※以下、『ウルトラマンオメガ』第1話の内容に触れます。ご覧になっていない方は、是非下記リンクあるいはTSUBURAYA IMAGINATIONから本編の視聴をお願いします……!!※

引用:『ウルトラマンオメガ』第1話(新)「宇宙人がやってきた」-公式配信- -YouTube
《目次》
🌟見逃し配信中🌟
— ウルトラマンオメガ 公式 (@ultraman_series) 2025年7月5日
『ウルトラマンオメガ』
第1話「宇宙人がやってきた」
⬇視聴はコチラhttps://t.co/ytx8b08qRd
倉庫で働く青年ホシミ コウセイは、記憶喪失の謎の男に出会う。… pic.twitter.com/7WwRzHKPrR
キャッチーなフックとサプライズの感動
オメガというウルトラマンを初めて見た時、その第一印象は「なんか変」だった。TVシリーズ主人公としては初の全面赤マスクに青目という奇抜な取り合わせ。この、ともすれば「異物感」さえあるキャッチーなデザインが、自分はむしろ嬉しいと感じた。
ウルトラマンたちは、出自は様々なれど「光の巨人」である。それ故に玩具と絡ませることが難しく、奇抜なデザインも作り辛い。結果、普段ウルトラマンを見ない層を「今回はなんか違うぞ」と引っ張り込むためのフックを用意し辛い……というのが、ウルトラシリーズの展開における枷となっているきらいがあった。
その点において、オメガはまず「真っ赤なマスク」で衆目を引き付けてみせた。ディテールはシンプルながら、カラーリングで異質さを醸し出す巧さには思わず「やられた」と感じてしまったし、それからも、オメガは「怪獣と合体」「主人公は記憶喪失のウルトラマン本人」というキャッチーさを強烈にプッシュ。更には玩具担当に『トリガー』でヒットを記録したN野氏を迎えるなど、オメガの展開には節々から「この作品を本気でやってくぞ」という明確な意志が感じられ、それがシリーズの更なる飛躍を願う一ファンとしては非常に頼もしく映ったのだ。
しかし、いくら事前に「要素」をプッシュしたとしても、内容が伴わなければ……具体的には「初回で引き込む」ことができなければファンは付いてこない。それ故に、今回の第1話は――マーケティングに気合いが入っている分――普段よりもずっと大きな緊張を感じながら見守ることになった。
エンタメの追求に余念がなく、『Z』や『ブレーザー』で強烈なフックを用意した田口監督。『ジード』や『トリガー』のように、テクニックはもちろんそのパッションで視聴者を引きずり込んだ坂本監督。彼らニュージェネのツートップと比べると、今回のメイン監督・武居正能氏が担当されていた『R/B』『デッカー』の初回は正直パンチ不足感が否めなかった。その心配が尾を引いていた部分はあったけれど、いざ観てみればそれは全くの杞憂だった。
予告でも印象深かった、謎の空間を縦横無尽に駆け巡るオメガVSヴァグセクトは何と本作のプロローグ。『ゴジラ-1.0』で一躍名を馳せた株式会社白組の力量が存分に発揮された壮大なVFX、特にその美麗極まるライティングや「CGかスーツかの区別が付かないオメガ」のインパクトは、贔屓目なしに歴代の初回でもトップクラス。シリーズファンでなくともつい目を奪われてしまう (映画みたい!と思わせてくれる) であろう圧巻の映像美は、自分にとっては様々な意味で待望の映像であった。
(この映像をプロデュースしたのが、CGウルトラマンのパラダイムシフトと呼べるグルーブを手がけた武居監督、と言うのがシリーズファンとしては非常に嬉しいところ)
が、この一連で自分が何より驚かされたのは、そこに「更なる隠し球」があったこと。
『 #ウルトラマンオメガ』 放送開始記念
— ウルトラマンおもちゃウェブ公式 (@bandai_ultratoy) 2025年7月5日
◥◣_____________◢◤
ムービーモンスターズシリーズ×ウルトラ怪獣DX
ヴァグセクト(大型)
◢◤ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄◥◣
プレミアムバンダイにて商品化決定
&只今より予約受付スタート!
