「続編もの」が好きだ。
「続編もの」と一口に言っても様々なパターンがあるけれど、自分が特に好きなのは『機動戦士ガンダム00』の2ndシーズンや『魔法少女リリカルなのはA's』のような「メインキャラクターたちは続投で、世界観がある程度一新される」というもの。
十分に成長したキャラクターたち×物語を1から紡ぎ出していくワクワク感という「いいとこどり」なシナリオ構成、前シーズンでは実現しなかったキャラクターたちの組み合わせ、前シーズンを踏まえた上で描かれる更なるカタルシス……。このタイプの続編特有のケレン味やロマンが自分は大好物で、だからこそ1年目の時点でドハマりしてしまった『アイカツスターズ!』でそういった展開が見れると聞いた時は楽しみでたまらなかったし、事実、この2年目1クールにおいて、本作は早くも自分の見たかったものを十二分に見せ付けてくれた。
おそらく、ここから更にノンストップで盛り上がっていくであろう『アイカツスターズ!』2年目中盤に向けて、本作序盤で感じた「好き! って気持ち」を、今のうちに文章に留めておきたい。
《目次》
『STARDOM!』という最高のOP
「絶対、アイドルの1番星になる! 虹野ゆめ、アイカツ……始めます!」
開幕1秒で10000000億点。
『アイカツスターズ!』2年目の舞台となるのは、ゆめたちが2年生となってから1ヶ月後。S4としての役割にゆめ、真昼、あこの3人がようやく馴染んできた頃合いだ。まずここが……というより、成長した虹野ゆめの全てが素晴らしかった。
いつものアバンタイトル=「アイカツ、始めます!」のくだりを「いつか」ではなく「絶対」に言い換え、更にそのコールをS4服で行ってくれること。この時点で良さが天元突破しているのだけれど、そもそも「S4服ゆめ」の破壊力がそれはそれは凄まじい。
あのゆめがS4服を着てるんだ……という感慨深さは大前提として、これまでのイメージカラーがピンクだったゆめが赤い服を着ていることに彼女の成長を感じたり(ゆめは私服も2年目から赤色が多くなっている。赤色ジャケットゆめのギャップよ……!)、高貴なデザインのS4服に対し、あどけない/可愛らしいゆめが妙にミスマッチで、それがS4という役割の大きさとゆめの魅力を引き立て合っていたり……。まだまだS4服に「着られている」感も残るけれど、その点も含めてS4服がとても似合っていたし、その上で彼女が1年生に手を振ったり仕事をしていたり、そういう「S4」としての姿を見せてくれるだけでたまらなかった。
……などと思いつつ51話アバンが終わったその時、自分は ”それ” に出会ってしまった。
そう、『STARDOM!』である。
開幕1秒、並び立つゆめ、真昼、あこ、ローラ。
片やS4、片や幹部とポジション上の差はついてしまったけれど、それでも一緒に「主人公」として共に歌い、踊るゆめとローラ。
卒業したことで「伝説」感が増した夜空、ツバサ、ひめが次々に現れ、ゆずリリまで供給してくれる熱いサビ。
そして、ゆめからの電話を受けて驚くローラ、誰かを見付けて喜ぶあこと真昼。皆の前に現れたのは――小春ッッッッッ!?!?!!?!?!?!?!?!?!?
初めて聞いた時は、これらOP映像の衝撃が凄まじすぎて、歌も歌詞も全く頭に入ってこなかった。
開幕1秒でゆめ、真昼、あこ、ローラの並びのカッコよさ(と一人だけ服が違う切なさと、それでもローラをここから外さないでくれたことへの感謝)に涙してしまうし、エルザ・レイ・きららの「新たなる強敵」ぶりにはワクワクが止まんない! し、サビでゆめとローラが躍ることには「2年目もこの ”2人” が主人公だよ」という製作陣からのサムズアップを見たようで目頭が熱くなった。からの、第25代S4……ッ!!
第50話『最強のLIVE☆』で華々しく卒業したひめ、ツバサ、夜空たち第25代S4。夜空が日本を離れてしまうこともあり、彼女たちはきっとレギュラーキャラクターではなくなってしまうのだろう……と思っていたので、OPで再び彼女たちの姿が見れたことが本当に嬉しかったし、サビがもう1段階上がる「1番の盛り上がりどころ」で登場することもあって彼女たちの「伝説の戦士たち」感はまさに異次元。つい1話前までレギュラーだったのに、まるで「10年越しの新作で変わらぬ姿を披露してくれた」かのような圧倒的な風格がたまらない……!
一人空を見上げる夜空はどこか物悲しそうな表情もあって今後のドラマを感じさせるし、ゆずはちゃんとリリィと揃って登場してくれる(ここでリリィもしっかり続投だということが明言されたのも嬉しかった……!)し、ひめとツバサは仲良くデートしているし。デートしてるゥ!?!?!?
そして問題のカット。ゆめからの電話を取って驚くローラでなんだなんだ、と思い、あこと真昼が何かに驚く様子で何かを察しつつも、サプライズ登場する小春で早くも情緒が消し炭になった。小春とゆめたちが並んでるの、1年目30話以来なんですけど!?
