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ウルトラシリーズとアニメが中心の長文感想ブログ。アイカツスターズ!実質全話感想も執筆中!

「デミカツ」って何? アイカツ×VTuberのシリーズ最新作『アイカツアカデミー!』徹底解説

「デミカツ」にドハマりしている。デミグラスソースカツ丼じゃなくてアイカツアカデミー!』の方に。

 

 

2024年7月、突如発表され界隈に激震を走らせたアイカツ!シリーズ最新作こと『アイカツアカデミー!』通称『デミカツ』。その形態はなんとYouTubeでの配信、もとい「VTuber」であり、今こうしている間もYouTubeに続々と動画が投稿されているのだけれど、そのコンテンツとしての特異さ故に「どう追えばいいのか、どれだけ追えばいいのか分からない」「デミカツって何なの」という疑問・戸惑いの声も数多く上がっている様子。 

そこで、今回の記事では『デミカツ』ことアイカツアカデミー!がどんなコンテンツなのか、どう追えばいいのか、どんな状況にあるのか……等々、本作の(2024年9月時点での)情報を徹底解説。デミカツに触れるきっかけ、あるいは追いかける際の補助線として使って頂ければ幸いです。せーので! デミ、カーーっツ!!(存在しない掛け声)


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引用:【アイカツアカデミー!】「満開!エリオント」Official Lyric Video - YouTube 

 

《目次》

 

 

アイカツアカデミー!とは

 

アイカツ!シリーズとは、テレビアニメとデータカードダスの連動コンテンツとして2012年に開始、大きなブームを引き起こした『アイカツ!』以降、『アイカツスターズ!』『アイカツフレンズ!』『アイカツオンパレード!』『アイカツプラネット!』と、放送形態や連動商品を変えながら続いてきた女児向けクロスメディアシリーズ。 

鳴り物入りで発進した『アイカツプラネット!』がパンデミックに直撃したことを主な要因に、一時は打ち止め・完全終了と噂されたこともあったものの、2023年に劇場公開され、大きな反響を呼んだ『アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ 』以降、オンリーショップやソーシャルゲームへのゲスト参戦、遊園地でのコラボ企画など様々な形でコンテンツを展開。2023年末には『アイカツスターズ!』と『アイカツフレンズ!』、2024年夏には『アイカツ!』のライブイベントがそれぞれ大きな賑わいを見せるなど、凄まじい勢いで息を吹き返していった。そんな「第2次アイカツブーム」とでも呼ぶべき流れの中、突如発表された新プロジェクトこそが『アイカツアカデミー!』だ。

 

 

新プロジェクトの発表そのものもさることながら、衝撃的だったのはその形態がアニメでもデータカードダスでもなく「VTuber」だったこと。 

一体どんなストーリーになるのか、そもそもストーリーがあるのか、カード要素はあるのか、コンテンツとして挑戦的すぎるけど色々大丈夫なのか、そして何よりVTuber文化に馴染みのない自分でも楽しめるのか」等々、様々な不安を抱えつつ迎えた2024年7月27日、初配信の中で遂にその全貌が明らかになった。

 

アイカツアカデミー!って何?

 

アイカツアカデミー」は、四ツ星学園のようなアイドル養成学校の名前で、メンバーの三人はそこに通う新人アイドル。中々芽が出ずに悩んでいた中、新たなチャレンジとして「配信部」を結成、アイドル活動の一環として配信活動を始めた……という設定。『デミカツ』とは、そんな配信部三人の配信や(彼女たちの世界に存在する)様々なイベントに彼女たちが挑戦する様子を見守るコンテンツ、つまりは「配信を軸にリアルタイムで進んでいくアイカツ!作品」と言えるだろう。 

(例えば、彼女たちの世界では2024年8月31日に「フレッシュアイドルフェス」というイベントがあるらしく、その模様をYouTubeライブ配信で見ることができる)

 

 

VTuberとの違いは?

 

自分はVTuberに詳しくないのだけれど、おそらくはほぼ同じだと思う。「キャラクターとしての独自設定を持ち、その人格を極めて高い精度でロールしているが、生配信コンテンツなので所々素が出ており、どこまでが演技でどこまでが素なのか分からない」という点はそっくりそのままVTuberだと思うし、彼女たちの存在はアイカツアカデミーという事務所に所属するVTuberと表現すると分かりやすいかもしれない。 

一方、VTuberとの違いとして挙げられるのは、彼女たちのいる世界が「我々のいる現実と、アイカツ!世界が半々に混ざり合ったもの」だという点。要するに、彼女たちは星宮いちごや虹野ゆめら歴代アイドルが現実に存在しているパラレルワールドで活動している配信者」なのだ。 

(彼女たちの世界では、いちごたち歴代アイドルが現実、つまり「同一世界線・同一時間軸上に存在」しており、アニメは「その歴史を収めた映像」のような扱いらしい。特撮ファンにしか伝わらないだろうけど、歴代作品が放送年準拠でふわっと繋がっている世界観は『海賊戦隊ゴーカイジャー』のそれが一番近いかもしれない)

 

 

③ どんな収益体制のコンテンツ?

