感想『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突 Episode 1』これが見たかった! 期待と衝撃の「真・ニュージェネクライマックス」開幕編

ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』がクライマックスを迎えようとしていた2021年末。突如として『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズ第3作、『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』のプロローグ編が開始され、その凄まじい内容にウルトラファン界隈は阿鼻叫喚のお祭り騒ぎとなった。

 


アブソリューティアンの背景説明や、ジョーニアスに特訓を頼むゼロ、同じくメビウスに鍛えてほしいと頼むグリージョなど、概ね文字通りの「プロローグ」然とした内容でありつつも、何といっても最大のトピックは劇場版『THE BLUE PLANET』のBGM、シリーズ屈指の名挿入歌「Touch the Fire」、そして作中未使用のテーマソング「ECLIPSE」をバックに、リドリアスと共に戦うウルトラマンコスモス3モードの勇姿!

 

ECLIPSE

ECLIPSE

 

客演の機会に恵まれつつも、前作『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』までは戦闘・アクション面で不遇だったコスモス……が、まるでその雪辱を晴らすかのように一騎当千の大活躍を見せる姿には、それだけで前作から約1年待った元が取れてしまうような凄まじい感動があり、否が応でも『運命の衝突』本編への期待とハードルが高まっていった。

(プロミネンスボールにサンダースマッシュが令和に見れるなんて思わないじゃん……!?)

 

それから、早4ヵ月。現在絶賛公開中の『シン・ウルトラマン』と共に、TVシリーズ新作の間隙を埋める形で配信開始となった『運命の衝突』本編。

プロローグに負けず劣らず、感想を吐き出さずにはいられないオーバーヒート気味の熱量と情報量に反して、今回は (2021年5月現在) ウルトラサブスクこと「TSUBURAYA IMAGINATION」限定配信。であれば、吐き出せる場所 (=ブログ) に吐き出すだけのこと……!

 

という訳で、下記は『運命の衝突』Episode 1のネタバレ込み感想になります。未視聴の方はご注意ください!
(もしくは今すぐ5月の無料期間を活かしてTSUBURAYA IMAGINATIONに加入してご視聴ください!!!!!!)

 


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 『運命の衝突』のおおよそ前半にあたるEpisode1~4。その主役は、新章開幕を飾るに相応しいド派手な面々=ウルトラマンギンガ~ゼットのニュージェネレーションヒーローズだ。

 

ニュージェネレーションヒーローズの集合は実に約2年ぶりで、その「2年前」の作品は『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』と『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』の2作品。 

「ニュージェネレーションシリーズ」の影の立役者であるウルトラマンゼロを物語の核に据えることで、その歴史を鮮やかに総括してみせた『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』。そして、『ウルトラマンタイガ』の最終章にギンガ~R/Bの主人公たちが参戦するというストーリーラインで「そつない」客演ものとして仕上がっていた一方、盛り上がりに欠けるきらいがあった『ニュージェネクライマックス』。

それらを経た今、改めて製作陣 (もとい、坂本浩一監督と足木淳一郎氏) が打ち出したのは、「“ニュージェネレーションヒーローズ” の文法による “ニュージェネクライマックスの再演” 」というド派手な大花火だった。

 

 

『運命の衝突』Episode1のメインプロットは「ウルトラリーグに加わって貰うため、トライスクワッドが各地でデビルスプリンターを追うニュージェネレーションの先輩たちと合流していく」という至ってシンプルなもの。 

そして、軸がシンプルであるが故に、Episode1では後半約10分間に渡って、全世界待望の「坂本×足木流 真・ニュージェネクライマックス」が炸裂する。

 

 

まず先陣を切るのはウルトラマンタイガ。ベムスターと戦うギンガ&ビクトリーに加勢しつつ「アブソリューティアンに光の国が狙われている」という現状を伝えると、「再び、俺たちニュージェネレーションの力を集結させる時だ!」と力強く答える我らが座長、ウルトラマンギンガ!   

一見すると導入のような雰囲気のタイガパートだが、ビクトリーがビクトリーナイトに変身、隙を作るや一転攻勢。ギンガはギンガストリウムに、タイガはフォトンアースに転身。そしてなんとストリウム光線とオーラムストリウムの同時発射 (ギンガストリウムはタロウの幻影を召喚するので、実質トリプルストリウム光線……!!!!) という、それこそニュージェネクライマックスで一番見たかったまである画がお出しされてしまう。

 

 

タロウの若き朋友であるギンガと、タロウの息子タイガ。『大いなる陰謀』でタロウの教え子であるメビウスとタイガの共演が描かれたことも然り、坂本監督のタロウ愛、そして足木氏の「文脈オタク」ぶりが如何なく発揮された一連だが、本話の〆における「真っ直ぐ前に進む力こそが希望、というタロウの言葉を引用してタイガを鼓舞するギンガ」などはまさにその極致。これが、これが俺たちの見たかったニュージェネクライマックス……!!