小春が2年目で帰ってくるだろう、という予感は漠然とあったけれど、正直冒頭も冒頭のOP映像でそれが明かされるとは思っていなかったし、この見せ方 (ローラが驚く→真昼とあこが驚く→小春ッ!!!!) からして、この映像は間違いなく「自分のようなファンが消し飛ぶことを見越しての作り」だろうし、事実そのサプライズに相応しいだけの凄まじい驚きと喜びがあった。自分に自信がなく、あまつさえ皆と離れ離れになってしまった彼女が変わらず深く愛されているのが嬉しいし、小春の存在をここまで大きく扱ってくれる製作陣の愛情には頭が下がる思いだった。
……と、その映像だけで凄まじい情報と感動を叩き付けてきた『STARDOM!』だけど、予めプレーヤーに取り込んでいたフルサイズを聴いてみると、今度はその歌詞に愕然としてしまった。この歌、一から十まであまりにもアイカツスターズ!が過ぎる(?) のだ。
見るものすべてが 世界を変えていく
流れる涙が ココロを強くする
(見るもの~がゆめ、流れる~がローラパートという配分に1年目を思い出して泣いてしまう)
憧れは次の 憧れを生む 私はここだよ
(私はここだよ、はきっとゆめから新しいアイドルたちへの呼びかけなのだろうし、ひめへの憧れから生まれたアイドル=ゆめがこうして新たな憧れを生むバトンの美しさよ……!)
震えるような 高みへと 夢は 夢を 超えていく
(2年目1クールを見ていると、この ”夢は 夢を 超えていく” がキーワードになっていきそう)
キレイな物だけ 見るんじゃなくて 全部抱きしめて
(『アイカツスターズ!』って、そういう物語だよね……!)
光はもっと遠い空 願いは負けたりしない
本気の君を待ってる
(空の向こうにある星、一途な願いへの祝福、受け継がれる輝き……。この一文が ”全て” と言っても大袈裟ではないはず)
根拠のない自信を カードに詰め込んで
奏でる音色は 生き様 見てて スターダム!
(ここの歌詞は他の『アイカツ!』シリーズにも通ずるのだろうけれど、「生き様」という言葉が出てくるのは本作ならではなのではないだろうか)
幻想はやがて 現実になる わたしは負けない
(「願いは負けたりしない」というフレーズも然り、「勝負」のニュアンスが滲んでいるのがとても『アイカツスターズ!』らしい)
永遠なんて いらないの 今で 今を 超えていけ
(2年目という折り返しで「永遠なんて いらないの」なんて言われると行かないでくれェ!って叫びたくなるけど、刹那の輝きだからこそ眩しいんですよね、アイドルって……)
悲しみはもういらない 未来が君を待ってる
(1年目で地獄を見た人間としては、逆に不安になる歌詞)
ひとひらの蝶が 羽ばたきを知り やがて風になる
奇跡のような物語 翼が君を待ってる
(2年目のキーアイテム=星のツバサとかけてある巧さは勿論だけれど、それ以上に「ひとひらの蝶が 羽ばたきを知り やがて風になる」という歌詞の儚さが胸に刺さる)
Dreams come true 人の数だけ光る
Dreams come true 何十億の奇跡
(この歌詞で、この歌、ひいては『アイカツスターズ!』が決して「アイドル」だけではなく、夢を追うあらゆる人々に向けられたエールなんだということが分かってしまって泣き崩れる)
ゆめたちの始まりの歌=『スタートライン!』から、その躍進を唄った『スタージェット!』へ続き、辿り着いた景色と、そこから見渡す過去と未来を見据える『STARDOM!』。歌詞は間違いなくゆめたちのものなのに、そのドラマチックで、切なさとパワフルさが同居した曲調は『スタートライン!』を踏襲するもので、まさにS4となったゆめと『アイカツスターズ!』の象徴と言える歌だろう。
この『STARDOM!』は1年目の内容なくして生まれなかった歌であり、まさに自分の大好きな「続編の主題歌」の理想形。2年目は変身(?)シーンのBGMこと『SHINING ROAD』をはじめとする多くの劇伴が1年目で使用されたものの新規アレンジ (より静かで上品に、大人びた曲調になっているものが多いように思う) となっており、アイキャッチやサブタイトルまでもがその雰囲気を一新。より『アイカツスターズ!』らしくなった音楽は、それだけで高すぎた期待値を満たすに十分なものだった。
新たなライバル~ヴィーナスアークのエルザときらら
このように、既にして「1年目を踏襲し、昇華させた」部分が数多く見られる2年目。しかし、やはり新シーズンと言えば新しいキャラクターたち。2年目で新たに登場したアイドルスクール=ヴィーナスアークの面々は、実質的に卒業したS4の3人=ひめ、ツバサ、夜空と入れ替わりになるというプレッシャーを跳ね飛ばすような ”濃い” 面々になっていた。
今日8月1日は、ヴィーナスアークのオーナーで、パーフェクトアイドルと呼ばれている、エルザ フォルテ様の誕生日!みんなでお祝いしよう!! #フォトカツ #アイカツスターズ pic.twitter.com/pH3XDfV9HT
— アイカツ!フォトonステージ!!公式 (@aikatsu_photo) 2017年8月1日
ヴィーナスアークのオーナーであり、ひめをして「世界一のアイドル」と言わしめた実力者=エルザ フォルテ (CV.日笠陽子) 。