 

動画の再生による収益、グッズの販売、メンバーシップの会費、先日解禁されたらしいスパチャ……といった点はおそらく企業VTuberと同じ。 

一方、収益面における独自要素と言えるのが、Web上のマイページに登録すると購入・デジタルアルバムへの保存が可能になる「アイカツアカデミー!カード」。配信部の活動が描かれたキャプチャと専用ボイスがセットになったデジタルカードで、販売は1枚200円のランダム方式。店舗・イベントでの配布や雑誌の付録などで「紙のカード」を手に入れることも可能だ。

 

 

アイカツアカデミー!の楽しみ方

 

以上がざっくりとしたデミカツの概要。しかし、重要なのはその先の「じゃあ、現状投下されている大量の動画群をどう楽しめばいいのか」「どれを追えばいいのか」という点だろう。 

確かに、デミカツ関連の配信アーカイブは既にかなりの数があり、全て追うのは一苦労。しかし「最低限のものを押さえる」というだけなら話は簡単だ。 

まず初めに、デミカツの配信を大雑把に分類すると以下のようになる。

①デミカツ通信

②個人配信

③ミュージックビデオ

④ライブ (ステージ) 配信

⑤その他

イメージしやすいようテレビアニメに例えるなら、①のデミカツ通信が「縦軸に関わる回」であり、それ以外は所謂「オムニバス回 (見ておくとよりコンテンツを楽しめるが、見なくても大筋の理解には問題ないエピソード) 」に該当するもの。 

しかし、その「縦軸」というのもさほど込み入ったものではない(配信部を結成しました!→ドレスのデザインと名前を決めよう!→ライブに備えよう!→ライブ本番!くらいのもの)ので、デミカツ通信が視聴必須かと聞かれるとそういう訳でもない。YouTuberやVTuberがそうであるように「面白そうな動画を見て、気になったら他の動画やデミカツ通信を見る」ぐらいの軽いスタンスで楽しめる / 楽しんでいいのが『デミカツ』というコンテンツなのだ。  

して、そんな①~⑤の (2024年9月時点での) 詳細は以下の通り。 

 

① デミカツ通信

YouTubeの公式チャンネル「アイカツアカデミー!配信部【デミカツ】」で毎週土曜日20時に配信している定期配信番組。

・数分のショートCGアニメ
・今週の活動報告
・視聴者からの投稿
・企画コーナー
・来週の予定

の5コーナーで構成されており、困った時はこれを見ておけばOK、と言えるメイン配信。後述の「ライブ (ステージ) 配信」が行われるのもこの枠。  

冒頭のCGアニメ(といっても、使っているCGは普段と同じ)だけは生配信ではなく別録りのもので、短いものながらちゃんとタイトルコールがあったり、ちゃんと「演技している」三人の声が聞けたりする貴重な枠。YouTubeなどで「第○話」としてアップされているのはこの部分で、時間がない方はこれだけ見れば配信部のことが大体分かるのでオススメ。 

メインとなる「企画コーナー」の内容は、上記のようなコール練習だったりオンラインサイン会だったりと、いずれも「アイドル活動」らしいもので、ここがデミカツにおけるアイドル活動パートと言えるかもしれない。ドレスの名前が決まったりもするので重要といえば重要だけれど、性質としてはあくまでバラエティ番組なので、他のコーナー・配信と同様に肩の力を抜いて楽しむことができる。

 

② 個人配信

デミカツ配信部のメンバー=姫乃みえる、真未夢メエ、和央パリンは三人がそれぞれ個人名義のYouTubeチャンネルを持っており、お互いの時間が被らないように毎週様々な配信を行っている――というのが、こちらの個人配信。 

内容は三人の個性や得意分野を活かしたものが多く、絵が特異、いや得意な姫乃みえるはお絵描き配信、朝に強い真未夢メエは朝活配信、ゲーマーの和央パリンはゲーム実況など、それぞれの配信でカラーが大きく異なっている。チャンネルを越えたリレー配信を行ったり、誰かが他メンバーのチャンネルにお邪魔したり……と自由度も高く、デミカツ通信よりもリラックスした配信になっているので、気になるアイドルのことを深く知るにはうってつけの動画群だ。

 

 

そんな個人配信の中でも特に注目したいのが、こちらの「歌枠リレー配信」。おおよそ月一で配信され、三人がそれぞれのチャンネルで30分ずつアイカツシリーズ内外の歌を唄うというもので、配信部の本気歌唱を聴けるのは勿論、各楽曲に対する各々のトークも大きな見所。 

ラインナップは歌唱本番まで伏せられているので、イントロが流れた瞬間の「この歌唄ってくれるの!?」という衝撃はデミカツ屈指の盛り上がりどころ。メジャー・マイナー問わず様々な歌が唄われるので、特にシリーズファン諸氏には是非生配信でその衝撃を感じて頂きたい……! 