˗ˏˋ… pic.twitter.com/sS8NCAwt8T
サプライズ枠として用意された新怪獣、ヴァグセクト (大型) 。この怪獣そのものについて語りたいのは山々だけれど、最大のトピックはこのような「サプライズ」が「そのために新スーツを用意するという贅沢さで」用意されたこと。それは、武居監督をはじめとする本作の製作陣が、冒頭から視聴者の心を掴むことに重きを置いていること――令和の視聴層事情を的確にキャッチアップしていることの表れであり、自分が令和のウルトラシリーズに求めてやまなかったダイナミズムなのである。
こちらの取材を担当させていただきました。
— トヨタトモヒサ (@tmhstyt) 2025年7月5日
『ゴジラ-1.0』の白組が手掛けた冒頭のVFXシーンの裏話なども。
是非ご覧ください。
「ウルトラマンオメガ」武居正能、赤きウルトラマンに込めた狙い 3度目のメイン監督で挑む“変革”の物語 https://t.co/NRSRbFX3P5 @cinematodayより #ウルトラマンオメガ…
語らずに魅せる “バディもの” という番組カラー
第1話『宇宙人がやってきた』は、宇宙から落ちてきたウルトラマンオメガ=オオキダ ソラト (初回では名前が付かない、というのは前代未聞だ) と、ホシミ コウセイの出会い、そしてそこに現れた謎の怪獣・グライムの交戦が描かれる。その大筋は決して気をてらったものではなかったが、それでも自分がこの30分に魅せられてしまったのは、偏に本話の「演出」によるところが大きい。
過去の記事でも度々触れている通り、武居監督は「人間ドラマの撮り方」に長じた監督である……というのが自分の認識。『Z』第12話 (叫ぶ命) のハルキ・ヨウコや『アーク』第6話 (あけぼの荘へようこそ) 回想シーンのクロコ星人・女将のように、キャストの表情を引き出したり画面の彩度をコントロールしたりと、様々な角度から画の空気感を練り上げることに長けており、特に「アサヒの言葉を受けて、ウルトラマンとしての覚悟を決める湊兄弟」を言葉でなく画と声で描いてみせた『R/B』第2話 (兄弟の絆) は、氏の初メイン監督としての面目躍如と呼べる名シーンだった。
して、今回の『オメガ』初回にもそんな監督の手腕が遺憾なく発揮されていた。

引用:『ウルトラマンオメガ』第1話(新)「宇宙人がやってきた」-公式配信- -YouTube
常にソラトが照らされ、コウセイがその影になっていたり、ソラトが見つめる太陽の光を際立たせるためか全体的に彩度が抑えられていたりと、こだわりが感じられるライティング (輝度・明度調整) 。
ラジオを巧みに使い劇伴の使用を極力抑えることで、各シーンの緊張感やオメガ変身~初戦のヒロイックさを際立たせる音使い。
飛べそうな気がする/何とかできそうな気がする/大きくなれそうな気がする……の三拍子反復に「ここ3階だぞ」といった「3」モチーフの印象付けや、「神社に堕ちてくるオメガ」というメタファー。
(ここは、SF的世界観の構築に長けたメインライター・根元歳三氏の手腕も大きいだろうか)
これらに「世界観説明をラジオに委ねる」という小技を効かせることで、本話は子ども向け番組の初回でありながら「説明臭さ」がほとんどなく、オフビートかつ奥行きのある (この言い方はあまり好きではないけれど “一般ドラマ的な手触りの” ) ドラマとして見事に成立しているのである。
そして、そんな完成された構成の中で輝くのが、謎の男ことソラトとコウセイの関係性。
∠≣主人公 #オオキダソラト ∠≣
— ウルトラマンオメガ 公式 (@ultraman_series) 2025年4月23日
【演: #近藤頌利 】
記憶を失って地球に落ちてきた宇宙人=ウルトラマン。
初めて見た「地球人」に興味津々で、
まるで子どものように純真にして陽気な性格で、
言葉もまだタドタドしい。
▼詳細はこちらhttps://t.co/3aakbemHfg
▼近藤さんのコメント到着📮 pic.twitter.com/zwFWVKbwrS
『トリガー』『デッカー』『アーク』と、近年のウルトラシリーズでは主人公に相棒的なキャラクターが設定されていることが多く、平成以前の作品でも『コスモス』『メビウス』等に同様の作劇が見られていた。レキネスらメテオカイジュウの存在や事前の触れ込みを踏まえると、本作のソラト・コウセイもそれらの系譜を継ぐ「バディ関係」になることが目されているが、オメガの2人はそれら歴代バディとは異なる「深度」を予感させるものになっている。
「ソラから落ちてきたソラトと、星を見上げるコウセイ」という言葉遊びはもちろん、陸上部時代の栄光を誇るコウセイに、そのコウセイを軽く置き去りにするソラト。「ここ3階だぞ!」と怒鳴るコウセイに、その更に上から落ちてきたソラト。外や空に飛び出そうとするソラトに対し、創庫の管理人という閉じた守り人であるコウセイ。そして何より、「食べ物の名前を尋ねる」ことに始まり「コウセイの名前を尋ねる」ことに終わる構成……。
このように、本話では前提からして明らかな2人の対照性を更に強調して描いており、本作が彼ら2人の物語であることが入念に印象付けられている。バディものとしての作劇・番組カラーがここまで明確なのはウルトラシリーズでも初であり、文学的な雰囲気さえ漂わせる2人のドラマは、その大枠の時点で既にシリーズの新境地を示していると言えるだろう。
『ウルトラマンオメガ』新キャスト解禁!
