は違えど似た立場で同じ想いを抱える2人。 

一連のやり取りは、これまで馬が合ってこそいたが「心の交流」と呼べるシーンが少なく、あくまで「戦う時だけ合身する」=一つになっても、それぞれが抱えた思いまでは分からなかった2人が、その心の内を通わせ「相棒」として真の一歩を踏み出す、『Z』のターニングポイントと呼ぶに相応しいシーンとなっている。

 

短い掛け合いでありながら、暖かく胸に染み入るこのシーン。その魅力は、矮小な存在である地球人=ハルキに対し、ウルトラマンであるゼットがごく自然に「友人」として同じ場所・目線に立つその真摯な姿にあるだろう。 

命を巡る問題に答えなどなく、その前ではウルトラマンも地球人と変わらない。だからこそ、今すぐにハルキを救うことができなくても、せめて同じ問題に向き合いたい。戦士として向き合うべき問題も、その悩みや苦しみも、友として、相棒として分かち合いたい――。 

そんな想いでクロスタッチを申し出るゼット、そして彼に応じるハルキの姿には、これまでウルトラシリーズが長年描き続けてきた大切なエッセンス=「種や立場を越えた絆」が満ちており、ゼット&ハルキというバディや「辛いこと、苦しいことに立ち向かう勇気」を描いた『ウルトラマンZ』という作品において、それは殊更に眩しく輝いて見える。そのことが、このゼットの台詞を『Z』のターニングポイントに相応しい一言たらしめているのではないだろうか。 

(そんな感動のクロスタッチは、ハルキの腹が鳴ったことで中断してしまうが、既に思いが通じ合った2人に取って、タッチの是非は問題ではない。着実に一歩を踏み出しつつ、和やかに笑い合う姿こそ彼ららしい姿と言えるだろう)

 

 

一方、このゼットの台詞が胸に響くのは、何も『Z』やシリーズの文脈だけに由来する訳ではない。この台詞が象徴する「大切なことから目を背けず、向き合おうとする勇気」は、私たちが生きる現実においても大きな意味を持っている。

 

社会問題やパーソナリティにまつわるナイーブな問題、あるいはもっと身近な問題に至るまで、世の中には「何が正しいのか/どうすればいいのか」分からない問題が山ほどある。そして、そのような問題は頭が良ければ、知識や力があれば解決できるとは限らない。「答え」の存在が保証されていないものさえ、世の中には星の数ほど存在している。 

であれば「考えるだけ無意味」なのだろうか。「向き合う価値のない、自分には関係のないこと」として、そのような問題は頭の中から追い出すべきなのだろうか。 

それは確かに賢い選択かもしれない。しかし、たとえ答えが出る問題でなかったとしても、そもそも「答え」が存在していなかったとしても、きっと大切なのは目を背けないこと、考えること、真剣に向き合うこと。 

世の中には、私たちが知らず知らずのうちに目を背けている問題が山ほどある。たとえそこに明確な回答を持っている訳でも、自分にとって近しい問題でなかったとしても、それでも、そこから目を背けることだけはしてはいけないのだと思う。立場や種さえ違っていても、自分の問題でもあると真剣に受け止めることでハルキと心を通じ合わせたゼットのように、その姿勢がなければ、何一つ始まりはしないのだから。

 

Connect the Truth

Connect the Truth


前述したように、ハルキが自分自身の答えに辿り着くのは次回の第14話『四次元狂騒曲』であり、そこにゼットが関与することはなかった。 

しかし、続く第15話『戦士の使命』においては

「ハルキ!力を合わせて闇を飲み込むぞ!」
「押忍! 一気にいきますよォ!!」
「「チェストォォーーーッ!!」」

と、ハルキの手を取って共にベリアルメダルの制御に成功したり、第24話『滅亡への遊戯』においては、身体へのダメージを一手に引き受けることでハルキを守るなど、この第13話を境に、ゼットはこれまでよりもハルキと近しい距離で共に戦うようになっていった。

戦士の使命

戦士の使命

  • 平野宏周
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ゼットが件の問題に対する答えを見付けられたのどうか、それが劇中で描写されることはなく、真実の程は彼本人とハルキにしか分からない。ハッキリしているのは、一連の出来事を経たことでゼットが「ハルキの相棒」として大きく成長し、彼を支え、共に歩んでいく決意を固めたということ。 

ゼットは、未だ自分なりの答えを見付けられていないのかもしれない。だとしても、いや、自分には見付けられていないからこそ、答えを見付けたハルキを自分の持てる力で精一杯支えようと誓ったのかもしれない。それが今のゼットにできる全力なのだとすれば、それはなんて不完全で、純粋で、美しい在り方だろうか。

 

3分の1人前だからこそ、無限の可能性を秘めた戦士=ウルトラマンゼット。今はハルキ、そしてベリアロクと互いに補い合うことで初めて1人前足り得る彼が「自分自身の、戦士としての答え」を見付けた時、3人の力はどれほどの輝きを見せてくれるのだろう。 

先月末から配信が始まった最新作『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』などでも活躍を見せてくれるゼット。彼らのこの先の成長と更なる勇姿を、これからも見守っていきたい。

 

 

「難しい問題です。だから――俺も考えるよ、一緒に。ウルトラマンにとっても、大事なことだと思うんです」

『Z』におけるターニングポイントとして、様々な問題が世界を覆っている令和の世に送り出された言葉として、たくさんの想いが込められているであろうこの台詞。 

これまで述べてきたもののうち、どこまでが「製作陣が意図していたもの」かは分からない。しかしそれでも、件の台詞から感じ取れた確かな想いを、そして本作のラストカットを飾ったヨウコのメッセージを、それらの全てを教訓として、忘れることのないように胸に刻んでいきたい。

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