(三人の世代からは離れていそうな『アイカツフレンズ!』や『アイカツプラネット!』からの歌唱も多く、その際は驚きや感謝のコメントが数多く寄せられていた)

 

③ ミュージックビデオ

アイカツアカデミー!のOP主題歌に相当する『満開!エリオント』のような新規楽曲や、カバー楽曲のミュージックビデオ(リリックMV)。現在は『満開!エリオント』と『アコガレスカイ』の新規楽曲二曲に加え、カバー楽曲の『Pretty Pretty』がアップされているため、現状のペースなら新規・カバー楽曲がそれぞれ月一ペースでアップされていくと思われる。 

新規楽曲については(当然といえば当然なのだけれど)配信内での言及が多く、いずれもアイカツ!らしい魅力的な楽曲に仕上がっているので、見かけ次第聴いておくのがオススメだ。 

(『満開!エリオント』については、同楽曲楽曲の好きなところを「絵で表現する」という配信があり、非常に面白かったのでこれまたオススメ。和央パリンの「ほんとに恐怖なんだよねみえるんの絵って」発言の真相をその目で確かめよう!)

 

 

④ ライブ (ステージ) 配信

2024年8月31日に配信された「フレッシュアイドルフェス」のような、ライブステージの配信動画。配信部が、彼女たちの世界にあるイベントに参加している模様がYouTubeで生配信される……という配信で、縦軸エピソードに相当するためか「デミカツ通信」の括りで配信される。 

(フレッシュアイドルフェスは「デミカツ通信#7」のナンバリングで配信された)

 

内容はさながら「イベントの生中継」で、上記のフレッシュアイドルフェスは「冒頭と歌の合間で配信部三人のMC」「オリジナル楽曲とカバー楽曲、計四曲の歌唱」「最後の挨拶」というシンプルな構成。 

配信部の「アイドル」としての魅力がぎゅっと詰まっているため、これからデミカツに触れるという方にもオススメできる配信で、デビューしたてとは思えないハイレベルな歌唱は勿論、モーションキャプチャー製CGであることを忘れてしまうほど滑らかな表情・ダンスも大きな見所だ。 

……しかし、このライブ (ステージ) 配信には「他の配信 (特に、各メンバーの個人配信) を履修した上で見ると、その輝きが何十倍にも膨れ上がる」という隠れギミックもあったりする。詳しくは後述。

 

 

⑤ その他

 

メンバーシップ限定動画など、上記①~③のいずれにも該当しないもの。メンバーシップの特典は現状さほど多くはないけれど、プレス向けに実際に行われた(ように見えるが、真偽の程は不明)記者会見動画では、配信部のキャラクターデザインを務めた方々からのコメントが当人たちの目の前で読み上げられるというレアなシチュエーションを見ることができる。記者会見の段階から難易度の高いアドリブを求められてしまった和央パリンの奮闘ぶりは必見……!

 

 

配信部メンバー紹介

 

① 姫乃みえる

三人がそれぞれ主人公とされているアイカツアカデミー!配信部の「代表」にあたるアイドルで、デザインは『アイカツスターズ!』のキャラクターデザインを手掛けた愛敬由紀子氏。口癖の「えぇ、えぇ、えぇ」と「……ネ!(高音) 」がとても面白……じゃなくて可愛い。 

イメージカラーのピンクやハートマークがふんだんにあしらわれたキュート系のビジュアルや、人一倍強いアイドルへの憧れ、天然なところもあるけれど、それ以上に生真面目で真っ直ぐな努力家――と、一見すると歴代主人公の系譜を受け継ぐ「正統派アイドル」な姫乃みえる。しかし、彼女の真髄はそんな正統派っぽい雰囲気から飛び出す「キャラの濃さ」にある。以下、そんな彼女の濃さ、あるいはイロモノぶりを裏付けるトピックの一例。

 

 

・「絵が得意」と豪語している通り、確かに絵は上手い……のだが、アドリブで絵を描くと途端にホラーゲームに出てきそうな呪物を生み出し始める(狙って描いている訳ではないようで、描きながら「このままだとホラーになる」と察して急遽軌道修正を始めたり、逆にヤケになって突っ走った結果とんでもないカオスを生み出したりする)  