— ムービーコア (@movie_core2014) 2025年5月7日
ソラトの地球人バディ「ホシミ コウセイ」役で吉田晴登が出演!オメガカイジュウを操りオメガと共に闘うhttps://t.co/TNivokroQy#ウルトラマンオメガ #近藤頌利 #吉田晴登 pic.twitter.com/N6ol6J0ICR
ウルトラマンはなぜ地球人を守るのか
本作のテーマの一つは「ウルトラマンはなぜ地球を守るのか」であると武居監督の口から公言されていたが、第1話はまさにその萌芽とも呼べるエピソード。
ウルトラマンオメガ=オオキダ ソラトは記憶を失っており、ラジカセを持ち上げたり、モノを持ち上げては落としたりと、一つ一つの素振りから「ソレをソレと理解していない」ことが伝わってくる (近藤頌利氏の自然すぎる演技が光る名シーンだ) が、それは彼が目にする人々の「感情」も同様らしい。
食べ物や人の感情、自分の心を動かすモノに対し、ソラトは「焼きそば」「恐怖」「涙」と、一つ一つをまるで自らの心に書き記すかのように口ずさんでいく。赤ん坊が言葉を繰り返して学んでいくのと同じように。
一方、彼のバディ候補にしてもう一人の――従来であればウルトラマンになった側であろう――主人公、ホシミ コウセイは、やたらとキザに青のりを振ったり、自分のメダルにキスをしてみせたりと、非常に俗っぽい「夢を諦めた若者」として描かれている。しかし彼には (本人は「誰かを見捨てて行くなんて気分が悪いから」と照れ隠しのように言っているが) 苦しんでいる人や間違ったことを看過できない、という素朴で力強い善性があり、記憶喪失のソラトにとっては、それがある種の「手本」になっているようにも見えた。
涙する子どもに寄り添い、傷つこうとする誰かを身を挺して救おうとする。その行動がソラトを喚起し、彼の中にある想いに形を与えていく。それは、コウセイがいなければソラトは変身しなかった (できなかった) かもしれないということ。ソラトにとっては、コウセイこそがヒーローの見本であるということ。
そんなソラトは、まるで本作のメインターゲット=ヒーローに憧れて、その行動を真似て「正義」を学んでいく子どもたちのよう。『オメガ』とは、ソラトと視聴者の子どもたちが共に「どうして人は誰かを守るのか」を学び、ヒーローとして歩んでいくための物語なのかもしれない。
して、そんなコウセイからバトンを受け継ぐ形で現れる本作の主役=ウルトラマンオメガは、非常にスタイリッシュかつ厳か。その佇まいはまさに「神秘の巨人」のそれであり、臨場感のあるカメラワークやメリハリのあるスラッガー捌きもあって早々に「動くとカッコいい」を実証してくれた形だ。
しかし、やはり最大の注目ポイントは「飛行能力」にスポットを当ててくれたことだろう。

引用:『ウルトラマンオメガ』第1話(新)「宇宙人がやってきた」-公式配信- -YouTube
ウルトラマンというヒーローのアイデンティティーは何も光線だけではなく、普段何気なく行っている「飛行」もまた彼らに特有の能力。ウルトラマンの目的や特性・能力を一つ一つ解体し、それらをドラマチックに取り戻していく『オメガ』の作劇は、ともすれば『R/B』のリベンジを兼ねているのかもしれないが、それよりも製作陣が「ウルトラマン」という存在に真摯に向き合った結果――この令和の世で「ヒーローという存在を描く意味」に改めて向き合った結果なのかもしれない。
ウルトラマンはなぜ地球人を守るのか。人はなぜ他人を守るのか。誰も彼もが自分の人生で精一杯なこの世の中で、他人のために命を懸ける理由とは何なのか。グライム戦の締め括りは (レティクリュート光線を冒頭で使っているから、というのもあるからか) 仄かな余韻を残すものであり、「怪獣を倒すこと」の先に待っているドラマを期待させてくれる引きになっていた。
一方、本作はあくまで「王道のヒーロー番組」になることが明言されている。コンテンツが飽和しがちな昨今、王道とは得てして「地味」という評価に貶められがちでもあるが、こと『オメガ』においてその心配は杞憂だろう。そう思わせてくれたのは、少女からソラトへ受け継がれた「ありがとう」の言葉が印象的に、とても大切に描かれていたこと。そして、
「……名前は?」
「え?」
「お前の名前」
「ホシミ、コウセイ」
「ホシミ……コウセイ……」
「……」
「あ、思い出した」
「?」
「オレの名は――オメガ!」


引用:『ウルトラマンオメガ』第1話(新)「宇宙人がやってきた」-公式配信- -YouTube
焼きそばのやり取りを踏まえたであろう「粋」な締め括りとタイトルイン!
