生まれて初めて「同じ漫画を3冊買った」話 ~ 社会人特攻系癒しコメディ漫画『くちべた食堂』のススメ

生まれて初めて、同じ漫画を3冊買った。 

「〇〇の1~3巻を買った」という話ではなくて、2023年4月12日発売、作・梵辛氏の漫画『くちべた食堂』3巻を3冊買ってしまったのである……!  

令和の人類に求められているマンガ部門2023年度世界ランキング堂々の第1位(筆者調べ)であるところの漫画『くちべた食堂』。  

こんなご時世だからこそもっと広まり、もっともっとバズるべきこの傑作をより多くの方に読んで頂く為、その魅力とここすきポイントを自分なりにまとめてみたのが今回の記事。名前だけは聞いたことある……という方も、実は気になってた! という方も、是非10000字を越えてしまったオタクのクソ長プレゼンにお付き合い頂ければ幸いです!(出版社の回し者じゃ) ないです!!!! 


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引用:CV早見沙織・佐倉綾音『くちべた食堂』ボイスコミック - YouTube

 

《目次》

 

『くちべた食堂』とは

 

『くちべた食堂』とは、梵辛氏がコミックウォーカー等の各電子書籍サイトやTwitterにて連載中の漫画作品。SNSへの投稿や同人誌としての出版に留まっていたものが想定外の人気を博したことで電子書籍、次いで単行本としてリリースされ、その人気から次々重版+当初はナンバリングのなかったコミックスも今や4巻までの発行が決定している……という、聞いているだけでスマイル待ったなしのシンデレラストーリーを歩んでいる作品だ。 

肝心なその内容だけれど、まずはこちらの内容(第1話)を読んで頂くのが手っ取り早いだろう。

 

 

あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!! 好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 

往々にして、傑作の1話には「作品の全てが詰まっている」と言うけれど、この1話はまさにそれ。おめでとう、この4ページが少しでも響いた貴方は、この先最低でもコミックス4巻分はこの ”幸” を堪能できることが確定した……ッ!!!!!

 

そう、実のところ、この『くちべた食堂』とは「食堂」というタイトルでこそあれ「料理漫画」ではない。 

本作のメイントピックは、料理というよりむしろ「料理を通して行われる、人々のコミュニケーション」。とりわけ、2人の主人公=高校教師の「ヤナギ先生(本名:柳凛)」と、町の食堂「食処くちなし」の店員 / 調理師である「くちなしさん(本名:くちなし日代乃)」が繰り広げる、思わず頬が緩んでしまう睦まじいやり取りこそが本作の「主役」と言えるだろう。

 

 

本作の魅力~素朴だからこそ至高の「やさしい世界」

 

『くちべた食堂』は、現実の「何気ない日常風景」をコメディタッチに描く作品。その内容も、決して「前代未聞」だとか「奇抜」だとかではないのだけれど、本作には間違いなく「この作品からしか得られない栄養素」がある。  

思わず「わ、わかる~!!」となってしまう無数の「口下手あるある」。 

「主役」でこそないものの、エピソードを華やかに彩ってくれる多彩な料理。 

緻密な描き分けや、あざとすぎない可愛さ、生き生きとした表情が魅力的な作画。 

「現実にいそう」なギリギリのラインを攻める愛らしいキャラクターたち。 

下町の食堂に足を運んでみたくなる、「食処くちなし」の暖かな雰囲気。 

「1話数ページ」という、サクッと読めるボリュームに対して得られる満足度の高さ。 

そして何より、作中に満ちている圧倒的な「やさしさ」……! 

 

本作には「多幸感」「もどかしさ」「善意」「愛情」のような、見ていて気持ち良い / 読んでいてつい笑顔になってしまうような暖かさがパンク寸前まで詰め込まれており、それはまるで文字通りの「やさしい世界」。……しかし、本作の舞台はあくまで私たちと同じ「現実」であり、前述の「やさしさ」もそれに則したもの=私たちが日常で出会う些細な喜び・幸福のようなものに留められている。  

 

ご飯に元気を貰って、その笑顔で自分も元気になって……。宝くじが当たるだとか、とんでもないトラブルに巻き込まれるだとか、そのような「特別なこと」は起こらないけれど、だからこそ読んでいてヤナギ先生たちに感情移入してしまうし、彼女たちが笑顔になると、つられてこちらまで元気になってくる。私たちはフィクションにこそ癒しを求めがちだけれど、こと『くちべた食堂』においては「ほどよく現実的」だからこそ、実感を持って作中の「やさしい世界」に浸る=素朴で暖かい「癒し」を得ることができるように思う。  