・上記の点にツッコミを入れると軽く圧をかけてくる  

・自身で切り抜き動画を作成したり、他二人に比べて配信前の余興が凝っているなどエンタメの追求に余念がなく「前世がいるのでは?」と疑われているGoogleで検索するとその手のサジェストが複数出てくる)  

アイカツ!シリーズの極まったオタクらしく、語らせると本物の「オタク早口」が始まる  

・特に『アイカツスターズ!』の限界オタク説が濃厚で、好きな楽曲に『MUSIC of DREAM!!!』を挙げたり好きなアイドルに騎咲レイを挙げたりしているが、騎咲レイを好きな理由については徹底的にはぐらかしており「単純に中の人の性癖なのでは」と囁かれている  

・ダウナーなイケボに定評があり、第2回の歌枠配信ではAdo氏の『ギラギラ』を熱唱、リスナーを震撼させた(需要があることに気付いたのか、最近は動画内でイケボを披露することが明らかに増えている。やはり騎咲レイのオタク……?) 

セミの鳴き真似にも定評がある  

・素なのかどうかは不明だが、ごく希に一人称が「僕」になる  

・全体的に表現が個性的で、油断すると「更地にする」「頭をこねくり回す」など、悪いインターネットに浸かっていないと出てこないタイプの語彙が飛び出す (それを謎のお嬢様言葉でカバーするまでがテンプレ)  

コメント欄にイジられ倒している  

マシュマロでもイジられ倒している (答えが用意されていないなぞなぞ) (ユリカ様ー!!!!) (ぽい) (誰がぷよぷよさんですか) (真っ当な相談で逆に慌てるみえるん) 

名前もイジられ倒している (姫乃きえる) (姫乃こめる) (姫乃こまる) 

・メェ姉さんに高音ボイスで電話をかけるイタズラを試みたが、高音すぎた結果ノイズ判定され、ノイズキャンセリングで完全にカットされる(姫乃イズ) 

・「みえるって左利きだっけ?」「実は……両利きなんだ (キリッ) 」という返しをしたい一心で両利きトレーニングを積むも、早々に挫折  

・様々な罠を仕組んだ「はっぴぃすごろく」を作成、三人でプレイした結果「仕組んだ罠のほぼ全てを自分自身で踏み抜き最下位になる」という空前絶後のフラグ回収を達成する

 

……と、このように多才な芸人ぶりと、「芝生の色って重要ですか」という座右の銘に象徴されるストイックさ、そして「アイカツへのひたむきな想い」が共存して生まれたのが姫乃みえるという未来のスーパーアイドルそのカッコ良さや面白さはとりわけ彼女の個別配信に顕著なので、気になる方は是非彼女のチャンネルを覗いてみてほしい。オススメは、上記のお手製切り抜き動画やおえかき雑談、そして彼女のイジられ映えが詰まりに詰まった『第1回マシュマロ収穫祭』。彼女の魅力は一度味わったらクセになること請け合い……!

 

(彼女が『スタートライン!』と『MUSIC of DREAM!!!』の関係について語ったり、騎咲レイに対する感情を垣間見せたりする貴重な配信!)

 

② 真未夢メエ

アイカツアカデミー!のゴシック枠で、「ふふふ」とはっきり発音して笑うのが可愛い自称お姉さん。キャラクターデザインは『アイカツ!』でお馴染みのやぐちひろこ氏。 

魔界からやってきたらしいゴシック+クール系美少女、という触れ込みのアイドルなのだけれど、その実態は配信部随一のポンコツふわふわ癒し枠。たどたどしい滑舌や頻繁に出る訛り、テストプレイ済みのゲームが実質初見実況と化すほどのポンコツぶりなどその例は枚挙に暇がなく、中でも高い人気を誇るのが(なぜか)三人中ダントツで多いPCトラブルで、その際に発する「と"お"し"て "ぇ"~~~!!!!!」「な"ん"て"た"よ"ぉ"~~!!!!!」という悲鳴は滋養強壮に効くと専らの噂。  

……尚、本人はこのトラブルの多さを相当気にしているようで、配信中にPCが落ちる現象の対策として「配信前にPCを落としておく」という分かるようで分からない手を打った結果、本当にPCトラブルを防ぐという伝説を打ち立てたりもしている。  

 

 

そんな彼女の愛され・癒しスキルは先生方(=事務所の方々)も早々に察していたらしく、彼女の個人配信は「早朝の雑談配信」や「ラジオ」などほのぼのとしたものが多い。その中でも名物となっているのが、彼女の出身地とされる「魔界」のエピソード。 

というのも、彼女は「前世が羊の、魔界からやってきたアイドル」を自称しており、それだけ聞くと『アイカツ!』のゴシック枠こと、徹底的なキャラクターの作り込みぶりで名を馳せたユリカ様=藤堂ユリカを思い出すけれど、メエ姉さんは「異様な作り込みの甘さが魅力」というユリカとは真逆の存在。 

まろびでる方言を「魔界訛り」と、東京にやってきたことを「人間界にやってきた」ではなく「上京」と表現したり、「料理が信じられないほど下手な母親」のエピソードがフリートークの定番と化していたり、魔界にいた頃のアルバイトが「新聞配達」だったりと、彼女の魔界エピソードはその全てが信じられないほど緩くローカル。のんのんびよりかな?  

