2026年2月に放送を控えた『超宇宙刑事 ギャバンインフィニティ』。東映が送り出す新たな特撮ヒーロープロジェクト『PROJECT R.E.D.』の第1弾にして、メタルヒーローシリーズの元祖『宇宙刑事ギャバン』のリブート作だ。
そんな『超ギャバン』に特撮界隈が湧き立つ傍ら、平成1桁生まれで『スーパーヒーロー作戦(1999年発売のロールプレイングゲーム)』や『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』などのリブート・客演作品でしか宇宙刑事に触れていない自分はほんのりと焦っていた。こんな半端な状態で、新しいヒーロープロジェクトの旗揚げに立ち会うわけにはいかない……!
と、そんなわけで『宇宙刑事ギャバン』全44話を視聴。今回は、令和の世に本作を初鑑賞した平成生まれのアラサーとして「超ギャバンに備えたいけれど、44話も観れない!」という方に向けて、同作の魅力や見所を紹介していきたい。
《目次》
エポックメイキングなデザインワーク
『宇宙刑事ギャバン』の放送年は1982年。東映産の特撮ヒーローとしては『仮面ライダースーパー1』の1年後輩、『大戦隊ゴーグルファイブ』の同期というポジションだ。
様々な面でエポックメイキングな本作だが、分かりやすいのはやはりそのメタリックなビジュアルだろう。
シンプルなシルエットにギチギチの情報量を詰め込んだ銀色のボディー。そのデザイン美たるや前述のリブート作でもそのまま使用されたほどで、特に「真空蒸着メッキ」と呼ばれる加工が施されたアップ用スーツはギラギラと銀色に輝く代物で、ギャバンのデザイン美と併せてまるで現行ヒーローのような貫禄を感じさせてくれる。
そんなボディーでレーザースコープ(光るツインアイ)を起動しレーザーブレードを構えられた暁には誰もがイチコロで、令和に観ても唸らされるのだから当時の衝撃は凄まじいものがあったのではないだろうか。
また、ギャバンは「メカニックデザイン」においても従来のヒーローデザインとは一線を画している。
1982年といえば、『劇場版 機動戦士ガンダム』や、レーザーブレードの元ネタであろう『スター・ウォーズ』などの影響でリアルSFが盛り上がっていた時代。そのためか、ギャバンの操るメカもドルギランやギャビオンなどリアル志向でデザインされたものが多く、このデザインワークは後の『宇宙刑事シャリバン』以降にも受け継がれている。それはきっと、このリアル路線が新たなヒーローのアイデンティティーとして広く受け入れられたからなのだろうし、受け継がれなかった要素が『ギャバン』独自の個性になっているのも興味深いポイントだ。
(後続の巨大メカ枠がグランドバースやバビロスといったリアル路線の変形母艦になった結果、奇しくもギャバン独自のアイデンティティーに昇華された電子星獣ドル。後年のリブート・客演作ではCGによるドルの大暴れが実現し、ファンの涙を誘っていた)
ギャバンの「発明」- 魔空空間とレーザーブレード
宇宙刑事ギャバンが立ち向かうのは、宇宙をまたにかける大犯罪組織・マクー。当初は円盤群で都会を火の海にしたり、恐喝して大量のダイヤを奪ったら上手くいったので今度は富士山の所有権を請求してタンカー爆弾で日本列島を人質に取ったり(?)とそのスケールの大きさを見せつけてくるが、話が進むにつれ資金を気にしたり首領の妻子が登場したりと徐々に牧歌的な面が出てきたりする。そんなマクーが残した発明と言えるのが、彼らの戦闘フィールドである魔空空間だ。
「地軸を操作して作り出すブラックホール」というとんでもない設定の魔空空間。スーパー戦隊で敵が巨大化するように、ギャバンは戦いの後半で魔空空間に引きずり込まれ、強化された敵と戦うのがお約束なのだけれど、そんな魔空空間の「なんでもありな異次元」という設定が本作の隠れた立役者。