担当声優が日笠陽子氏、世界的なアイドル、敵陣営(?)のリーダー格、高貴・高飛車な物言い、ピンク色の髪、音楽由来の名前……。アニメ『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズの大ファンである自分としては、彼女がシリーズ第2作『戦姫絶唱シンフォギアG』に登場する女性=マリア・カデンツァヴナ・イヴに見えてしょうがないのだけれど、その正体を踏まえると、マリアとエルザはその実全く正反対の人物。エルザ フォルテは、見た目通りに気高く、厳しく、ヴィーナスアークの異名=アイドル海賊を地で行く、まさに「最強のアイドル」とでも呼ぶべき存在だった。
そんな彼女の特異性と言えば、その「残酷」とさえ言える厳しさに全くの裏がなく、ヴィーナスアークの面々もそのことを理解した上で彼女を「エルザ様」と慕っていること。その所以=彼女の人となりが描かれたのが、第60話『密着! エルザ フォルテの世界』だ。
アイドルとして伸び悩み、今後の見込みがなくなったという理由でヴィーナスアークからの除名を命じられてしまう少女=アリス・キャロル (CV.田中貴子) 。
他の作品であれば「エルザの厳しさには、キャロルを思っての理由がある」と明かされたりしそうな展開だが、本作は『アイカツスターズ!』。エルザのその行動は彼女の言葉通り、キャロルを「見限った」ものでしかなく、そこには嘘も偽りもありはしなかった。キャロルはゆめの励ましを受けて新たな輝きを見出だすも「ヴィーナスアークを降ろされる」ことは変わることがない。
ゆめたちを通してそれは「残酷」なことと糾弾されるが、同時に、エルザの行いが「間違い」「悪」と言われることもない。それもそのはず、『アイカツスターズ!』が描くアイドルの世界とは前提からして苛烈な生存競争=残酷なものであり、エルザの行いはそんな厳しい世界で生きていくアイドルを鍛える為には極めて「合理的」なものであるからだ。
(事実、アリスはゆめとの一件がなければこの先もおそらく伸び悩み続けていた。まだ取り返しがつく1年生のうちに船を下ろすことは、ヴィーナスアークにとってもアリスにとっても、一面ではwin-winの選択であったと言える)
「私たちのスクールドレスは、皆エルザさんのプロデュースでデザインされてるの!」
「エルザさんの?」
「セルフプロデュースを重視した四ツ星学園とは、違うんだね」
「まるで、生徒の個性を認めていないような……」
「正しい意見ね。確かに、私の指導によってこの船のアイドルたちは私色に染まる。だけど、そこから滲み出る個性こそが “本物の個性” じゃないかしら?」
-「アイカツスターズ!」 第55話『行っちゃお☆ヴィーナスアーク!』より
一見四ツ星に比べ残酷なヴィーナスアークの教育方針。しかし、冷静に見てみると「一からセルフプロデュースしなければ生き残れない」四ツ星よりエルザの「まず一定の上質な土壌を与える」やり方の方が親切とさえ言える。そう見えないのは、四ツ星において「退学者」が描かれていないからでしかなく、アリスのように学園から去ることになった少女は、四ツ星にも間違いなくいるはずなのだ。
(そのメタファーが小春であったのだろうし、四ツ星が親切に見えるのは、我々の先入観や、アンナを初めとする教師たちの人格の所以だろう)
他にも、第52話『狙われたアイドル!?』では、一度は「何のオーラも感じない」と侮辱したローラに対し、そのライブを見て「中々の歌唱力ね」と誠実に称賛したり、ひめをヴィーナスアークに招き入れるための囮でしかなかったハズのゆめが「アリスの輝きを取り戻した」ことを受けて「ツバサを手にできる」ポテンシャルを見出だしたり、作中で行う指摘が悉く的確なものであったり……と、彼女はあくまで「リアリストでこそあれ、悪人ではない」こと、そして「アイカツに懸ける想いとその実力が本物である」ことが徹底して描かれている。
厳しく非情であるが、決して「理不尽」ではなく、人々に輝くチャンスも、その為の力も等しく与える……。エルザと、そんな彼女の方針を反映したヴィーナスアークの在り方とは、ある意味『アイカツスターズ!』という作品を取り巻く摂理そのものと言えるのかもしれない。
エルザを含め、ヴィーナスアークのメインキャラクターたちは1年目における第25代S4同様、ゆめたち主人公組と対になるような人物配置が行われている節がある。
ゆめに対しては、ひめが「世界一」と語るパーフェクトアイドル=エルザ。
真昼に対しては、未だ謎多き男装の麗人(服装は少女のそれなのに、こう書いてしまう雰囲気が満ちている)であり、剣道に自身の信を見出している元モデル=騎咲レイ(CV.藤原夏海)。
そして、猫のあこに対する羊=花園きらら (CV.江口菜子)。
今日3月30日は「メーーーッ!」が口癖の、ヴィーナスアークのふわかわ系アイドル、花園 きららちゃんの誕生日!みんなでお祝いしよう!! #フォトカツ #アイカツスターズ pic.twitter.com/MN8kzAR1Jw
— アイカツ!フォトonステージ!!公式 (@aikatsu_photo) 2018年3月30日