そんな緩さまみれのメエ姉さんだけれど、歌枠ではゴシック繋がりで『タルト・タタン』を歌唱したり、憧れのアイドルとして大空あかりを挙げたりとアイカツ!』、特にあかりGenerationに深い思い入れがある模様。最初は不慣れだったMCがメキメキと上達していたり、お姉さんとしてみえる&パリンをまとめる機会も増えていたりと、まさに大空あかりのような「その成長ぶりを見守りたいアイドル」だ。

 

(ラジオでリスナーの悩みに真摯に寄り添ったり、歌う時にはクール系な美声を発揮したりと、キメる時はしっかりキメるのもメエ姉さんの大きな魅力。件の『タルト・タタン』はこちらの動画から!)

 

③ 和央パリン

アイカツプラネット!』のキャラクターデザインや他シリーズの作画監督として、シリーズに度々携わられている宮谷里沙氏がデザインを務めた、配信部で最も声がデカく (重要) 、笑い声もデカく (重要)男の子には「少年」と呼び掛ける (超重要) デミカツのポップ担当。愛称は「パリンたん」だけど、後述の理由から「パリンさん」と呼びたくなってしまうアイドルだ。 

カラフルな色使いにギャルみを醸し出すアクセサリーなど、その派手さから「デミカツのおもしれー枠」と予想されており、実際に初回からロッカーに引きこもるというとんでもない事件(パリン立てこもり事件)を引き起こすなど、その期待に着々と応え……るかと思いきや、蓋を開けてみればおもしれー枠はむしろみえるんとメエ姉さんの方であり、一方のパリンたんはむしろ常識人枠であることが明らかになっていった。  

暴走するみえるんやあたふたするメエ姉さんに代わって場を回すことは勿論、ゲーム配信というジャンルを踏まえて「どんなスタイルが見たい / 見易いか」をリスナーに相談していたり、マシュマロで寄せられた悩みに、普段の陽気さを捨てた実直・真剣なスタンスで回答したり、配信後にしょっちゅう一人反省会を行っていることがメエ姉さんの口から(本人に無許可で)明かされたり……。配信で度々「切れ者」ぶりを発揮していることからも、彼女は配信部におけるブレイン、ひいては大黒柱と呼べる存在なのかもしれない。

 

 

こうして、徐々にその見た目に反した印象を確立させていったパリンだけれど、実は初日の時点でこの未来を予感させる一幕があった。それが、初配信日に明かされた「憧れのアイドル=桜庭ローラ」という衝撃的なプロフィールだ

 

 

アイカツスターズ!』におけるもう一人の主人公=桜庭ローラ。彼女は涙の数だけ強くなる不屈のアイドルにして、同作が謳う「自分らしく在ることの大切さ」を体現したキャラクターの一人でもある。そんなローラに「特に個性的なビジュアルを持ち、真面目で内省的な」パリンが憧れていることには確かな説得力があるし、好きなアイカツ!楽曲として『スタートライン!』を挙げる点が、そんなパリンのアイデンティティーを裏付けているようにも思うのだ。  

他にも、パリンは夢・目標として「みんなを照らす太陽になる」ことを掲げていたり(アイドル活動の原点であるソレイユのことを指しているかもしれないが「みんなを照らす」というフレーズやスターズ!への思い入れを加味すると、ソレイユではなく虹野ゆめのことを指しているのかもしれない)、2024年8月18日にYouTubeアイカツ!チャンネルで配信された『劇場版アイカツスターズ!』の長文感想をXに投稿していたりと、アイカツスターズ!という作品に(みえるとはまた違った意味で)非常に強い思い入れを持っている様子。そんな彼女がこの先どんな道を切り拓いていくのか、是非末長く見守らせてほしい……!

 

(パリンたんが『スタートライン!』と、スターズ!のとあるレア楽曲を歌った貴重な配信。終盤のとある一幕には彼女の「らしさ」が詰まっており、心なしかアイカツスターズ!の息吹を感じさせるものでもあった。デミカツだからこそ生まれた必見の配信だ)

 

デミカツへの「ド正直な」感想

 

ここまでデミカツの解説・紹介を長々と書いてきたけれど、では自分は実際にどう楽しんでいるのか、どう感じているのか……というのを、自分自身の備忘録も兼ねて書き残しておきたい。

 

① 楽しいし面白い(小学生並みの感想)

 

初っ端から身も蓋もないことを言っている自覚はあるけれど、なんだかんだでこの一言に尽きてしまう。いや忖度じゃないんですって! ホントに!! 