……からの主題歌エンドロール!
からの、まさかまさかの「三連影絵」……!!
スケール感、繊細なドラマ、そしてケレン味。三拍子揃ったウルトラマンオメガはヒットする気がする。売れる気がする。伝説を、作りそうな気がする!!
おわりに - こんなウルトラマンを、ずっと待っていた気がする。
鮮烈なファーストインプレッション。台詞に頼らないドラマ作り。バディものとしてのカラーと差別化。明確なテーマに、キメる時はバッチリキメてくれるヒロイックなアツさ……。
他にも、「身に付けられる+手を出しやすい+洗練されたガジェット」といいとこづくめなウルトラメテオにオメガスラッガーの魅力。セブンやマックスなど、セブン系ヒーローの系譜を感じる切れ味抜群のぐんぐんカット。張り巡らされた今後への布石。透明感のあるテクノポップ的劇伴。ダウナーな熱さがたまらないOP主題歌。涙なしには聴けないED主題歌。「怪しい獣」としてのディテールで統一された新怪獣たち……と、既にして『オメガ』は魅力が満載で、自分の中では早くも「オメガこそがずっと待っていたウルトラマンかもしれない」という思いが高まっている。また、それを撮られているのが武居正能監督である事実には「アークと併せて、今度こそニュージェネの田口・坂本神話を終わらせてくれるのでは」と期待せずにはいられない。
(それはそれとして田口監督回は楽しみだしギャラファイ再開楽しみにしてます)
【新規PV公開】
— 円谷プロダクション (@tsuburayaprod) 2025年7月4日
想いをつなぎ、未来をひらけ。#ウルトラマンゼット が身に着けた
「ニュージェネレーションウルトラマンケープ」のPVが公開!
誰かが誰かに出会い、想いを紡ぎ、受け継がれていく真の強さ。
それこそが…「ニュージェネレーションウルトラマンの絆」!https://t.co/VDAxcpZxGv pic.twitter.com/cIhiUDxwmW
初回放送日に併せてニュージェネレーションウルトラマンケープのPV (ジェネスタ2025のまとめPV) が公開されるなど、今年で5周年となるゼットとの縁も噂されているものの、そのことを忘れてしまうくらいには夢中になってしまっている『オメガ』。しかし、本作にはまだまだアユ姐やレキネスの登場も控えており、オメガの記憶を奪った光線の主も正体不明。監督・脚本があの『デッカー』コンビであることや、4話からの担当が越監督であること、安達寛高氏らの登壇が控えていることなどを踏まえても、この先の盛り上がりに心配するところは何もないだろう。
今、オタ活の時 pic.twitter.com/Oq1zsMFjQe
— 虎賀れんと (@Le_Soya) 2025年7月6日
であれば、オタクは黙ってお金を落とし、この番組をただ応援するのみ。ウルトラヒーローズEXPOなどのイベントにも足を運び、この番組が伝説になっていく瞬間をこちらも全力で見届けていきたい。


![[バンダイ(BANDAI)] ウルトラ怪獣シリーズ 232 ヴァグセクト [バンダイ(BANDAI)] ウルトラ怪獣シリーズ 232 ヴァグセクト](https://m.media-amazon.com/images/I/41jQjZFG3eL._SL500_.jpg)
![[バンダイ(BANDAI)] ウルトラマンオメガ 変身アイテム DXオメガスラッガー(特典:限定ステッカー2種付き) [バンダイ(BANDAI)] ウルトラマンオメガ 変身アイテム DXオメガスラッガー(特典:限定ステッカー2種付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/41wzxqoWnaL._SL500_.jpg)