というのも、魔空空間の中はあらゆる空間が繋がった異次元なので、空を見上げれば宇宙空間、ジャンプしただけで全く異なる風景に変化したりする。つまり、特撮ヒーローとして都合の良いシチュエーションを好きなように量産できる格好の舞台なのだ。
その結果、魔空空間の中では「さっきまで地上戦をしてたのに急に宇宙戦になる」というシチュエーションが頻発。ギャバンもそれに対してドルやサイバリアンで応戦するため「宇宙刑事」らしさの担保にもなっているし、毎回のように様々なメカが挿入歌を引っ提げて現れる賑やかさには製作陣の「オモチャを売るぞ!!」という情熱が感じられるところ。
……しかし、そんな魔空空間での決戦を飾るのは、大抵の場合ドルギランのようなメカではなくみんな大好きレーザーブレード。
鞘からの抜刀に通ずるレーザーの展開、流れ出す「ヒーローの勝利テーマ」らしからぬ重厚な宙明節。レーザーブレードを展開した瞬間の「空気の変わりよう」はいつ観ても目を見張るものがあるけれど、今回『ギャバン』本編を観て驚いたのはレーザーブレードの展開に伴って「撮り方」そのものが変わっていること。
というのも、『ギャバン』は本来2カメ・3カメ、高速ズームやその繰り返し、大胆なカット割に逆再生、そして大葉健二氏の体当たりのアクションと、ありとあらゆる手を尽くしたハイスピードアクションを番組の売りにしている。これ自体がギャバンの肝であり昭和特撮の「トロ」と呼べる部分でもあるのだけれど、レーザーブレードを展開するクライマックスバトルでは大胆にもこれらを綺麗さっぱり切り捨てている。
多用されるスローモーションに、息を呑む「間」の探り合い。それらは前述のハイスピードアクションから一転、時代劇や西部劇、あるいは「崖際に犯人を追い詰めた刑事ドラマ」を彷彿とさせるスリリングなもので、その張り詰めた空気をギャバンダイナミックが切り裂く痛快さはまさに古今無双。これらのギャップとカタルシスこそが『ギャバン』最大のアイデンティティーとさえ言えるかもしれない。
(レーザーブレードのテーマと呼ばれる『襲撃Ⅱ』は元々マクー側の戦闘テーマで、2クール目から本格的にレーザーブレードのテーマとして定着する。ブレード展開後にスコープが光る演出も当初は存在せず、次第に「型」が仕上がっていく過程も『ギャバン』を観る楽しみの一つだ)
「1話完結×縦軸」フォーマットの萌芽
本作のストーリーは、基本的に「バラエティ豊かな1話完結形式」となっており、第28話『暗黒の宇宙の海 さまよえる魔女モニカ』のようにシリアス・ハードボイルドなシナリオの翌週にプリンセス天功(まさかの本人)がマクーとマジック対決を行うエピソードが放映されたり、時折第6話『魔空城の天才塾』のような怪奇・ホラー色の強いエピソードが差し込まれては異彩を放ったり……と、スーパー戦隊シリーズをはじめとする昭和特撮ヒーローのフォーマットに則りつつ「シリアス・ハードボイルド・ホラーの要素がやや強めになっている」という印象。この点には、スーパー戦隊なら5人で持ち回るバラエティ感を一人で担ってみせた一条寺烈役・大葉健二氏の「男前なルックス」「人懐っこい素顔」「 “やられ映え” するヒロイックさ」といった多彩な魅力も大きく貢献していたように思う。
そんな『ギャバン』のシナリオ面で大きなとビックになるのが「1話完結×縦軸」というシリーズ構成だろう。
本作では、初回から烈の父・ボイサーが行方不明になっていることが語られ、第11話ではその物語が大きく進展。その後、1話完結エピソードの中で少しずつ烈の素顔や両親への想いが明かされていき、最終盤の前後編で一連の決着が描かれる……と、全体を通して「縦軸」を意識したシリーズ構成が採られている。