所謂「あざと可愛い」系キャラクターであるきらら。アイドルを扱う作品であれば王道ともいえる造形だけれど、だからこそ『アイカツスターズ!』にはそういったキャラクターは現れないと思っていた……し、いざ現れた彼女が秘めていたものには「こ、こう来たか……ッ!!」と慄いてしまった。
というのも、きららの初登場は「あこをミューズにすることが内定していたブランド=フワフワドリームの契約を奪ってしまう」というもの。なるほど、あざとくてその実腹黒いキャラクターか……と思ったけれど、どうもそういう様子でもないことが第54話『きらら☆フワフワ~なアイドル』で明かされる。
きららからブランドを奪還するためヴィーナスアークに乗り込み、ブランド会議で直々に勝負を挑むあこ。しかし、その結果は無情にもきららの勝利で終わってしまう。
エルザにも「貴女に足りないものは、発想力だけじゃない」と言われてしまい意気消沈の中、ゆめは「ヴィーナスアークの実力に向き合おう」と彼女をきららのライブに誘う。そこで2人が目撃したのは、ハイレベルなステージを繰り広げ、水星のスタープレミアムレアコーデ(アクセ)を手に入れてみせるきららの姿だった。
「なんとなく……分かった気がしますわ」
「えっ?」
「ドレスは、ブランドからのメッセージを伝えるもの。彼女はそれを表現するために真っ直ぐだっただけ」
「自分の意見を曲げなかったり、逆にあこちゃんのアイデアを取り入れたのは、きっとそのため……」
「なのに私は、ただ単に “素敵なドレスを作ろう” としか考えていなかった。選ばれなくて当然ですわ」
「エルザさんが言ってた “足りないもの” って、このことだったんだね……。やっぱり凄いね、ヴィーナスアーク」
「ええ……!」
-「アイカツスターズ!」 第54話『きらら☆フワフワ~なアイドル』より
「あこを切ってでも、彼女をブランドのミューズにしたい」と思わせたもの=きららにあって、あこにないもの。それは「ブランドからのメッセージを伝える」という純粋な思いと、その使命にひたむきなアイドルとしての姿勢、あるいはプロ意識。
一見「あざとい腹黒」に見えたきららは、その実「全く自分を偽らず、表裏のない」=可愛い顔も、ワガママな顔も、全て「ありのままの自分で在るだけ」という、ある意味天性のアイドルと呼べる存在。アイドルとしての「猫」を被っているあことは対照的な人物であり、あこの武器でもあった論理だった性格が、この時はまさに真逆に働いてしまっていたと言える。
こうして、ミューズ候補としても一人のアイドルとしてもきららに完敗してしまったあこ。しかし――
「一緒にやろうよ、フワフワドリームのミューズ!」
「はぁ!? 全く、何を言ってるんだか……ミューズは一人と決まってるじゃないですの」
「大丈夫! きらら、細かいこと気にしないから!」
「こ、細っ……こま……!?」
-「アイカツスターズ!」 第54話『きらら☆フワフワ~なアイドル』より
この提案を断ったあこだけれど、ゆめ、真昼、ローラが各々のブランドを持った現状に鑑みると、あこもまた何らかのブランドのミューズとなるはず。
すっかりきららの手玉に取られているあこ(可愛すぎる)は、果たして彼女とタッグを組むことになるのか、それとも宣言通りブランドの奪還を成し遂げるのか、あるいは――。ゆめたちに比べてイレギュラーなルートを往きがちなこともあり、あこの行く末からは今後も目が離せなくなりそうだ。
小春の帰還とリリィの覚醒
こうして、第25代S4の面々に勝るとも劣らない強烈なキャラクター性を見せ付けてきたエルザときらら。しかし、この2人もまだまだ謎が多く、レイはまだ歌ってもいないし、ローラのライバルになるであろうキャラクターに至っては未だ影も形もない(OP映像にもいない。何故……?)という状態。
それもそのはず、2年目1クールにおいて真にメインとなったのはヴィーナスアークではなく、むしろ1年目で辛酸を舐めた面々=七倉小春、白銀リリィ、桜庭ローラだったからだ。
「小春ちゃん……? 小春ちゃんっ!」
「久しぶりだね。ゆめちゃん、ローラ、真昼ちゃん!」
「小春ちゃん! 小春ちゃんだぁ!」
「やっぱり、この間の声は小春だったんだ!」
「その香りも、お別れの時にお姉ちゃんがあげたミスト!」
「でも、どうしてこの船に乗ってるって教えてくれなかったの!?」
「「そうそう!」」
「みんな、待って待って……!」
「それはともかく……! おかえり、小春ちゃん!」
「……うん!」
-「アイカツスターズ!」 第55話『行っちゃお☆ヴィーナスアーク!』より
OP映像で叫び、51話における匂わせ(真昼が「お姉ちゃんと同じ匂い」を感じるのに対し、小春の「声」を聴くのがゆめではなくローラなのは、誰より音楽に触れてきた時間が長いであろうローラの聴覚がそれだけ優れているからなのだろうし、そういった細かな設定を拾い上げる本作の丁寧さには恐れ入る……!)には気付かず、第52話の予告で発狂し、焦らされ続けた第55話『行っちゃお☆ヴィーナスアーク』にて遂に描かれた小春とゆめたちの再会。
エルザを「エルザ様」と呼ぶ様子はまるで「以前死んだと思われた仲間が敵として再登場する」展開のようで最初はゾッとしたけれど、だからこそゆめと再会した小春があの時の小春のままだったことにはそれだけで涙が溢れてしまった。ずっとこの「おかえり」を待ってたよ……!