その最たるものが、口下手なせいで大好きな食堂=「味処くちなし」の看板店員に思いを伝えられないヤナギ先生と、気弱でおっとりした気質のせいで言いたいことがちゃんと言えないくちなしさんの「もどかしい」やり取りとその顛末だ。 

 

「お客さんに出す新メニューだからこそ、常連客であるヤナギ先生に意見を聞きたいけど、お客さんにそんなこと聞いていいのかな」というくちなしさんの葛藤。相手に喜んでほしくて話を合わせた結果、上手くいかずに「やっちまった!!」となる瞬間の焦り。どうしようもなくなってしまったけど、それでも、と必死に思いを絞り出す頑張り……。


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(くちべた食堂のLINEスタンプは絶賛販売中! 間もなく第2弾もリリースされるので要チェック……!!)

 

そう。本作において、特にヤナギ先生がぶつかる葛藤は「誰しも一度は経験するであろう、些細だけど深刻な」もの=自分のようにコミュニケーションが不得手な人間にとってはとりわけ身に覚えがあるものばかり。  

だからこそ、自分は彼女たちにものすご~~~く感情移入してしまうし、彼女たちが毎回「報われる」姿に、何度読んでもウルトラハッピーになってしまう。キャラクターたちの幸せによって、こちらまで幸せをお裾分けを貰えてしまう……というこの幸福度300%の読書体験こそが、自分が本作を何度も何度も読み返してしまう大きな理由だったりする。


ちなみに、若干語弊がありそうなので補足すると、ヤナギ先生とくちなしさんの関係は少なくとも「恋愛」ではなさそう……なのだけれど、かといって「知り合い」というほど浅くもなく、「友人」というほど付き合いがある訳でもなくて、強いて言うなら「推しとファン」「仲良し」という表現が一番近いような、そんな「言葉にできない」もの。 

そこに確たる枠組みはなく、代わりにあるのはお互いへの「好き」という気持ちと信頼、加えて (おそらく) お互いにくちべたであることからくるシンパシー。だからこそ、その想いをどうにか伝えたいという懸命な努力が見ていてたまらなくもどかしいし、この「言葉にできない不思議な関係」の睦まじさこそ、本作の「真骨頂」ないし「一番の醍醐味」と言って差し支えないだろう。

 

 

驚異の「社会人特攻」

 

とりあえず、こちらの漫画を見て頂きたい。 

 

この漫画がグッと来てしまった貴方、さては社会人ですねッ!?  

(そもそも個人ブログなんて今の学生は読まないかもだけど……!)

 

何が言いたいかというと、この『くちべた食堂』はどうにも社会人特攻持ちの節がある。  

ヤナギ先生は「高校教師」「柔道部の顧問」「生徒の相談相手」という地獄のトリプルワークを強いられている限界OL (公務員だけど) 。一方くちなしさんは家族で切り盛りする食堂の中心=ハードワーカーで、更に叔父が体調不良+妹が大学生のため、時にはワンオペを強いられていたりする……と、この時点で彼女たちにズズイッと感情移入してしまうのは自分だけではないはず。 

更に、本作には「定食屋さんのありがたさを崇めるヤナギ先生」「ハッピー給料デイトゥーユー (至言) 」「人付き合いに振り回されて限界を迎えてしまうヤナギ先生」「疲れきった時に上司から飲みに誘われて凄い顔で舌打ちしてしまうヤナギ先生 (こういうところ好き) 」……と、社会人なら誰もが一度は通るであろうシチュエーションが山盛り。特に、本作のメイントピック=「くちべた」きっかけで起こる様々な出来事というのは、学生の時分よりも「コミュニケーションの難しさ」や「他人の目が気になる」しんどさが身に染みた社会人にこそ刺さるものと言えるだろう。  

しかし、そんな描写で深く感情移入させられてしまう……からこそ、尚のこと「染みる」のが本作の魅力。 

 

ちょっとした、けれどとっても嬉しい偶然。疲れた身体を癒してくれる「食事」のありがたみ。気の合う人と、静かで暖かい時間を過ごすことの喜び……。大変な毎日の中にある、それら小さな幸せの価値をしっとりと思い出し「また明日も頑張ろう」と背中を押されたような気分になれる本作は、毎日をハードに戦う社会人にとって必携のパートナーと言える……と、自分は結構本気でそう思っているので、本作が少しでも響いた方は、是非もう少し本作を覗いてみるか、単行本を一冊買ってみて頂ければ……! 書き下ろしエピソードもあるよ!!