ギャバンが放送されていた1982年は(録画機器の普及状況などもあってか)まだ子ども向けの特撮ヒーロー作品が「連続性」の投入に慎重だった時期。そんな当時において、縦軸と1話完結が調和した『ギャバン』のシリーズ構成は画期的なもので、特撮ヒーロー史における「ドラマ作りのターニングポイント」とさえ言えるかもしれない。
(連続ドラマとしての側面を持った特撮ヒーロー作品は本作以前にも見られたものの、それらは基本的に「途中から/途中まで」の期間限定。一貫性・汎用性のある構成フォーマットを確立させたのは『ギャバン』の功績と言えるが、考えれば考えるほど『快傑ズバット』の異端児ぶりに震えてしまう)
そんな『ギャバン』の縦軸エピソードは、数が少ない分いずれも力の入った傑作揃い。その中の一編・第11話『父は生きているのか? 謎のSOS信号』では、烈が父・ボイサーを知る女性との出会いをきっかけに、かつて父が使っていた宇宙船に辿り着くことになる。
幼くして別れた父の温もりや形見とも呼べる懐中時計に触れ、人知れず涙する烈。男らしさを地で行く烈の「置き去りにしてしまった子どもの部分」を感じさせる大葉氏の名演や、雄大なバラード『父よ』が胸を打つ名シーンだが、無体なマクーはそんなボイサーの宇宙船を襲撃。怒りに燃える烈は蒸着してそれを迎え撃つ――と、なんとこの蒸着シーンで名挿入歌『チェイス!ギャバン』が初披露される。
縦軸を扱うエピソードで、第二幕の始まりとばかりに解禁される筆頭挿入歌。前述のシリーズ構成でなく、このような「ドラマと演出が完璧に噛み合った作劇」もまた本作が特撮史に刻んだ転換点と言えるだろうし、そんな父との関係が最高潮を迎える第43話『再会』は(タイトルからも察せられる通り)ギャバンきってのドラマチックな一編。自分も号泣してしまったこのエピソードについては、是非皆さんの目で確かめていただきたい。
「超ギャバン」に受け継がれるものとは
本編44話を見通して、改めて『ギャバン』の魅力とは何だろう……と考えると、実に様々な答えが浮かんでくる。
ハイスピードアクションとレーザーブレード戦の緩急、ビジュアルや設定による「メタルヒーロー」という新たなヒーロー像の構築、縦軸を本格的に導入したドラマチックなストーリー……。これらを敢えて一言で表すなら、それはきっと「新たなチャレンジによる既存フォーマットの大型アップデート」ではないだろうか。
ヒーローや戦闘メカ。怪人との戦い。1話完結のストーリー。それまでの東映特撮特撮が積み重ねてきた型を踏襲しつつも、『ギャバン』はこれまでになかったチャレンジや洋画・アニメからのインスパイアをふんだんに盛り込むことで、そのような「型」を「新たなシリーズのフォーマット」へと見事アップデートしてみせた。その超越こそがギャバンの真価であるなら、それはまさしく『PROJECT R.E.D.』が目指しているものと一致するはず。
『#超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』
— 超宇宙刑事ギャバン インフィニティ【東映公式】/PROJECT R.E.D.シリーズ (@ProjectRED_Toei) 2025年12月25日
🚀メインビジュアル・〝超解禁〟🚀
「超える」
その言葉に込められた意味とは?
壮大なメインビジュアルにご注目!♾️#プロジェクトRED #ProjectRED#超ギャバン #GAVAN #GavanInfinity pic.twitter.com/7dcAO8YvCR
「超える」をキャッチフレーズに据えた新番組・超宇宙刑事ギャバンインフィニティ。彼らは、ギャバンが成し遂げた「超越」を更に超えられるのだろうか。残る宇宙刑事シリーズを視聴しつつ、それを確かめられる2月15日まで存分に熱量を高めておきたい。
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