「ゆめ、顔近すぎ」
「わわっ!ごめん、私ばかり喋っちゃった」
「ううん。……ゆめちゃんだ」
「……小春ちゃんだっ」
「「ふふっ!」」
-「アイカツスターズ!」 第56話『キャッ! と注意報』より
もうなんか、こういうのだけ無限に見ていたいよね……。と全部放り投げてしまいたくなるくらい、皆と小春の帰ってきた日常が愛おしい。ローラとだけ呼び捨て同士なことも、ゆめと頬をくっつけることも、ヴィーナスアークに不法侵入したあこに「どうしてここに!?」と言われて「私の台詞だよ」と返すのも全部可愛い……けれども、何より嬉しかったのは彼女が遂に自身の道=「自分らしく輝ける在り方」を見付けられたらしいこと。
1年目、ゆめたちが各々の目指す「アイドル」像を固めていく中、一人「自分探し」に励んでいた小春。彼女が紆余曲折の果てに「デザイナー」という道に辿り着き、エルザからその実力を認められたことは勿論、「ビックリ箱の小春ちゃん」という個性を活かす=一晩で無数のデザインをエルザを描き上げられたことで、あのエルザをも驚かせる力を発揮してみせる……と、小春がそうして輝けていることに胸がどこまでも暖かくなった。「回り道をすることで夢に辿り着くこともある」とは、まさにこういうことなのかもしれない。
とはいえ、彼女がこのままヴィーナスアークに居続けるのはどことなく腑に落ちないし、彼女にはやはりゆめたちと同じ四ツ星学園の生徒であってほしい。両親が未だ外国にいる(と、わざわざ念を押されていた)以上、少なくともそう簡単にはいかないのだろうけれど、彼女も願わくばゆめたちと共に戦ってほしい。2年目はどうも1年目の展開をリフレインしている節があるので、小春との別れだった第30話=第80話が、小春の四ツ星への復帰エピソードだったりはしないだろうか……?
こうして「小春の帰還」という1年目の心残りを早々に回収してくれた『アイカツスターズ!』2年目は、続けてもう一つの大きな心残りを回収してみせた。白銀リリィである。
S4に比肩する実力者であるものの生まれつき致命的なハンデを抱え、それ故に、シビアかつ人の「個性」を重視する『アイカツスターズ!』らしさ溢れるキャラクターであったリリィ。しかし、その夢に懸ける情熱や努力も空しく、彼女は歌組のS4決定戦においてひめ、ゆめ、ローラに敗北。歌組4位という、本人にとってはいたたまれないであろう結果になってしまっていた。
既に「自分のブランドを持つ」という夢は叶えていたし、ゆめ、ローラとの差は極めて僅差であったし、そこに勝敗の差はあれ、力の差はなかったのだろう。そのことが分かっていても、彼女の結果は見ていて胸に刺さるもの。それが勝負の世界であり、それがアイドルの世界だ……と分かってはいても、彼女がその分別の形で報われないものかと願わずにはいられなかった。
だからこそ、前述の『STARDOM!』でリリィの姿が見れた時は、そんな彼女が報われる瞬間を期待してしまった――けれど、それが第53話という序盤も序盤で見れるとは流石に予想できるはずもなく。
S4決定戦に敗れたことで、自身のブランド「ゴシックヴィクトリア」のプレミアムレアドレスを封印していたリリィ。しかし、エルザが披露した星のツバサ=スタープレミアムレアコーデに衝撃を受けた彼女は、封印していたプレミアムレアドレスを開放する――。
本話は「ゆめがプレミアムレアドレスについて本格的に考え始めるきっかけ」ということもあり、リリィが選ばれるのはまさに納得の人選。そこに、彼女が今後どうなっていくのかという指針を示す意味合いも含めた種蒔きがこのエピソード……なのだと思っていたけれど、中盤、どうもそうではないらしい雰囲気が流れ出してくる。
「ゆず……!」
「うん?」
「書を捨てよ、町へ出よう。ある劇作家の言葉です。その通りでした……! ありがとう! 早速デザインを……」
-「アイカツスターズ!」 第53話『オープンセサミ!星のツバサを手に入れろ!』より
ゆずに連れられた先でリリィが見付けたのは「籠の中の鳥」。例によって知ってか知らずか、ゆずによってもたらされた答えが最後のピースとなり、リリィは完成したプレミアムドレスを「新たな歌」と共に披露する。
あれ、この流れはもしかして……。
り、リリィが四ツ星学園で初めてスタープレミアムレアコーデを獲得……ッ!?