 


『くちべた食堂』オススメエピソード15選


長々と『くちべた食堂』の魅力を紹介してきたけれども、何だかんだでやはり「本編を見て頂く」のが一番の布教。 

本作はありがたいことに全編がTwitterで公開されているため、是非皆さんにも覗いて頂きたい……のだけれど、何せその数は膨大で、Twitterを遡っていくのも楽じゃない。そこで、個人的なお気に入りエピソードをどうにかこうにか15ヶまで絞り込んでみました。  

本作に興味を持った方も現状そうでもない方も、物は試しと是非覗いてみてください……!

 

①対価  


ヤナギ先生の勢い、2人の距離感、わかる~! となってからのウルトラハッピーなオチ……と、まるでくちべた食堂スターターキットのような一本。くちなしさんの「わ~助かります」が可愛すぎる……ッ!! 

 

②寄り道  


嘘をついたままにせず、ちゃんと打ち明ける→忖度なく “分かります” と共感して貰える→遺恨が残らない、という、本作……というより作者梵辛氏の心遣いが垣間見える素敵な読後感が最高。「やってしまった」からの葛藤に無限に感情移入してしまうし、そこからの4ページ目が気持ち良すぎる……!!  

(このおろおろくちなしさんで無限に麦茶が進む!! カワイイ!!)

 

③ネギ  


実は、本作の舞台「味処くちなし」は「大繁盛している訳ではない」と明言されている。自分は、田舎生まれなこともあってか馴染みのお店や個人経営のお店に必要以上に感情移入してしまう気質なので、こういう話を聞くとそれだけで胸がキュッとなってしまうし、この「世相もあってネギの納品先が減っている」というリアルなエピソードには胸が締め付けられる。だからこそ、恥ずかしさに耐えてまさかの行動に出るヤナギ先生にカッコいい~~!! となるし、オチの「ささやかな特典」が素敵。

 

④答弁  


「麦茶が進む!」にヤナギ先生、「わくわくわく」にくちなしさんの魅力がこれでもかと詰まっている一編。本当にねぇ……この漫画はねぇ…… ““表情”” が良いんですよ……!!!!!

 

⑤拡散  


 宇 宙 か ら あ げ 
SNSの扱いに不慣れで、変にバズってしまうくちなしさんが「それっぽすぎ」る……!!  

(最後のハラハラくちなしさんで無限に麦茶が進む!! カワイイ!!)

 

⑥避難  


ああ、自分は『くちべた食堂』の「ここ」が好きなんだなぁ……と改めて思わされる、個人的に特にお気に入りな一本。本作の数えきれない魅力がこの連作にギュッと詰まっているのは勿論、最後の〆には悶絶必至。お2人とも、こう……幸せになってくれ……ッ!!!!!!!!!

 

カニ  


多分『くちべた食堂』で一番笑ったエピソード。現実は非情である……。  

(カニの効果音が「カニ」なのがジワジワくる)

 

⑧お手伝い  


陽香ちゃんの「やっ……と、姉貴の昼営業が忙しくなってる!!」がね……好きなんですよ……!! おっとりした癒し系のくちなしさんが「姉」、溌剌とした陽香ちゃんが「妹」というこの姉妹がまず100000億点だし、陽香ちゃんがそんなお姉さんに「表面上はドライに接してるけど内心大好き」というのが最ッッッ高!!!!!  

この漫画、ヤナギ先生とくちなしさんだけじゃなく、他のメインキャラクターもお互いがお互いに「大好き」なので、読んでいて本当に幸せになれる。RPGで言うなら無限に回復できるアレです。ポケ○ンセンター。

 

⑨追跡  


くちなしさんにとっての叔父さんや陽香ちゃんのように、ヤナギ先生を引き立たせてくれるのがこの生徒4人組。ヤナギ先生を「ヤナギちゃん (先生) 」と呼んでいて、ヤナギ先生もそれを受け入れている、この「姉妹」のような関係性が自分は大好きなので、彼女たちが主役のエピソードが出てきた時の「待ってました!」感たるや……!  

(後のエピソードを踏まえると、ここでヤナギ先生は正直に「味処くちなし」のことを話したらしい、というのがまたほっとするポイント!)

