こがれんアーカイブ

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感想『仮面ライダー剣 20th Anniversary STAGE & TALK』- 切り札は “激アツ楽曲演出” 未来にバトンを繋ぐ「剣」堂々のフィナーレ

仮面ライダーの中で何が一番好き?」に対する答え方は色々あるけれど、「一番泣いた仮面ライダーは?」と訊かれれば、自分が迷いなく挙げるのが仮面ライダー剣。リアルタイム視聴から数年、「物語」を理解できる年齢になってから見直した『剣』最終回に号泣させられたあの日が、ともすれば「 “フィクション” と分かった上で涙させられる」という初めての経験だったかもしれない。 

それ以降、自分は『剣』にドハマリしてしまい、剣崎の帰還を何年も何年も待ち続けた。本編の遥か未来を描いた『小説 仮面ライダー剣』は途中で折れそうになるも、最後の一ページに「ありがとう」と涙ながらにひれ伏し、ドラマCD『切り札の行方』で再結集してくださったキャスト陣を拝み倒し、『仮面ライダー3号』に「裏切ってる場合かーーーーッッッ」と吠え、『ゴライダー』の剣崎一真に「ウォォォォォこれだよこれェェェーーーーーッッッ!!!」と叫び、『ジオウ』第29話の予告で剣オタクの友達に電話して、第30話の後にまた電話して、突如登場したギャレンキングフォームの報せに発狂した辺りで「もしかして『剣』のアフターはこれでやり尽くしてしまったのかも」「本編後に剣崎、始、橘さん、睦月が揃う物語は見られないのかも」……と、半ば諦めのような気持ちが芽生え始めていた。 

その、僅か数日後のことである。

 

 

ウエエエェェェェェェェェ!?!?!?!?!?!?

 

 

ウエエエェェェェェェェェェェェェ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?

 

 

「行くしかあるまい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(画像略)」


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「おう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(画像略) 」

 

そんなこんなで観てきました仮面ライダー剣 20th Anniversary STAGE&TALK 関東公演』。愛知……行くか、行けるか……!? とギリギリ迷うくらいだったので、関東、それも比較的近郊の埼玉となれば迷う理由もなく、無事に公演を見届け、キャストの皆様とグータッチを交わし、会場限定グッズでパンパンのバッグを抱えながら、余韻のままに今も猛烈な勢いでスマホを叩き続けている。今ここで書き留めておかなければならないと、そう心から思わせてくれる素晴らしいステージだったので……! 

中でも自分が喜び狂ってしまったのは、そんな本公演のステージパート――の、特に「楽曲」周りの演出。配信もあるので “ストーリーの核心的なネタバレ” は避けつつ、本公演の激アツ演出に対する20年目の感謝を書き残しておきたい。

 

※以下、『仮面ライダー剣 20th Anniversary STAGE&TALK』のネタバレが含まれます。ご注意ください※

 

ELEMENTS

ELEMENTS

 

《目次》

 

開幕~イントロダクション

 

そもそも、『剣』と舞台は相性が良い。というのも、スポットライトが多用される前期OP『Round ZERO~BLADE BRAVE』の雰囲気がまさに舞台のそれ (厳密なイメージ元はディスコか) だったからだ。そんなことをうっすら思っていたからなのか、開幕早々に『ELEMENTS』が流れ出し、ブレイド、カリス、ギャレンレンゲルがOP映像のサビを思わせるアクションでアンデッド (ショーで見るタイプのモブ怪人) を薙ぎ倒すというクライマックスぶりで、自分も会場も興奮を越えてビッグバン状態だった。もう元が取れたぜェェェーーーーーッッッ!!!!!!!! 

しかし、これらは所謂オープニングアクト。ここから物語本編に入っていくのだけれど、こっちもこっちでいきなり仮面ライダーカリス=相川始が「俺は人間になったはずじゃ……」などと言い始めるものだからひっくり返った。今回の舞台ってジオウ前提の話なの!?

 

 

『剣』は様々なアフターエピソードが描かれており、どこまでが所謂「正史」なのかは私たち視聴者の判断に委ねられているところ。しかし、このステージはそのうちいくつか……特に『ジオウ』と『小説 仮面ライダー剣』を明確に「正史」として繋ごうとしている節がある。ある種の執念さえ感じさせるその導入に早速畏怖めいたものを感じつつ、一方で物語は急展開を見せていく。 

“何者か” の干渉によってカードから解放されたスペードのカテゴリーK、コーカサスビートルアンデッド。バトルファイトに興味のない彼の今の目的は、自分を封印したブレイドに対する復讐。彼は「ブレイドとジョーカーの思い通りにはさせない」と始を襲い、彼からハートのカテゴリーAを奪取してしまう。 

“何者か” の力と、自らの「他のアンデッドを操る力」によって、タイガーアンデッド、トータスアンデッド、そしてマンティスアンデッド=カリスという強力な軍勢を従えたコーカサス。一時は橘朔也=仮面ライダーギャレンの救援により危機を脱した始だが、度重なる追撃の果てにラウズカードへ封印されてしまい、ギャレンも絶体絶命の窮地に追い込まれてしまう――と、その瞬間。

 

『OPEN UP』

 

ギャレンを救ったのは、仮面ライダーレンゲル=上城睦月!  