確かに(現状は)各配信に作品としての具体的なストーリーがある訳ではないし、ライバルがいる訳でもないし、挫折と克己のドラマがある訳でもない。テレビアニメの『アイカツ!』シリーズと同じものを求めるのであれば「何かが違う」と感じてしまうのも理解できるけれど、夢に向かって様々な試みにチャレンジし、その中で少しずつ成長していく彼女たちの毎日は紛れもなく「アイカツ」であるし、それをリアルタイムで見守り、時には自ら応援できる……というのは、これまでのシリーズにはなかったデミカツならではの強みと言えるだろう。  

(何せ手探りの企画だろうし、本格的な調整は評判・反響を踏まえて徐々に行われていくはず。それまではこちらも暖かく見守っていきたい……!)

 

しかし、何より重要なのはそんな堅っ苦しい理屈ではなく、彼女たちの配信が純粋に「面白い」ということ。  

前述の通り、配信部に集っているのはそれぞれ個性的で「喋っているだけで面白い」という面々。そんな彼女たちがラジオやらゲーム実況やらに挑むのだから盛り上がるのは当然で、企画や場回しに不馴れな点があっても、それらは「その後の成長」や「思わぬアクシデント」として回収されていくので無問題。なので、結果的にデミカツの配信はその全てが「面白い」と言えてしまうのである。無敵コンテンツか……???  

(VTuber系コンテンツは皆そうなのかもしれないけれど、バラエティに顕著な「段取り感」を排しつつ、アニメでは味わえない「生の臨場感」を「アニメのビジュアルで摂取できる」……というのは、まさに各メディアのいいとこ取りと言えるかもしれない)

 

 

②「ラジオ (作業用BGM) 」として大活躍

 

デミカツは一週間あたり約9本(1人2~3本+デミカツ通信など)の配信があり、それぞれの配信が15分~1時間ほど。一見凄まじいボリュームに感じるし、自分も最初は「追いきれない!」と感じたのだけれど、2024年8月29日現在、なんだかんだでほぼ全ての配信を追えてしまっている。それはおそらく(配信それ自体の面白さは勿論として)自分が「一人暮らしの社会人」だということが大きな理由であるように思う。 

デミカツの配信は、前述の通りその内容が内容なので、肩の力を抜いて気軽に、それこそラジオのように楽しむことができるものばかり。で、一人暮らしの自分にはそんな動画がとてもありがたい。 

というのも、朝起きてから会社に行くまで、帰宅してから眠るまで、あるいは休みの日に家事をしている間……など「気軽に流せるコンテンツ」が必要な時間はごまんとある。そんな時にこのデミカツはまさにうってつけで、今や自分の生活において欠かせないものになってしまっているのだ。これからも末長くよろしくお願いしますッ……! 

(これまでは、好きな実況者の「自分がプレイ済みのゲーム」の実況動画を探して垂れ流したり、アニメのラジオを聴いていたりしていたのだけれど、どちらもストックが尽きかけていて困っていた。ありがとうデミカツ!!)

 

 

③ 過去作要素が「ちょうどいい」

 

自分は2022年末に『アイカツスターズ!』からシリーズに入った新参者で、現在は『アイカツ!(あかりGeneration)』と『アイカツフレンズ!』を見ている真っ最中。そんな自分にとって、デミカツの過去作要素は凄く「ちょうどいい」塩梅だ。 

というのも、デミカツは「過去作への導線」になることも意識しているのか、各作品の楽曲やキャラクターへの言及こそあれ核心に迫る発言は(おそらく)意図的に避けており、結果「デミカツで言及されたから」「デミカツでこの先触れられるだろうから」「デミカツで聴いた楽曲が良かったから」と、デミカツをきっかけに様々な切り口で過去作品に入っていくことができる。ファンにも新規層にも嬉しい、アイカツ!復活作として限りなくベストに近いスタンスと言えるのではないだろうか。 

(かくいう自分も、本来は『アイカツ!(無印) 』の後に見ようと思っていた『アイカツフレンズ!』をデミカツの配信に備える形で並行して見始めたりしている。デミカツで触れていた楽曲が作中で聞けた時の感動は中々のもの……!)