 

 

というそんな流れに対抗して (?) 投入されるは、登場の度に村を焼くことに定評のあるウルトラマンジード。 

「タイタス、久しぶりの再会がこんな状況だなんて……!」 

という台詞通りタイタスと共闘しているジードだが、実は『ニュージェネクライマックス』でも、各種舞台でも (筆者の記憶が正しければ) 2人はまともに顔を合わせたことがない。

(面識があるとすれば『タイガ』1話冒頭の一瞬くらい?)


しかし、次回のEpisode2では「ベリアルの遺したものに触れて思い悩むジードに対し、タイタスがその肩に手を置き言葉なく励ます」という一幕があるなど、タイタスがジードの出自を知った上で行動しているらしい節がある。 

この点から察するに、トライスクワッドの面々は『ニュージェネクライマックス』から『大いなる陰謀』までの間に、ニュージェネレーションの先輩たちと共にデビルスプリンターを追っていた時期があったのではないだろうか。もしそうなら、ニュージェネレーションの面々がデビルスプリンターを追っているとタイタスが知っていたことにも辻褄が合うが……。

 

とはいえ、仮にそういった背景がなかったとしても、光の国の反逆者=ベリアルの息子であるジードと、U40への反逆者=ヘラー軍の末裔と言えるタイタスには、お互いにしか分からない悩みを共有できる良き友人であってほしいし、そんな2人にまつわる文脈を、くどくどと説明したりせず「ヒントを散りばめる」ことで示唆してくれる足木氏の見事な手腕にはひたすら感服、感謝しかない。

 

 

一方、そんなコンビを引っ張るのがウルトラマンエックスである点も嬉しいポイント。

 

この3人が共闘しているのは、おそらくエックスがジード同様に「タイタスに力 (レット) を与えたウルトラマンだから、という文脈に基づくファンサービス」が一番の理由だろうし、その時点でファンとしては万歳三唱だ。 

しかし、奇しくもジード・タイタスは2人とも前述の通り「反逆者の血を引く」ウルトラマンそんな2人を率いるのが、他ならぬ「怪獣という異種との共存を願って戦い続けた戦士」であるエックス=大地であることは (製作陣がそこまで考えていなかったとしても) 大きな説得力があるし、エックスがリーダー役という人選にも殊更に納得できてしまう。 

ただでさえ先輩に助けられることの多かったエックスが、ギンガ、ビクトリー、オーブと並んで、ニュージェネレーションヒーローズの「先輩組」として2人を律し、最前線で戦う姿は『新ウルトラマン列伝』を毎週楽しみにしていたファンとしては一際感慨深いし、鮮やかな連撃で敵を屠っていく姿や、より凛とした響きになった大地の声からは、そんな今のエックス/大地に「それだけの実力」が伴っていることも感じられる。 

「未見の人にとってややこしいから」など様々な都合があるのだろうけれど、『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』以降、大地役・高橋健介氏のみのアフレコとなったエックス。しかし、こういった彼の立ち回りや、そのクールな言動を見ていると、今のエックス/大地は、かつてのウルトラマンジャック=郷秀樹やウルトラマンエース北斗星司のように一体化が進んでおり、ユナイトすると2人の人格が統合されているのでは、という風に深読みしてしまうところだ。
(2人の場合「ユナイト時のシンクロ率が上がっている」という表現の方が似つかわしいかもしれない)

 


……と、この時点でお腹一杯のタイタスパートだが、ともすれば、それら以上の白眉と言えるのが、苦戦するジードの元に颯爽と駆け付ける我らがウルトラマンゼットの勇姿!

 

 

お馴染みのBGM「ウルトラマンゼット アルファエッジ」と共に、アルファバーンキックで飛び込んでくるゼット。 

彼の参戦そのものは隠されていなかったが、なにせ一連の下りは「タイガたちがニュージェネレーションの “先輩” たちを探しに行く」というもの。まさかここで、タイガたちの後輩=ゼットが駆け付けてくるとは正直思っておらず心底仰天、そのあまりのカッコよさに変な声が上がりかけてしまった。脳内では叫んでた。


そんなゼットの登場シーンだが、そのカッコよさに一役も二役も買っていたのが一風変わった「見せ方」。 

ウルトラマンに限らず、ヒーローがサプライズ風味で救援に駆け付けるというシチュエーションは基本的に「前振り」が付き物だ。直近では『トリガー』第14話において、

 

①アブソリュートディアボロに苦戦するトリガー 

②「リモートカッター!」という声が響く 

③画面外からリモートカッターが放たれトリガーを救出する 

④空からリブットが登場

 

という演出が行われていたように、得てしてまずは視聴者に「おっ!?」と思わせる一瞬があるもの。しかし、このゼットの登場はそのような「前振り」を介さず、こちら (視聴者) に予想させる間もなく一気に畳みかけてくることで、そのサプライズを倍増しにしてくる。 