ここの出方がホント~~~にカッコ良かった!!!!睦月ーーー!!!超カッコいいぞーーーーー!!!!!!!! 

(この後、睦月と共にBOARD職員として働いているという広瀬さんが登場、橘さんを強引に舞台袖へ引きずっていく姿に会場では笑いが起きていた)

 

 

ブレイドVSカリス、再び

 

この舞台で、ある意味一番「オタク」を(勝手に)感じてしまったのがこのパートだったかもしれない。 

コーカサスはトータスアンデッド、タイガーアンデッドを操り引き連れる傍ら、マンティスアンデッド=カリスのことは操らず、その意識を残していた。それは「因縁のあるジョーカーにぶつける上で面白いから」であり、事実、マンティスアンデッドは過去のリベンジとしてジョーカーに襲いかかった――が、戦いを拒む今のジョーカーは彼の渇きを満たさないまま、コーカサスによって封印されてしまった。そんな彼が「とある場所」に向かい啖呵を切ると、会場中心に突如黒フードの人物が現れた。そう、仮面ライダーブレイド=剣崎一真である。

(今回の剣崎の衣装は、テレビ本編と『ディケイド』以降のエッセンスを併せ持ち、同時に小説版のイメージも感じさせるという、非常に「その後の剣崎」らしい説得力に満ちたもの。そんなカッコいい衣装を着たカッコいい剣崎がこんなカッコいい出方をするのでそりゃたまらん訳で。こういうのがあるから舞台ってやめられんねェんスよ~~~!!!!)

 

そして、剣崎はブレイドと同じ動きを取り、「変身!」の掛け声で両者が入れ替わる、というとてつもないスタイリッシュ演出で)ブレイドに変身。「ブレイドVSマンティスアンデッド」という、ありそうでなかった対戦カードが実現し――

 

覚醒

覚醒

 

そこで流れるのは、なんと1stエンディングテーマである『覚醒』!!これ、もしかして「ブレイドとカリスがしょっちゅう戦っていた本編序盤の再演(+ジョーカーVSカリスの意趣返し)」ってコト!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
(まあ言うても最終盤やジオウで戦ってましたけど!!!!)

 

それにしても、この時のブレイドがま~~~カッコ良かった。前述の変身も映えに映えていたし、椿さんのスラッとしたシルエットや、ブレイラウザーを用いた殺陣の舞台映えったらなかったし、フィニッシュがライトニングスラッシュなのも、ジャックフォームを出せないことへのカバーになっているようで嬉しいポイント。しかし、それ以上に「確かに俺はジョーカーだ。けれど、人間であることを捨てたつもりはない!」「戯言だと思うなら、俺に勝ってみろ!」という、あまりにも「剣崎一真」な台詞でラウザーを抜刀するブレイドが一番カッコ良かったかもしれない。この啖呵の切り方が凄く剣崎なんですよ……!!

 

 

レンゲル キングフォーム

 

剣崎が行方不明、始は封印され、橘さんは重傷を負って戦線離脱。この状況でコーカサスビートルアンデッドに睦月が立ち向かう展開には、思わず本編のレンゲル終戦を想起してしまうけれど、ここで「正気の睦月に操られたタイガーアンデッドをぶつける」というのが、凄く、その……性格が悪い脚本だ……!!(褒め言葉) 

剣崎が本ステージ中で「自分たちの運命を利用されない為に強くなる」という台詞を言っていたけれど、それは睦月も同じこと。それを物語るように、彼はタイガーアンデッド=城光の鼓舞を受けて彼女を封印。その後押しを受けて「力を貸してください、城さん……嶋さん!」とアブゾーバーを起動、遂にキングフォームへと進化する――!

 

クライマックス VIII

クライマックス VIII

 

で、ここで!!!!!ここで『クライマックスⅧ』なんですよ~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 

ここで挿入歌が流れるなら、橘さん文脈込みで『rebirth』かな、などと思っていた自分が甘かった。「キングフォームの初登場」において相応しい音楽が『クライマックスⅧ』以外にあるワケがない!!  

そんな音楽の後押し、ストーリー、デザイン、全てが噛み合ったレンゲルのキングフォームは、それはもう驚天動地の圧倒的な「主人公」ぶりだった。そのド派手なスタイルとキングフォーム仕様のレンゲルラウザーが舞台映えするのは勿論、なんとしっかり「ロイヤルストレートフラッシュ」まで使ってくれるという豪華ぶり。初キングフォームの反動でフィニッシュまでは至らなかったものの「ジョーカーのカードを取り戻す」という実質的な勝利に至ってくれる、という塩梅が素晴らしかったし、何より「レンゲルキングフォーム単体の見せ場を用意してくれる」この手厚さに感謝感激ですよ……!!