 

⑩ドクターストップ  


いつぞやの甘いカレーが好評だったのか、とうとう辛いメニューが出てきてしまったことに笑ってしまうし「来てくれなかったな……」としょんぼりするくちなしさんで無限に麦茶が進む!! ……のだけれど、それ以上にヤナギ先生の「いいねボタンしか押せない」葛藤がわかる……わかってしまう……!!!!(画像略)

 

⑪続・答弁  


これまでの『くちべた食堂』の見方、特に「くちなしさんにとってのヤナギ先生」の見え方が変わる、超重要かつ個人的にベストエピソードの一つに数えたい連作。  

くちなしさんの健気さや叔父さんのカッコよさは勿論、彼女の積み上げた努力の一つの結晶がヤナギ先生と、彼女の口にした言葉なのだと思うとつい泣きそうになってしまう……! この話を読んで味処くちなしを応援したくならない人はいないだろうし、そんな私たちの想いをヤナギ先生が代弁してくれる〆がとっても粋。

 

流しそうめん  


恥ずかしさが一周回って「無」になるくちなしさん、可愛すぎんか……………………?????????????  

と、貴重な1/4ページを丸々使って発動するくちなしさんの天元突破=カワイイに隠れてヤナギ先生が「眼鏡+ポニテ」という超レアビジュアルを披露しているのも見逃せないポイント。普段限界OL中身女子高生なヤナギ先生がこういう大人びた+可愛らしい服装で出てきたらそりゃあもう……ねぇ!? (限界OL中身女子高生のヤナギ先生も好き!!!!)

 

⑬フードコート  


あ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!良~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


⑭海の家  


いつもは頭巾で隠れがちなくちなしさんのポニテ (7兆点) が存分に堪能できたり、柔道部副顧問としてのヤナギ先生が (おそらく) 初めて本格的に描かれたり、正顧問のフジワラ先生 (かわいい) が初登場したりと何かとレアなエピソードだけれど、一番レアなのは実質的にヤナギ先生とくちなしさんの海デート回ということ。  

2人は恋愛関係ではないだろう……とは言ったけれど、最後の一枚絵を見るとそのあまりの「いい雰囲気」にはこっちまでドキドキしてしまう。家族公認だし、もういいんじゃない??????  

(2人ともこの時点でまだお互いの名前を知らないという事実に震える。嘘でしょ…………?)

 

⑮縁日  


ヤナギ先生の、想像以上かつ「わかる……」となる「くちべた」ぶりが映えに映える一本。オチでの2人の表情が最高だし、ヤナギ先生とくちなしさんのポニテがどちらも堪能できる貴重なエピソードでもあったりするので超オススメです!!!!

 

⑯番外編 

変則的な作品なので15選には入れられなかったのだけれど、『くちべた食堂』には単行本とは別に上記の同人誌も発行されており、とりわけオススメなのが『行きつけの店に通い続けるゲームブック風漫画』。内容を一言で表すなら……そう、「幸福度100000%の∀ガンダムですかね……!(真実はキミの目で確かめろ!)

 

 

余談:チュンの恩返し  

ポニーテール大好きなんじゃないか説が筆者脳内で定説となっている『くちべた食堂』作者こと梵辛氏。自分は先生の描くポニーテールが大好きなのだけれど、その話をすると絶対に外せないのが、漫画『チュンの恩返し』の主人公=化け雀「おチュン」のポニーテール! 

『くちべた食堂』と同時に連載中の漫画『チュンの恩返し』。こちらも『くちべた食堂』に負けず劣らずのスーパー面白漫画で、その見所は様々な「化け鳥」の登場……と、作中で描かれる鳥たちの常軌を逸する可愛らしさ!  

とんでもない「熱」が満ちた梵辛氏の作画には鳥への尋常ならざる愛がこれでもかと満ちていて、見た目は勿論鳴き声まで可愛い始末。更に、そんな先生の「作画」「演出」だけでなくストーリーにまで反映されており、中には「善良なカラスが受ける偏見」という非常に考えさせられるエピソードもあったりする。   

自分のお気に入りは、おチュンのポニーテール (化けが上手くなったのか、このエピソードからポニーテールがより人のものに近付き、おまけに可愛いリボンまで付いている。5000000000000垓点……!!)  や、前述の化け烏「カーミア先生」のエピソード……は勿論、何といってもやはり伝説の「つぺぺぺぺぺぺ」は外せないだろう。 

……え、何のことか分からない? オッケーオッケー、そんな貴方はこちらから本編をどうぞ!! 