こんな早期に味方サイドのスタープレミアムレアコーデが解禁されることも驚きだったけれど、それ以上に驚きだったのは、そのトップバッターがよりによってリリィであったこと。
メインキャラクターでこそあれ「主人公組」からは一歩引いた立ち位置にある彼女が偉業を成し遂げるという「ロマン溢れるサプライズ」には非常に驚かされたし、この結果が、S4決定戦での結果に大きな実力差がなかったこと=彼女の実力やドレスに懸ける思い、そして弛まぬ努力とアイカツが「トップアイドルの器」であることを改めて示してくれたことが本当に嬉しかった。シーズンを跨いででも彼女に然るべき報償を与えんとする製作陣の心意気が、本当に嬉しかったのだ。
ローラへの祝福と「継承」
小春との再会に、リリィへの祝福……。『アイカツスターズ!』2年目が次々と1年目の「回収」をするほどに、どうしても気になってしまうのが「ローラの行く先」だった。
S4決定戦において「3位」となり、歌組のトップにもS4にもなれなかったローラ。彼女はゆめの指名で歌組の幹部になったり、その真面目さと優秀さを評価されて生徒会副会長に抜擢されていたりこそしていた=少なからずその頑張りが評価されていたけれど、それでもOPでゆめ、あこ、真昼がS4服であるのに対し一人だけ幹部服であったり、S4の看板番組に出演するゆめを「送り出す」などのシーン一つ一つに胸が傷んでしょうがなかったし、正直、幹部服の彼女が画面に映るだけで胸が痛かった。
では本人はそのことをどう感じているのか……というと、一見現状を受け入れているかのようで、その実深いコンプレックスとなっていることが極めて残酷に描かれた。
「星のツバサ……スタープレミアムレアコーデ……!」
「 “私も欲しい” ……貴女、そう思ってるでしょ?」
「えっ?」
「ヴィーナスアークへいらっしゃい。貴女の望むものをあげるわ」
「ゆめは行かないって言ったでしょ!?」
「ブランドも持ってないような子に興味はないわ。下がりなさい」
「うっ……」
「ローラのステージ、見たことあるんですか!?」
「いいえ。でも実力は一目で分かるわ。一流のアイドルは、そこにいるだけでオーラを放っているもの……その子からは、何のオーラも感じない」
「……っ!」
「貴女も、一流になりたかったらヴィーナスアークへいらっしゃ……」
「行きません!」
「なぜ?」
「ステージも見ないで実力を決めつけるのはおかしいです。それに、ローラは私の大切な友だちで、ライバルです。ローラを侮辱する人のところへなんて……絶対に行きませんッ!」
-「アイカツスターズ!」 第52話『狙われたアイドル!?』より
普段なら言い返すであろう挑発の言葉に、顔面蒼白で深い動揺を見せるローラ。最初はゆめを庇っていたがその後はゆめに庇われていたり、この一連はさながらS4という立場によって更に成長するゆめに対し、ローラが「差を広げられてしまう」ことを示唆する描写にさえ見えてしまった。
ローラ自身、ゆめの成長を心から喜ぶと同時にその現状に自覚的でもあったようで、彼女がブランドを持つという決意を固めるのは、エルザの言葉があってもなくても時間の問題だったのだろう。
「来てるわよ、エルザ フォルテ。この学園で好きにさせないわ!私たちの力、見せ付けてやらないと!」
「それは別にいいんじゃないかな?」
「え?」
「だって一番大事なのは、ファンに楽しんでもらうことでしょ?」
「ゆめ……」
「私たちが、一年生の道標になろうよ!」
「……S4になったんだね、ゆめ」
-「アイカツスターズ!」 第52話『狙われたアイドル!?』より
しかし、それは決して「ローラが成長していない」ということではない。彼女はS4として、トップアイドルとしての輝きを高めていくゆめたちとはまた異なる方向から見事な成長を遂げていた。
彼女がその片鱗を覗かせたのが、第57話『キラキラ☆お散歩びより』。「ツバサがプロデュースしたステージに参加する1年生たちがトラブルで遅れてしまう」という危機に際し「時間を稼ぐため、自分がステージを行う」と立ち上がったのがローラだった。
「時間がありません。すぐ準備に入りましょう。ゆめ、ステージの飾り付け、お願い!」
「オッケー!」
「私は機材を運ぶ!」
「お願いします!」
(……しかし、それでもこの人数では間に合わないかもしれない……)
「桜庭、すまないが、幹部たちにも……」
「連絡しました!」
「えっ」
「今、向かってくれてます!」
「……!」
「それから、ロケ番組のスタッフさんも手伝ってくれるそうです!」
「……頼もしくなったな……!」
-「アイカツスターズ!」 第57話『キラキラ☆お散歩びより』より