 

アイデンティティ

アイデンティティ

  • ミライ from BEST FRIENDS!
  • アニメ
  • ¥255

 

④ ライブ (ステージ) 配信に見る、デミカツの「真価」

 

2024年8月31日。初回配信で行われた「お披露目ステージ」以来となる配信部のライブイベント「フレッシュアイドルフェス」が開幕。満を持して行われた配信部のステージは、デミカツの「真価」を示すに相応しいものだった。

 

 

「フェス」とは言うものの、フレッシュアイドルフェスはあくまで配信部によるライブステージ。つまり、その内容は前述の「お披露目ステージ」の延長のようなもの――の、はずだった。

 

 

別物だった。何もかもが。  

歌、ダンス、MC、表情。確かにそれら全てが大きく上達していたけれど、ステージを見て一番に感じたのは、それらへの驚きよりも「 “あの子達” が、アイドルとして輝いてる……!」という想定外の感動。 

というのも、お披露目ステージ時点での三人に対する印象は「VTuberっぽい、アイカツの新主人公たち」というもの。なので、ステージで歌やダンスを披露することに特別大きな驚き・感動がある訳ではなかった (楽曲の良さや “普段のCGモデルでステージをする” という衝撃や、新たなアイカツの始動に立ち会えているんだな、という感慨は大きかった) 。 

しかし、この1ヶ月、自分はいろんな……それはもういろんな配信部の姿を見てきた。コメントやマシュマロにイジり倒されたり、PCトラブルで悲鳴を上げるのがお馴染みになっていたり、自分の失敗を悔やんで反省したり。これらの配信を経て、自分は配信部の三人も私たちと変わらない「実際にこの世界で生きている、ごく普通の人間」であることを実感させられていた。その上で、今回のステージである。 

サプライズ披露されたメエのメイン曲『Peek-A-Boo‼』の衝撃は、普段のほのぼのとした空気感を知っているからこそ凄まじかったし、みえるたちの先輩方に対する思いを知ったからこそ『ダイヤモンドハッピー』を歌う覚悟の重さが感じられたし、そして何より、彼女たちが日々たくさん笑い、悩み、失敗し、それでもと肩を組んで頑張ってきた「普通の女の子」であると実感できたからこそ、パリンたちのことを全力で応援せずにはいられなかった。一つ一つの日常 (配信) の積み重ねによって、フレッシュアイドルフェスのステージに立つ「アイドル」としての三人が、決して当たり前でない「かけがえのない努力の結晶」だと確かに感じられたのである。  

思えば、このような「普通の女の子が、友情と努力によってアイドルに成る」という物語も、それが「日常とステージが両方揃って初めて完成する」ことも、その根底に「憧れと継承」があることも、全ては歴代のアイカツシリーズが受け継いできたイズムと呼べるもの。 

違いがあるとすれば、それは主人公=配信部の三人が、星宮いちごたち歴代のアイドルから輝きのバトンを受け取った「現実に存在するアイドル」であること。つまり、アイカツアカデミー!配信部とは「VTuber」という形を得て具現化したアイカツ!イズムそのものであり、紛れもない「新時代のアイカツ!作品」と呼べるのではないだろうか。

 

SHINING LINE*

SHINING LINE*

 

デミカツの現状分析 - 今後に対する不安

 

べた褒めにべた褒めを重ねてきたデミカツだけれど、一方では大きな不安を感じている部分もある。このコンテンツの「今後」についてだ。

 

 

パシフィコ横浜で2024年8月に開催された、少女まんが誌「ちゃお」と「りぼん」による日本最大級のガールズイベント「ガルフェス」。こちらにアイカツアカデミー!が出展したところ、なんと他ブースに比べても圧倒的な賑わいを見せ、物販も完売が続出。児童層の動員も数多く見られたのだという。 

これだけ聞くと大成功、好評を博していると言えそうなデミカツだけれど、不安なのがYouTubeにアップされている動画の再生数。2024年8月29日現在の状況をざっくりまとめてみると、下記のようになる。

 

【デミカツ通信】
第1回 (7月27日配信)  = 120000回再生
第6回 (8月24日配信)  = 7000回再生  

【歌枠配信】
姫乃みえる #1 (8月4日配信) = 28000回再生
姫乃みえる #2 (8月23日配信) = 9700回再生  

【ミュージックビデオ】
満開!エリオント (7月27日配信) = 150000回再生
アコガレスカイ! (8月3日配信) = 48000回再生  

自分はYouTuberやVTuberに詳しくないので、再生数の「相場」のようなものは分からないのだけれど、これらの数字やその推移にはどうしても大きな不安を感じてしまう。初回特有のブーストや、配信からの経過時間など様々な要因が絡んでいるとは思うものの、もしこのまま再生数の減少が止まらなかったら……と思うと気が気でない。アイカツ!シリーズの今後に大きな影響が出るのは避けられないだろうし、何より、配信部の三人が悲しい結末を迎えるところなんて絶対に見たくない。 