 

 

仮面ライダー剣』史上初のタッグバトル

 

コーカサスビートルアンデッドを後一歩のところまで追い詰めたものの、長時間の変身はできずキングフォームが解除、体力の消耗も激しく、一気に形成を逆転されてしまう。コーカサスは「全部無駄だったんだよ」と嘲笑するが……。

 

『TIME』

 

不意に、ピタリと動きを止めるアンデッドたち。

 

「無駄なんかじゃない」

 

舞台袖から歩み出たのは、もちろん仮面ライダーブレイド!  

ここの「ブラックアウトと時計の投影による時間停止演出」と、タイムスカラベで「剣崎!?」と思わせてからのブレイド登場、という流れがカッッッッッコ良すぎて……! この舞台、本当に「間」の使い方や、「まさか!!」とこちらに思わせてからのドーン!!が巧いんですよ。更にこの後、レンゲルがジョーカーをリモートで解放してからの「後」なんですよォ!!

 

「感謝するぞ、睦月」
「みんなの力です」
「こいつは俺たちに任せろ」

 

take it a try

take it a try

 

あまりにも粋なやり取り、からの「肩を並べてコーカサスに相対する “ブレイドとジョーカー” 」!! え、ブレイドとジョーカーが並んだことは何度もあるけれど「この姿でのタッグバトル」なんてこれまであったっけ……!? と思って気付く「ここで『take it a try』」という采配の多重文脈。番組後半の歌であり、始ないし「Wジョーカー」の歌でもあるtake it a tryをここで流すのがねぇ、もう……あ"り"が"と"う"!!!!!!!!!!!!!!!!  

(この後ジョーカーがカリスに変身して一瞬「あっ変身しないでいいよ!!」などと思ってしまったけれど、この瞬間のカリス登場がカッコ良かったのでオールオッケー!!!!)

 

 

最終決戦~集結・キングフォーム

 

かくしてコーカサスビートルアンデッドを封印すると、剣崎たちの前に今回の黒幕(※ここは流石に伏せます※)がまさかの姿で登場。解放されたまま放置されていたトータスアンデッドや有象無象を引き連れ襲いかかってくる。 

その圧倒的な力(そりゃ圧倒的だよ!!)の前に変身を解かれてしまう剣崎と始だが、ここで橘さんと睦月が戦線復帰。「20年ぶりに揃ったな」という始の言葉に会場の緊張が高まる中、黒幕の攻撃で屈み込む4人。ブラックアウトする会場。

 

「「「「変身!」」」」

 

Round ZERO ~BLADE BRAVE

Round ZERO ~BLADE BRAVE

 

“スポットライトを浴びて立ち上がる、4人の仮面ライダー” ――!


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引用:https://x.com/rider_restage/status/1864959989896643011?t=RtMF-wL4TyqBn3gRqawvnA&s=19

 

それはもちろん、素晴らしく粋な「OP再現」だったのだけれど、ことこの瞬間に限っては「再現かどうか」さえももはや些末な問題に感じられた。それほどまでに、この瞬間の4人は美しかった。ストーリーや「舞台の現地」という環境も手伝ってなのか、それは誇張抜きで “仮面ライダーを、これまでで最も「美しい」と感じられた瞬間” だったのだ。  

そんな感動から程なくして、このステージの「大舞台」が訪れる。

 

 

黒幕に引導を渡すべく、壇上に集うブレイドギャレンレンゲルのキングフォーム、そしてワイルドカリス。流れ出すのは、ここに来て唯一流れていなかった『rebirth』。この舞台は恐ろしいことに、たった一時間未満の尺で「仮面ライダー剣のOPと挿入歌を全て流してみせた」のである。


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引用:『仮面ライダー剣』20周年を記念して行われたステージイベント、レンゲルキングフォームがサプライズ登場して話題となった尼崎公演の模様がTTFCにて配信決定!ボーナス映像として埼玉春日部公演も収録! - 電撃ホビーウェブ

 

そして、ふとその瞬間の壇上が「ある瞬間を具現化したもの」であることに気付く。 

「これをやった」ということは、もしかすると、今後目に見える形で『剣』のアフターエピソードが描かれることは――とりわけ、彼ら4人の戦いが描かれるのは、これが本当に最後なのかもしれない。けれど、ここで繰り広げられた戦いも、そのフィニッシュに放たれたのが “あの技” だったことも、最後に剣崎たちが交わした言葉も、それら全てが「これがフィナーレに相応しい」と心から思えるものだった。 

そんな作品を『剣』20周年の節目に拝めたこと。その場で白井虎太郎役・竹財輝之助氏も含めたレギュラーキャストが真の「勢揃い」を見せてくれたこと。その幸せや、本公演が「当初は西日本の二公演のみの予定だった」という事実を噛み締めながら、それらに少しでも報いれるよう、せめてこの先もずっと『剣』という作品が描いたものを忘れず生きていける、そんなファンでありたい。


…………ので、買いました。


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キャスト・スタッフの皆様、素晴らしい作品を本当にありがとうございました。この先もずっと『仮面ライダー剣』が愛され続けますように……!

 

「剣崎、俺はいつまでも待っている。人間たちの中で、この世界で」
「ああ。戦いはいつか終わる。必ず、また会おう!」


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引用:https://x.com/rider_restage/status/1864959989896643011?t=RtMF-wL4TyqBn3gRqawvnA&s=19