きららもローラも、イベントやステージをこなすほどにポイントを得ることができるアイカツランキングの真っ最中。1年生の遅刻を「ポイント獲得のチャンス」とイベントごと乗っ取ろうとするきららに対し、あくまで「1年生の舞台を守る為に」とステージに立つだけでなく、ツバサにさえ先んじてステージ準備の指揮を執り始めるローラ。
高い視座と冷静な判断。自分が輝くだけでなく、仲間たちを支え、導き、引っ張っていく優しいカリスマ性……。およそ中学2年生のそれではない彼女のスキルは、おそらく真面目で努力家な彼女の気質や、生徒会副会長 / 歌組幹部としての経験、そして何度も手痛い敗北を経験し、自身を見つめ直すことで培われた高い視座があってこそ成し得た彼女の「成長」が形となったもの。
そんな彼女は、自らの精神的な成長を言葉に乗せて敢然と示してくれた。
「2人のステージとっても良かったよ! でも、どうして1年生に譲っちゃうの?」
「どうして、って……今日のステージの為に、きっと寝る間も惜しんで練習を重ねてきてるはずだから」
「でもエルザ様言ってたもん。アイドルの世界は “弱肉強食” なんだよ。チャンスを活かせなかった方が悪いんだよっ!」
「……っ」
「このまま続けちゃえば? ヴィーナスアークの子だったら、絶~対にそうする!」
「エルザさんのことも、ヴィーナスアークのやり方も分かんないけど……私は、人のことを思いやったり、手を差し伸べられるアイドルでいたいんだ」
-「アイカツスターズ!」 第57話『キラキラ☆お散歩びより』より
エルザが『アイカツスターズ!』というシビアな世界の摂理であるならば、いくつもの敗北から学んだ優しさでその摂理に抗うローラの姿には、1年目同様に『アイカツスターズ!』という作品が伝えたいメッセージが込められているように思う。
そして、このローラの逞しい成長と気高い志は、その姿を見守っていたツバサからのこの上ない「贈り物」という形で結実することになった。
「あの件、決めたのか?」
「はい。桃子先生とも相談して、ハリウッドに行くことにしました」
「そうか、だがブランドはどうする? スパイスコードというブランドは、芯があって、何事にも動じず、責任感がある人間が務めるべきだ。如月以上に相応しい人間なんていないと思うが……」
「私もそう思っていました。ですが……」
-「アイカツスターズ!」 第57話『キラキラ☆お散歩びより』より
ゆめ、真昼、あこと強い絆で結ばれた「4人組」にして、唯一S4でないローラ。しかし、そんな状況に腐ることなく、あくまで自分の「為すべきこと」に徹してきた彼女の努力が「ブランド “スパイスコード” をツバサから託される」ことに繋がるだなんて全く想像できなかったし、そのことが1年目から彼女を応援してきた一ファンとしてはたまらなく嬉しかった。
舞台が世界に広がり、S4という存在がその優位性を (作劇的に) 落とし、一方で「ブランドを持つ」という点に重きが置かれることで、ようやくローラが名実ともにゆめたちともう一度並び立つ……。まるでローラの為に用意されたのかと思えるほどに秀逸なプロットと、こうした形でローラの頑張りに「報い」を与えてくれる製作陣の誠実さにはまさに感服。
かくして、ローラの掲げるポリシー「Going My Way」をその名に冠したエピソード=第62話『ゴーイング・マイ・ウェイで♪』において、遂にツバサからローラへとスパイスコードが託されることになる。
ローラの資質を見込み、彼女にスパイスコードを託すための試験を課すツバサ。ローラは数々の難関を見事に突破し、遂には「S4・あこ&ゆずのスペシャルステージから客を引っ張る」という難局をも打破してみせる。
ここに来てローラに (第53話のリリィ同様) ある種の「S4越え」を成し遂げさせるだけでなく、彼女の努力も挫折も克己も、そのアイカツの全てを誰より側で見守ってきた存在=アンナから改めて暖かい言葉が贈られるという展開には、流石に涙を堪えられなかった。
「きっと、桜庭なら大丈夫。スパイスコードのコードはギターのコードから。魂を揺さぶる刺激的なコード……それがスパイスコードだ。受け継がれるのはブランドの名前だけじゃない。大切なのは、ブランドを愛する熱い魂さ」
「……っ!」
「いつも悩んでいた1年生の頃から、随分と進歩したじゃないか」
-「アイカツスターズ!」 第62話『ゴーイング・マイ・ウェイで♪』より
自分は正直、この瞬間まで (1年目ではツバサとローラの接点が決して多くなかったこともあり)「スパイスコードをローラが受け継ぐ」という展開に少しばかり唐突さを感じてもいた……のだけれど、それは違った。スパイスコードをローラが受け継ぐのは、考えれば考えるほど「必然」だったように思う。