スピード感溢れる作風の「ギャラクシーファイト」だからこそ使えたであろう、この切れ味抜群の演出は、坂本監督の「ファイト」シリーズにおけるインスピレーション元だという「ウルトラマンフェスティバルウルトラシリーズの毎年恒例イベント。現在は「ウルトラヒーローズEXPO サマーフェスティバル」に名称が変更された)」におけるライブステージ(舞台)を強く意識したであろうもの。そういった意味合いでも、筆者のようなファンにはたまらない “アツさ” があるシーンだった。

 

 

このゼットの登場を機に戦いは更にヒートアップ。 

ゼットがメダルを渡したことで、ジードはギャラクシーライジングへ、エックスはゴモラアーマー(本格的な活躍は劇場版オーブ以来!)へ、ゼットはベータスマッシュへとそれぞれ転身! 

変身口上、アイテム、ぐんぐんカットをミックスした『ギャラクシーファイト流変身バンク』の集大成とも言える演出を、『大いなる陰謀』以来投入された「紹介カット」で〆るカッコよさはもう最高の一言。 BGMとの音合わせもあってかテンポ感も抜群で、これだけのタイプチェンジを投入しても画のテンションが一切緩まないのはもはや圧巻の職人芸。ヒーロー演出の匠たる坂本監督の真骨頂と言えるだろう。

 

 

これらに加えて、タイタスとベータスマッシュという筋肉コラボもバッチリ見せてくれるという、美味さ満点欲張りマシマシのタイタス組。こんなものを見せ付けられてしまってはいよいよハードルが高くなること請け合いのフーマパートだが、よくよく考えると、この時点で残っているニュージェネレーションの先輩方はあの3人。 

そう、単独でギナ・スペクターと激突するフーマの元に駆け付けたのは、彼と同じO-50ウルトラマンのオーブ、ロッソ、ブル! 世界中が君たちO-50トラマンズの集結を待っていた……ッ!!!!

 

オーブオリジン(M-15)

オーブオリジン(M-15)

 

戦いに加勢したタイガ、戦いの渦中にあったタイタスと来て、フーマパートだけは『ニュージェネレーションヒーローズ』と同じ「先輩が駆け付ける」という年功序列スタイル(?)で登場するオーブ、ロッソ、ブル。 

やたら美味しいなこの3人!? と思ったけれど、思えば、トライスクワッドの結成秘話を描いた舞台「ウルトラヒーローズEXPO THE LIVE ウルトラマンタイガ」において、トライスクワッドが結成初の(ここ重要)名乗りを上げるシーンでも


「光の勇者、タイガ!」 

「力の賢者、タイタス!」 

「風の覇者、フーマ!」 

「俺の名はオーブ、銀河の光が我を呼ぶ!」(!?) 

流れ出す『♪ULTRAMAN ORB』(!?!?!?)

 

……と、オーブがトライスクワッドのお株を盛大にかっさらうという面白……もとい美味しすぎるシチュエーションがあったりもした。そういうところだぞガイィ!!

 

ULTRAMAN ORB (TV Size)

ULTRAMAN ORB (TV Size)

 

 

舞台に続きフーマのお株を奪ったオーブだが、その隣にロッソとブルが「先輩」として立っているのがまた嬉しいところ。 

登場早々に相変わらずのコントで笑わせてくれたりもするが、オーブ サンダーブレスターに、R/Bの基本8形態中おそらく最もパワーに秀でているブル グランドを合わせたり、ロッソはウインドの姿でフーマと「ダブル風の覇者」を披露したりと八面六臂の大活躍! 

『ニュージェネレーションヒーローズ』でも、ロッソ ウインドとブル グランドによる「ウィンドグランド・ハイブリッドシュート」を披露していたりと、坂本監督は『R/B』本編で活躍に恵まれなかったこの2形態をフィーチャーしてくれるので嬉しい限り。当時なぜか一般販売だったこの2形態のフィギュアーツを購入した方々もさぞ浮かばれている (?) ことだろう。

 

 

 

このように、Episode1のタイガ、タイタス、フーマ各パートだけでも『ニュージェネクライマックス』のそれを越えてしまったと言えかねないクロスオーバーぶりを披露した『運命の衝突』。こうなると、この先描かれるニュージェネのチームバトルは一体どれほど熱くなってしまうのか、ウルトラマンレイガは一体どれだけ「スーパーウルトラマン」としての威風を見せてくれるのか……。高まりきった期待がどうなったのか、それは、文字数の都合から語れなかった「ゼアス、ナイス、ボーイ、グリージョ」や「セブン、レオ、ジョーニアスによるゼロの特訓」パートと併せて、この先の感想で触れていくことにします。 

最後に一つ、言えることがあるとすれば……

 

坂本監督!!!足木さん!!!!!!

最高のニュージェネクライマックスをありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(早)