……けれども、この再生数の減少には正直心当たりがなくもない。原因があるとすれば、それはおそらく内容(動画の内容や配信部の魅力)の良し悪しではなく「配信ペース」なのではないだろうか。

 

 

前述の通り、デミカツの配信ペースは「一週間あたり約9本(1人2~3本+デミカツ通信など)」で、それぞれの配信が15分~1時間ほど……とかなりのボリューム。まずもってこのスケジュール自体が多くの視聴者をふるいにかけてしまっていると思うのだけれど、中でも顕著だったのがこちら。

 

 

注目すべきは「7/28 (日) 」という日付。そう、デミカツ通信#2は、アイカツアカデミー!の初回配信である7/27 (土) の翌日に配信されたのである。  

夏休み期間最初の土日、それも20:00~21:00というゴールデンタイムを両方ともデミカツに費やす、というのは流石に敷居が高いし、ここでどちらか片方でもリアルタイム視聴できなかったファンには「アーカイブで1~2時間の動画を見なければ追い付けない」という重いタスクがいきなり降りかかったことになる。 

初回からこのスピード感では「付いていけそうにない」とさじを投げてしまう方がいるのも無理はないだろうし、事実、デミカツ通信#1の再生数が120000回であるのに対し、デミカツ通信#2の再生数は40000回とその数値を大きく落としてしまっている。

もしここがデミカツの展開における致命傷だったとするなら、この先巻き返しを図ることはできるのだろうか。もし更なる展開として「新キャラクターの追加」などが行われた場合、ただでさえ凄まじい配信ペースがより苛烈なものになってしまうのではないか……等々、不安の種は尽きそうにない。しかし、チャレンジングな企画である以上、製作陣もこのような事態は十分に想定していたはずだし、VTuberの相場から見たら実はそんなに心配するような状況ではないのかもしれない。どうかそうであってほしい。 

ともあれ、ここであれこれ考えていても結果は変わらないし、自分のようなファンにできることがあるとすれば、それは彼女たちへの「応援」をおいて他にない。どうか、彼女たち三人のアイカツがこの先も末長く見れますように……!!  

(もう一つの大きな懸念点として挙げられるのが「デジタルカード」の存在。カードの展開を行ってくれるのはアイカツ!シリーズのファンとして非常に嬉しいのだけれど「1枚200円でダブりあり」というのはデジタルカードとしてはやや割高に感じられてしまうところ。採算の都合もあるのだろうけれど、売れているのかどうか心配になる……)

 

 

おわりに - 配信部の「これから」

 

配信部三人が涙ながらにコメントを残し、まるでラストステージのような雰囲気を醸し出していたフレッシュアイドルフェス。しかし、デミカツは「ここが新しいスタートライン!」と言わんばかりに大量の供給を投下、そんな切ない雰囲気や諸々の懸念を見事に吹き飛ばしてくれた。

 

フェスで公開された新曲『Peek-A-Boo‼』のMV公開 (治安の悪い三人の姿や刺激的な歌詞でタイムラインが大盛り上がり中)

 

ドレスアップ (変身) BGM『Memories for tomorrow』を含むデミカツオリジナル楽曲の配信。

 

姫乃みえるが全てのフラグを回収して伝説となった三人配信 (これがフレッシュアイドルフェスの翌日に投下されるのがデミカツの味よ……!)

 

そして、フレッシュアイドルフェスの最後に予告された、シリーズでもお馴染みの展開を彷彿とさせる謎のイベント「Brand Muse Festival」……。 

このBrand Muse Festivalが11月開催と言われていることからして、デミカツはこの先も長期的な展望を持ってコンテンツを展開してくれる模様。ひょっとすると、前述した心配は杞憂でしかなく、デミカツは自分が思っているよりもずっと元気かつ賑わってくれているのかもしれない。

 

 

コンテンツとは往々にして、広がっていくほどに「新たに触れるハードル」が高くなってしまうもので、アニメの話数が多いアイカツ!シリーズはその筆頭と呼べる存在。その印象も相まって、デミカツに「今からだと触れ辛い」と感じている方も多いだろう。 

しかし、本作には事前知識も必要なければ「これを見なくちゃいけない」という必須配信もない。面白そうな個人配信を見て、気になったらデミカツ通信でこれまでの流れを追って、彼女たちに親しみが湧いたらステージの配信を見る。そんなふわっとした流れ・スタンスで楽しめるデミカツは、まさに「史上最も触れやすいアイカツ!作品」とさえ呼べるかもしれない。  

夢は見るものでなく叶えるもの。そんなメッセージを胸に突き進み、私たちの日常を彩ってくれるアイカツアカデミー!配信部。少しでも琴線に触れるものがあったのなら、試しに彼女たちの配信を覗いてみてほしい。それもまた、キラめくバトンを繋ぐアイカツ!に他ならないのだから。