……と、本作はこのような爆笑ものの日常からシリアスな展開まで、『くちべた食堂』とはまた趣向の異なる面白さが詰まった逸品。 

こちらもWebアクションなどの各電子書籍サイトや梵辛氏のTwitterにて連載中なので、是非『くちべた食堂』と一緒に覗いてみてください……! カーミア先生や「つぺぺぺぺぺぺ」はどちらも発売中の単行本1巻に収録されてますよ~!

 

 


衝撃の「CV.佐倉綾音&CV.早見沙織

 

ここまで見て頂けた方なら『くちべた食堂』がエクストリーム面白漫画であることは十分に理解して頂けたと思うのだけれど、そんな貴方に一つお訊ねしたい。ヤナギ先生とくちなしさんの声は、一体どの声優さんで再生されましたか……?  

自分は、ヤナギ先生が佐藤利奈氏、くちなしさんが早見沙織氏でそれぞれ再生されていた……のだけれど、なんと、この「2人のCV担当はどの声優さんなのか」という与太話が、程なくして現実になってしまったのである。  

ボイスコミック、そういうのもあるのか――って早見沙織さんッッッ!?!?!? 夢!?!?!?!?  

自分の中では(それこそ陽香ちゃんのような)「元気」「快活」方面のイメージが強かった佐倉綾音さんも、いざ聞いてみると、あの「一見しっかりしてそうでその実不器用、絶妙に社会に疲れている」雰囲気がバッチリ出ていてパーフェクト。早見沙織さんはもう「言わずもがな」であるし、あまりにも「そのまま」すぎる2人に驚きを越えて感動さえしてしまった。

 

このボイスコミックは、1話以外にも数点の傑作エピソードが抜粋されているため「入門編」としてもピッタリ。漫画で読むのが苦手……という方、あるいは佐倉綾音さん・早見沙織さんのファンの方は、このボイスコミックを『くちべた食堂』の入り口にしてみてはいかがだろうか。

 

 

おわりに~なぜ『くちべた食堂』3巻を3冊買ったのか

 

ここまで書いて、はたと気付いた。わざわざ記事のタイトルにまでしたこと=「どうして『くちべた食堂』3巻を3冊買ったのか」についてまだ話していない……!  

とはいえ、何も特別なドラマがある訳でも何でもなくて、ただ単純に「特典が欲しかったから」だ。  

恥ずかしながら、自分は基本的に漫画を各巻1冊ずつしか買わない弱小オタク(弊TL比)で、『くちべた食堂』前2巻はどちらもゲーマーズさんで購入していた。しかし、この画像を見たら……ねぇ、「在る」じゃあないか、素晴らしい「ポニーテール」がッ……!!!!  

ということで、自分はすぐさまとらのあなで予約注文、昨日アニメイトゲーマーズを横断することで、『くちべた食堂』3巻を3冊手に入れることと相成ったのである……!

 

とはいうものの、何も特典欲しさ「だけ」で購入した訳ではなくて、そこには少しでもこの漫画に続いて貰い、是非とも「単行本を続刊して頂く」ためのお布施……という意味合いもある。というのも、『くちべた食堂』は「思い立った時にすぐ読める手軽さ」、「素朴な暖かみと紙媒体との高い親和性」……といった点で、「単行本」という媒体との相性が抜群なのだ。  

更に、本作の単行本は和風の凝った装丁がなんとも心地好かったり (すぐ保護用のクリアカバーをかけてしまうのであまり長くは楽しめないのが悔しい!) 、目が悪い自分にとっては紙の単行本がありがたかったりリアル書店でお金を落とせたり、単行本が出る方が多くの方の目に留まりやすかったり……と、単行本で出てくれた方が嬉しい理由は挙げたらそれこそキリがない。 

そのため、もしこの記事で興味を持ってくださったなら是非単行本のご購入を検討して頂けると幸い……というのが本音ではあるけれど、この作品が刺さる社会人とは得てして財布や部屋のスペースに余裕がないもの。そういったことであれば、Twitter上でこの作品を応援して頂ければ幸いですし、何より嬉しいのはこの『くちべた食堂』の常連客が増えること。良質なエンタメが溢れかえるこの時代だからこそ、あなたも「味処くちなし」で一息ついてみてはいかがだろうか。