「結果を伝える前に、一つだけ聞かせてほしい」
「えっ?」
「スパイスコードは、数あるブランドの中でも最も歴史あるブランドの一つだ。その歴史の重みに、自分自身耐えることができると思うか?」
「それは……分かりません。けど、私は、私にできることをやるだけです!」
「不合格だと言われてもか?」
「はい、私は今まで通り、スパイスコードと共に歌い続けます!」
「……フッ、合格だ」
「えっ?」
「今のが本当の最終試験だ」
「本当、の……?」
「数々のテストにも動じず、自分のやるべきことを、自らの魂の命じるままに見付けた……それも全て、熱い魂が桜庭の中に育っていたからだ。桜庭には、スパイスコードを受け継ぐ資格が……そして、それに相応しい魂がある」(中略)
「アンナ先生や私の愛したスパイスコードを……桜庭は、自分自身のやり方で発展させていけばいい」
「……はいっ!」
-「アイカツスターズ!」 第62話『ゴーイング・マイ・ウェイで♪』より
そう、スパイスコードとは何もツバサだけではなく、ローラの恩人であるリリィ、そして恩師であるアンナが愛したブランドでもあった (劇中で具体的に示唆されるのはこのシーンが初めてだと思うけれど、ロックを愛するアンナがスパイスコード以外のブランドに軸足を置くとは思えないし、ともすれば、S4時代のアンナはスパイスコードのミューズだったのではないだろうか)。
また、一見するとローラと縁がなさそうなツバサだけれど、思えば彼女は「かつてひめに敗北し、歌組S4という本来の夢を諦めた先に、劇組という新たなステージで夢を見付けた」存在。その姿は、ゆめにS4の座を譲ったものの、イレギュラーな道のりでスパイスコードというブランドを受け継ぐに至ったローラの姿と瓜二つではないだろうか。
「何事にも動じず、責任感がある人間」という評も共通しており、一見縁がないように見えて、その実非常に近いところにいる存在だったローラとツバサ。考えれば考えるほどこの継承は必然だったと思えてくるし、ローラが「夢破れた者」という呪縛から解放されるこのあまりにドラマチックな一連と、その果てに、ローラがかつて第6話『ROCK! ロック ガールズ!』で披露されたツバサの歌=『Miracle Force Magic』をブランドと共に受け継ぐ姿には、それだけでも『アイカツスターズ!』を見てきた甲斐があると言えるほどの美しいカタルシスが満ちていたように思う。
おわりに~「2年目」の向かう先
既にアニメとして非常に高い完成度を誇っていた『アイカツスターズ!』1年目。それを踏まえての2年目とは何だろう……というのは始まる前から気になっていたけれど、ひょっとすると本作は「夢のその先」を描こうとしているのだろうか。
ゆめはS4になり、真昼は夜空を越え、そして第61話『好き! って気持ち』において、あこはすばるとの共演という夢を叶えてしまった。
しかし、『スタートライン!』や白鳥ひめを通して『アイカツスターズ!』という作品は「夢は見るものじゃない 叶えるもの」というメッセージを送り続けてきた。それは文字通りの「夢は叶える為にある」と同時に、その先を見据えることも示唆している。
夢を叶えた先には何があるのだろう。その答えは、1年目において既にリリィの口から語られていた。
「あの……リリィ先輩。一つ訊いてもいいですか? どうして自分のブランドを持ったのに、プレミアムレアドレスを作らなかったんですか?」
「プレミアムレアドレスは、謂わばドレスの中のトップです。私自身がトップに立った時に着るのが相応しいと思いました」
「それって……」
「まずは学園のトップ、S4になる!そしてその暁にはプレミアムレアドレスを着る……!それが、私の新たな夢なのです」
「新たな、夢……!」
-「アイカツスターズ!」 第39話『四ツ星学園、危機一髪!?』より
「夢を叶えたらそこで終わり」ではなく、そこには「新たな夢が生まれる」もの。現に、ゆめは「世界」という新たなステージに挑み、あこもかなたの言葉から女優としての未来へ思いを馳せ、ローラも「S4」の先のステージを見据えている。
夢の先にはまた新たな夢があり、その先にはまた新たな夢がある……。『アイカツスターズ!』は「夢を叶えるサクセスストーリー」のその先=「人生」そのものを謳う壮大な物語に足を踏み入れているのかもしれない。
この物語がどこへ向かうのか、ゆめたちは「世界」のステージで戦うことができるのか、彼女たちがアイカツの果てに見るものは何なのか……。紛れもない「目が離せない物語」となったアイカツスターズ!の新たなステージを、こちらも覚悟を持って見届けていきたい。